日産自動車は2025年10月29日、ジャパンモビリティショー2025にて4代目となる新型「日産 エルグランド」を先行公開しました。約16年ぶりとなるフルモデルチェンジで、2026年夏に日本発売予定となっています。新型エルグランドは、第3世代e-POWERと進化したe-4ORCEを搭載し、日本の高級ミニバン市場を代表するモデルとして登場します。

車の概要:日産 エルグランドとは?
日産 エルグランド(Nissan Elgrand)は、1997年5月に初代モデルが発売されて以来、「プレミアムミニバン」のパイオニアとして日本に新たな市場を開拓してきた大型ミニバンです。ゆとりのある広い室内と高級な内装を両立させ、存在感あふれるスタイリングや長時間でも快適に過ごせるシートを備えた室内空間、卓越した走行性能が多くのお客さまから好評を得てきました。2002年には2代目が登場し、2010年には現行モデルとなる3代目が発売され、高級ミニバンとしての地位を確立しています。
今回発表された4代目となる新型エルグランドは、第3世代のハイブリッドシステム「e-POWER」と、進化した電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を搭載します。さらにインテリジェントダイナミックサスペンションを採用することで、乗員全員が感じられるプレミアムミニバンにふさわしい乗り心地の良さと、エルグランドのDNAである「運転の愉しさ」をさらにレベルアップさせています。デザインはジャパンフラッグシップとして”威風堂々”とした存在感を感じさせるエクステリアに仕上げられ、長距離でも快適で大切な人たちと上質な時間を過ごせるプレミアムツーリングミニバンとして生まれ変わります。

日産 エルグランドのエクステリアデザイン
新型エルグランドのエクステリアは、「The private MAGLEV(日本語名:リニアモーターカー)」をデザインコンセプトとし、非日常の旅に出かける高揚感や期待感を感じさせる特別なデザインを実現しています。現行車からサイズを拡大したボディは、ハイスピードでありながらスムーズで静かなリニアモーターカーの姿をイメージし、威厳とダイナミックなプレゼンスを兼ねそろえ、”威風堂々”とした佇まいを表現しました。

「ノート」や「アリア」にも共通するデザインランゲージ「タイムレスジャパニーズフューチャリズム」を具現化し、フロントグリルは日本の伝統工芸である「組子」をモチーフとしているのが特徴です。サイドパネルの大きな面構成と緻密なディテールのコントラストは、日本庭園のように広いスペースの”間”と緻密に仕上げられた細部”整”の考え方を取り入れています。シャープでモダンなエクステリアと調和し、威厳と先進性、高級感を高次元で融合させることで、圧倒的な存在感を放ちます。

軽量化を追求したホイールは、フィニッシャーによりアルミホイールだけでは表現できない緻密さと車両全体の統一感あるデザインを実現しています。ボディカラーには、富士の黎明の一瞬を切り取った自然美を表現した「FUJI DAWN -フジドーン-」と、日本で古来より高貴さや格式の高さを象徴する色から着想した「至極 -シゴク-」の2トーンを新色として採用しました。

日産 エルグランドのボディサイズは、全長4995mm、全幅1895mm、全高1975mmです。

日産 エルグランドのインテリアデザイン
新型エルグランドのインテリアは、特別なプライベートラウンジのような空間を目指して開発されました。アイポイントが高くなったことにより、運転席からの視界が広がり、安心感とともに誇らしさを感じられる設計となっています。モダンで広がりのあるインストルメントパネルデザインと、幅広で高いコンソールにより、エルグランドオーナーの満足感を一層高めています。

広い範囲にわたって表皮・木目調パネルをあしらうことで高級感を演出し、エクステリアの組子パターンと統一感を持たせたキルティングをドアトリムに施しています。木目調パネルと一体のシームレスな静電式スイッチに加え、センター、メーターディスプレイに国内モデルとしては初の14.3インチの大画面統合型インターフェースディスプレイを採用し、上質で先進的な空間としています。

さらに、まるで映画館にいるような臨場感あふれる3Dサラウンド再生を楽しめるBOSE 22スピーカープレミアムサウンドシステムを搭載しています。加えて、乗員を包み込むようにインストルメントパネルからドアにかけて連続的に繋がる最大64色の設定が可能な間接照明を配置しました。インテリアのシート素材にはテーラーフィット™を使用し、日本の美意識に息づく気高さを象徴する紫と青があしらわれた「紫檀 -シタン-」を採用しました。




日産 エルグランドの走行性能
新型エルグランドに搭載される第3世代e-POWERは、新たに専用設計により効率を高めた発電特化型エンジン(ZR15DDTe)と、モーター・発電機・インバーター・減速機・増速機の5つの主要部品をひとつにまとめた「5-in-1 e-POWERパワートレインユニット」で構成されています。このユニットはコンパクトかつ高剛性で、静粛性と燃費性能を大幅に向上させています。
新しい制御技術の導入により、プレミアムミニバンにふさわしい力強く上質な走りを実現しました。プラットフォームも刷新し、高剛性ボディと徹底した遮音構造によって、静かで快適な乗り心地を提供します。日常からワインディングまで、あらゆるシーンで走行性能を飛躍的に向上させる電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」がさらに進化しました。
日常シーンでは、前後モーターのトルクをバランスよくコントロールし、走り出しや加減速による車体の揺れを抑え、スムーズで快適な乗り心地を提供します。旋回中には、従来のモーターとブレーキの統合制御に加え、リヤモーターのトルクを積極的に活用することで、より気持ちのよいコーナリングを実現します。モーター出力とブレーキ作動の状態がメーターディスプレイに表示されるようになり、「e-4ORCE」の制御が視覚的にも確認できるようになりました。
走行シーンに応じて4輪の減衰力を可変するインテリジェントダイナミックサスペンションを採用し、車体の揺れを抑え、不安なく落ち着いた挙動を実現することで、e-POWERとe-4ORCEにより提供される快適な乗り心地をさらに高めます。6つのドライブモードを備えることで、e-POWER、e-4ORCE、インテリジェントダイナミックサスペンションの特性を変化させ、シーンに応じた走行が可能です。

