2025年10月29日、東京ビッグサイトで開催の「ジャパンモビリティショー2025」において、レクサスが次世代フラッグシップモデル「LSコンセプト」を世界初公開しました。従来のラグジュアリーセダンのイメージを完全に覆す、前代未聞の6輪構造を採用した革新的なミニバンとして登場したこのコンセプトカーは、自動車業界に大きな衝撃を与えています。高級車ブランドのフラッグシップの座を新たな「センチュリー」ブランドに譲ることで、レクサスは「挑戦する」ブランドへと進化を遂げ、その象徴となるのがこの斬新なレクサス LSコンセプトです。
車の概要：レクサス LSコンセプトとは？
レクサス LSコンセプト（Lexus LS Concept）は、レクサスのフラッグシップモデル「LS」の次世代を示すコンセプトカーです。LSという車名は「ラグジュアリーセダン」を意味し、1989年の北米デビュー以来、レクサスにおけるフラッグシップセダンとして5世代に渡って作り続けられてきました。日本では初代から3代目までトヨタ「セルシオ」として販売され、その圧倒的な静粛性と乗り心地で「セルシオ・ショック」という言葉を生み出し、メルセデス・ベンツやBMWといった欧州の高級車メーカーに衝撃を与えました。
現行モデルは2017年にフルモデルチェンジした5代目で、ボディサイズは全長5,235mm×全幅1,900mm×全高1,450mmとなっています。しかし、SUVの台頭とセダン離れにより、フラッグシップセダンとしての役割に限界が見え始めていました。
今回発表されたレクサス LSコンセプトは、「Luxury Sedan（ラグジュアリーセダン）」から「Luxury Space（ラグジュアリースペース）」へとブランドの方向性を転換し、LSの「S」をセダンではなく「スペース（空間、宇宙）」と捉え直すことで、唯一無二のラグジュアリーカーを創造しようとしています。これは6世代目のLSの方向性を示すものであり、従来のセダンという枠組みを完全に超えた、新しいフラッグシップモデルの誕生を予感させます。
レクサス LSコンセプトのエクステリアデザイン
レクサス LSコンセプトの最も注目すべき特徴は、前2輪・後4輪という前代未聞の6輪構造です。これは単なるデザインの奇抜さを狙ったものではなく、後輪を片側2輪ずつ配置し、さらにフロントタイヤよりも小径化することで、3列目シートまでの広大な居住スペースを確保するという明確な機能的意図があります。この構造により、従来のミニバンでは実現困難だった、真のショーファーカーとしての快適性を3列すべてで提供することが可能になりました。
フロントマスクは、レクサスの象徴的存在だったスピンドルグリルとは完全に決別し、全く新しいデザイン言語を採用しています。角張ったLEDライトが印象的で、力強さと未来感を兼ね備えたデザインに仕上がっており、レクサスのこれまでの歴史との決別と、新たな時代への覚悟を表現したデザインと言えます。リアデザインも特徴的で、U字型のワイドなLEDテールランプが車両を囲い込むように配置され、その直下にはL字型を彷彿とさせる別のLEDランプが確認できます。
レクサス LSコンセプトのボディサイズは、全長5,300mm以上、全幅2,000mm前後、全高1,900mm付近と推測されています。
レクサス LSコンセプトのインテリアデザイン
レクサス LSコンセプトのインテリアは、和のラグジュアリーと最先端技術の融合が特徴です。フロントシートは、2列目キャプテンシートの乗員の足元スペースを最大限確保するため、センター寄りにレイアウトされており、ドライバーの快適性を損なうことなく、後席乗員のスペースを劇的に拡大することに成功しています。
ダッシュボードには、超ワイドなフル液晶メーターが配置され、ナビゲーションディスプレイと一体化しています。これはレクサスとして初の試みであり、情報表示の革新的な進化を示しています。ヨーク型ステアリングホイールの近くには、レクサスが「ブラックバタフライ」として進化させてきたタッチパネルスイッチが配置され、直感的な操作性を実現しています。
室内空間は広く、3列目でも2列目と同等のスペースを確保しています。2列目シートは回転機能を備え、向かい合わせの対座レイアウトが可能で、移動中の商談スペースとして活用できる、次世代ショーファーカーならではの機能性を実現しています。3列目シートは、従来のミニバンでは考えられなかった広さを確保し、2列目シートと同等のスペースを提供することで、どの席に座っても最高級の快適性を享受できます。
ウインドウのルーバーやドアパネルに本杢をあしらうことで、安らぎを感じさせつつ高級感のあるインテリアとなっているのも特徴です。竹（バンブー）を活かした素材使いや、外部とのコミュニケーションを行うイルミネーション機能も備え、乗員と外の世界をつなぐ新しい体験を提供します。左右独立したパノラマガラスルーフも特徴的で、開放感と快適性を両立した室内環境が実現されています。
レクサス LSコンセプトの走行性能
レクサス LSコンセプトの小径化された後輪は、インホイールモーターの採用を示唆しており、バッテリーEV化を前提とした設計であることがうかがえます。これにより、従来の駆動系が占めていたスペースを客室空間に転用できるだけでなく、電動パワートレーンによる極上の静寂と環境性能を実現します。
6輪構造は、車体の安定性を高めるとともに、3列目シートまでの広大な居住スペースを確保するために採用されています。後輪を片側2輪ずつ配置し、車体を支えることで、個性あふれるスタイリングと機能性を両立させています。自動運転を見据えた移動するパーソナルスペースがコンセプトとなっており、将来的には高度自動運転技術の統合も予想されます。
レクサス LSコンセプトの価格
