中国EVメーカーNIO ET9発表:高級EVセダン ライバルはポルシェ、マイバッハ、テスラ

中国版テスラとも称され、徐々に勢いを増しつつある中国のEVメーカーNIO(ニーオ)が、高級EVセダンを発表しました。最新フラッグシップモデル、NIO ET9は、自動車業界に新たな風を巻き起こすかもしれません。2023年12月23日、中国・西安で開催されたNIO Dayにて世界初公開されたET9は、ポルシェ パナメーラや、メルセデス ベンツ Sクラス、メルセデス・マイバッハ Sクラス、テスラ モデルSなどの高級EV車をライバルとした高級セダンです​​​​。この車両はNIOの新しいNT3プラットフォームを採用し、そのデザインと技術は一線を画しています​​。

車の概要:NIO ET9とは?

NIOとは中国の蔚来汽車という電気自動車メーカーです。2014年に設立された、新しいEVベンチャーです。中国ではEVの販売を増やし、存在感を高めています。また2016年にはEVスーパーカー NIO EP9を公開。ドイツ ニュルブルクリンクでEVとして世界最速のラップタイムを誇るモデルとなりました。

今回NIOは中国で開催した顧客向け年次集会「NIO Day」でNIO ET9を正式発表しました。NIO ET9はフラッグシップとなるエグゼクティブセダンです。スマートEV時代の新たなハイエンドビジネス向け高級セダンの形を示しました。

NIO ET9のエクステリアデザイン

ET9のエクステリアは、「ランドジェット(Landjet)」と呼ばれるデザインコンセプトを採用しており、その長いホイールベースは、フラッグシップの品格と野心を際立たせます​​。特徴的な大きなホイールアーチと23インチのホイールは、車の高くまっすぐな姿勢を作り出し、存在感をアピール​​。特に重厚な丸みを帯びたクーペライクkなリアデザインが特徴的。さらにアクティブスポイラーも搭載しており、スポーティで力強い印象。

さらに、高精細プロジェクションヘッドライトは、映画業界で使用される高解像度イメージングレンズと最新の広角マイクロLEDを採用しており、スマートにそして安全に前方を照らします。

NIO ET9のボディサイズは 全長5,325mm、全幅2,016mm、全高1,620mm、ホイールベース 3,250mmとかなり大きいサイズのセダンです。

NIO ET9のインテリアデザイン

エグゼクティブ向けのモデルだけあって、インテリアは優雅で機能的なファーストクラスのような空間が広がっています。

デザインのコンセプトとレイアウト ET9のインテリアデザインは、四人乗りのレイアウトで構成されており、車内を縦に走る中央ブリッジが特徴です。このブリッジは、各乗客のスペースを独立させる「Sky Island(スカイアイランド)」と「Executive Bridge(エグゼクティブブリッジ)」として機能し、専用性と適切性を提供します​​​​。キャビンを4つのスペースに分割することで、パーソナルなスペースでくつろぐことができます。

静粛性の高い快適な空間 ET9は、360°アクティブロードノイズキャンセレーション技術を採用しており、オールラウンドサンシェードと合わせて、わずか5秒で忙しい街の喧騒から静かな空間へと切り替えることができます​​。

高度な調整機能を備えたリアシート 後部座席は、18方向の電動調整機能と45度までのリクライニング機能を備えており、特にこのモデル用にデザインされたものです。また、全長のガラス屋根、折りたたみ式テーブル、10リットルのミニ冷蔵庫、最大7つの電動日除けが内装に備わっています。更に、前席の背面には二つの14.5インチのOLEDスクリーンが取り付けられており、後部座席の乗客にサービスを提供します​​。

ビジネスとエンタテイメントのための設計 中央のアームレストには、美しくデザインされた折りたたみ式テーブルが収納されており、6DOF(6方向の自由度)調整が可能です。これにより、読書、ビデオ通話、ビジネス会話など、多様な用途に対応できます​​。

NIO ET9の走行性能

パワートレイン ET9は、後輪にSiCを採用した340 kWの永久磁石モーターと、前輪に180 kWの誘導モーターを搭載しており、合計で520 kWのパワーを生み出します。この組み合わせにより、車はパワフルでありながら静かな走行を実現しています。この車両は中国で初めてのフルドメイン900Vアーキテクチャを搭載し、925Vの最高電圧、600kWの充電ピークパワー、765Aの充電ピーク電流を備えています。

