2024年6月26日、フォルクスワーゲンは、VWの高性能ハッチバックモデル ゴルフRの改良新型車を世界初公開しました。マイナーチェンジを実施した新型ゴルフRは、従来モデルから10kW(14PS)パワーアップし、245kW(333PS)の最高出力を誇ります。最高速度は250km/hに設定されていますが、オプションのRパフォーマンスパッケージを選択すると270km/hまで引き上げられます。これにより、アルテオンRシューティングブレークと並んで、フォルクスワーゲンの量産モデルの中で最速の一台となります。
車の概要:フォルクスワーゲン ゴルフRとは?
フォルクスワーゲン ゴルフ R (Volkswagen Golf R)は、フォルクスワーゲンの高性能ブランド「R」が手掛ける最上級モデルです。その歴史は2002年に発売された初代ゴルフR32にさかのぼります。当時、3.2リッターVR6エンジンを搭載し、240馬力を発揮する革新的なモデルとして登場しました。以来、ゴルフRは進化を重ね、第5世代となる新型モデルでは2.0リターターボエンジンを搭載。最新の4MOTIONシステムによる四輪駆動と、Rパフォーマンストルクベクタリングシステムを組み合わせることで、卓越した走行性能を実現しています。外観デザインは、LEDプラスヘッドライトや専用デザインのバンパー、19インチの鍛造ホイール「Warmenau」(オプション)など、スポーティかつ洗練されたスタイルを採用。インテリアには、最新のインフォテインメントシステムや、Rモデル専用のデジタルコックピットプロを標準装備しています。この新型ゴルフRは、ホットハッチの頂点に立つモデルとして、さらなる進化を遂げた一台といえるでしょう。

フォルクスワーゲン ゴルフRのエクステリアデザイン
新型ゴルフRのエクステリアは、スポーティさと洗練さを高次元で融合させたデザインとなっています。フロントフェイスには、R専用デザインのバンパーを採用し、左右のLEDプラスヘッドライトを繋ぐように伸びる青白のLEDライトバーが特徴的です。このライトバーは、ヘッドライトを点灯させると、デイタイムランニングライトと連動して独特の光の表情を作り出します。サイドビューでは、マットクロームのドアミラーカバーが目を引きます。これらのミラーカバーには、Rのロゴが投影されるプロジェクターが内蔵されており、夜間には独特の演出効果を生み出します。

また、サイドシルはボディカラーと同色に塗装され、全体的なスポーティさを強調しています。リアビューでは、4本出しのクロームエグゾーストパイプとディフューザーが特徴的です。さらに、オプションのR-パフォーマンスパッケージを選択すると、より大型のルーフスポイラーが装着され、高速走行時のダウンフォースを向上させます。

足元には、19インチの鍛造ホイール「Warmenau」がオプションで用意されています。このホイールは、1本あたりわずか8kgという軽量設計で、ブレーキの冷却効率も高く、サーキット走行時に特に有効です。全体として、新型ゴルフRのエクステリアは、フォルクスワーゲンの伝統的なデザイン要素を継承しつつ、Rモデル専用のアグレッシブな要素を随所に取り入れることで、高性能モデルとしての存在感を強く主張しています。

フォルクスワーゲン ゴルフRのインテリアデザイン
新型ゴルフRのインテリアは、スポーティな性能と高級感を見事に融合させたデザインとなっています。ドライバー中心の設計思想が随所に見られ、操作性と快適性を高次元で両立しています。

まず目を引くのは、R専用デザインのスポーツシートです。統合型ヘッドレストを備えたこのシートは、ホールド性に優れ、高速コーナリング時でも体をしっかりと支えます。オプションで選択可能な黒のナッパレザーシートは、カーボンルック調の要素とブルーのアクセントが施され、Rロゴが背もたれに刻まれています。これらのディテールが、ゴルフRの高性能な個性を際立たせています。

ダッシュボードには、32.8cmの大型タッチディスプレイを備えた最新のインフォテインメントシステムが搭載されています。新しいグラフィックスと改良されたメニュー構造により、操作性が大幅に向上しました。また、空調システムや音量調整用のイルミネーション付きタッチスライダー、AIベースのソフトウェア「ChatGPT」を活用する音声アシスタント「IDA」など、最新のテクノロジーが随所に採用されています。ステアリングホイールは、Rモデル専用のレザー巻きスポーツタイプで、ヒーター機能も備えています。特筆すべきは、ステアリングに設けられた青いRボタンで、これを押すとレースモードに切り替わり、エキゾーストノートがより力強くなるとともに、パフォーマンスが向上します。デジタルコックピットプロは、26cmのディスプレイを採用し、R専用のスポーツスキンを備えています。中央に配置された丸型の回転計やR-Viewと呼ばれる水平型の回転計表示など、ドライバーの気分を高揚させる演出が施されています。

