カプリコーン 01 ザガート発表|価格 約5億円 世界限定19台の新型ハイパーカー 発売時期や日本発売は?

2025年10月10日、ドイツのカプリコーン・グループが初のハイパーカー「カプリコーン 01 ザガート(Capricorn 01 Zagato)」を発表しました。ザガートがデザインを手がけた世界初のハイパーカーであり、わずか19台の限定生産という特別なモデルです。ドイツの軽量技術とイタリアのデザインが融合し、ドライバーズカーとしての純粋さを追求した、まさにコレクタブルな一台と言えます。​

車の概要:カプリコーン 01 ザガートとは?

カプリコーン 01 ザガートは、ドイツのカプリコーン・グループが製造する初の市販ハイパーカーです。カプリコーンは1933年創業の企業で、長年にわたりF1やLMP1、WRCといった世界最高峰のモータースポーツに軽量カーボン部品を供給してきた実績を持ちます。これまでポルシェのLMP1プログラムやフォーミュラ1のロータスやケータハム、ル・マンではプジョー・スポーツなど、数々の名門レーシングチームをサポートしてきました。​

一方のザガートは、1919年にウーゴ・ザガートによって設立されたイタリアの名門カロッツェリアで、現在は創業者の孫にあたるアンドレア・ミケーレ・ザガートが社長を務めています。アルファロメオ、アストンマーティン、フェラーリ、ランボルギーニなど、40以上のブランドとコラボレーションし、エレガントで限定的なコレクタブルカーを生み出してきました。今回のカプリコーン 01 ザガートは、ザガートが初めて手がけるハイパーカーであり、カプリコーン・グループにとっても記念すべき第一号モデルに当たります。​​

カプリコーン 01 ザガートは、5.2リッターV8スーパーチャージャーエンジンを搭載し、最高出力900PS以上、最大トルク1,000Nmを発生します。ミッドシップレイアウト、後輪駆動、5速ドッグレグマニュアルトランスミッションという組み合わせで、アナログで純粋なドライビング体験を提供することを目指しています。​​

カプリコーン 01 ザガートのエクステリアデザイン

カプリコーン 01 ザガートのエクステリアは、ザガートのチーフデザイナーである日本人の原田則彦氏が中心となってデザインを担当しました。「現代性とアヴァンギャルドな雰囲気で人々を驚かせること」を目標に掲げながらも、40年、50年後でも色褪せない美しさを持つことを重視したデザインです。1930年代のブガッティや1960年代のアストンマーティンといった名車と並べても違和感のない、時代を超えた佇まいを実現しています。​

ボディ全体はカーボンファイバー製で、LMP1タイプのモノコック構造を採用しています。大型のエアインテークとアウトレットが特徴的で、特にリアのドア後方には大きなエアインテークが配置され、ドア面を使って空気を導く設計となっています。シャープなデザインラインがフロントフェンダーからドアを通り、エアインテークに「消えて」から再び外側の表面に「現れる」という、視覚的なトリックも見どころです。​

空力面では、大きなウイングに頼らず、内部の空気の流れやアンダーフロアの設計、フロントとリアのディフューザーによって、安定したダウンフォースを発生させる設計となっています。控えめなリアエアフォイルがデザインに統合され、ディフューザーと連携して機能します。​

ガルウイング式のドアも特徴的で、軽量化のためサイドミラーはドアではなくフロントフェンダーに取り付けられています。カメラではなく従来のミラーを採用したのは、クルマの純粋でタイムレスなキャラクターを損なわないための判断です。​

カプリコーン 01 ザガートのボディサイズについては、公表されていませんが、ミッドシップレイアウトのハイパーカーとして、コンパクトながら存在感のあるプロポーションを実現しています。​

カプリコーン 01 ザガートのインテリアデザイン

カプリコーン 01 ザガートのインテリアは、カプリコーンのデザインチームが担当し、「レスイズモア」の哲学に基づいたミニマリストなキャビンを作り上げました。ドライビング体験を高めるために必要なものだけを配置し、気を散らす要素を徹底的に排除したデザインとなっています。​

キャビンのほぼすべてがカーボンファイバーで構成され、スイッチ類やインテリアパーツは無垢のチタニウムとアルミニウムから削り出されています。シートにはコノリーレザーが使用され、キャビン全体にアルカンターラが採用されていますが、これらは顧客の好みに応じてカスタマイズ可能です。​

ダッシュボードは競技用車両にインスパイアされたスイッチ類を配置し、情報は3つのアナログメーターを通じてドライバーに伝えられます。中央には大型のタコメーターが配置され、左側にスピードメーター、右側には燃料計、油温計、油圧計、そして法規上必要な警告灯やインジケーターが配置されています。​

ステアリングホイールは、コノリーレザーで覆われたカプリコーン特製の3本スポークデザインで、エンジンスタート/ストップボタンと走行モードコントローラーのみが配置され、余計なスイッチは一切ありません。​

