BYD Japan Groupは2025年10月29日、東京ビッグサイトで開催されている「Japan Mobility Show 2025」において、BYD初の海外専用設計モデルとなる軽EV「BYD RACCO(ビーワイディー ラッコ)」のプロトタイプを世界初公開することを発表しました。このモデルは2026年夏の日本導入を予定しており、日本独自の軽自動車規格に準拠した同社初の挑戦として大きな注目を集めています。
BYDが日本市場のために専用設計したこのモデルは、最新のブレードバッテリー技術と製造技術を投入し、「地球の温度を1℃下げる」という企業理念を体現する意欲作となっています。

車の概要:BYD ラッコとは?
BYD ラッコは、中国の大手電気自動車メーカーBYDが開発した初の軽自動車タイプの電気自動車です。BYDは1995年に二次電池メーカーとして創業し、2003年に自動車事業へ参入しました。世界的にEV市場でのシェアを拡大してきた同社ですが、日本市場への本格的な参入は2022年から始まり、「ドルフィン」や「シール」などのBEVモデルを投入してきました。
しかし、日本の自動車市場では軽自動車が全体の約4割を占めるという特殊な事情があり、BYDはこの市場への参入を重要戦略と位置づけました。ラッコは、BYDとして初めての海外専用設計モデルであり、日本の軽自動車規格に完全に対応した第一世代モデルとなります。
このモデルは、スーパーハイトワゴンタイプのボディを採用し、後席スライドドアを装備することで、ホンダN-BOXなど日本で人気の高い軽自動車市場の中核セグメントをターゲットとしています。

