「中国のスマホメーカーがいよいよ自動車市場に参戦」
2023年12月28日、自動車業界に新たな風を吹き込むシャオミ(小米:Xiaomi)初のEVとなるシャオミ SU7(Xiaomi SU7)が発表されました。スマホメーカーがつくるこのEV、侮れません。高性能なスピード、長距離航続能力、急速充電技術、自動運転機能、そして「人×家×車」を統合するエコシステムを備えた、革新的なスマートEVです。ただのスマホメーカーと油断してはいけません。このスマホメーカーは驚くべきスペックとデザインで挑戦してきました。この記事ではシャオミ SU7について詳しく紹介していきます。

車の概要:シャオミ SU7とは?
新型SU7はスマートフォンで培ったシャオミの技術の集大成と言えます。このセダンタイプのハイエンドEVは、パワフルなモーターと自動運転技術を搭載。Hyper OSによる豊かなエンターテインメント体験、そしてシャオミのエコシステムへの統合が特徴です。SoCにはクアルコムの「Snapdragon 8295」が採用されており、スマホ技術がしっかりと搭載されています。単純に車としても優秀で、特に800kmのEV航続距離や0-100km/h加速が2.78秒という驚くべき性能を有しています。
SU7の開発コンセプト
新型SU7の開発では、シャオミは「高性能」「長距離航続」「急速充電」「自動運転技術」の4つの要素に特に重点を置いています。さらに、彼らは「人×家×車(Human x Car x Home)」を統合するエコシステムを構築することをコンセプトとしています。これは、シャオミがスマートフォンや家電製品で培った技術を自動車に応用し、生活全体をスマートかつシームレスに繋げる試みです。
シャオミとは?
シャオミは2010年に設立された中国企業です。もともとスマートフォンや家電製品でその名を馳せた企業です。特にスマートフォンが有名で、世界的にも知名度の高いメーカーとなっています。スマートフォンの世界市場シェアは2022年にサムスン電子、アップル(Apple)に次ぐ世界3位のシェアを占めるほどです。彼らは技術革新とコストパフォーマンスの高い製品を提供することで知られており、急速に地位を築きました。

シャオミ SU7のエクステリアデザイン
SU7のエクステリアは、シャオミの最新の自動車トレンドを反映しつつ、機能的な面でも非常に考えられたデザインになっています。
フロントデザイン
- グリル: SU7のフロントフェイスはEV特有のクローズドグリルで、流線型のボディと調和しています。
- ヘッドライト: LEDヘッドライトは鋭い視線のようなデザインで、最新のLEDデザインの潮流に沿っていると言えます。

サイドビュー
- ボディライン: SU7のサイドビューは、流麗な曲線と鋭角的なエッジのバランスが取れています。ダイナミックでありながらエレガントな印象のシルエットになっています。
- ホイール: アロイ製のホイールはスポーティな印象のデザインです。
リアデザイン
- テールライト: リアエンドには、左右に伸びるスリムなLEDテールライトが配置されています。
- リアウイング: アクティブリアスポイラーを装備するモデルも登場
- エキゾースト: エキゾースト部分は、EVとしてのアイデンティティを表現しつつ、スタイリッシュな印象を与えるデザインになっています。