シートは安全セルと一体化した固定式で、シュロス製の4点式シートベルトが装備されています。シートクッションは完全調整可能で、さまざまな体格のドライバーに対応します。ステアリングコラムとペダルボックスも完全に調整可能で、さらにセンタートンネルに取り付けられたマニュアルシフトレバーは、前後方向に80mm調整できるというユニークな機能を備えています。​

キャビンは非常にスペーシャスで、身長2メートル(約6.6フィート)のエンジニアでも快適に乗車できる設計です。フロントには110リットルのトランクスペースがあり、週末のロードトリップにも対応できます。実用性を高めるため、4輪リフトシステムとバックカメラも装備されており、バックカメラの映像は中央のメーターダイヤル内に隠された小型デジタルスクリーンに表示されます。​

カプリコーン 01 ザガートの走行性能

カプリコーン 01 ザガートのパワートレインは、フォード製のV8エンジンをベースに、カプリコーンが大幅に改良を加えた5.2リッタースーパーチャージャー付きV8エンジンです。この改良には、スーパーチャージャー、ドライサンプ潤滑システム、ローテーティングアセンブリ(クランクシャフト、コンロッド、ピストン)、エアインテーク、冷却システム、エキゾーストなど、一連の専用コンポーネントとシステムの開発が含まれています。さらにカプリコーン独自のECUとマッピングソフトウェアも開発されました。​

最高出力は900PS以上(662kW、最終ホモロゲーション結果による)、最大トルクは1,000Nmで、最高回転数は9,000rpmに達します。カプリコーンの数十年にわたる超軽量材料と製造技術の専門知識により、カプリコーン 01 ザガートの車両重量は1,200kg未満(乾燥重量)を実現しています。優れたパワーウェイトレシオにより、0-100km/h加速は3秒未満、最高速度は360km/hに達します。​​

トランスミッションは、CIMA製の5速ドッグレグマニュアルで、エンジンのパワーとトルクを直接リアアクスルに伝えます。ギア数を抑えることで、より感情的で没入感のある機械的なシフトフィールを実現し、ドライバーが回転数の変化やエンジンの力強い特性を十分に感じられるよう配慮されています。​

ブレーキには、ブレンボ製のカーボンセラミックディスクと6ピストンキャリパーが採用され、専用のABSシステムと組み合わされています。サーキット走行中でもフェードのない優れた制動力を確保します。ホイールは、カプリコーン社内で設計・開発された21インチ(フロント9.5インチ幅、リア12.5インチ幅)のユニークなデザインで、軽量アロイとカーボンファイバーの2種類から選択可能です。​

サスペンションは、LMP1レーシングの専門知識を活かし、前後ともにダブルウィッシュボーン、プッシュロッド式で、アンチロールバーとビルシュタイン製のスプリング/ダンパーユニットを装備しています。ダンパーは3つの走行モード(コンフォート、スポーツ、トラック)を備え、ステアリングホイールのコントローラーから手動で選択できます。​

ステアリングには、低速では補助力を提供し、高速では完全にオフになる小型モーターを備えた電動パワーアシスト式を採用しています。これにより、高速域ではドライバーとホイール、路面との間に純粋に機械的なつながりを提供します。​

カプリコーン 01 ザガートの価格

カプリコーン 01 ザガートの車種名の価格は、税抜き工場渡し価格で295万ユーロからです。2025年10月時点の為替レート(1ユーロ=約176円)で換算すると、約5億1920万円(295万ユーロ)となります。​​

この価格には、2年間の保証と4年間のサービスプランが含まれています。すべてのサービスとメンテナンスは、ドイツのデュッセルドルフにあるカプリコーンの施設で専属に行われます。​

顧客は外装のボディカラーを自由に選べるだけでなく、フルカーボンファイバーボディの露出仕上げや、特注のカーボンファイバーウィーブパターンなど、さまざまな仕上げを選択できます。インテリアでは、ステアリングホイールからキャビン全体まで、コノリーレザーやアルカンターラでトリミングするアイテムを選択可能です。各車両は完全なビスポークとなります。​

カプリコーン 01 ザガートの発売時期

カプリコーン 01 ザガートの生産は、2026年前半に開始される予定です。ドイツのデュッセルドルフにあるカプリコーンの工場でハンドメイドで製造されます。​​

生産台数はザガートの創業年である1919年4月19日にちなんで、わずか19台の限定生産となります。この数字はザガートにとって特別な意味を持ち、同社が生み出してきた高度に希少でコレクタブルなハイパーカーの歴史への敬意を表しています。​

全19台は、プレミアムおよびラグジュアリー自動車小売業者であるルーイエ・グループを通じて独占的に販売されます。ルーイエ・グループは、長年のVIP顧客や信頼関係を築いているヨーロッパのカーコレクターに優先的に車両を提供しており、すでに最初の販売契約が締結されています。​

