トヨタは、2023年12月19日に新型クラウン(スポーツ)のラインナップにプラグインハイブリッド(PHEV)モデルを追加しました。クラウンとしては初のPHEV採用となり、この新たな展開は、クラウンシリーズの伝統に革新的なエコテクノロジーを融合させるトヨタの一歩として注目。新型クラウン(スポーツ)PHEVの導入により、トヨタは環境性能と走行性能をさらに向上させ、電動化の時代に対応を強化する。

車の概要:クラウン(スポーツ)とは?
トヨタ クラウンは、1955年に発売された以来、日本の自動車産業を代表するモデルとしての地位を築いてきました。初代クラウンは、当時としては革新的な技術とデザインを備え、日本の自動車市場に新たな基準をもたらしました。以降、クラウンは数十年にわたりトヨタのフラッグシップセダンとして、技術革新の進化と共に成長し、ビジネスマンや政府関係者に好まれる高級車としての地位を確立しました。
2022年7月に16代目となる新型クラウンがワールドプレミア。クラウン(クロスオーバー)、クラウン(スポーツ)、クラウン(セダン)、クラウン(エステート)の4モデルが一挙に発表されました。新型クラウンは伝統のクラウンネス(クラウンらしさ)をベースに多様なニーズに答えるべく4タイプに増やし、日本から世界へ進出するグローバルブランドを目指しています。
クラウン(クロスオーバー)やクラウン(スポーツ)の登場は、この伝統あるシリーズに新たな章を開くものであり、従来のセダンの枠を超えるトヨタの戦略的な動きを示しています。特に、SUV市場の拡大と消費者の嗜好の変化に対応し、よりアクティブで多目的な使用を目指して設計されている点が注目されます。これは、市場ニーズの多様化への応答であり、ブランドの進化を示しています。

クラウン(スポーツ)は新しいカタチのSUVとして、感性に響く「美しいデザイン」と「楽しい走り」を追求しています。新型クラウン(スポーツ)は2023年10月6日にハイブリッド車(HEV)の受注が開始され、11月に発売されました。
さらに2023年12月19日にはクラウン発となるPHEVモデルが追加され、パワートレインにおいても多様なニーズに応えるモデルとなりました。
クラウン(スポーツ)のエクステリアデザイン
新型クラウンスポーツのエクステリアデザインが目指したのは、圧倒的な美しさ。新時代のクラウンのデザイン思想である「シンプル」を基本に据えつつ、エモーショナルなエッセンスを加えることで、スポーツSUVとしての新たな地平を開きました。従来のクラウンからは想像もつかないようなスポーティーでエモーショナルな美しい造形。このスタイリングにワクワクしない人はいないのではないでしょうか。
クラウンスポーツデザインの最大の特徴は、Dピラーからリヤタイヤにかけて大きく張り出したフェンダーです。このフェンダーは、車両のダイナミックで低重心な印象を高めると同時に、外径の大きいタイヤが存在感を際立たせ、スタンスの良さを強調しています。スポーツモデルのアイデンティティとして、これは非常に重要なデザイン要素と言えます。

また、ハンマーヘッドフェイスの進化も、大きな注目点の一つ。レンズ幅を薄くしたデイランプを黒色部内に集約することで、よりシャープで精悍な表情を創出しています。このデザインは、スポーティさを強く感じさせる一方で、洗練された印象も与えます。
クロスオーバーから進化を遂げたデザイン要素として、21インチタイヤ(アルミホイール)の設定も見逃せません。このタイヤは、上質な乗り心地を維持しつつ、広幅、大径化を実現しており、スポーツモデルの美しさを足元から支えています。
PHEVモデルはマットブラック塗装を施した21インチの専用アルミホイールを採用。トリプルスポークとレイヤースポークでスポーティーな特別感を演出。
ボディサイズは、全長4720mm、全幅1880mm、全高1565mm(PHEVは1570mm)、ホイールベースは2770mm。
全体として、新型クラウンスポーツのエクステリアデザインは、スポーツ性とエレガンスを巧みに融合させたものです。クラウンとしては全く新しいクルマとして登場しました。
SNSや自動車メディアなど一部では、クラウンスポーツが同時期に登場したイタリア車の超高級SUVフェラーリ プロサングエとかなり似ていると囁かれました。パクリ疑惑が出たほどです。確かに全体的なシルエットやリアフェンダーの張り出し、ハンマーヘッドのようなフロントフェイスなど似ている気もします。フェラーリ プロサングエは4760万円で、入手も困難。クラウンスポーツは約8分の1の価格。もちろん、似ているというだけで、中身もブランドも大きく異なるので単純に比較することはできませんが。

