米国トヨタは2025年10月22日、SUV「トヨタ RAV4(Toyota RAV4)」の2026年モデルを発表しました。米国では、トヨタを代表するベストセラーSUVとして約30年にわたり小型SUV市場をリードしてきたRAV4が、この冬にいよいよ新世代へと進化します。新型では内外装デザインを一新し、全グレードで電動化を実現。最新のハイブリッドおよびプラグインハイブリッドパワートレインを搭載し、テクノロジーの刷新、快適性と操縦性の向上が図られています。
今回の2026年モデルは、コア、ラギッド、スポーツという3つの異なる外観スタイルを展開し、初のGR SPORTグレードも追加されました。

車の概要:トヨタ RAV4とは?
トヨタ RAV4は、1994年に初代が登場して以来、クロスオーバーSUVの先駆けとして自動車業界に革新をもたらしたモデルです。それまでのSUVが悪路走行を前提としたトラックのようなフレーム構造を採用していたのに対し、初代RAV4はシティユースを目的とした乗用車系のモノコックボディを採用し、快適性と使い勝手の良さを重視した画期的な車でした。
その後、RAV4は時代とともに進化を重ね、2代目(2000年)、3代目(2005年)を経て、4代目は海外専売となりましたが、5代目(2019年)で日本市場にも復活しました。米国では1996年の発売以来、累計640万台以上が販売され、現在も小型SUV市場でベストセラーを誇る人気モデルとなっています。
今回発表された2026年モデルは、この歴史ある5代目の後継として開発された第6世代に当たります。新世代RAV4は、トヨタの「TNGA-K(Toyota Next Generation Architecture-K)」プラットフォームをベースに、フレーム剛性の強化と新たなサスペンション部品を採用することで、よりスムーズで扱いやすい走りを実現しています。

トヨタ RAV4のエクステリアデザイン
2026年モデルのトヨタ RAV4は、SUVらしい力強いプロポーションを際立たせるエクステリアデザインが特徴です。米国では、大径タイヤ、高い車高、そして直立した実用的なリアカーゴエリアがSUVとしての存在感を主張しています。
フロントエンドには、トヨタの特徴的なハンマーヘッドデザインを採用し、彫刻的なボンネットと角張ったフェンダーが力強いスタンスとモダンな印象を生み出しています。サイドビューでは、フラットなルーフラインと彫りの深いドアパネルが視覚的に後方へと上昇し、どっしりとしたリアセクションへと続きます。

リアには、スタイリッシュな新型LEDシグネチャーテールライトが装備され、機能的なリアハッチにハイテクな雰囲気を加えるとともに、後方から見たときに幅広さを感じさせるデザインとなっています。フロントおよびリアスポイラー、異なるトリムカラー、ホイールトリートメントなどの追加ディテールにより、グレードごとにRAV4のスタイルが個性化されています。

米国では、10色のエクステリアカラーが用意され、そのうち4色がRAV4に新たに追加されました。Woodlandグレード専用のUrban Rock、さらにMeteor Shower、Everest、Storm Cloudといった新色が加わり、Ice Cap、Wind Chill Pearl、Midnight Black Metallic、Ruby Flare Pearl、Blueprintといった人気色も継続されます。また、XSEやGR SPORTには、ブラックルーフとの2トーンペイントオプションも用意されています。

トヨタ RAV4のインテリアデザイン
2026年モデルのトヨタ RAV4は、米国において機能性とスタイルを両立させた洗練されたインテリアデザインを採用しています。新しいセンタースタックは、タッチスクリーンディスプレイ、ドライブモード選択、収納スペースなどの各種機能をスマートにグループ化し、整理された空間を実現しています。センターコンソールには、シフター、取り外し可能な仕切り付きカップホルダー、双方向で開閉できるリバーシブルアームレスト/収納ボックスが統合されています。

特筆すべきは、米国市場で選択グレードに採用されるトヨタの新型シフトバイワイヤシステムです。ミニマリストなトグルスイッチは直感的な操作性を備え、新型RAV4に未来的な雰囲気をもたらしています。
ドライバーの目の前には、全グレード標準装備となる新開発の12.3インチデジタルゲージクラスターが配置されています。明るいLCD画面に表示されるレイアウトは、カスタマイズ可能な設定とマルチメディア情報の統合を提供し、鮮明なコントラストでユーザーが好みに応じて表示情報を調整できる柔軟性を備えています。画面には光吸収マット仕上げが施され、直射日光下での映り込みを最小限に抑える設計となっています。このゲージクラスターは、モダンなフローティングデザインでステアリングホイール越しに見やすく配置されており、ハイブリッドLimitedおよびPHEV XSEグレードにはヘッドアップディスプレイも用意されています。

