日産自動車は2025年10月8日、フルモデルチェンジされた新型「日産 リーフ」（Nissan LEAF）の日本仕様B7グレードを発表しました。3代目となる新型モデルは、次世代のクロスオーバーEVとして全面刷新され、2026年1月から順次納車が開始される予定です。2010年の初代発売から15年の知見を活かし、78kWhのバッテリー容量を持つB7グレードは、WLTC最大702kmという驚異的な航続距離を実現しています。
車の概要：日産 リーフとは？
日産 リーフは、2010年12月に初代が発売された日産の電気自動車戦略を担う中核モデルです。世界初の量産型EVの一つとして登場した初代リーフは、24kWhのリチウムイオン電池を搭載し、デビュー当時は航続距離200kmを実現しましたが、改良を重ね最終的には30kWhバッテリーで280kmまで航続距離を伸ばしました。2017年10月には、航続距離を大幅に向上させた2代目モデルにフルモデルチェンジしています。
そして今回8年ぶりに全面刷新された3代目は、EVで3世代目を迎える世界初のモデルとなります。新型リーフは、スリークで大胆なクロスオーバースタイルに一新され、2010年の初代発売から15年間積み重ねた知見と経験を最大限に活かして開発されました。乗る人すべてが気持ちよくドライブでき、誰もが安心して乗れるEVを目指してEV性能を磨き上げています。
日産 リーフのエクステリアデザイン
新型日産 リーフのエクステリアは、「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」というデザイン言語のもと、「スーパーエアロ」という思想で徹底的に空力性能を追求したデザインとなっています。ハッチバックからクロスオーバースタイルへと大胆に生まれ変わったことで、より存在感のあるスタイリングを実現しました。
フロントデザインは、EVらしいグリルレスの彫刻的なバンパーがボンネットラインとスムーズに融合し、空気抵抗を低減しています。6つの丸みを帯びた長方形で構成されたシグネチャーランプと、一文字のセンターLEDアクセントランプによって、一目で新型リーフであることがわかる個性的な顔つきです。左右に広がる形状の「Vモーション」は、発光部の面積も拡大し、先進的なビジュアルを形成しています。
サイドビューは、ファストバックスタイルのシルエットが特徴的で、滑らかなルーフラインがリアデッキへとつながり、車両後方へスムーズに風を流します。日産初となる電動格納式のフラッシュドアハンドルは、ボディと面一(つらいち)になることで風切り音を低減するとともに、スマートな外観を演出しています。シームレスにデザインされたホイールアーチモールディングや、空力を考慮してデザインされたホイール、フラットな床下に至るまで、徹底的に空力性能を磨き上げた結果、同クラストップレベルの0.26という優れた空気抵抗係数(Cd値)を実現しています。
リヤには「Ⅱ三(ニッサン)」パターンがあしらわれたLEDリヤコンビネーションランプ(3Dホログラム)を採用し、先進感を演出しています。このデザインモチーフは、今後の日産車の定番となることも予想されます。エクステリアカラーは個性豊かな8種類のカラーコンビネーションが用意され、上位グレードではコントラストの効いたブラックルーフとの組み合わせも選択可能です。
新型日産 リーフのボディサイズは、全長4,360mm、全幅1,810mm、全高1,550mm(プロパイロット2.0装着車は1,565mm)です。
日産 リーフのインテリアデザイン
新型日産 リーフのインテリアは、アリアと同じEV専用プラットフォーム「CMF-EV」の採用により、先代モデルに残っていた後席のフロアトンネルの名残がなくなり、フラットなフロアと開放感のある足元空間を実現しました。インストルメントパネルは横に広がるフローティングデザインにより、落ち着いたミニマルな雰囲気を演出しています。
最大の特徴は、日産として初となる調光パノラミックガラスルーフ(遮熱機能付)の搭載です。赤外線反射コーティングを施したこのガラスルーフは、電子調光技術によりボタンひとつでガラスの透明度を4段階(全閉・前側のみ・後側のみ・全開)に変えられるだけでなく、遮熱機能を持たせることで年間を通じて快適な室内空間を実現します。日産デザインセンターは、日本の伝統文様「霞」からインスピレーションを得てシェードの模様を開発しており、外光の加減で「LEAF」のロゴが室内に投影される仕掛けも施されています。
ドライバーを取り囲む空間には、先進感あふれる12.3インチのデジタルメーターと14.3インチのセンターディスプレイという大型デュアルディスプレイを採用し、Google搭載のNissanConnectインフォテインメントシステムを搭載しました。Googleナビゲーション、音声アシスタント、Google Playに対応するとともに、Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応しています。
シートは前後ともに人間工学に基づいた「ゼログラビティ構造」を採用し、長時間の着座でも疲れにくい快適性を実現しています。後席は6対4の分割可倒式で、ISOFIX規格のチャイルドシートにも対応します。内装カラーはブラック、ライトグレー、ホワイトの3種類が用意され、シート素材はファブリック、レザー調、合成皮革(TailorFit)から選択可能で、パネルやアームレストにコントラストアクセントを配し、上質感を演出しています。