アンビエントライティングは、30色から選択可能で、ディスプレイやダッシュボード、ドア、コンソールを美しく彩ります。プリセットされた「ムード」設定やRブルーなど、走行シーンに合わせた雰囲気づくりが可能です。さらに、パノラマサンルーフがオプションで用意されており、開放感あふれる室内空間を演出します。全体として、新型ゴルフRのインテリアは、高性能車にふさわしい洗練されたスポーティさと、日常使いにも適した快適性を高いレベルで両立させています。最新のテクノロジーと高品質な素材使いが、ドライビングの楽しさを最大限に引き出す空間を創り出しています。
フォルクスワーゲン ゴルフRの走行性能
新型ゴルフRは、その走行性能において圧倒的な進化を遂げています。2.0リッターTSIエンジンは、最高出力245kW(333PS)、最大トルク420Nmを発揮。この強力なエンジンと組み合わされているのが、新開発の4WDシステム「Rパフォーマンストルクベクタリング」です。このシステムは、リアアクスルに2つの湿式多板クラッチを配置し、後輪左右のトルク配分を瞬時に制御します。これにより、コーナリング時に外側のタイヤにより多くの駆動力を伝達し、卓越したコーナリング性能を実現しています。

さらに、「ビークルダイナミクスマネージャー」と呼ばれる統合制御システムが、4MOTION、XDS(電子制御式ディファレンシャルロック)、DCC(アダプティブシャシーコントロール)を連携させ、常に最適な走行状態を維持します。走行モードは「コンフォート」「スポーツ」「レース」「カスタム」の4種類が用意され、それぞれのモードでパワートレイン、サスペンション、ステアリング、エンジンサウンドなどが最適化されます。特に「スポーツ」モードでは、優れた乗り心地と高い運動性能のバランスが取れており、日常使いにも適しています。オプションの「R-パフォーマンスパッケージ」を選択すると、最高速度が250km/hから270km/hに引き上げられ、さらに「ドリフト」と「スペシャル」という2つの追加モードが利用可能になります。「スペシャル」モードはニュルブルクリンクノルドシュライフェでの走行に最適化されており、より大型のルーフスポイラーによる追加のダウンフォースも得られます。
新型ゴルフRは、高性能と日常の使いやすさを高次元で両立させた、まさに「究極のスポーツハッチバック」と呼ぶにふさわしい走行性能を備えています。その洗練された走りは、スポーツカーとしての性能を持ちながら、快適性も損なわないという、高度なバランスを実現しているのです。

フォルクスワーゲン ゴルフRの価格
新型ゴルフRの価格は、ドイツ市場では約925万円(53,795ユーロ)からとなっています。新型ゴルフ R ヴァリアントは約947万円(55,065ユーロ)。オールブラックで統一したコーディネートの特別仕様モデル「ゴルフ R ブラックエディション」は約10,050万円(58,440ユーロ)からとなります。
一方、日本市場では2022年10月4日に発売された際の現行ゴルフRの価格が639万8000円(ゴルフR)、652万5000円(ゴルフRヴァリアント)でした。さらに、2023年7月19日に発表された日本導入20周年記念モデル「ゴルフR 20 Years(トゥエンティーイヤーズ)」の価格は7,928,000円(消費税込)となっています。
フォルクスワーゲン ゴルフRの発売時期
ドイツでの予約販売開始日は2024年7月3日となっています。

フォルクスワーゲン ゴルフRは日本で発売される?
現行ゴルフRは日本で発売されており、新型ゴルフRも日本で販売される可能性は高い想定されます。フォルクスワーゲンジャパンのオフィシャルPRサイト上でも新型ゴルフRの情報が掲載されています。またサイト上に日本への導入タイミングは未定と記載されています。
フォルクスワーゲン ゴルフRの辛口評価
新型ゴルフRは、高性能と日常の使いやすさを両立した優れたモデルですが、いくつかの課題も想定されます。
まず、価格面での懸念があります。現行ゴルフRの価格は639万8000円からで新型ゴルフRの価格はさらに上昇する可能性があります。これは同クラスの他のホットハッチと比べて高額です。特に、ベース車種であるゴルフGTIとの価格差が大きく、その追加コストに見合う価値があるかどうかは議論の余地があります。
次に、インテリアデザインに関する批判があります。タッチパネル式のコントロールやステアリングホイールのボタン配置が使いにくいという指摘があり、操作性に慣れるまでに時間がかかる可能性があります。

フォルクスワーゲン ゴルフRのライバル車
新型ゴルフRの主なライバル車としては、以下のモデルが挙げられます。
- ホンダ・シビック タイプR:
最大のライバルの一つで、FWDながら同等の出力(320PS)を誇ります。より過激なエクステリアデザインと、よりドライバー志向の走りが特徴です。 - メルセデス・AMG A35:
プレミアムブランドのエントリーモデルとして、高級感とパフォーマンスを両立しています。 - BMW M135i xDrive:
BMWならではの駆動感と高級感を備え、ゴルフRと同様にAWDシステムを採用しています。 - アウディ S3:
同じVWグループのモデルで、似たようなパワートレインとAWDシステムを持ちます。より高級なイメージがあります。 - トヨタ GRカローラ:
日本車で唯一の直接的なライバルとして、独自の3気筒ターボエンジンと軽量ボディが特徴です。
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