クラウン(スポーツ)のインテリアデザイン
新型クラウンスポーツのインテリアデザインは、ドライビングに集中しやすいようブラックで統一された運転席と開放感のあるブラウンで包み込まれるような助手席とアシンメトリーな配色が特徴的。リアシートは適度に包み込まれ、安心感のあるラウンジのような空間。ドライバー、乗客それぞれ特別感のある移動空間となっています。

クラウンスポーツPHEVモデルはレッドの内装を採用し、よりスポーティでエモーショナルなインテリアデザインになっています。ブラックを基調とした中に、センシュアルレッドが際立つカラーコーディネーション。シートベルトも赤色に統一されています。シートはホールド感のあるスポーツシートが採用されよりドライビングが楽しめる仕様に。ステアリングにも専用加飾が施されています。

メーターは大型の12.3インチTFTカラーメーター+マルチインフォメーションディスプレイを採用。カラーヘッドアップディスプレイも搭載。中央には大型の12.3インチディスプレイオーディオを採用。

クラウン(スポーツ)の走行性能
新型クラウンスポーツの走行性能は、スポーツSUVとしての楽しい走りを重視して開発されました。新型クラウンスポーツは、ホイールベースをショート化し、トレッドをワイド化することで、俊敏かつ安定したコーナリング性能を実現しました。
クラウンスポーツは後輪操舵(DRS)の設定においてスポーツに特化した制御となっています。特に60km/h以下では、リアステアがリアタイヤを逆相に操舵することで、ヨーの立ち上がりが早く、俊敏な向き換えが可能です。高速域でも、姿勢変化が小さく、楽で気持ちのよいコーナリングが続きます。新型クラウン(スポーツ)は、ブレーキ時の硬質な手応えとリアステアの協調制御により、高いコーナリング性能とドライビング時のスポーツ感覚を提供します。
パワートレインは2.5Lハイブリッドと2.5Lプラグインハイブリッドの2タイプ。
2.5リッターハイブリッドは、高効率HVシステム採用で、燃費や静粛性の高いモデル。直列4気筒2.5Lエンジンとモーターの駆動力を合計して、システム最高出力は234PS(173kW)です。エンジン単体のスペックは最高出力186PS、最大トルク221Nm、フロントモーターは119.6PS、202Nm、リヤモーターは54.4PS、121Nmとなっています。こちらのWLTCモード燃費は21.3km/Lとなっています。
2.5LプラグインハイブリッドはHVモデルと同じエンジン&リアモーターに、より強力な182PS、270Nmのフロントモーターを搭載。システム最高出力は306PS(225kW)となっています。WLTCモード燃費は20.3km/L。EVでの航続距離は90km。55リットルのガソリンタンクにより、航続距離1200km以上を実現しています。
クラウンスポーツPHEVモデルはPHEVならではの力強い、より楽しい走りを追求。PHEVシステムが生み出すパワーは、E-Four(電気式4WDシステム)によって四輪に分配され、卓越した走行安定性を実現します。さらに、フロアトンネル部へのブレース追加などでボディの剛性バランスを最適化し、前後ショックアブソーバーの摩擦特性と減衰力特性を最適化することで、路面状況や運転操作に応じてショックアブソーバーの減衰力を4輪独立で制御するAVS(Adaptive Variable Suspension)を採用し、しなやかな動きと接地感のあるフラットな乗り味を実現しています。