さらに、64色から選べるアンビエント照明を装備し、気分やシーンに合わせて室内演出が可能です。Bose®パーソナルプラスサウンドシステム(10スピーカー、運転席用アナウンス)を搭載し、より豊かな移動空間を提供しています。荷室容量は日本仕様で最大420リットル(VDA方式)を確保し、パワーテールゲートの採用により荷物の出し入れも容易です。フル防音構造と二重ガラスウィンドウによる高い静粛性も実現しており、EVならではの静かなパワートレインと相まって、上質な移動空間を提供します。
日産 リーフの走行性能
新型日産 リーフは、新開発のEVパワートレインを搭載し、走行性能を大幅に向上させています。モーター、インバーター、減速機といった主要な3つのコンポーネントを一体化した3-in-1構造とし、従来比でユニット容量を10%削減しながら、モーターの最大トルクを4%向上させる高効率化を実現しました。
YM52型モーターは、最高出力160kW(218PS)、最大トルク355Nm(36.2kgfm)を発生し、EVならではの力強い加速を提供します。ローターを複数に分割し、それらを斜めにずらして配置した分割スキューローターの採用や、ハウジングやモーターマウントブラケットを高剛性化することで、モーターの振動を大幅に低減し、より滑らかで気持ちの良い走りと、静粛性が高い快適な室内空間を実現しています。
サスペンションは、リヤにマルチリンク式を採用するとともに、日本の道路環境に合わせて専用のサスペンションチューニングを施すことで、街中から高速道路まであらゆるシーンにおいてフラットで快適な乗り心地を提供します。ホイールベースは2,690mmで、最小回転半径は5.3mと取り回しの良さも確保されています。
ドライブモードは、シーンに合わせて加速感や減速量を変更できる仕様となっており、加速と減速力を好みによってカスタマイズできるPERSONALモードを新たに設定しました。EVならではのワンペダル感覚を楽しめる「e-Pedal Step」や、パドルで回生量を調整できる回生ブレーキコントロールパドルも採用し、EVならではの爽快な走りを楽しむことができます。
78kWhのバッテリーを搭載したB7は、WLTCモードで最大702kmの航続距離を実現するとともに、最大150kWの急速充電に対応しています。150kWの急速充電機を使えば、35分で充電量10%から80%までリカバリーすることができます。バッテリー冷却システムはもちろん、寒冷地仕様の場合はバッテリーヒーターも装備されています。充電する地点を目的地としてナビに入力すると、到着までにバッテリーヒーターによって適温にプレヒートする「ナビリンクバッテリコンディショニング」が働き、寒冷条件でも効率のいい充電が可能となっています。
交流電力量消費率は、B7 Xで130Wh/km(プロパイロット2.0装着車は133Wh/km)、B7 Gで133Wh/km(プロパイロット2.0装着車は137Wh/km)と、競合他車を凌ぐ優れた電費性能を実現しています。実用的に約8割が安心して走れる距離としても、約562kmの航続距離が見込めるため、長距離ドライブでも安心です。
日産 リーフのAUTECHモデル
新型日産 リーフには、日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社が手がけるカスタマイズカー「AUTECH(オーテック)」が設定されています。AUTECHは「プレミアムスポーティー」をコンセプトとするブランドで、多種多様なカスタムカーづくりで蓄積してきた同社伝統のクラフトマンシップを継承しています。AUTECHブランド発祥の地である湘南・茅ヶ崎の「海」と「空」のイメージから想起したブルーを、ブランドのアイコニックカラーとしています。
リーフAUTECHは2代目となり、上級グレード「B7 G」をベースに、より高級感や特別感を高めたモデルとして開発されました。エクステリアでは、ロー&ワイドなイメージを強調するメタル調フィニッシュの専用パーツを車体下部に装備し、フロントバンパーには船の航跡波をモチーフとした模様を取り入れた専用シグネチャーLEDや、海面のきらめきを表現したというドットパターンのシグネチャーフィニッシャーを採用しています。フロントプロテクター、サイドプロテクター、リアプロテクター、ドアミラーをメタル調フィニッシュで統一し、ブラックのフロントバンパーシールドで引き締めています。
19インチの専用アルミホイール(19×7.5J)は、彫りの深い繊細な造形のスポークフォルムをダーク金属調塗装で仕上げ、存在感や優越感を満たすデザインとなっています。ボディカラーには、AUTECHブルーをはじめとした専用色が設定されています。
インテリアでは、専用ブラックテーラーフィットシートに「AUTECH」刺繍(ブルーステッチ)とブラックトリムを施し、専用ブラックインストパッド(ブルーパイピング&ブルーステッチ)、ブラックアームレスト、専用テーラーフィット巻きステアリング(ブルーステッチ)を採用しています。専用の全席ELR付き3点式ブラックシートベルトや「AUTECH」エンブレムも装備され、素材と仕立てにこだわった個性溢れる室内空間を演出しています。落ち着きのある室内に、AUTECHらしさを感じられるブルーのアクセント、感触の良いシートやステアリングなどが組み合わされ、プレミアム感のある仕上がりとなっています。価格は651万3,100円で、2025年10月17日から受付を開始し、2026年1月末より順次デリバリーが開始されます。
日産 リーフの安全性能・運転支援
