イタリアの高級車メーカー ランボルギーニ社は、2023年2月6日に、そのV12エンジンの伝統に別れを告げる特別な2台のスーパーカー「Invencible coupe(インベンシブル クーペ)」と「Autentica roadster(オーテンティカ ロードスター)」を発表しました。これらのモデルは、ランボルギーニが製造する最後の自然吸気V12エンジンを搭載する車で、それぞれ1台限定で生産されています。環境問題や規制への対応、そしてパワートレインの最新化への対応として、電動化技術への移行が進む中、この2モデルは伝統的な自然吸気エンジンの究極の形となるでしょう。

車の概要:新型インベンシブル&オーテンティカとは?
インベンシブル クーペ&オーテンティカ ロードスターはそれぞれたった1台のみ製造されるワンオフモデル。2人だけの幸運な顧客の為だけにつくられるのです。しかしこの2台は2人の顧客を喜ばせる以上の価値があります。
ランボルギーニにとってV12エンジンは非常に重要なエッセンスです。ランボルギーニ会長兼CEOのシュテファン・ヴィンケルマン氏は「V12エンジンは、ランボルギーニの歴史と成功の柱の一つです」と言っているくらいです。電動化の時代にハイブリッド化が避けられない中で、V12エンジンのスーパーカーの歴史を華々しく終える役割をこの2台が担っています。
この2台のモデルはランボルギーニ アヴェンタドールのカーボンファイバー製ものコックをベースとしてつくられたモデルです。2台の限定車ながらランボルギーニのデザイン部門はV12スーパーカーの最大のクリエイティビティを示す為に、かなり力が入ったデザインとなっています。

インベンシブル&オーテンティカのエンジンとパフォーマンス
両モデルは、6.5L 12気筒の自然吸気ガソリンエンジンを搭載し、最高出力780馬力と最大トルク720Nmのトルクをします。V12エンジンは後部に縦置きに搭載。これらは7速ISRトランスミッション、4WD、4輪を制御するランボルギーニ・ダイナミック・ステアリング・システムを特徴としています。これにより、InvencibleクーペとAutenticaロードスターは、350km/hを超える最高速度を誇ります。0-100km/h加速の数値は公表されいないが、ベース車となるアヴェンタドールが2.8秒なので、恐らくそれに近い数値になると想定されます。

インベンシブル&オーテンティカのエクステリアデザイン
この2台はランボルギーニの歴史的なモデルからインスピレーションを受けてデザインされました。特にセストエレメントの大型リアウイング、レヴェントンのユニークな航空スタイル、ヴェネーノの完璧な空力などからインスピレーションを受けています。アヴェンタドールのカーボンファイバー製モノコックと組み合わせたフルカーボン製ボディが特徴です。またサーキット専用ハイパーカーのエッセンツァSCV12を模倣したボンネットデザインや、セストエレメントに似たエアインテークが採用されています。

車体はアヴェンタドールのカーボンファイバー製ものコックとフルカーボンボディでできています。フロントヘッドライトとリアコンビネーションライトにはランボルギーニのモチーフである六角形のLEDライトが用いられています。リアの中央に位置する3本出しエキゾーストは航空宇宙産業から派生した高性能スチール合金のインコネルチップが採用されています。
またこの2台は購入者をプロジェクトの最初から巻き込み、完全なオーダーメイドの車を作り上げるという点でもランボルギーニらしいカスタマイズのDNAを表している唯一無二の車です。

インベンシブル&オーテンティカのインテリアデザイン
内装においては、両車ともにミニマリストなダッシュボード、3Dプリントされた六角形のエアベントを特徴とし、純粋に走る楽しさにフォーカスできる室内空間となっています。ランボルギーニらしいシザードアには、イタリア国旗へのオマージュとして2つの六角形のトリコロールが、ドアの内張りとステアリングホイールに施されています。

また、デジタルダッシュボードは、インベンシブルは赤、オーテンティカはマットブラックとジャッロオージェのカラーでカスタマイズされ、イタリア国旗の色をドアライニングやステアリングホイールの要素に取り入れています。

ランボルギーニとV12エンジンの歴史
ランボルギーニとV12エンジンの関係は、同ブランドの歴史において重要な位置を占めています。1963年の創業以来、ランボルギーニはパワーと洗練さを兼ね備えたグランツーリングカーの製造を目指し、その心臓部にV12エンジンを選択しました。特に1966年に登場したミウラ(Miura)は、大排気量エンジンの横置きミッドシップを採用した初のスーパーカーで、V12エンジンの採用が大きな成功をもたらしました。このモデルは、後のスーパーカーの標準を確立し、ランボルギーニを世界的に有名にしました。その後もランボルギーニは、V12エンジンを搭載した数々の象徴的なモデルを発表し続けてきました。このエンジンは、ランボルギーニの性能の象徴として、ブランドアイデンティティの一部として深く根付いています。しかし時代は変わり、環境配慮と技術革新の波に乗り、ランボルギーニも進化を遂げています。例えばランボルギーニは2023年にV12エンジンと3つのモーターを合わせたプラグインハイブリッドの新型レヴエルトを発表しました。今後は電動化を推し進めていく予定となっています。インベンシブルとオーテンティカは、自然吸気V12エンジンの最後の輝きを飾るモデルとして特別に設計されたもので、同時にランボルギーニの新たな章、ハイブリッドや電動化への移行を象徴しています。これらのモデルは、長年のV12エンジンの歴史に敬意を払いつつ、未来への一歩を踏み出しているのです。


まとめ
ランボルギーニの「インベンシブル」と「オーテンティカ」、V12 NAエンジンの華麗なるフィナーレを飾るこの二台は、まさに自然吸気エンジンスーパーカーの世界における「大トリ」のような存在です。パワフルなエンジンに、目を奪われるデザイン。ランボルギーニがこれまで築き上げてきた伝統と、新時代への一歩を見事に融合させたこの二台は、カーファンならずとも注目の的。しかし、スーパーカーの魅力、まだまだこれで終わりじゃないですからね!自動車業界が新しい時代に突入する中、次はどんな驚きを見せてくれるのか、楽しみにしましょう。

情報ソース:伊ランボルギーニメディアサイト(英語)
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