ジープが新たに電気自動車市場に参入します。2024年5月30日、ステランティスグループのジープはブランド初のグローバル電気自動車となる新型ワゴニア Sを発表しました。この新型SUVは、ジープブランドの伝統を受け継ぎながら、最新のEV技術を搭載した意欲作となっています。
ジープブランドが長年培ってきた4×4技術と、最新の電動化技術を融合させた新型ワゴニアSが、2024年秋からアメリカとカナダで販売開始されます。600馬力のパワフルな電気モーターを搭載し、0-60mph加速は3.4秒という圧倒的な性能を誇ります。一方で、1回の充電で300マイル以上走行可能な航続距離も実現。ラグジュアリーなインテリアと最新のテクノロジーを備え、ジープブランドの新たなフラッグシップモデルとして期待が高まっています。
今回北米で発表されたモデルはジープ ワゴニア ローンチエディションで、特別なデザインを施しています。

車の概要:ジープ ワゴニア Sとは?
ジープ ワゴニア(Jeep Wagoneer)の歴史は1963年にさかのぼります。当時、ジープは世界初の本格的なSUVとしてワゴニアを発表しました。4輪駆動車でありながら、乗用車並みの快適性を備えた革新的なモデルでした。以来、ワゴニアは約30年にわたって生産され、アメリカを代表するラグジュアリーSUVとして愛され続けました。
2022年にフルサイズSUVとして復活したワゴニアですが、今回発表された2024年モデルの新型ワゴニアSは、完全な電気自動車として生まれ変わりました。ステランティスのSTLAラージプラットフォームを採用し、ジープ初のグローバルEVとして開発されています。伝統的な7スロットグリルのデザインを継承しつつ、空力性能を追求した洗練されたエクステリアデザインが特徴です。インテリアには45インチ以上のスクリーンスペースを確保し、最新のテクノロジーと快適性を両立させています。ワゴニアSは、ジープブランドの歴史に新たな1ページを刻む革新的なモデルとして注目を集めています。

ジープ ワゴニア Sのエクステリアデザイン
新型ジープ ワゴニアSは、伝統的なジープのデザイン要素を継承しつつ、電気自動車時代に相応しい革新的なエクステリアデザインを採用しています。
まず目を引くのが、フロントグリルです。ジープの象徴である7スロットグリルを現代的に再解釈し、冷却機能ではなく視認性を重視したデザインとなっています。グリルは完全に閉じられ、車両に近づくとイルミネーションが点灯する仕様です。これにより、夜間でも遠くからジープ車であることが一目で分かるユニークな外観を実現しています。

ボディラインは空力性能を追求した滑らかな曲線を描いています。フードとフロントガラスの角度は最適化され、高速走行時の効率と性能を向上させています。ルーフラインは後方に向かって緩やかに傾斜し、リアスポイラーへと繋がっています。このキャンチレバー式のリアスポイラーは、機能性と美しさを兼ね備えたワゴニアならではのシルエットを生み出しています。
ワゴニア S ローンチエディションは、エレガントなダークアクセントを特徴としています。20インチのグロスブラックホイールや、グロスブラックとダークニュートラルグレーの外装パーツが採用されています。環境に配慮し、クロームパーツの使用は控えめになっています。サテン塗装のアクセントトリムやデュアルパノラミックサンルーフも装備され、洗練された外観を完成させています。

空力性能にも徹底的にこだわり、ジープ車として過去最高の空気抵抗係数0.29を達成しました。これは一般的なSUVと比べて約15%優れた数値です。フラッシュタイプのドアハンドルやリアウィング、統合されたフィンなどが空気の流れを制御し、車体後部での剥離点を最適化しています。このように、2024年ジープ ワゴニアSのエクステリアデザインは、ジープブランドの遺産を受け継ぎながらも、革新性と洗練さを兼ね備えた電気自動車時代の新しいスタンダードを打ち立てています。伝統的なSUVの機能性を再解釈し、現代的な4xe(フォーバイイー)の能力と空力効率を巧みに組み合わせた、調和のとれたプロポーションが特徴です。

