三菱自動車は2025年10月29日、東京ビッグサイトで開幕のジャパンモビリティショー2025において、電動クロスオーバーSUVのコンセプトカー「三菱 エレバンス コンセプト」を世界初披露しました。同社は「FOREVER ADVENTURE」をブースのテーマに掲げ、冒険心を呼び覚ますモデルラインアップを展示しています。
プレスカンファレンスに登壇した代表執行役社長の加藤隆雄氏は、「電動化技術と四輪制御技術の粋を集めた三菱 エレバンス コンセプトを通じて、技術革新が進む時代においても自らクルマを操縦する”走る喜び”を大切にし、冒険心を呼び覚ますモビリティライフを提案します」と述べました。この新型コンセプトカーは、クルマで過ごす時間の上質さを追求した次世代の電動SUVとして、三菱自動車の未来の方向性を示す重要なモデルとなっています。

車の概要:三菱 エレバンス コンセプトとは?
三菱 エレバンス コンセプト(MITSUBISHI ELEVANCE Concept)は、クルマで過ごす時間の上質さを追求した電動クロスオーバーSUVです。車名の「ELEVANCE」は「Elevate(高める・昇華させる)」と「Advance(前進・進化)」を組み合わせた造語で、三菱自動車の電動化と四輪制御技術の進化を象徴しています。
三菱自動車は長年にわたりSUVと電動化技術の分野で実績を積み重ねてきました。電気自動車開発においては半世紀の歴史を持ち、2015年の東京モーターショーでは次世代EVシステムを採用したコンパクトSUVのコンセプトカー「eX Concept」を発表しています。このeX Conceptは航続距離400kmを実現する次世代EVシステムを採用し、三菱のデザインコンセプトである「ダイナミックシールド」を取り入れたモデルでした。
今回発表された三菱 エレバンス コンセプトは、こうした電動SUVの系譜を受け継ぎながらも、さらに進化したPHEVシステムとクアッドモーター4WDを組み合わせることで、都市部から自然の中まで様々なシーンで快適で安心感のある走りを実現するコンセプトカーです。移動そのものを「自分だけの特別な体験」に変え、道中のひとときや滞在を豊かに彩る上質な冒険のスタイルを提案しています。

三菱 エレバンス コンセプトのエクステリアデザイン
三菱 エレバンス コンセプトのエクステリアは、「Luxe Adventurer」をコンセプトとしてデザインされています。滑らかでシームレスなキャビンと引き締まった筋肉質なロアボディが特徴で、エレガントさと力強さを併せ持つ近未来のSUVスタイリングを実現しています。このデザインは、都会でのフォーマルな場面から未踏の地への冒険まで、幅広いシーンで洗練された存在感を放つことを目指しています。
フロントデザインには、三菱自動車のデザインアイデンティティである「ダイナミックシールド」を先進的に表現しています。ハニカム形状のフロントグリルとの組み合わせにより、洗練された表情の中にも力強さを感じさせる仕上がりです。ヘッドライトからボディサイドのキャラクターライン、そしてリヤランプへと直線的に連続する造形により、雄大で堂々としたデザインとなっています。
ボディの構造面では、リブボーンフレームの考え方を取り入れた高い堅牢性を誇るボディがカプセル型キャビンを包み込む設計となっており、先進的かつ上質でありながら力強さと安心感を演出しています。また、ボディサイドのウインドウをキャラクターライン下まで広げることで、移動中に周囲の景色を存分に楽しむことが可能になっています。
なお、三菱 エレバンス コンセプトの正確なボディサイズについては、コンセプトカーのため公表されていません。市販化の際には具体的な寸法が明らかになると予想されます。


三菱 エレバンス コンセプトのインテリアデザイン
三菱 エレバンス コンセプトのインテリアは、上質で快適な空間づくりに重点が置かれています。インストルメントパネルやドアトリムからフロアまで、途切れのないシームレスなシェル形状にまとめられており、インテリア全体を一体感のある空間とすることで、視覚的にも心地よく上質な雰囲気を演出しています。包み込まれるような安心感と快適な乗り心地を、乗る人すべてに提供することを目指しています。

最大の特徴は、AI技術を活用した「AI Co-Driver」の搭載です。ステアリング内やインストルメントパネル内の液晶ディスプレイに表示されるAI Co-Driverは、ドライバーのライフスタイルや価値観に応じてパーソナライズした行き先を提案し、行動範囲や体験機会を広げるきっかけを作ります。また、センサーが読み取った路面状況をもとに適切なドライブモードを提案するなど、AI技術を活用して周囲の状況や車両状態をリアルタイムに分析し、安全・安心なドライブをサポートします。