カプリコーン 01 ザガートは日本で発売されるか

カプリコーン 01 ザガートは、日本でも発売されます。01 ザガートはヨーロッパ認証を取得し、EU、イギリス、スイス、日本、メキシコ、カナダ、中東の顧客が購入可能です。日本も正式な販売対象地域に含まれており、購入することができます。​​

ただし、全世界でわずか19台のみの限定生産であり、ルーイエ・グループを通じた独占販売となるため、日本市場に割り当てられる台数は極めて限られると予想されます。すでに一部の販売契約が締結されており、入手は非常に困難でしょう。​

カプリコーンは2026年にニュルブルクリンクの生産能力を18,000平方メートル以上に拡大し、第3工場を開設する予定です。カプリコーン 01 ザガートのクーペは19台限定ですが、同社は将来的に年間100~200台の規模でのプロジェクトに対応できる生産能力を持っています。このプロジェクトは一度限りではなく、カプリコーン・ブランドの高級車の新しい系譜の始まりとされています。​

カプリコーン 01 ザガートをあえて辛口で評価します。

カプリコーン 01 ザガートをあえて辛口で評価します。約5億2000万円という価格設定は、ハイパーカー市場の中でも最高級クラスに位置しますが、ブランドとしての知名度や歴史の面で、フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンといった確立されたハイパーカーメーカーと比較すると、まだまだ認知度が低いと言わざるを得ません。カプリコーンは自動車部品メーカーとしては一流ですが、完成車メーカーとしては今回が初めてであり、ブランド価値の面で不安が残ります。​​

また、5速マニュアルトランスミッションの採用は、ドライビングプレジャーを追求する姿勢として評価できますが、現代のハイパーカーでは7速や8速のデュアルクラッチトランスミッションが主流となっており、性能面では不利です。ギア数が少ないことで加速性能や燃費効率が犠牲になる可能性があり、単なるノスタルジーに基づいた選択と受け取られかねません。​

900PS以上という出力も、現代のハイパーカー市場では決して突出した数値ではありません。ブガッティ・シロンは1,500PS、リマック・ネヴェーラは1,914PSと、1,000PSを超えるパワーが珍しくなくなっている中で、900PSという数値は「控えめ」とも言えます。軽量化によるパワーウェイトレシオの向上を重視したとはいえ、純粋な出力競争では見劣りします。​

さらに、わずか19台という生産台数は希少性を高める一方で、アフターサービスやリセールバリューに不安を残します。サービスがドイツのデュッセルドルフでしか行えないという制約も、日本をはじめとする遠隔地の顧客にとっては大きな負担となるでしょう。​

カプリコーン 01 ザガートのライバル車

カプリコーン 01 ザガートのライバル車としては、まずイタリアの名門パガーニが挙げられます。パガーニ・ウアイラやユートピアは、同様に少量生産でイタリアンデザインと高性能を融合させたハイパーカーであり、ブランドの確立度ではカプリコーンを大きく上回ります。価格帯も近く、コレクタブルカーとしての価値も高いため、直接的な競合と言えます。​

また、アストンマーティン ヴァルキリーも強力なライバルです。F1技術を投入したハイブリッドパワートレインで1,000PS以上を発揮し、レッドブル・レーシングとの共同開発という強力なバックグラウンドを持ちます。ブランド力と技術力の両面でカプリコーンに対してアドバンテージがあります。​

マクラーレン・スピードテールも、ミッドシップレイアウトでカーボンファイバーモノコックを採用し、1,070PSのハイブリッドパワートレインを搭載する点で比較対象となります。マクラーレンはF1での輝かしい歴史とロードカー製造の実績があり、ブランドとしての信頼性は圧倒的です。​

さらに、ザガートが過去にコラボレーションしたアストンマーティンのDB4GTザガートや、最近のアストンマーティン DBR22といったザガート・デザインの限定車も、コレクターズアイテムとしては間接的なライバルとなります。​​

最後に、ブガッティ・ボリードやゴードン・マレー T.50といった、純粋なドライビングプレジャーを追求したハイパーカーも競合となるでしょう。特にゴードン・マレー T.50は、マニュアルトランスミッションと軽量化を重視したアプローチがカプリコーン 01 ザガートと共通しており、直接的な比較対象となります。​

まとめ

カプリコーン 01 ザガートは、ドイツのカプリコーン・グループが手がける初のハイパーカーであり、イタリアの名門ザガートがデザインを担当した世界初のハイパーカーでもあります。5.2リッターV8スーパーチャージャーエンジンで900PS以上を発生し、車両重量1,200kg未満という優れたパワーウェイトレシオを実現しています。5速ドッグレグマニュアルトランスミッションとミッドシップレイアウトにより、アナログで純粋なドライビング体験を提供することを目指しています。価格は約5億2000万円で、2026年前半から19台限定で生産が開始されます。日本も販売対象地域に含まれていますが、極めて希少なモデルとなるため、入手は非常に困難でしょう。ドイツの工学技術とイタリアンデザインの融合により、時代を超えた美しさとドライビングプレジャーを両立した、真のコレクタブルカーと言えます。​​

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