ジープ ワゴニア Sのインテリアデザイン
新型ジープ ワゴニアSのインテリアデザインは、最新のテクノロジーと職人技による細部へのこだわりが見事に融合した、洗練された空間を実現しています。
まず目を引くのが、ダッシュボード全体に広がる45インチ以上のスクリーンスペースです。12.3インチのデジタルメーターパネル、12.3インチのセンターディスプレイ、そして10.25インチのフロント助手席用ディスプレイが配置され、運転手と乗員に豊富な情報と操作性を提供します。これらのディスプレイは、シームレスに一体化したデザインで、未来的でハイテクな印象を与えています。インテリアの質感にもこだわりが感じられます。

ダッシュボードやドアパネルには、環境に配慮した合成皮革素材が使用されています。また、プレミアムなマイクロファイバースエードのヘッドライナーや、リサイクル素材を使用したカーペットなど、サステナビリティを意識した素材選びがなされています。
シートデザインも特筆すべき点です。フロントシートはもちろん、リアシートにも標準で温度調整機能が搭載されており、5人乗りながら全席で快適な乗り心地を実現しています。シートの縫製や素材にも高級感があり、ラグジュアリーSUVにふさわしい仕上がりとなっています。

ステアリングホイールは、フラットボトムデザインを採用し、スポーティな印象を与えています。ステアリングホイールには、ワインレッドのアクセントステッチが施され、インテリア全体のデザインテーマと調和しています。
照明設計にも工夫が凝らされています。カスタマイズ可能なLED照明システムが標準装備され、昼夜の設定や64色から選べるアンビエント照明により、ドライバーの好みや気分に合わせて室内の雰囲気を変えることができます。

さらに、セグメント最高峰のMcIntoshオーディオシステムが搭載されています。19個のスピーカーと1,200ワットのアンプ、12インチのサブウーファーにより、圧倒的な音質と臨場感を実現しています。
操作系のデザインも特徴的です。電子式のドアリリースや、新しく配置されたスタートボタンなど、従来のジープ車にはない先進的な要素が取り入れられています。センターコンソールには、ジープブランド独自のSelec-Terrainトグルスイッチが配置され、直感的な操作が可能になっています。

全体として、2024年ジープ ワゴニアSのインテリアデザインは、最新のテクノロジーとラグジュアリー感、そしてジープブランドの伝統を巧みに融合させた、次世代の電気自動車にふさわしい空間を創り出しています。高級感と機能性を両立させながら、環境への配慮も忘れない、バランスの取れたデザインと言えるでしょう。
ジープ ワゴニア Sの走行性能
新型ジープ ワゴニアSは、電気自動車ならではの圧倒的な走行性能を誇ります。まず注目すべきは、デュアルモーターによる強力なパワートレインです。フロントとリアに1基ずつ電気モーターを搭載し、最高出力600馬力と617lb-ft(約837Nm)のトルクを発生させます。この驚異的なパワーにより、0-60mph(約96km/h)加速はわずか3.4秒という、スポーツカー顔負けの加速性能を実現しています。最高速度は124mph(約200km/h)に達します。
また、電気自動車の特徴である瞬時のトルク発生により、発進時や追い越し時の加速レスポンスは極めて鋭く、ドライバーの意のままに車を操ることができます。走行性能を支えるのが、ジープブランド独自のSelec-Terrainトラクションマネジメントシステムです。Auto、Sport、Eco、Snow、Sandの5つの走行モードを備え、路面状況や運転スタイルに合わせて最適な走行特性を選択できます。特にSportモードでは、電気モーターの特性を最大限に活かした俊敏な走りが楽しめるでしょう。

さらに、ワゴニアSは前後のモーターを独立して制御する電子制御式AWDシステムを採用しています。これにより、オンロードでの安定性はもちろん、軽度なオフロード走行にも対応可能です。フロントモーターには、巡航時のエネルギー効率を高めるためのホイールディスコネクト機能も搭載されています。
航続距離は1回の充電で300マイル(約483km)以上を実現。長距離ドライブにも十分対応できる性能です。充電性能も優れており、DC急速充電を使用すれば、20%から80%までの充電をわずか23分で完了できます。
車体の剛性は、従来のミッドサイズSUVと比べて35%向上しており、優れた乗り心地と操縦安定性を実現しています。また、空力性能にも徹底的にこだわり、ジープブランド史上最高の空気抵抗係数0.29を達成しました。これにより、高速走行時の安定性と静粛性が大幅に向上しています。