インストルメントパネルには運転席から助手席にかけて左右いっぱいに広がる大型のモニターを配置しており、通常では直接見ることができない車両前方の死角など周囲の様子をわかりやすくドライバーに伝えます。フロアパネル損傷などの心配があるような悪路を走る際にも、安全・安心に運転することができる設計です。
シートレイアウトは3列6人乗りを採用しており、家族や仲間、荷物を乗せてもゆったりと過ごせる広々とした室内空間を確保しています。上質な本革シートは体に心地よくフィットし、長時間のドライブでも快適な乗り心地を実現します。
さらに、三菱 エレバンス コンセプトは広々とした室内空間を持つトレーラーをけん引することを想定しており、キッチンやシャワーブースを備えたトレーラーと、PHEVシステムからの給電を組み合わせることで、車中泊をグランピングのように上質かつ快適に過ごすことができる提案もされています。
三菱 エレバンス コンセプトの走行性能
三菱 エレバンス コンセプトの走行性能は、先進的なPHEVシステムとクアッドモーター4WDの組み合わせが最大の特徴です。カーボンニュートラル燃料対応の高効率ガソリンエンジンと大容量の駆動用バッテリーを搭載したPHEVシステムを採用しており、日常のほとんどは電気自動車として静かでクリーンな走行を実現します。遠出の際にはハイブリッド走行によりバッテリー残量を気にせず快適な移動が可能になっています。
パワートレインの核心となるのは、フロントに操縦安定性を高めるインホイールモーター、リヤには高い駆動力を誇るデュアルモーターAYC(Active Yaw Control)を搭載するクアッドモーター4WD式の独自の四輪制御技術「S-AWC(Super-All Wheel Control)」です。このシステムにより、様々な路面状況や走行シーンでも快適な乗り心地と優れた走破性を発揮します。
四輪それぞれのトラクションを制御することで悪路での走破性を高め、凹凸路でもボディをフラットに保つことができる車体姿勢制御機能を搭載しています。荒れた路面を駆け抜ける際も、揺れや傾きを最小限に抑えることで、車酔いしにくく滑らかな乗り心地を提供します。都市部から自然の中まで、様々なシーンで快適で安心感のある走りを実現するという三菱自動車の目標を体現しています。
大容量バッテリーを活かし、けん引するトレーラーと組み合わせることで、冒険先での滞在をグランピングのように快適かつ豊かに演出できる点も、走行性能と生活空間を融合させた新しい提案となっています。

三菱 エレバンス コンセプトの安全性能・運転支援
三菱 エレバンス コンセプトには、AI Co-Driverによる先進的な運転支援機能が搭載されています。センサーが読み取った路面状況をもとに適切なドライブモードを提案するなど、AI技術を活用して周囲の状況や車両状態をリアルタイムに分析し、安全・安心なドライブをサポートします。これにより、ドライバーはより自信をもって運転を楽しむことができるようになっています。
インストルメントパネルに配置された大型モニターは、通常では直接見ることができない車両前方の死角など周囲の様子をわかりやすくドライバーに伝える機能を持ち、フロアパネル損傷などの心配があるような悪路を走る際にも、安全・安心に運転することができます。
ただし、コンセプトカーの段階のため、具体的な衝突被害軽減ブレーキシステムや車線逸脱警報などの詳細な安全装備については、プレスリリースでは明らかにされていません。市販化される際には、三菱自動車の最新の安全技術が搭載されることが期待されます。
三菱 エレバンス コンセプトの価格
三菱 エレバンス コンセプトはコンセプトカーのため、現時点では価格情報は公表されていません。市販化が決定した段階で、具体的な価格設定が明らかになると考えられます。
参考までに、三菱自動車の既存のPHEV搭載SUVの価格を見ると、エクリプスクロスPHEVが約386万円から約465万円、アウトランダーPHEVが約484万円から約571万円の価格帯となっています。三菱 エレバンス コンセプトは3列6人乗りの上質な仕様とクアッドモーター4WDシステムを搭載しているため、市販化される場合はアウトランダーPHEVよりも上位の価格帯になる可能性があります。
ジャパンモビリティショー2025で同時に発表された新型デリカD:5(プロトタイプ)は、約450万円から約495万円の価格で今冬発売される予定となっています。こうした価格帯も、三菱自動車の今後のラインアップを考える上での参考になるでしょう。