シートは、米国市場でRAV4の3つの異なるルックスを引き立てるよう、グレードごとに様々なカラー、素材、アクセントでデザインされ、スタイルと快適性のバランスが取られています。機能性も充実しており、カーゴスペースを最大化するためフラットに折りたたみ可能な新設計のリアシートバックや、検知エリアを拡大した再設計のハンズフリーパワーリフトゲート(グレードによる)が、アクセスのしやすさをサポートします。

インフォテインメントシステムとしては、米国市場でRAV4が初めて搭載するトヨタの新バージョンのオーディオマルチメディアシステムが注目です。北米のトヨタチームによって開発されたこのシステムは、より高速で応答性の高い音声アシスタント、カスタマイズ可能な新しいホームメニュー、そしてトヨタ初のオンボード5G接続を誇ります。





トヨタ RAV4の走行性能
2026年モデルのトヨタ RAV4は、米国市場で100%電動化ラインアップへと移行し、ハイブリッドまたはプラグインハイブリッドの選択肢を提供します。
ハイブリッドパワートレイン
米国では、2026年RAV4ハイブリッドがトヨタの第5世代ハイブリッドパワートレインにアップデートされました。2.5リッター直列4気筒エンジン(型式A25A-FXS)が、2つのモータージェネレーター(MG1およびMG2)と連携し、遊星歯車式無段変速機を通じて前輪を駆動します。
AWD装備モデルには、専用リア電動モーター(MGR)が搭載され、エレクトロニックオンデマンドAWDシステムを駆動します。システム出力は、FWDモデルで226馬力(約168kW)、AWDモデルで236馬力(約176kW)の総合出力を発揮します。エンジントルクは163lb-ft(約221Nm)、電動モーター(MG2)トルクは153lb-ft(約207Nm)、リア電動モーター(MGR)トルクは89lb-ft(約121Nm)です。
米国市場でのメーカー推定燃費は、FWDで48/42/44 MPG(市街地/高速道路/総合)、LE AWDで46/40/44 MPG、XLE Premium AWDで45/39/42 MPG、Woodland HEVで41/36/39 MPG、SE、XSE、Limited AWDで44/39/42 MPGとなっています。

プラグインハイブリッドパワートレイン
米国では、トヨタの第6世代プラグインハイブリッドシステムが2026年RAV4に初搭載されます。2.5リッター4気筒エンジンに2つの電動モーター(MG1とMG2)、専用リア電動モーター(MGR)、そして高容量トラクションバッテリーが組み合わされています。
システム総合出力は324馬力(約241kW)と印象的なパフォーマンスを発揮し、ガソリンエンジン単体では172lb-ft(約233Nm)のトルクを生み出します。電動ドライブモーター(MG2)は203馬力(約151kW)と201lb-ft(約272Nm)のトルク、リア電動ドライブモーター(MGR)は91lb-ft(約123Nm)のトルクを発生します。
米国市場でのメーカー推定燃費は、SEおよびXSEグレードで44/38/41 MPG、Woodlandモデルで42/35/38 MPG、GR SPORTで41/34/37 MPGです。全電動走行距離は、従来モデル比で23%増加し、SEおよびXSEグレードで最大52マイル(約84km)、Woodland PHEVで49マイル(約79km)、GR SPORT PHEVで48マイル(約77km)のメーカー推定レンジを実現しています。
米国仕様では、XSEおよびWoodlandグレードのプラグインハイブリッドに11kWオンボードACチャージャーとCCS1充電ポートが装備され、DC急速充電に対応します。理想的な条件下で10%から80%まで約30分で充電可能です。一方、SEおよびGR SPORTプラグインハイブリッドモデルには7kWオンボードチャージャーとJ1772充電ポートが装備され、レベル1およびレベル2充電に対応し、レベル2充電では10%から80%まで約4時間で充電できます。

GR SPORTグレード
米国市場で初登場するGR SPORTグレードは、トヨタガズーレーシング(GR)との共同開発により、324馬力の高出力PHEVシステムにダイナミックなドライブフィールを組み合わせたモデルです。機能的なフロントリップとリアウイングスポイラーによるバランスの取れたダウンフォース、空気の流れを整えて抵抗を減らすフロントグリルとバンパーのエアダクト、最大グリップを実現するオフセットホイールとパフォーマンスタイヤ、重心を下げてシャーシを安定させるドライブバッテリー配置などが特徴です。また、ワイドフェンダーフレアにより全幅が1インチ(約25mm)追加されています。
米国では、専用パワーステアリングマッピング(スポーツモード用)、ダンロップSportmaxx®サマーパフォーマンスタイヤを装着した20インチホイール(XSEモデルより2.2kg軽量、20mmのオフセット追加、15mm低い車高で最低地上高7.5インチ(約190mm))、専用ダンパーチューニングとコイルスプリング、リアサスペンションクロスメンバー補強、フロントパフォーマンスダンパーなど、GR SPORT専用コンポーネントが搭載されています。