BYD ラッコのエクステリアデザイン
BYD ラッコのエクステリアは、スクエアでミニマルなフォルムが特徴的です。スーパーハイトワゴンタイプのボディスタイルを採用しており、日本市場で人気の高いホンダN-BOXや日産ルークスなどに通じる実用性重視のデザインとなっています。
フロントマスクは、BYDの最新デザイン言語を反映したシンプルで現代的な表情を持ち、ミニマルな灯火類が印象的です。軽自動車でありながら、BYDらしい先進的な雰囲気を醸し出しています。
後席には両側スライドドアを採用することで、狭い駐車スペースでの乗降性を高めており、特にファミリー層にとって使い勝手の良い設計となっています。これは、現在販売されている日産サクラや三菱eKクロスEVには採用されていない装備であり、軽乗用EVとしては初の試みとなります。
BYD ラッコのボディサイズは、全長3,395mm、全幅1,475mm、全高1,800mmです。
BYD ラッコのインテリアデザイン
BYD ラッコのインテリアデザインについては、現時点では公開されていないため、詳細な情報は限られていますが、BYDの既存モデルから推測すると、先進的で機能的な空間設計が期待されます。
軽自動車規格の制約の中で、最新のブレードバッテリー技術を活用することにより、薄型のバッテリーパッケージングを実現し、室内空間を最大限に確保していると考えられます。ブレードバッテリーは従来型バッテリーよりも薄く長い形状が特徴で、これによりフロア下のスペース効率が向上し、車内の居住性が高まります。
乗車定員は4名となっており、スーパーハイトワゴンタイプのボディ形状と相まって、後席の頭上空間や足元空間も十分に確保されていると推測されます。また、BYDの他のモデルで採用されている最新のインフォテインメントシステムやデジタルディスプレイも搭載される可能性が高いでしょう。
BYD ラッコの走行性能
BYD ラッコは、前輪駆動(FWD)方式を採用した電気自動車です。駆動用バッテリーには、BYD独自のリン酸鉄リチウムイオンバッテリー「ブレードバッテリー」が搭載されています。
バッテリー容量については、ロングレンジとショートレンジの2グレードが用意される予定ですが、具体的な数値はまだ発表されていません。ブレードバッテリーは、高い安全性と長寿命を実現する技術として知られており、一般的なバッテリーに比べて熱暴走のリスクが低く、充放電サイクルにも強い特性を持っています。
軽自動車規格の制約内で、BYDの高い技術力により、日常的な使用に十分な航続距離と加速性能を実現していると期待されます。都市部での通勤や買い物などのデイリーユースから、セカンドカーとしての活用まで、幅広いニーズに対応できる実用性が追求されています。
BYD ラッコの価格
BYD ラッコの価格は、まだ正式に発表されていません。2026年夏の日本市場導入に向けて、今後詳細が明らかになる予定です。
価格設定については、既存の軽EVである日産サクラ(約254万円から)や三菱eKクロスEV(約254万円から)との競合が予想されますが、BYDは高いコストパフォーマンスを武器にしているメーカーとして知られており、競争力のある価格帯での投入が期待されています。
また、ロングレンジとショートレンジの2グレード展開が予定されているため、購入者のニーズや予算に応じて選択できる価格帯が設定されると考えられます。
BYD ラッコの発売時期
BYD ラッコは、2026年夏に日本市場への導入が予定されています。2025年10月29日にJapan Mobility Show 2025でプロトタイプが世界初公開され、その後約8〜9ヶ月の期間を経て市販化されることになります。
BYDは、日本で販売台数が多い軽自動車市場にEVモデルを投入することで、最新の電動パワートレイン搭載車を幅広いユーザーにアピールしていく戦略を掲げています。発売時期までに、生産体制の整備や販売ネットワークの拡充、充電インフラとの連携など、市場投入に向けた準備が進められる予定です。
BYD ラッコは日本で発売されるか
BYD ラッコは、日本市場専用に開発された海外専用設計モデルであり、2026年夏に日本での発売が正式に予定されています。このモデルは、日本独自の軽自動車規格に完全に準拠して開発されており、日本市場への投入を前提とした設計となっています。
BYDにとって、日本の軽自動車市場への参入は重要な戦略的意味を持っています。日本の自動車市場では軽自動車が全体の約4割を占めるという特殊な状況があり、この市場で成功することが日本でのプレゼンス拡大に不可欠だと判断されています。
また、BYDは2022年から日本市場に本格参入し、既に「ドルフィン」「シール」「シーライオン7」などのBEVモデルを展開しており、販売ネットワークも整備されています。ラッコの投入により、BYDの日本でのラインナップはさらに充実し、幅広い顧客層にアプローチできる体制が整うことになります。
辛口評価
BYD ラッコをあえて辛口で評価します。まず指摘すべきは、この車がプロトタイプ段階での発表であり、実際の市販モデルとは仕様が異なる可能性がある点です。バッテリー容量や航続距離、価格などの具体的な数値が明らかにされていないため、実際の競争力を判断するのは時期尚早と言えます。
また、海外ブランドが日本の軽自動車市場に参入する例は極めて少なく、過去にも成功例はほとんどありません。軽自動車市場は、コストに対して非常にシビアな市場であり、また独特の販売ルートやアフターサービス体制が求められます。BYDがこれらの課題にどこまで対応できるかは未知数です。
さらに、2026年夏の発売時期までに、日本の既存メーカーも軽EVの選択肢を増やしてくる可能性があります。ホンダは2025年度にN-ONEベースの新型軽EVを投入予定であり、競合環境はさらに厳しくなるでしょう。BYDのブランド認知度や信頼性が、日本の確立されたメーカーと同等のレベルに達するまでには時間がかかる可能性があります。
充電インフラの問題も無視できません。軽自動車ユーザーの多くは、自宅に充電設備を持たない集合住宅居住者や、遠出をすることが少ない都市部ユーザーです。これらのユーザーにとって、充電の利便性が購入の決定要因となりますが、現状では日本の充電インフラは十分とは言えません。
BYD ラッコのライバル車
BYD ラッコの主なライバル車は、まず既存の軽EVである日産サクラと三菱eKクロスEVが挙げられます。これらは現在日本で唯一販売されている軽乗用EVであり、価格は約254万円からとなっています。ただし、これらのモデルはスライドドアを装備していないため、ラッコはこの点で差別化を図ることができます。
また、ホンダが2025年度に投入予定のN-ONEベースの新型軽EVも重要なライバルとなります。ホンダは軽自動車市場で確固たる地位を築いており、特にN-BOXは長年軽自動車販売ランキングのトップを維持しています。
ガソリンエンジン搭載の軽自動車も、価格次第ではライバルとなり得ます。特にホンダN-BOX、ダイハツタント、日産ルークスなどのスーパーハイトワゴンは、ラッコと同じボディタイプであり、スライドドアを装備しているため、直接的な競合関係にあります。これらのモデルは150万円台から購入可能であり、価格面での競争は厳しいものとなるでしょう。
さらに、BYD自身の「ドルフィン」も、サイズや価格帯によってはラッコとカニバリゼーション(共食い)の関係になる可能性があります。ドルフィンは航続距離415〜476kmを実現したコンパクトハッチバックEVで、既に日本市場で一定の評価を得ています。
まとめ
BYD ラッコは、2025年10月29日にJapan Mobility Show 2025で世界初公開された、BYD初の軽自動車タイプ電気自動車です。日本市場専用に開発された海外専用設計モデルとして、2026年夏の日本導入が予定されています。スーパーハイトワゴンタイプのボディに両側スライドドアを装備し、軽乗用EVとしては初めてのパッケージングとなります。BYD独自のブレードバッテリー技術を搭載し、ロングレンジとショートレンジの2グレード展開が予定されています。価格や詳細スペックはまだ発表されていませんが、日産サクラや三菱eKクロスEV、さらにはホンダN-BOXなどのガソリン軽自動車とも競合する注目のモデルとなりそうです。
BYD Japan Groupは2025年10月29日、東京ビッグサイトで開催されている「Japan Mobility Show 2025」において、BYD初の海外専用設計モデルとなる軽EV「BYD ラッコ(RACCO)」のプロトタイプを世界初公開しました。このモデルは2026年夏の日本導入を予定しており、日本独自の軽自動車規格に準拠した同社初の挑戦として大きな注目を集めています。
BYDが日本市場のために専用設計したこのモデルは、最新のブレードバッテリー技術と製造技術を投入し、「地球の温度を1℃下げる」という企業理念を体現する意欲作となっています。



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