2025年10月29日、東京ビッグサイトで開幕したジャパンモビリティショー2025において、スバルがグローバルバッテリーEV(BEV)ラインナップ第2弾となる新型電動SUV「トレイルシーカー」の日本仕様を初公開しました。BEVならではの緻密な制御による走行性能と、SUVとしての実用性を高い次元で両立したこのモデルは、2026年春頃に日本で正式発表される予定です。

車の概要:スバル トレイルシーカーとは?
スバル トレイルシーカーは、2025年4月にニューヨークオートショーでワールドプレミアされた、スバルとしては「ソルテラ」に続く第2のバッテリー電気自動車です。スバルにとって初めてのBEVとなったソルテラが都会的で洗練されたモデルであるのに対し、トレイルシーカーはより実用性とアウトドア志向を強めたラギッドなキャラクターを持つSUVとして開発されました。コンセプトは「日常・非日常で使いやすい、スバルらしい実用クロスユーティリティビークル」で、日常でも非日常でも使いやすく、アクティブなライフスタイルを後押しする設計となっています。ソルテラのマイナーチェンジモデルをベースとしながらも、内外装や荷室、動力性能を大きく変化させた、実質的には新型モデルと言える一台です。

スバル トレイルシーカーのエクステリアデザイン
スバル トレイルシーカーのエクステリアは、BEVらしい先進性とアウトドアにおける機能性を兼ね備えたアクティブでラギッドなデザインが特徴です。フロントフェイスには、シャープな6連のLEDヘッドライトとグリルレスデザインを採用し、電気自動車らしい先進的な印象を与えます。BEVのアイコンであるシックスポイントシグネチャーランプやイルミネーション付き六連星オーナメントは新型ソルテラと共通ですが、バンパーやサイドガーニッシュなどの意匠は新たに造形されています。

ソルテラでボディ同色に変更されたフェンダーには再びブラックの樹脂クラッディングを採用し、タフなイメージを強調しました。分厚い樹脂クラッディング、実用性優先の大型ルーフレール、悪天候でも存在感を失わない力強い前後造形が目を引く仕上がりです。寒冷地での使用を考慮し、ヘッドランプ周辺は雪が付着しづらい造形とし、それと連携するクリーナーを全車に装着しています。

リアには左右のテールランプを接続し、立体的な「SUBARU」のロゴを配置することで、安定感のあるデザインに仕上げられています。また、新型ソルテラでは採用が難しかったリアワイパーもトレイルシーカーには装備され、リアデフォッガー(曇り止め)と合わせて悪天候時の後方視界の確保にも力を入れています。足元には、18インチと20インチのホイールが設定されています。

スバル トレイルシーカーのボディサイズは、全長4845mm、全幅1860mm、全高1675mmです。





スバル トレイルシーカーのインテリアデザイン
スバル トレイルシーカーのインテリアは、水平基調のシンプルかつミニマルなデザインを採用し、視覚的な広がりと開放感を演出しています。インパネ全体をすっきりとした横基調とし、広さを感じさせる居心地の良い開放的なデザインに仕上げました。
インパネ中央には、スバル史上最大となる14インチのタッチスクリーンディスプレイを配置し、モダンで洗練された雰囲気と高い利便性を両立しています。横長のディスプレイとメータパネルの組み合わせにより、すっきりとした造形と広がりのある視界を確保しました。主要スイッチを整理することで、ドライバーにとって直感的で使いやすいレイアウトを実現しています。

ラゲッジスペースは大容量かつフラットで、リアオーバーハングの延長により、標準グレードで609~633リットル、上級グレードで595~619リットルという実用的な荷室容量を確保しています。クロスオーバーユーティリティビークルとしての実用性が強化されており、ペットとともにドライブを楽しむユーザーが増えていることから、大型のドッグケージが積載できるこの容量は愛犬家には重宝するでしょう。ラダータイプのルーフレールも装備され、アウトドアアクティビティへの対応力も高められています。
グレードは標準と上級の2種類が用意され、上級グレードにはハーマンカードン製のオーディオやシートベンチレーションといったアイテムが装着されます。





スバル トレイルシーカーの走行性能
スバル トレイルシーカーには、新開発されたEVパワートレインが搭載されています。フロントモーターの出力は167kW(約227ps)で、これはソルテラのFWDモデルと同値です。しかし、AWDモデルのリヤモーターは、ソルテラが88kWだったのに対し、トレイルシーカーではフロントと同じ167kWにパワーアップされました。これにより、AWD上級モデルの0-100km/h加速は約4.5秒という圧倒的なパフォーマンスを実現しています。開発者によると、その走りは「BRZに近い」とのことで、スポーティな走行性能も期待できます。
駆動用バッテリーはリチウムイオン電池で、総電圧は391V、総電力量は74.7kWhです。一充電走行距離はFWDモデルで700km以上と十分な性能を誇り、実用的な航続距離を実現しています。
走行システムには悪路走破性を高める「X-MODE」が採用され、シーンにあわせた走りに対応します。また、フロントカメラの映像を合成して床下をシースルー表示する機能も備えており、オフロードでの安心感も高められています。牽引能力は1,590kgを確保し、実用性の高さも際立ちます。バッテリーを充電に最適な温度とするバッテリープレコンディショニング機能を搭載し、冷間時での急速充電時間も約28分まで短縮されています。
駆動方式はFWDとAWDをラインナップしており、標準グレードはFFと4WD、上位グレードは4WDとなります。

