トヨタ 次世代カローラコンセプトやIMVオリジン、ハイエースコンセプトを世界初公開【ジャパンモビリティショー2025】

2025年10月29日、トヨタ自動車はジャパンモビリティショー2025のプレスデーで佐藤恒治社長によるプレゼンテーションを実施し、新たなブランドメッセージ「TO YOU」とともに複数のコンセプトモデルを世界初公開しました。トヨタグループの原点である「誰かのために」という想いを軸に、従来の「Mobility for All」というビジョンをさらに進化させた内容となっています。​

Japan Mobility Show 2025 トヨタグループプレスブリーフィング

トヨタ自動車公式YouTubeチャンネルで公開されているプレスブリーフィングは以下です。

トヨタ 次世代カローラコンセプト

今回の目玉となったのが、次世代の「カローラコンセプト」です。1966年の初代発売から来年2026年で60周年を迎えるベストセラーカーであるカローラは、「TO YOU」、つまり誰かのためのクルマづくりの象徴として位置づけられています。​​

時代に合わせて、人々の生活に合わせて、常に目の前のあなたに向けて形を変えてきたカローラですが、今回のコンセプトモデルは従来の「古典的な大衆車」というイメージを刷新し、極めてスポーティで近未来的なデザインを採用しています。低くワイドな大胆なシルエットが特徴的で、薄型の灯火類やAピラーの強い傾斜角など、現行プリウスに匹敵するほどの先進的なデザインとなっています。

佐藤社長は「バッテリーEVでも、プラグインでも、ハイブリッドでも、エンジン車でも、動力がなんであれ、みんなが乗りたくなるかっこいいクルマにしよう」と宣言し、世界中の道やエネルギー事情の違いに対応できる多様なパワートレインの展開を示唆しました。誰もが共通して持つ「地球を大切に想う気持ち」と「かっこいいクルマに乗りたい」という気持ちに応えるための発明が、このクルマには詰まっているとのことです。​​

トヨタ IMVオリジン

アフリカの農村に住む人々を思い描いて開発されたのが「IMVオリジン(IMV Origin)」です。このコンセプトモデルには、従来のクルマづくりの常識を覆す2つの革新的なアイデアが盛り込まれています。​

ひとつ目は「未完成のまま工場を出荷する」という発想です。工場を出る時点では、まだ走るクルマとして組み立てられておらず、現地の人々がクルマを組み立てて完成させることで、アフリカに「組み立てる」という新しい仕事が生まれる仕組みとなっています。​

もうひとつのアイデアは「組み立ててもまだ完成形ではない」という点です。トヨタがつくるのは土台の部分までで、人を乗せるのか、荷物を載せるのか、どんな荷物を載せるのかといった使い方に合わせて、お客様自身がクルマを完成させていきます。暮らしや仕事のニーズが多様であるからこそ、「あえてつくりきらない」という新たな発明に挑戦するクルマとなっています。​

この考え方は、トヨタIMVプロジェクトの原点に立ち返ったものと言えます。IMVは「Innovative International Multi-purpose Vehicle」の略で、一つのプラットフォームから世界の新興国の多様なニーズに合わせて生産する世界戦略車として展開されてきました。

トヨタ カヨイバコ

商用車分野では「KAYOIBAKO(カヨイバコ)」シリーズが紹介されました。段ボールに様々なサイズがあるように、KAYOIBAKOにもXLからSサイズまで複数のサイズがラインナップされ、小さな箱はダイハツが、大きな箱はトヨタが担当します。​​

2023年のジャパンモビリティショーで初公開されたKAYOIBAKOは、全長3,990ミリメートル×全幅1,790ミリメートル×全高1,855ミリメートル、ホイールベース2,800ミリメートルのコンパクトな電気自動車です。箱の中敷を生産現場ごとに変えることで様々なニーズに対応でき、小口輸送、移動販売車、乗り合いバスなど、地域ごとの困り事に寄り添う作りとなっています。

佐藤社長は、創業者の豊田喜一郎が商用車のG1型トラック納車後に故障が相次いだ際、すぐさま現場へ駆けつけた歴史に触れ、「現地現物のエンジニア魂」と「生活を止めてはいけない、日本をもっと良くしたいという国への思い」をしっかり受け継いで、これからも商用車、「運ぶモビリティ」を大切に育てていくと述べました。​

トヨタ ハイエースコンセプト

1967年の初代モデル登場以来、日本をはじめアジア、中近東、オセアニア、アフリカ、中南米など世界中で愛用されてきた商用バンの人気ブランド「ハイエース」の次世代モデルとして、「ハイエースコンセプト」が世界初公開されました。

標準ルーフタイプとハイルーフタイプという異なるボディサイズの2モデルが展示され、シンプルなデザインを採用しています。標準ルーフタイプにはルーフレールを装備する提案が行われており、多様な使用シーンに対応できる柔軟性が示されています。

現行モデルである5代目ハイエース(通称200系)は2004年に登場し、20年以上にわたって販売が継続されているロングセラーモデルです。ワンボックス型の高効率なボディ形状で広い荷室空間を特徴とし、商用バンとして絶大な人気を誇っています。今回のコンセプトモデルは、次世代ハイエースの方向性を示すものとして、会場で大きな注目を集めました。

パーソナルモビリティの提案

より多様なモビリティの形として、「boost me」と「Kids mobi」も紹介されました。「boost me」は、足が不自由な人もそうでない人も一緒に本気でスポーツができるようにという想いから生まれたモビリティです。​​

一方、「Kids mobi」は子どもたちの世界をもっと広げたいという考えから提案された、子ども向けのモビリティとなっています。誰かを思い、ひとりの「あなた」を見て、どうしたら喜んでもらえるだろうかと考える、「あなた目掛けて」の精神を体現したコンセプトモデルです。​​

トヨタブランドの新たな方向性

佐藤社長は、「すべての人に向けた最大公約数のモノづくりなどひとつもない」と語り、常に誰かひとりの「あなた」の顔を思い浮かべてクルマづくりを行っていることを強調しました。この「あなた目掛けて」という考え方を続けることで、いつか「Mobility for All」の実現に近づけるというのがトヨタの新しいモノづくり哲学です。​

ブース入口には、トヨタグループの原点を示す展示として、乗用車への挑戦のルーツであるトヨダAA型、商用車のルーツであるG1型トラック、そして創業者豊田佐吉が発明したG型自動織機が並べられました。若き日の豊田佐吉が苦労する母のために木製の機織り機を作ったことから始まったトヨタグループの歴史を象徴する展示となっています。​

トヨタのモビリティビジョン

佐藤社長は、「色んなもっといいクルマをつくって、幸せを量産していきたい」と語り、発明に成功することもあれば、うまくいかないこともあるかもしれないが、難しいからこそやりがいがあると強調しました。世界中の「あなた」がつくる未来の真ん中には、クルマがあって、たくさんの笑顔があってほしいという想いのもと、クルマをもっと楽しくて、もっと愛される存在にしていくことを宣言しました。​

「クルマの未来を変えていこう」という想いを力に変えて、これからもトヨタグループのみんなで発明に挑戦し続けるとプレゼンテーションを締めくくりました。トヨタは現在、コネクティッド・自動化・電動化などの新しい技術分野にも力を入れ、モビリティカンパニーへと生まれ変わろうとしており、創業の精神とSDGsを尊重しながら、すべての人が自由に移動できるより良いモビリティ社会の実現に向けて取り組んでいます。​

ジャパンモビリティショー2025は、2025年10月30日から11月9日まで一般公開される予定で、今回発表されたカローラコンセプトをはじめとする各モデルを実際に見ることができます。

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