メルセデス・ベンツ日本は2025年10月15日、メルセデスAMGのトップパフォーマンスモデルであるメルセデスAMG GTクーペに「メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペ(Mercedes-AMG GT 63 PRO 4MATIC+ Coupé)」を追加し、同日より全国のメルセデス・ベンツ正規販売店ネットワークを通じて発売を開始しました。
サーキットでの走行性能向上を追求したこのハイパフォーマンスモデルは、4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジンを搭載し、最高出力612PS、最大トルク850N・mという圧倒的なパワーを発揮します。
専用のカーボンファイバー製エアロパーツや強化された冷却システム、AMGカーボンセラミックブレーキなどを装備し、サーキットでのタイムアップに貢献する設計となっています。

車の概要:メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペとは?
メルセデスAMG GTは、2015年にSLS AMGの後継車として日本市場にデビューした、メルセデスAMGが手がける2ドアスポーツカーです。
初代モデル(C190型)は2015年から2023年まで生産され、ロングノーズ・ショートデッキの往年のクーペボディデザインで、ポルシェ911をライバルに見据えて開発されました。
2023年に登場した現行の第2世代(C192型)は、初代より全長が約180mm伸びて大型化し、2シーターから2+2シートレイアウトに進化しました。
今回発表されたメルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペは、この第2世代モデルに追加される最高峰のサーキット特化モデルで、標準のGT 63クーペ比で最高出力+20kW、最大トルク+50N・mの向上を実現しています。
アファルターバッハの工場で「One Man, One Engine」の原則に則って生産される4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジン「M177」をチューニングし、AMG専用の四輪駆動システム「AMG 4MATIC+」を搭載することで、ドライビングダイナミクスの向上とサーキットでのタイムアップに貢献します。

メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペのエクステリアデザイン
メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペは、GTクーペのアイコニックなスタイリングをベースに、多数のカーボン素材の採用とハイパフォーマンスを予感させるデザインアイテムの追加により、他のGTモデルとは一線を画すスタイルを実現しています。
フロントエプロンは本モデル専用設計となり、大型化されたサイドエアインテークにカーボンファイバー製のエアディフレクターを採用し、空力性能を徹底的に追求しています。

リアには、スクエアデザインのデュアルツインテールパイプやカーボンファイバー製リアウイングスポイラーを標準装備し、モータースポーツとのつながりを強調するチェッカーフラッグエンブレムがリアバッジ横に配置されました。

ホイールは、パフォーマンス志向で軽量の「21インチAMGアルミホイール<鍛造>」を採用し、標準装備のグレー調デザインと、有償オプションのゴールド調「MANUFAKTUR 21インチAMGアルミホイール<鍛造>」から選択できます。
ブレーキには耐久性に優れた「AMGカーボンセラミックブレーキ」を採用し、ブレーキキャリパーは本モデル限定のブラックカラーとなっています。

外装色は、GT 2ドアクーペでGT 63 PROのみ設定されている「AMGグリーンヘルマグノ(マット)」(有償オプション)を含む、標準4色+有償オプション6色の全10色から選択可能です。
メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペのボディサイズは、全長4730mm、全幅1985mm、全高1355mmです。
メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペのインテリアデザイン
インテリアにもAMG専用のアイテムを多数採用し、ハイパフォーマンスを体感できるAMGならではのデザインとなっています。
標準装備のAMGパフォーマンスシートは、スポーツ走行をサポートすると同時に、多数の内装色やシート素材からドライバーの好みに応じて選択が可能です。
ナッパレザーシートは標準装備として4色、有償オプションとして3色の全7色をラインアップし、さらに有償オプションとして「ナッパレザー/MICROCUT」(全2色)や「MANUFAKTURナッパレザー」(全5色)を設定しています。

インテリアトリムは、レーシーな雰囲気を味わえる「AMGカーボンファイバーインテリアトリム」を標準装備し、無償オプションで「AMGアルミニウムインテリアトリム」、「オープンポアブラウンアッシュウッドトリム」、「MANUFAKTURブラッククロームインテリアトリム」、「オープンポアグレーバーチウッドトリム」も選択可能です。
さらに、2+2シートレイアウトにより4名乗車が可能となる「可倒式リアシート」(安全上の理由から後席は対応身長150cm以下)や、3Dサラウンド対応の高品質オーディオシステム「Burmester®ハイエンド3Dサラウンドサウンドシステム」、「パノラミックルーフ」も有償オプションとして設定され、日常でのドライブにおける利便性と快適性を兼ね備えています。

メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペの走行性能
アファルターバッハで「One Man, One Engine」の原則に則って生産される4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジン「M177」を搭載し、GT 63クーペ比で+27PS(20kW)/+50N・mとなる最高出力612PS(450kW)、最大トルク850N・mを発揮します。
このパフォーマンス向上はエンジンコントロールユニットのチューニングによるもので、0-200km/h加速10.9秒(GT 63クーペ比-0.5秒)、最高速度315km/hを実現し、特に高速走行時の総合的なパフォーマンスに寄与しています。
冷却機構は大幅に強化され、左右のフロントホイールアーチに2基のラジエターを配置することで、サーキットにおける車両全体のパフォーマンスが向上しています。
フロントおよびリアアクスルのディファレンシャルと、連続可変の全輪駆動システムであるAMG 4MATIC+のトランスファーケース上部に取り付けられたラジエターには、アクティブ冷却方式を採用し、電動ウォーターポンプによりクーラントを循環させてより効率的かつ継続的な放熱を実現しています。