価格
スバル トレイルシーカーの価格は、現時点では正式発表されていませんが、「ソルテラ」からボディサイズを拡大し、出力を向上することにより価格はアップする見込みです。新型トレイルシーカーの価格は650万円ほどからが見込まれています。
参考までに、スバル ソルテラの価格は、ET-SS(74.7kWhバッテリー)FWDが517万円、AWDが561万円、ET-HS(74.7kWhバッテリー)AWDが605万円となっています。トレイルシーカーはブランドの上位SUVとしてアピールされる位置づけとなるため、ソルテラよりも高めの価格設定が予想されます。
発売時期
スバル トレイルシーカーは、2025年4月16日にニューヨークオートショーでワールドプレミアされ、2025年10月29日のジャパンモビリティショー2025で日本仕様が初公開されました。日本での正式発表は2026年春頃を予定しており、その後の発売となる見込みです。

日本で発売されるか
スバル トレイルシーカーは、日本での販売が正式に決定しています。2025年10月29日のジャパンモビリティショー2025において、日本仕様のプロトタイプが初公開され、2026年春頃に日本で正式発表されることが明らかになりました。スバルとしてはソルテラに続くBEV第2弾として、ブランドの電動化を牽引するもう一つの柱として国内市場に導入される予定です。日本のユーザーにとって、待望のアウトドア志向のBEV-SUVとして注目を集めています。
辛口評価
スバル トレイルシーカーをあえて辛口で評価します。まず、価格設定が650万円からという見込みは、同クラスのBEV-SUVとしてはやや高めに感じられます。ソルテラがベースであることを考えると、デザインや動力性能の向上に対する価格アップが妥当かどうかは、実際の試乗や詳細スペックを見てから判断すべきでしょう。
次に、航続距離について、FWDモデルで700km以上とされていますが、AWD上級モデルの航続距離は「未定」とされており、重量増加とハイパワーモーターの影響で航続距離がどの程度短くなるのかが気になるところです。実用的な電費性能がどこまで確保されているかは、実際の市場投入後に明らかになるでしょう。
また、ソルテラの兄弟車であることから、基本プラットフォームやバッテリー技術は共通であり、完全な新型モデルというよりは派生モデルという側面が強い点も否めません。スバル独自の技術がどこまで投入されているのか、単なるデザインバリエーションに留まらない独自性が求められます。
さらに、2026年春という発売時期は、競合他社がさらなる進化を遂げる可能性がある時期でもあります。トヨタやテスラ、日産などがBEV市場で次々と新モデルを投入する中、トレイルシーカーがどこまで競争力を維持できるかは未知数です。

スバル トレイルシーカーのライバル車
スバル トレイルシーカーのライバルとしては、まず兄弟車であるトヨタ bZ4Xが挙げられます。bZ4Xは同じプラットフォームを共有しながらも、トヨタらしい洗練されたデザインと実用性を備えており、価格帯も近いため直接的な競合となります。また、ソルテラのビッグマイナーチェンジモデルも、都会的で洗練された方向性を持つBEV-SUVとして、トレイルシーカーとは異なる顧客層にアピールするライバルと言えるでしょう。
日産アリアは、ミドルサイズSUVのBEVとして、優れた乗り心地と静粛性、そして広い室内空間を武器にしています。プレミアムカーとしての位置づけを持ち、快適な移動を重視するユーザーにとって魅力的な選択肢となります。航続距離や出力も競争力があり、トレイルシーカーにとって強力なライバルです。
テスラ モデルYは、クロスオーバーSUVとしての高い性能とブランド力を持ち、BEV市場のリーダー的存在です。航続距離、充電インフラ、先進的な運転支援機能など、あらゆる面で競争力が高く、トレイルシーカーが対抗するには差別化が必要となります。
日産リーフの新型も、クロスオーバータイプのBEVとして市場に投入されており、ファミリーカーとしての実用性と手頃な価格で競合します。トレイルシーカーよりも価格が抑えられる可能性があり、コストパフォーマンスを重視するユーザーにとっては魅力的な選択肢となるでしょう。
まとめ
スバル トレイルシーカーは、2025年10月29日のジャパンモビリティショー2025で日本仕様が初公開され、2026年春頃の正式発表が予定されている、スバル第2のバッテリー電気自動車です。ソルテラをベースにしながらも、ラギッドなデザイン、大容量のラゲッジスペース、高出力なAWDシステムを備え、アウトドア志向のユーザーに向けた実用的なクロスオーバーSUVとして開発されました。全長4845mm×全幅1860mm×全高1675mmのボディに、167kWのモーターを前後に搭載したAWDモデルでは0-100km/h加速約4.5秒という圧倒的な加速性能を実現し、FWDモデルでは700km以上の航続距離を確保しています。価格は650万円程度からと予想されており、日産アリアやトヨタ bZ4X、テスラ モデルYといったライバルとの競争が注目されます。スバルらしい「安心と愉しさ」を追求したBEVとして、電動化時代におけるブランドの新たな柱となることが期待されます。



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