新型日産 リーフは、360°セーフティアシストを搭載し、ドライバーの安全を全方位からサポートしています。日本の道路環境やニーズを踏まえ、日本専用の装備も多く搭載しています。自動車専用道路においてハンズオフドライブが可能で、長距離運転の疲労を低減する「プロパイロット2.0」、スムースな駐車を支援する「プロパイロットパーキング」と「プロパイロット リモート パーキング」、後方視界を確保する「インテリジェントルームミラー」を設定するとともに、万が一の交通トラブルの際の映像を記録できる「ドライブレコーダー(前後セット)」も採用し、安心感を提供します。さらに、加減速を繰り返すシーンでも車間を一定に保ち、先行車両に合わせて減速し停止までをサポートする「インテリジェント ディスタンスコントロール」を採用し、ドライバーの負荷を軽減します。車両検知技術の向上により、一般道でも快適で安心なドライブを提供します。
日産 リーフの価格
新型日産 リーフの価格は、518万8,700円からです。
B7グレードは2つのバリエーションが用意されており、ベーシックモデルの「B7 X」が518万8,700円、上級モデルの「B7 G」が599万9,400円となっています。
また、日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社が発表した新型リーフをベースにしたカスタムカー「AUTECH」のB7グレードは、651万3,100円です。
なお、55kWhバッテリーを搭載したB5グレードは2026年2月頃の発表を予定しており、より多くの方がお求めやすい価格が設定される見込みです。
日産 リーフの発売時期
新型日産 リーフB7は、2025年10月17日から全国の日産販売店にて注文の受付を開始し、2026年1月より順次デリバリーを開始する予定です。日産リーフ「AUTECH」のB7グレードは、同じく2025年10月17日から受付を開始し、2026年1月末より順次デリバリーが開始されます。また、55kWhバッテリーを搭載したB5グレードは2026年2月頃の発表が予定されています。
日産 リーフは日本で発売されるか
新型日産 リーフは、日本市場向けに開発された日本仕様モデルであり、正式に日本国内で発売されることが確定しています。2025年10月8日に日本仕様のB7グレードが発表され、2025年10月17日から全国の日産販売店で注文受付が開始され、2026年1月より順次デリバリーが始まる予定です。日本の道路環境やお客さまのニーズを踏まえ、日本専用の装備も多く搭載されており、サスペンションも日本の道路環境に合わせて専用チューニングが施されています。
辛口評価
日産 リーフをあえて辛口で評価します。3代目となる新型リーフは、確かに航続距離702kmや最新の運転支援システムなど大幅な進化を遂げていますが、価格面では競合他社に対して必ずしも優位とは言えません。ベーシックモデルのB7 Xでも518万円超という価格設定は、BYDのATTO 3やヒョンデのコナといった海外勢の競合EVと比較すると、やや割高に感じられる可能性があります。また、2代目リーフではバッテリーの温度管理システムが非搭載という課題があり、これがテスラやBYDに市場の主役を奪われた一因でもありました。新型では改善されているものの、15年の歴史を持つ日産にしては、グローバル市場での存在感の低下は否めません。55kWhバッテリーを搭載した廉価版のB5グレードの発表が2026年2月まで待たされる点も、より幅広いユーザー層への訴求という観点では出遅れ感があります。日産が経営再建を進める中で、リーフがどこまで切り札となり得るかは、今後の販売実績次第でしょう。
日産 リーフのライバル車
新型日産 リーフの主なライバル車としては、中国BYDの「ATTO 3」、韓国ヒョンデの「コナ」、ボルボの「EX30」、そしてスズキの「e VITARA」が挙げられます。これらはいずれもコンパクト電動SUVというセグメントで競合します。電池容量では、コナとEX30が60kWh超級のバッテリー容量を搭載していますが、リーフもB7グレードで78kWhをラインアップしており、ロングレンジ需要に対応しています。電費性能では、ATTO 3が156Wh/km、EX30が170Wh/km、e VITARAのエントリーグレードが148Wh/km、コナが147Wh/kmであるのに対し、新型リーフB5は140Wh/kmと競合を凌ぐ優れた電費性能を実現しています。また、日産自身のプレミアムモデル「アリア」(航続距離640km)、トヨタの「bZ4X」(559〜567km)、テスラの「モデルY」ロングレンジ(635km)なども、価格帯や性能面で比較対象となります。
まとめ
2025年10月8日に発表された3代目新型日産 リーフB7は、15年の歴史を持つEVパイオニアとして大きな進化を遂げました。78kWhのバッテリーを搭載し、WLTC最大702kmという驚異的な航続距離を実現したことで、長距離ドライブの不安も大幅に軽減されています。クロスオーバースタイルへの刷新、日産初の調光パノラミックガラスルーフ、充実した運転支援システムなど、内外装・機能面で大幅にブラッシュアップされました。価格は518万円超からとやや高めですが、日本の道路環境に最適化された専用チューニングや、プロパイロット2.0などの先進装備を考慮すれば、妥当な設定とも言えるでしょう。2026年1月からのデリバリー開始が待ち遠しい一台です。
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