ドライビングパフォーマンス ET9は最大出力520 kW(707 PS)、最大トルク700 Nm(517 ft-lb)を誇り、0-100km/h加速はわずか3.8秒。欧州の高級車ブランドの加速性能に匹敵する性能となっています。

電池と充電性能 ET9のバッテリーパックは120 kWhの容量を持ち、292 Wh/kgのエネルギー密度を実現しています。5Cの急速充電をサポートし、わずか5分の充電で255kmの走行が可能です。これは、電気自動車にとって非常に重要な高効率と迅速な充電能力を示しています。

快適な乗り心地の実現 ET9は、フルアクティブサスペンション、ステア・バイ・ワイヤシステム、後輪ステアリングシステムを組み合わせることで、まるで成層圏をクルージングしているかのような滑らかな乗り心地と操縦感を実現しています​​。

全体的な電力サービス NIOは広範な充電およびバッテリースワップインフラストラクチャネットワークを備え、「充電可能、交換可能、アップグレード可能」なバッテリーで包括的な電力ソリューションを確立しています。NIOユーザー専用のバッテリースワップはわずか3分で完了します。

NIO ET9の価格

NIO ET9は、中国では80万元(約1600万円)から100万元(約2000万円)以上で販売されることが予想されています。

NIO ET9の発売時期

NIO ET9はすでに中国で受注を開始しました。

NIO ET9の発売時期は2025年第四四半期の予定です。

NIO ET9の日本で発売される?

2023年現在NIOは日本での販売を開始していません。NIO ET9の日本発売などについても特に発表はありません。

ただ、2025年にNIOが日本へ上陸する可能性があります。NIOは中国だけでなくすでに欧州へ進出しています。そして2025年までに25カ国以上へ進出する計画を立てています。その25カ国の中に日本も含まれているとされています。日本市場においても将来的な展開の可能性があり、注目が集まっています。

NIO ET9の辛口評価

NIO ET9を辛口評価すると、やはり1600万円とも2000万円とも言われる価格が最大の課題になるでしょう。これはポルシェやメルセデス・ベンツなど欧州の人気高級セダンと肩を並べる価格帯で、欧州勢が築き上げたブランド力に対して、劣る中でどこまで戦えるか非常に気になるところです。また充電インフラの整備も大きな課題となるでしょう。

NIO ET9のライバル車

NIO ET9の競合モデルとしては以下が挙げられます。

ポルシェ パナメーラ

ポルシェ パナメーラは、ドイツの高級車メーカーであるポルシェが製造・販売している高級スポーツセダンです。2009年に初代モデルが発売され、現在は3代目モデルが販売されています。パナメーラは、ポルシェらしいスポーティーな走行性能と、高級感のある内装が特徴です。また、4ドアクーペやステーションワゴンなど、さまざまなボディタイプやグレードがラインアップ。

メルセデス・ベンツ Sクラス

メルセデス・ベンツ Sクラスは、ドイツの高級車メーカーであるメルセデス・ベンツが製造・販売している高級セダンです。1972年に初代モデルが発売され、現在は7代目モデルが販売されています。Sクラスは、メルセデス・ベンツのフラッグシップモデルとして、最高級の走行性能と快適性を備えています。また、最新の安全技術や先進装備も充実しており、世界最高峰のプレミアムセダンとして君臨しています。

テスラ モデルS

テスラ モデルSは、アメリカの電気自動車メーカーであるテスラが製造・販売している電気自動車です。日本では2013年に発売されました。モデルSは、テスラのフラッグシップモデルとして、最高級の走行性能と快適性を備えています。また、航続距離が長く、充電時間が短いというメリットもあります。さらに、最新の自動運転技術も搭載されており、未来の自動車の姿を象徴するモデルです。

NIO ET9のまとめ

最近著しく躍進を続ける中国のNIO。その中で堂々と登場したフラッグシップセダンのET9。性能や高級感では高級車ブランドに劣らないレベルまで高めてきました。ただし、ブランド力で劣る中で、どこまで中国以外でもマーケットに受け入れられるかは今後見ていきたいところです。

NIO公式発表ページはこちら(英語)

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