三菱 エレバンス コンセプトの発売時期
三菱 エレバンス コンセプトはコンセプトカーであり、現時点では具体的な発売時期は発表されていません。ジャパンモビリティショー2025で世界初披露されたばかりで、市販化の有無や時期については今後の発表を待つ必要があります。
一般的に、コンセプトカーは自動車メーカーの将来のデザインや技術の方向性を示すものであり、そのまま市販化されるケースもあれば、技術やデザインの一部が将来の市販車に採用されるケースもあります。三菱自動車の過去の例を見ると、2015年に発表された「eX Concept」のコンセプトは、その後のSUVモデルに影響を与えています。
三菱 エレバンス コンセプトに搭載されているクアッドモーター4WDシステムやAI Co-Driverなどの先進技術は、今後の三菱自動車の電動SUVラインアップに段階的に採用されていく可能性があります。市販化の動向については、三菱自動車の公式発表を注視していく必要があります。
三菱 エレバンス コンセプトは日本で発売されるか
三菱 エレバンス コンセプトが日本で発売されるかどうかについては、現時点では明確な情報はありません。ジャパンモビリティショー2025で世界初披露されたことから、日本市場も視野に入れた開発であることは間違いありませんが、コンセプトカーの段階では市販化の計画や地域については公表されていません。
三菱自動車は日本市場において、アウトランダーPHEVやエクリプスクロスPHEVなどのPHEV搭載SUVを積極的に展開しています。また、ジャパンモビリティショーでの発表時に、加藤社長が「冒険心を呼び覚ますモビリティライフを提案する」と述べていることから、日本市場のニーズも考慮したコンセプトであると推察されます。
ただし、三菱 エレバンス コンセプトは3列6人乗りの大型SUVで、クアッドモーター4WDという先進的なシステムを搭載しているため、価格面や市場ニーズを考慮した上で、日本での展開が検討されることになるでしょう。今後の三菱自動車からの正式発表を待つ必要があります。
三菱 エレバンス コンセプトをあえて辛口で評価します
三菱 エレバンス コンセプトをあえて辛口で評価します。まず指摘すべきは、このモデルがあくまでもコンセプトカーであり、市販化の具体的な計画が示されていない点です。三菱自動車は過去にも魅力的なコンセプトカーを発表していますが、それらがそのまま市販化されるケースは限られています。2015年の「eX Concept」も市販化には至らず、技術やデザインの一部が他のモデルに反映されるにとどまりました。
クアッドモーター4WDシステムは技術的には魅力的ですが、コストや重量の面で市販化のハードルは高いでしょう。四つのモーターを制御するシステムは複雑であり、メンテナンスコストも高額になる可能性があります。また、3列6人乗りの大型SUVという設定は、日本の道路事情や駐車場環境を考えると、実用性に疑問が残ります。
トレーラーをけん引してグランピングを楽しむというコンセプトも、日本ではトレーラーをけん引できる免許を持つ人が限られている上、キャンプ場の設備やインフラが十分に整っていないため、現実的とは言えません。欧米市場を意識した提案かもしれませんが、日本市場でのニーズとはギャップがあります。
AI Co-Driverの機能も、実際にどこまで実用的なのか疑問です。ライフスタイルに合わせた目的地提案といっても、既存のカーナビやスマートフォンアプリでも似たような機能は実現されており、差別化要素としては弱い印象です。
三菱 エレバンス コンセプトのライバル車
三菱 エレバンス コンセプトが市販化された場合のライバル車としては、まず同じ三菱自動車のアウトランダーPHEVが挙げられます。アウトランダーPHEVは2.4リッターエンジンとツインモーター4WDシステムを搭載し、7人乗り仕様も設定されている三菱のフラッグシップSUVです。価格は約484万円から約571万円で、S-AWCを採用した優れた走行性能が特徴です。
同じく三菱のエクリプスクロスPHEVも、3列シートではありませんが、PHEVシステムを搭載したクロスオーバーSUVとして競合します。価格は約386万円から約465万円と、アウトランダーPHEVよりも手頃な価格設定となっています。
他社のライバルとしては、トヨタのランドクルーザーやレクサスRX、マツダのCX-80など、3列シートを持つ高級SUVが挙げられます。また、PHEV搭載SUVという観点では、ランドローバーのレンジローバーPHEVやBMW X5 xDrive45e、メルセデス・ベンツGLE 350 de 4MATICなどの欧州プレミアムブランドも競合相手となるでしょう。
三菱 エレバンス コンセプトが持つクアッドモーター4WDという独自性は強みですが、価格帯や市場でのポジショニング次第では、これらの既存モデルとの差別化が課題になると考えられます。
まとめ
三菱 エレバンス コンセプトは、2025年10月29日のジャパンモビリティショー2025で世界初披露された、三菱自動車の次世代電動クロスオーバーSUVのコンセプトカーです。「Luxe Adventurer」をコンセプトとしたエクステリアデザインは、エレガントさと力強さを併せ持ち、都会から冒険の地まで幅広いシーンで洗練された存在感を放ちます。クアッドモーター4WDシステムと独自の四輪制御技術「S-AWC」により、様々な路面状況でも快適で優れた走破性を発揮し、AI Co-Driverが安全・安心なドライブをサポートします。3列6人乗りの広々とした室内空間と、トレーラーをけん引してグランピングを楽しむという新しいライフスタイル提案も特徴的です。ただし、現時点ではコンセプトカーの段階であり、市販化の計画や価格、発売時期については明らかにされていません。三菱自動車の電動化と四輪制御技術の粋を集めたこのモデルが、今後どのような形で市場に登場するのか、注目が集まります。



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