エアロダイナミクス
- 空気力学的デザイン: SU7の空位抵抗を表すDd値は0.195とかなり低く、量産車の中では最も低いレベルです。優れたエアロダイナミクスにより流線的な機能美と、エネルギー効率の良さや航続距離の長さというメリットにもつながっています。
ボディサイズ
SU7のサイズは全長4997mm、全幅1963mm、全高1440~1455mm、ホイールベース3000mmとなっています。ギリギリ全長5mを切るサイズ感です。
シャオミ SU7のインテリアデザイン
シャオミSU7のインテリアは世界3位のスマホメーカーならではの、最新の技術が盛り込まれた空間で、デジタル面ではかなりハイスペックな装備となっています。
コックピット
- スマートコックピット: SU7のコックピットは、高度な技術とスタイリッシュなデザインの融合が特徴です。クアルコム製のSnapdragon 801チップとサージ OSを基に構築されており、中央エコロジースクリーン、折りたたみ式計器スクリーン、HUD(ヘッドアップディスプレイ)、後部拡張可能なスクリーンが装備されています。
- 中央エコロジースクリーン: 16.1インチの大画面で、3K解像度、16:10のアスペクト比、91.7%の画面対本体比を誇ります。1024レベルの動的輝度調整機能が付いており、プラグアンドプレイやアプリケーションの起動、システムの更新などが容易に行えます。
- 中央画面のUI: 3Dデジタルカーモデルや外部環境との同期をサポートし、車外から車内への切り替え時に遷移アニメーションが表示されます。また、マルチタスクカードレイアウトやクイックメニューなど、スマートフォンやタブレットとの一貫したインタラクションエクスペリエンスを提供します。
- HUD: 56インチのHUDが装備されており、10度 x 3.6度の広い視野と1500:1のコントラスト比、13000 nitの仮想輝度を備えています。
- 折りたたみ式計器スクリーン: 7.1インチの画面で、重要な運転情報を表示します。後部座席はXiaomi Padタブレットと互換性があり、最大20kgまでの拡張デバイスをサポートできます。
インフォテインメントシステム
- HyperOS: Xiaomiの独自開発OSで、スマートフォンと自動車の両方をサポートする設計です。これにより、シャオミのエコシステムとの統合が図られています。
- Qualcomm Snapdragon 8295 SoC: このチップが全体のインフォテインメントシステムを動力としています。また、Xiaomi Pilotという高度なドライバーアシスタンスシステムが標準装備されており、16の機能を提供します。
追加機能
- カメラとETC機能: Bピラーにカメラが設置され、顔認識によるロック解除システムを示唆しています。ETC機能により、自動料金収受システムでの通行料の支払いが可能です。
シャオミ SU7の走行性能
シャオミ SU7はEVのポテンシャルを最大限活用した、驚くべき走行性能を持っています。
- パワートレイン: 最高出力299PS、最大トルク400Nm、最高速度210km/hの後輪駆動モデルと、最高出力673PS、最大トルク838Nm、最高速度265km/hの四輪駆動モデル(デュアルモーター)の2タイプがラインナップ。
- 高いスピード性能: SU7はトップスピード265km/hに達し、0-100km/h加速は2.78秒という驚異的な性能を発揮。この加速性能はポルシェ タイカン ターボやテスラ モデルS(プレイド以外)を凌ぐ性能となっています。
- 航続距離と充電性能: 800kmの長い航続距離を達成し、800Vのハイパーチャージに対応、5分間の充電で最大220km、15分間の充電で最大510kmの走行が可能です。
- モーターの性能: SU7には独自開発の「Xiaomi HyperEngine」が搭載されており、最大ローター速度21,000rpmのV6およびV6sモーターが量産中です。より優れた27,200rpmに達するV8モーターは2025年に正式発表予定です。
- バッテリーと製造技術: 独自のCTB(Cell-to-Body)技術により、バッテリーを車体に一体化し、構造剛性を大幅に向上させています。また、「Hypercasting」という鋳造技術により、一体型ダイキャストリアフロアを鋳造し、耐久性と軽量化を実現しています。
- 自動運転技術: 「Xiaomi Pilot」と名付けられた自動運転技術は、優れたアルゴリズムと強力なコンピューティング・プラットフォームにより、安全で優れた自動運転体験を提供します。

シャオミ SU7の価格
SU7の価格については、現時点で具体的な情報はありませんが、シャオミは「リーズナブルな価格」を目指しているとしています。ただし、スペック的にはおそらく中〜高価格帯になるのではと想像できます。
シャオミ SU7の発売時期
シャオミ SU7の発売日については未発表です。ただし、シャオミのCEOは2024年前半に正式に発売する予定であると明言しています。
最新情報(2024年3月28日)
2024年3月28日、シャオミ SU7が販売開始されました。
SU7の発売については以下の記事で詳しく紹介しています。
<中国スマホメーカー小米 初のEV発売:シャオミSU7 価格は約450万円 高級EVセダン>

シャオミ SU7は日本で発売される?
シャオミ SU7の日本での発売は現時点では特に発表はありません。

シャオミ SU7の辛口評価
シャオミ SU7をあえて辛口で評価します。
- ブランドの新規性:シャオミは電気自動車の分野では新参者であり、既存のEVメーカーと比較してブランドの信頼性や実績が不足しています。スマホなら問題はないですが、自動車となると、ブランド力や信頼性は非常に重要なファクターとなります。
- 市場の激しい競争:EV市場は米国テスラや中国BYDなど確固たる地位を築いているメーカーが存在し、新規参入者が市場シェアを確保するためには大きな努力が必要です。シャオミはこの競争の中で、注目を集める必要があります。
- 価格と性能のバランス:シャオミは「リーズナブルな価格」を提供することで知られていますが、今回発表されたEVは中〜高級セダンとなります。価格面ではチャレンジと言えます。
シャオミ SU7のライバル車
シャオミ SU7の主な競合モデルは主に以下の車が想定されます。
ポルシェ タイカン(Porsche Taycan): 上級グレードの全輪駆動モデルはポルシェ タイカンとライバルになり得ます。
テスラ モデルS(Tesla Model S): 上級グレードの全輪駆動モデルはテスラ モデルSとライバルになり得ます。
テスラ モデル3(Tesla Model 3): 標準グレードの後輪駆動モデルはテスラ モデル3とライバルになり得ます。
まとめ
スマホのイメージが強いシャオミですが、自動車市場に本気で参入してきたと言えるでしょう。同じカテゴリーのアップルもかなり前から自動車事業参入の情報はありましたが、なかなか苦戦を強いられているようです。そんな中、シャオミが先駆けて参入を発表しました。まずはスペックを盛り込んだフラッグシップとして高級セダンで殴り込みをかけます。このスペックやデザインを見ると、意外とEV市場で戦える可能性を感じてしまうほどです。
今後のEV市場の戦いの行方がより面白くなってきました。まずはこのシャオミ SU7の発売を待ちたいですね。

写真の出展:Xiaomi Weibo
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