空力性能の向上も著しく、専用設計のフロントエプロン、ボディ下部のAMGアクティブエアロダイナミクスシステム、フロントエプロンのエアパネル、テールゲートのカーボンファイバー製固定式リアウイングスポイラーを備えています。
これらの空力対策によりフロントアクスルのリフトは30kg以上低減され、ステアリングのレスポンスがさらに向上しました。
アンダーボディにはメルセデスAMG ONEで採用されたものに似たエアディフレクターが追加され、リアウイングスポイラーとの相互作用によって、リアアクスルのダウンフォースを15kg増加させています。
AMGカーボンセラミックブレーキを標準装備し、フロントに6ピストンの固定式キャリパー、リアに1ピストンのフローティング式キャリパーを備え、フロントアクスルには420mmのブレーキディスクが装着されています。
アクティブ・ロール・スタビライゼーション機能を備えた「AMG ACTIVE RIDE CONTROLサスペンション」を装備することで、きわめてシャープなドライビング特性を実現しています。

メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペの価格
メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペの価格は、3095万円(税込)からです。
メルセデスAMG GTクーペのラインアップは、エントリーモデルの「GT 43クーペ」が1677万円(税込)、「GT 63 4MATIC+ クーペ」が2803万円(税込)、プラグインハイブリッドモデルの「GT 63 S E PERFORMANCEクーペ」が3146万円(税込)となっています。
GT 63 PRO 4MATIC+ クーペは受注生産モデルとして設定され、新車購入から3年間、一般保証修理/定期メンテナンス(点検整備の作業工賃・交換部品)/24時間ツーリングサポート/地図データ更新が無償で提供される走行距離無制限の保証プログラム「メルセデス・ケア」が適用されます。
さらに、メルセデス・ケア終了後、有償の保証延長プログラムとして、一般保証および24時間ツーリングサポートを2年間延長する「保証プラス」が用意されています。

メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペの発売時期
メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペは、2025年10月15日より全国のメルセデス・ベンツ正規販売店ネットワークを通じて発売が開始されました。
受注生産モデルとして設定されているため、注文から納車までには一定の期間を要します。
メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペは日本で発売されるか
メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペは、日本国内で正式に発売されています。
メルセデス・ベンツ日本合同会社が2025年10月15日に発表し、同日より全国のメルセデス・ベンツ正規販売店ネットワークを通じて販売が開始されました。
受注生産モデルとして提供され、日本市場での展開が確定しています。
辛口評価
メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペをあえて辛口で評価します。
価格が3095万円という高額設定は、サーキット走行を楽しむ限られたユーザー向けのモデルであることを意味しており、日常使いのみを考えるユーザーにとってはオーバースペックと言わざるを得ません。
受注生産モデルという位置付けは、納車までの待機期間が長くなる可能性があり、すぐに手に入れたいユーザーにとっては不満が残るでしょう。
サーキット特化の設計により、公道での乗り心地や静粛性においては、より快適性を重視したGTモデルに劣る可能性があります。
2+2シートレイアウトの後席は対応身長150cm以下という制限があり、実用性には疑問符が付きます。
カーボンセラミックブレーキは高性能ですが、交換時のコストが非常に高額になることが予想され、維持費の面でも負担が大きいでしょう。
無償オプションのスポーツタイヤは公道走行可能なサーキットタイヤですが、ウェット性能が一般タイヤより低く、降雨時の使用には十分な注意が必要です。

メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペのライバル車
メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペの主なライバルは、ポルシェ911ターボやBMW M8コンペティションクーペ、アウディR8などが挙げられます。
ポルシェ911ターボは、伝統的なリアエンジンレイアウトと卓越したトラクション性能で知られ、サーキットでのラップタイムにおいてメルセデスAMG GTの強力なライバルとなります。
BMW M8コンペティションクーペは、4.4リッターV8ツインターボエンジンを搭載し、625馬力を発揮する4ドアグランクーペとして、高性能と実用性を兼ね備えたモデルです。
アウディR8は、V10エンジンを搭載したミッドシップスポーツカーで、純粋なスポーツ性能を追求したモデルとして競合します。
ポルシェパナメーラターボEハイブリッドは、680馬力を発揮する高性能4ドアクーペとして、GTファミリーの4ドアモデルと比較されることが多いライバルです。
これらのライバル車と比較すると、メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペは、サーキット性能に特化しつつも日常使用の利便性を確保した2+2シートレイアウトという独自のポジションを確立しています。
まとめ
メルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+ クーペは、2025年10月15日に発売された、サーキットでの走行性能を徹底的に追求したハイパフォーマンスモデルです。4.0リッターV8ツインターボエンジンは612PSと850N・mという圧倒的なパワーを発揮し、強化された冷却システムと空力性能の向上により、GT 63クーペ比で大幅な性能向上を実現しています。カーボンファイバー製エアロパーツやAMGカーボンセラミックブレーキなど、サーキット走行に特化した装備を満載しながらも、2+2シートレイアウトや充実したインテリアオプションにより日常使いの利便性も確保しています。価格は3095万円からで、受注生産モデルとして全国のメルセデス・ベンツ正規販売店で販売されています。



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