このように、2024年ジープ ワゴニアSは、電気自動車の利点を最大限に活かした走行性能を備えており、ラグジュアリーSUVとしての快適性と、スポーツカーのような俊敏性を高次元で両立させています。
ジープ ワゴニア Sの安全性能・運転支援機能
2024年ジープ ワゴニアSは、170以上の標準安全機能とセキュリティ機能を備えており、高度な運転支援技術により衝突回避を支援します。ローンチエディションには以下の機能が含まれています:
- アクティブドライビングアシスト
- 交差点衝突防止アシスト
- ドライバー疲労検知
- 交通標識認識
- サラウンドビューカメラ

これらの先進的な安全機能により、ドライバーの視認性を向上させ、事故回避をサポートします。また、フレキシブルなアーキテクチャとオープンなソフトウェア定義プラットフォームにより、over-the-air(OTA)アップデートを通じて、自動運転機能や性能、その他の技術を含む革新的な機能やサービスを追加できる設計になっています。
ジープ ワゴニア Sの価格
新型ワゴニアS ローンチエディションの米国での開始価格は約1100円(71,995ドル)となっています。
ジープ ワゴニア Sの発売時期
ワゴニアS ローンチエディションは、2024年秋(9月〜11月頃)にまず米国とカナダで販売が開始される予定です。具体的には、2024年後半からジープブランドのEV認定ディーラーで販売が開始されます。

ジープ ワゴニア Sは日本で発売される?
現時点で、ジープ ワゴニアSの日本での具体的な発売計画は公表されていません。しかし、ジープはワゴニアSをグローバルな電気自動車として位置付けており、米国とカナダでの発売後、世界各地の市場で順次販売される予定とされています。ジープブランドは日本市場でも人気があり、これまでも多くのモデルが導入されてきた経緯があります。そのため、ワゴニアSも将来的に日本市場に投入される可能性は十分にあると考えられます。ただし、具体的な発売時期や価格については、現時点では明らかになっていません。日本でのEV市場の成長や、ジープブランドの電動化戦略の進展に伴い、今後ワゴニアSの日本導入に関する情報が発表される可能性があります。
ジープ ワゴニア Sの辛口評価
ジープ ワゴニアSをあえて辛口で評価します。
- 価格設定:
ジープ ワゴニアSの価格は約1100万円(71,995ドル)と、同クラスの電気SUVと比較してやや高めに設定されています。この価格帯では、より確立されたブランドや先進的な技術を持つ競合車との厳しい競争が予想されます。 - 航続距離:
300マイル(約483km)以上という航続距離は決して悪くありませんが、同クラスのトップモデルと比較するとやや見劣りします。例えば、アウディSQ6 e-tronは最大360マイル(約579km)の航続距離を誇ります。 - ブランドイメージ:
ジープは伝統的にオフロード車のイメージが強く、高級電動SUV市場での評価はこれからです。既存の高級ブランドと比較して、ラグジュアリー感や先進性でどこまで競争できるかが課題となるでしょう。

ジープ ワゴニア Sのライバル車
ワゴニアSの主要なライバル車として、以下のモデルが挙げられます。
- テスラ モデルY:
ワゴニアSは明確にモデルYをターゲットにしています。特にパフォーマンスモデルとの0-60mph加速では、ワゴニアSに若干の優位性があります。テスラの確立されたブランド力と充電ネットワークは大きな強みです。 - キャデラック リリック:
GMの高級電気SUVで、サイズ的にはワゴニアSよりやや大きめです。価格はワゴニアSより約安く設定されており、価格競争力があります。 - アウディ SQ6 e-tron:
性能面でワゴニアSと非常に近い位置にあります。800Vアーキテクチャを採用し、より長い航続距離を提供しています。アウディのブランド力と洗練されたデザインが強みです。 - BMW iX:
高級電気SUV市場で既に評価の高いモデルです。洗練された技術と高級感のある内装が特徴で、ワゴニアSにとって手強い競合となるでしょう。 - メルセデス・ベンツ EQE SUV:
メルセデスの電動化戦略の中核を担うモデルで、高級感と先進技術の融合が魅力です。ブランド力でワゴニアSを上回ります。
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