2024年8月28日、電気自動車ブランドであるスマートが、オーストラリアで新型車「スマート #5」を発表しました。この新型スマート #5は、スマートのEVラインナップで3番目のモデルとなります。またスマート #5はスマート史上最大のSUVであり初の電動ミドルサイズSUVです。
現時点では日本での販売については発表されていませんが、日本導入に期待がかかる新型SUVです。
車の概要:スマート #5とは?
新型スマート #5(smart #5:ハッシュタグ 5)は、冒険を想起させる「コンテンポラリーアドベンチャー」をコンセプトに開発された、smartの新世代オールエレクトリックSUVです。このモデルは、smartブランドの歴史において重要な転換点となる車種といえます。

スマートブランドは1990年代にメルセデス・ベンツとスウォッチの共同プロジェクトとして誕生し、当初は小型の都市型車を主力としていました。2019年に中国の吉利汽車とダイムラー(現メルセデス・ベンツ・グループ)が50%ずつ出資をする合弁会社となりました。そして現在ではEVメーカーとして生まれ変わり、フル電動化戦略を推進しています。スマートは中国で電気自動車を生産するメーカーとなっています。
スマート #5は、このEV時代のsmartブランドにおける3番目のモデルとなります。先行して発売された#1、#3に続く新型車で、ブランド初のミッドサイズSUVとして位置づけられています。デザインはメルセデス・ベンツのグローバルデザインチームが手掛け、smartの新世代プロダクトポートフォリオのデザイン要素を継承しつつ、より大胆で力強い外観を特徴としています。

車両のサイズは全長4,705mm、ホイールベース2,900mmと、従来のsmartモデルよりも大幅に大型化しています。内装は広々としたスペースと最新のテクノロジーを融合させ、smartブランド史上最も広く、最もインテリジェントな車両となっています。電気自動車としての性能面では、800Vの高電圧プラットフォームを採用し、充電速度と航続距離で新たな基準を打ち立てています。100kWhのバッテリーを搭載し、CLTCモードで740km以上の航続距離を実現しています。このように、smart #5は都市型コンパクトカーのイメージが強かったsmartブランドの新たな挑戦を象徴する車種であり、プレミアムミッドサイズSUV市場への本格参入を果たす重要なモデルとなっています。
スマート #5のエクステリアデザイン
新型スマート#5は、メルセデス・ベンツのデザインチームによって手掛けられ、smartの新世代プロダクトポートフォリオのデザイン要素を継承しつつ、大胆で力強い外観を特徴としています。ボディサイズは全長4,705mm、全幅1,920mm、全高1,705mmで、ホイールベースは2,900mmとなっています。このサイズ感は、smartブランドとしては過去最大級のモデルであり、プレミアムミッドサイズSUVセグメントへの本格参入を示しています。エクステリアデザインの特徴として、ボクシーで直立したシルエットが採用されています。フロントとリアのオーバーハングが短いのは、smartカーの特徴的なデザイン要素として引き継がれています。

フロントフェイスには、両サイドに配置された特徴的な楕円形のヘッドライトが細い発光ストリップで繋がれており、遊び心がありながら洗練された印象を与えています。また、シルバーのバンパーも特徴的です。

サイドビューでは、力強さと洗練さを融合させたマッスルカーのような印象を与えています。ドアハンドルは隠し式で、ルーフにはラゲッジラックが装備されており、車両の頑丈さを強調しています。また、Dピラーにはsmartのロゴが配置されており、ブランドアイデンティティを主張しています。ホイールには、フローティングホイールキャップが採用されており、中央のsmartロゴが車輪の回転時も常に正位置を保つユニークな設計となっています。

リアデザインでは、フロントと対称的なデザインのスルータイプテールライトが採用されています。ルーフには大型スポイラーが装備され、リアバンパーもシルバーカラーでフロントとの統一感を出しています。Summit Editionモデルには、ルーフライトバーや電動トレーラーヒッチ、アンダーボディプロテクション、ルーフキャリア、サイドステップ、サイドバッグ、サイドラダーなどが装備され、アウトドア志向の強いデザインとなっています。

このように、スマート#5のエクステリアデザインは、都市型コンパクトカーのイメージが強かったsmartブランドの新たな挑戦を象徴する、大胆かつプレミアムな外観を実現しています。
スマート #5のインテリアデザイン
新型スマート#5のインテリアは、広々とした空間、洗練されたデザイン、そして最新のテクノロジーが融合した、コンテンポラリーな雰囲気を醸し出しています。メルセデス・ベンツのグローバルデザインチームによって丁寧に作り込まれた内装は、高級感と機能性を両立させています。
インテリアの中心となるのは、直感的なデザインの最先端HMIです。25.6インチのAR HUD、10.3インチのフルカラー超高精細LCDメーター、そして2つの13インチAMOLED 2.5Kディスプレイが装備されています。