クラウン(スポーツ)の安全性能・運転支援
新型トヨタ クラウン(スポーツ)は、最先端の安全性能を備えています。重要な機能として、最新のToyota Safety Sense(トヨタセーフティセンス)が標準装備されています。これには先行車やカーブに対する減速支援とステアリング支援を行うプロアクティブドライビングアシスト(PDA)が含まれています。また、トヨタチームメイトの機能として、高速道路の渋滞時に運転負荷を軽減するアドバンストドライブ(渋滞時支援)や、安全で安心な駐車支援を実現するアドバンストパーク(リモート付)が設定されています。ブラインドスポットモニター(BSM)、パノラミックビューモニター(PVM)を標準装備し、BSMのセンサーを活用した安心降車アシスト(SEA)や後方車両接近通知・追突防止サポート機能も搭載されています。
クラウン(スポーツ)の価格
新型クラウンスポーツの価格は590万円からとなっています。
・クラウンスポーツ HVモデル:590万円
・クラウンスポーツ PHEVモデル:765万円

クラウン(スポーツ)の発売時期
クラウンスポーツ HVモデルは2023年10月6日に受注を開始し、11月に発売。
クラウンスポーツ PHEVモデルは2023年12月19日に発売。
クラウン(スポーツ)の辛口評価
クラウンスポーツをあえて辛口で評価します。
まず課題として挙げられるのが価格です。HVが590万円、PHEVが765万円と、高級車ブランド並みの価格帯となるので、高級輸入車などがライバルとして上がってきますが、クラウンブランドでどこまで戦えるかが焦点になります。
また内装の質感や機能性については、特に高級輸入車と比べて課題となるでしょう。

クラウン(スポーツ)のライバル車
クラウンスポーツの競合モデルとして以下が挙げられます。
レクサス NX
レクサス NXは、レクサスのミドルクラスSUVです。2014年に初代が発売され、2021年に2代目へとフルモデルチェンジされました。特徴は、レクサスの高級感と上質な走りを兼ね備えていることです。また、ハイブリッドモデルもラインナップされており、燃費性能にも優れています。価格は455万円から。
メルセデス・ベンツ GLC
メルセデス・ベンツ GLCは、メルセデス・ベンツのミドルクラスSUVです。日本では2016年に初代が発売され、2023年に2代目へとフルモデルチェンジされました。特徴は、メルセデス・ベンツらしい高級感と、優れた安全性能です。また、SUVでありながら、洗練されたデザインで、都会的な雰囲気を演出できます。価格は839万円から。
BMW X4
BMW X4は、BMW X3をベースとしたBMWのミドルクラスSUVです。2014年に初代が発売され、2018年に短期間で2代目へとフルモデルチェンジされました。特徴は、クーペスタイルのスタイリッシュなデザインと、BMWらしいスポーティーな走りです。価格は852万円から。
アウディ Q5
アウディ Q5は、アウディのミドルクラスSUVです。日本では2009年に初代が発売され、2017年に2代目へとフルモデルチェンジされました。特徴は、アウディらしい洗練されたデザインと、優れた走行性能です。また、SUVでありながら、コンパクトなボディサイズで取り回しがしやすいのが特徴です。価格は716万円から。
ポルシェ マカン
ポルシェ マカンは、ポルシェのミドルクラスSUVでポルシェ カイエンの弟分です。2014年に初代が発売され、もうすぐフルモデルチェンジ予定とされています。特徴は、ポルシェらしいスポーティーな走りと、高級感のある内装です。また、SUVでありながら、スポーツカーのような走りを楽しめる車です。価格は838万円から。
まとめ
クラウンの常識を覆してSUVとして登場した新型クラウンスポーツ。その姿は高級車ブランドに引けを取らないでしょう。今回はPHEVモデルも登場し、パワートレインのラインナップも拡充。クラウンの快進撃に期待したいですね。

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