シャーシと走行性能の向上
米国仕様の2026年RAV4は、ボディ剛性を高めるためフロントおよびリアサスペンション取り付けポイントの強化、フロントカウルとAピラーの接続部への補強が施されています。風切り音を低減するため、Aピラードアシールとサイドビューミラーの形状も変更されました。さらに、フロントおよびリアフットウェル、アンダーフロア、リアホイールハウスに高減衰接着剤を追加し、キャビンの静粛性を向上させています。
サスペンションも再チューニングされ、米国市場でフロントおよびリアコイルスプリングが摩擦を低減して乗り心地を向上させるよう再設計されました。新しいショックアブソーバーは、摩擦と横力感度を高め、幅広い速度域でフラットで快適な乗り心地を提供します。新しいロアサスペンションアームブッシングは、車両の振動とノイズを低減することを目的としています。
米国市場では、2026年RAV4に新たなエレクトロニカリーコントロールドブレーキシステムがトヨタ初採用されました。このシステムは、オンデマンド加圧を備えた新しいマスターシリンダー構成により、最適なブレーキフィールと応答性を実現します。また、新しいVehicle Braking Posture Control(VBPC)システムは、コーナーへの進入時に選択したホイールでブレーキ入力を使用してボディロールの速度を遅らせることを目指しています。さらに、新しいCooperative Steering Driving Force Control(CSDFC)システムは、コーナリング時のピッチとロールの挙動を積極的に同期させ、ターンイン応答の向上を支援します。

トヨタ RAV4の安全性能・運転支援
米国では、2026年モデルのトヨタ RAV4に最新のトヨタセーフティセンス(TSS 4.0)システムが全モデル標準装備されます。このシステムは、従来モデルよりも検知能力が大幅に向上しており、より幅広いシーンでドライバーをサポートします。
主な機能として、プリコリジョンシステム(歩行者検知付き)は、車両、歩行者、自転車、オートバイを検知し、衝突の危険がある場合に警告を発します。ドライバーが反応しない場合は、自動緊急ブレーキが作動します。
全速度域ダイナミックレーダークルーズコントロール(DRCC)は、前方車両との車間距離を自動で維持するアダプティブクルーズコントロールです。レーントレーシングアシスト(LTA)は、DRCC使用中に車両を車線中央に保つようステアリング操作をアシストします。
その他、レーンディパーチャーアラート、オートマチックハイビーム、ロードサインアシスト、プロアクティブドライビングアシストなど、安全運転をサポートする多彩な機能が搭載されています。
さらに米国仕様では、パノラミックビューモニターや自動ブレーキ付きフロント・リアパーキングアシストなど、駐車時の安全性を高める機能も用意されています。新型センサーにより悪天候下での認識精度も改善されており、より安心してドライブを楽しめます。
また、Woven by Toyotaが開発した新しいソフトウェアプラットフォーム「Arene」が初採用され、RAV4の安全機能と新しいマルチメディアシステムの基盤となっています。このプラットフォームにより、将来的にソフトウェアアップデートを通じて、さらなる機能向上が期待できます。

トヨタ RAV4の価格
米国では、2026年トヨタ RAV4ハイブリッドの価格(MSRP)は、ハイブリッドFWDモデルで3万ドル台前半から(約450万円から、1ドル=150円換算)となる見込みです。詳細な全グレード価格については、後日発表されることになっています。
日本市場については、現時点で2026年モデルの価格情報は公式発表されていません。参考までに、現行モデル(5代目)の日本国内価格は、グレードにより異なりますが、ハイブリッドモデルで約300万円台から、プラグインハイブリッドモデルで約500万円台からのラインアップとなっています。
トヨタ RAV4の発売時期
米国では、2026年トヨタ RAV4ハイブリッドモデルが2025年12月から米国トヨタディーラーでの販売開始が予定されています。一方、2026年RAV4 PHEVモデルは、2026年春から米国トヨタディーラーでの販売開始が予定されています。
日本市場については、トヨタの事前告知によれば新型RAV4の発売は2025年度内とされており、遅くとも2026年3月中の正式発売が予定されています。生産開始は、ハイブリッドが2025年12月1日、プラグインハイブリッドが2026年3月2日となっています。日本での正式発表は2025年5月21日に行われており、発売日の正式発表が待たれます。