最新の生成AIを搭載し、スマートの知的な車内アバターと統合されています。ドライバーは音声だけで、電話やメッセージ、音楽、空調、ナビゲーション、個人設定、車両制御など、ほぼすべての機能を操作できます。
車内には、内蔵プロジェクターと20スピーカーのゼンハイザーシグネチャーサウンドシステムが搭載されています。また、車外でも使用可能なポータブルスピーカーも装備されています。特筆すべきは、音楽のリズムに合わせて256色のアンビエントライトが同期する昇降式スピーカーで、印象的なオーディオビジュアル体験を提供します。
フロントシートには、121度までリクライニング可能なゼログラビティシートが採用されています。レザー張りで、V字型のヘッドカーテンエアバッグ、クッションエアバッグ、シート一体型シートベルトを備えています。リアシートも同様にレザー仕様で、業界トップクラスの1,060mmのヘッドルームを確保しています。さらに、シートヒーター、背もたれ調整機能、電動サンシェード、航空機スタイルのLED読書灯を装備し、「ファーストクラス」設定も用意されています。

全てのシートを平らに調整することで、車内にスイートルームのような空間を作り出すことができます。キングサイズ、クイーンサイズ、シングルモードの就寝スペースを車内に確保できる設計となっています。車内には34の収納コンパートメントが設けられており、72リットルのフロントトランクと最大1,530リットルのリア収納スペースを確保しています。
インテリアには、オーク材のトリムが使用され、繰り返し現れる曲線的な楕円形のデザイン要素が、プレミアムな雰囲気を演出しています。
スマート #5の走行性能
新型スマート#5は、最新の電気自動車技術を採用し、優れた走行性能と充電能力を実現しています。
スマート#5には、大容量の100kWhバッテリーが搭載されています。このバッテリーにより、CLTCモードで740km以上という印象的な航続距離を達成しています。この長距離走行能力により、都市内の移動だけでなく、長距離のアドベンチャーにも対応できる実用性を備えています。
最先端の800V高電圧プラットフォームを採用することで、充電速度と航続距離で新たな基準を打ち立てています。特筆すべきは、スーパーチャージング機能(4C)を備えており、わずか15分の充電で10%から80%まで、つまり約70%の充電容量を達成できる点です。

スマート#5は、様々な路面状況に対応できるよう、複数の走行モードを搭載しています。具体的には、アダプティブ、サンド(砂地)、スノー(雪道)、マッド(泥濘)、ロック(岩場)といったオンロードおよびオフロード用の走行モードが用意されています。都市部から荒れた地形まで、様々な環境下での走行に対応できます。
また、アウトドアでの活用を想定し、トランクには220Vのコンセントが装備されています。キャンプやアウトドアアクティビティ時に電源を必要とする機器を使用することができ、車両の多目的性を高めています。
スマート#5の走行性能は、長距離走行能力、高速充電、多様な走行モード、そして実用的な機能を組み合わせることで、都市での日常使用から冒険的なアウトドア活動まで、幅広いシーンに対応できるよう設計されています。これは、「コンテンポラリーアドベンチャー」というコンセプトを体現した、高性能で多機能な電気自動車といえるでしょう。

スマート #5の価格
新型スマート#5の価格は未発表ですが、750万円(4万ポンド)程度と想定されています。
スマート #5の発売時期
新型スマート#5は2024年8月28日にオーストラリアのバイロンベイで世界初公開されました。ヨーロッパではスマート#5は2025年初頭に発売される予定です。
スマート #5は日本で発売される?
現時点では、新型スマート#5の日本での発売は未定です。もともとsmartブランドは日本への導入はありましたが、新生スマート(中国の吉利汽車との合弁)になってからは、EVモデルの日本での発売はありません。

スマート #5の辛口評価
新型スマート#5をあえて辛口で評価します。
まず、ブランドの一貫性に疑問が残ります。smartは長年、コンパクトな都市型車のイメージを築いてきましたが、このような大型SUVへの転換は、既存のファン層を失う可能性があります。
さらに、高度な技術やプレミアム素材を多用していることから、価格が高騰する可能性が高く、一般消費者にとっては手の届きにくい車両になる恐れがあります。
最後に、オフロード性能を謳っていますが、本格的なオフロード走行を想定したSUVと比較すると、その性能は限定的である可能性があります。「コンテンポラリーアドベンチャー」というコンセプトは魅力的ですが、実際の使用シーンでは中途半端な印象を与える可能性があります。

スマート #5のライバル車
新型スマート#5のライバル車としては、以下のような電気自動車SUVが考えられます。
- テスラ モデルY
テスラの中型SUVで、高性能と長い航続距離で知られています。smart #5と同様にハイテク機能を多数搭載しており、電気自動車市場でのベンチマークとなっています。 - BMW iX3
BMWの電動SUVで、プレミアム感と走行性能のバランスが取れています。smart #5と同じく、高級感のあるインテリアと最新のテクノロジーを特徴としています。 - アウディ Q4 e-tron
アウディのコンパクトな電動SUVで、洗練されたデザインと高品質なインテリアが特徴です。smart #5と同様にプレミアムセグメントを狙っています。 - メルセデス・ベンツ EQC
メルセデス・ベンツの電動SUVで、高級感と快適性に優れています。smart #5と同じくメルセデス・ベンツのデザインチームが関わっているため、デザイン面での競合となる可能性があります。 - フォルクスワーゲン ID.4
フォルクスワーゲンの電動SUVで、実用性と手頃な価格が特徴です。smart #5よりも大衆向けですが、電動SUV市場での強力な競合となるでしょう。
これらのライバル車と比較して、smart #5は独自のデザイン言語とアウトドア志向の機能性で差別化を図っていますが、既に確立されたブランドや実績のあるモデルとの競争は厳しいものになると予想されます。
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