レクサス LSコンセプトは現時点ではコンセプトモデルであり、市販モデルの具体的な価格は発表されていません。しかし、現行のレクサス LM500hが約2,000万円から、LM500h”バージョンL”が1,500万円であることを考慮すると、レクサス LSコンセプトの市販モデルの価格は、ベースグレードで2,500万円から、上級グレードで3,500万円からと推測されます。
参考までに、現行5代目レクサス LSの価格は、1,111万円から1,627万円となっています。次世代のレクサス LSコンセプトは、6輪構造やEVパワートレーン、革新的なインテリアなど、より高度な技術と装備を搭載することから、大幅な価格上昇が予想されます。
レクサス LSコンセプトの発売時期
レクサス LSコンセプトの市販化時期について、公式な発表はまだありません。しかし、レクサスの関係者によれば、現時点ではコンセプトモデルであるものの、実現に向けて「本気で」開発が進められているとのことです。
コンセプトカーから市販モデルへの移行には通常2〜3年を要することを考慮すると、2027年から2028年頃の市販化が有力視されています。バッテリーEV化を前提とした設計、インホイールモーターの採用可能性、そして革新的な6輪構造は、技術的にも実現可能な段階に達していると考えられます。
レクサス LSコンセプトは日本で発売されるか
レクサス LSコンセプトの日本市場での発売について、公式な発表は現時点でありません。ただし、ジャパンモビリティショー2025で世界初公開されたこと、そして現行のレクサス LSが日本市場でも販売されていることを考慮すると、市販化された際には日本でも発売される可能性は高いと考えられます。
レクサスは、高級車ブランドのフラッグシップの座を新たな「センチュリー」ブランドに譲ることで、「挑戦する」ブランドへと進化を遂げており、レクサス LSコンセプトはその象徴となるモデルです。日本市場は、レクサスにとって重要な市場の一つであり、フラッグシップモデルとなるレクサス LSコンセプトの市販版が日本で発売される可能性は十分にあると言えるでしょう。
辛口評価
レクサス LSコンセプトをあえて辛口で評価します。
まず、6輪という前代未聞の構造は確かに話題性がありますが、これが本当に市販化されるのか疑問が残ります。タイヤが6本になれば、メンテナンスコストや燃費（電費）への影響、さらには駐車場での取り回しなど、実用面での課題が山積みです。ショーカーとしてのインパクトは十分ですが、現実的な使い勝手を考えると、4輪に戻す可能性も十分に考えられます。
また、レクサスにはすでに高級ミニバン「LM」が存在しており、レクサス LSコンセプトとの棲み分けが不明瞭です。LMよりもさらに大型化し、全幅2,000mm、全長5,500mmという巨大なボディは、日本の道路環境では扱いづらく、購入できる顧客層が限られてしまうでしょう。
価格面でも、推定2,500万円からという超高額設定は、ロールスロイスやベントレーといった超高級車と競合することになりますが、ブランド力で果たして対抗できるのか疑問です。現行LSですら北米市場で年間1,200台程度しか売れていない状況を考えると、さらに高価格帯のレクサス LSコンセプトがどれだけの販売台数を確保できるのか不安が残ります。
従来のセダンという枠組みを超える挑戦は評価できますが、あまりにも革新的すぎて、保守的な高級車市場で受け入れられるのか、今後の動向を慎重に見守る必要があります。
レクサス LSコンセプトのライバル車
レクサス LSコンセプトは、従来のセダン型フラッグシップから大きく方向転換し、ミニバンタイプの超高級車として生まれ変わることから、ライバル車も従来とは異なります。
まず、レクサス自身が展開する「LM500h」は、価格帯が約2,000万円と同じ高級ミニバンカテゴリーに属するため、最も近い競合となります。LMは2列・4人乗りのエグゼクティブ仕様や3列・6人乗りのバージョンLを展開しており、レクサス LSコンセプトとの棲み分けが課題となるでしょう。
海外勢では、ロールスロイスやベントレーといった超高級車ブランドのSUVやセダンが競合となります。これらは3,000万円を超える価格帯ですが、圧倒的なブランド力と伝統を持っています。
日本の高級ミニバン市場では、トヨタ「アルファード」や日産「エルグランド」がありますが、これらは1,000万円以下の価格帯であり、レクサス LSコンセプトとは明確に異なるセグメントです。むしろ、新たに立ち上がった「センチュリー」ブランドのSUVタイプが、同じトヨタグループ内での競合となる可能性があります。
レクサス LSコンセプトは、既存のカテゴリーに収まらない独自のポジショニングを目指しており、直接的な競合が少ない新しい市場を創造しようとしていると言えます。
まとめ
2025年10月29日にジャパンモビリティショー2025で世界初公開されたレクサス LSコンセプトは、従来のラグジュアリーセダンの概念を完全に覆す、前代未聞の6輪構造を採用した革新的なミニバンです。1989年から5世代に渡って続いてきたレクサスのフラッグシップセダン「LS」は、「Luxury Sedan」から「Luxury Space」へとブランドの方向性を転換し、新たな時代への挑戦を始めました。3列すべてに最高級の快適性を提供する広大な室内空間、回転可能な2列目シート、本杢を使用した和のラグジュアリーなインテリア、そしてEV化を前提とした設計など、次世代のショーファーカーとしての魅力が詰め込まれています。現時点ではコンセプトモデルですが、レクサスは「本気で」開発を進めており、2027年から2028年頃の市販化が期待されています。価格は推定2,500万円からと超高額になる見込みですが、自動車業界の常識を覆す革新的なモデルとして、レクサスブランドの未来を象徴する存在となることは間違いありません。
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