トヨタ RAV4は日本で発売されるか
トヨタ RAV4の新型(2026年モデル、第6世代)は、日本市場でも発売される予定です。
前述のとおり、トヨタは2025年度内(2026年3月まで)の日本発売を予定しており、生産開始スケジュールも公表されています。4代目RAV4は海外専売となり日本市場から一時撤退していましたが、5代目で2019年に日本復活を果たしました。その人気を受けて、新型となる第6世代も日本市場への投入が確実視されています。
日本仕様の詳細なグレード構成や価格、装備内容については、正式発表を待つ必要がありますが、基本的なパワートレインやデザインコンセプトは米国仕様と共通となる見込みです。

トヨタ RAV4をあえて辛口で評価します
トヨタ RAV4をあえて辛口で評価します。まず、米国市場で100%電動化ラインアップへの移行は環境対応として評価できますが、従来のガソリンエンジン単体モデルを求めるユーザーにとっては選択肢が狭まり、価格面でもハードルが上がる可能性があります。ハイブリッドやプラグインハイブリッドは初期投資が高額になる傾向があり、コストパフォーマンスを重視する層には手が届きにくくなるかもしれません。
また、米国市場でのデザイン刷新は力強さを強調していますが、先代モデルの洗練されたスタイリングを好むユーザーにとっては、より武骨で主張の強いデザインに感じられる可能性があります。特に、GR SPORTグレードのアグレッシブなスタイリングは、日常使いにおいて過剰に感じる人もいるでしょう。
走行性能面では、PHEVモデルの全電動走行距離が最大52マイル(約84km)に向上したとはいえ、競合する他メーカーのプラグインハイブリッドSUVと比較すると、まだ伸びしろがあります。日常的な短距離移動を完全にEVモードでカバーするには、もう少し航続距離が欲しいところです。
さらに、米国市場で多数のグレードとパワートレインの組み合わせが用意されているため、選択肢の多さが逆に混乱を招く可能性もあります。購入検討者にとって、自分に最適なグレードとパワートレインの組み合わせを見極めるのは容易ではないでしょう。
最後に、新技術の採用は魅力的ですが、シフトバイワイヤシステムやAreneソフトウェアプラットフォームなど、初採用の技術は長期的な信頼性が未知数です。トヨタの品質管理には定評がありますが、新技術の初期不良リスクは常に存在します。

トヨタ RAV4のライバル車
米国および日本市場において、トヨタ RAV4の主なライバル車には以下のモデルが挙げられます。
日産エクストレイルは、RAV4と同じミドルクラスSUVカテゴリーで直接競合するモデルです。先進的なe-POWERパワートレインを搭載し、電動感覚の走りと優れた燃費性能を両立しています。RAV4との比較では、インテリアの質感や乗り心地の良さで評価されています。
マツダCX-5も強力なライバルです。特にディーゼルターボモデルは、RAV4の上質な走りに真っ向から対抗できる希少な存在とされています。オンロード性能に優れたクロスオーバーSUVとして高い人気を集めており、良質な走りを楽しませてくれるモデルです。
ホンダZR-Vは、2023年に登場した新型ミドルサイズSUVで、RAV4との価格帯が近く、ガソリン車とハイブリッド車の両方をラインナップする点でも類似しています。若々しいデザインと最新テクノロジーで、RAV4の手強い競合車となっています。
スバルフォレスターは、AWD性能に定評があり、アウトドア志向のユーザーから支持されています。新型では走りの質感が大幅にアップし、燃費も向上しています。
トヨタハリアーは、同じトヨタブランドながらRAV4のライバルとして位置づけられます。より洗練されたキャビン空間や伸びやかな走りを楽しめるターボモデルなど、ハリアーならではの魅力を持つモデルです。
レクサスNXも、価格帯は異なりますが、プレミアムSUVとしてRAV4からのステップアップを検討するユーザーにとって比較対象となります。

まとめ
2025年10月22日に米国で発表された2026年モデルのトヨタ RAV4は、約30年の歴史を持つベストセラーSUVの新世代として、大きな進化を遂げました。全グレードでの電動化、3つの異なるデザインスタイル、初のGR SPORTグレードの追加など、多様なニーズに応える充実したラインアップが特徴です。第5世代ハイブリッドと第6世代プラグインハイブリッドのパワートレインは、パワーと燃費性能を大幅に向上させ、最新のトヨタセーフティセンス4.0と5G接続対応の新型マルチメディアシステムが安全性と利便性を高めています。米国では2025年12月からハイブリッドモデル、2026年春からPHEVモデルの販売が開始される予定で、価格は3万ドル台前半からとなる見込みです。日本市場でも2025年度内の発売が予定されており、クロスオーバーSUV市場をリードし続けるRAV4の新たな冒険に期待が高まります。



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