日産 エルグランドの安全性能・運転支援
新型エルグランドは、高速道路での運転を支援する「プロパイロット2.0」「プロパイロット」を搭載しています(ナビリンク付き仕様)。「プロパイロット」は、新たに渋滞時に時速50km以下のスピードでハンズオフした状態の走行が可能になります(グレードによる)。ドライバーによるウインカー操作により、車線変更支援(ナビリンク付き仕様)を行う機能を追加しました。これにより、高速道路での長距離ドライブにおいても、ドライバーの疲労を軽減し、より安全で快適な運転をサポートします。
日産 エルグランドの価格
日産 エルグランドの価格は、2025年10月29日時点で正式に発表されていません。しかし、予想によると、最も安価なグレードでも約500万円程度になると見られています。装備の充実した売れ筋グレードは550〜600万円程度、最上級VIPグレードは900万円台に達する可能性も指摘されています。
現行エルグランドの最も安価な「250 ハイウェイスター S」グレードが約408万円(2WD)であることを考えると、e-POWER専用車になることや安全装備の充実により、約100万円程度の価格上昇が予想されます。ライバルのトヨタ アルファードの最も安価な「ハイブリッドX」グレードが510万円であることからも、新型エルグランドの価格設定は競争力を考慮した戦略的なものになると考えられます。

日産 エルグランドの発売時期
日産 エルグランドの発売時期は、2026年夏と発表されています。2025年10月29日のジャパンモビリティショー2025にて先行公開され、正式な発売は約8ヶ月後となる見込みです。4代目となる新型エルグランドは、3代目が2010年に登場してから約16年ぶりのフルモデルチェンジとなり、プレミアムミニバン市場における日産の本気度を示すモデルとして期待が高まっています。
日産 エルグランドは日本で発売されるか
新型日産 エルグランドは、日本市場向けに開発されたモデルであり、2026年夏に日本国内で発売されることが正式に発表されています。日産のCEOであるイヴァン エスピノーサ氏は、「日本市場向けの新たなフラッグシップとして『パトロール』と、先進技術を搭載した『エルグランド』を投入します」とコメントしており、日本市場における日産の主力モデルの刷新として位置づけられています。
ジャパンモビリティショー2025での先行公開は、日本市場への強いコミットメントを示すものであり、長距離でも快適で大切な人たちと上質な時間を過ごせるプレミアムツーリングミニバンとして、日本のファミリー層やビジネス層に向けて販売されます。「タイムレスジャパニーズフューチャリズム」というデザインランゲージや、日本の伝統工芸である「組子」をモチーフとしたデザインからも、日本市場を重視した開発姿勢が伺えます。

辛口評価
日産 エルグランドをあえて辛口で評価します。まず気になるのが、発売時期の遅さです。現行3代目が2010年に登場してから約16年ぶりのフルモデルチェンジとなるため、この間にライバルのトヨタ アルファードは大きく進化し、市場を席巻してきました。新型エルグランドの先行公開から実際の発売まで約8ヶ月もあり、その間に顧客の期待が冷めてしまう可能性も否定できません。
価格面でも懸念があります。予想価格は500万円からとされ、現行モデルより約100万円高くなる見込みです。e-POWER専用車になることでの価格上昇は理解できますが、すでに市場で確固たる地位を築いているアルファードに対抗するには、より競争力のある価格設定が必要だったのではないでしょうか。
また、現行エルグランドは燃費性能でアルファードに大きく劣っており、WLTCモード平均燃費が8km/L台とアルファードの17.7km/Lの約半分という状況でした。新型では第3世代e-POWERにより燃費性能の向上が期待されますが、具体的な数値が公表されていない点も不安材料です。16年という長いブランクを埋めるには、圧倒的なパフォーマンスと価格競争力が必要でしょう。
日産 エルグランドのライバル車
日産 エルグランドの最大のライバルは、トヨタ アルファード(および兄弟車のヴェルファイア)です。アルファードはハイブリッドモデルを用意し、2.5Lエンジンとモーターの組み合わせでシステム出力250psを発揮します。燃費性能はWLTCモード17.7km/L(ハイブリッドZ)と優れており、プレミアムミニバン市場で圧倒的なシェアを誇っています。2021年8月の販売台数はアルファードが6483台で乗用車販売ランキング第6位だったのに対し、エルグランドはベスト50にも入らず、毎月の平均販売台数は500台にも満たない状況でした。
もう一つのライバルとして、かつてはホンダ オデッセイがありましたが、オデッセイはすでに生産終了となっています。現在、Lクラス高級ミニバン市場は実質的にアルファード/ヴェルファイアとエルグランドの2強となっており、新型エルグランドがどこまで市場シェアを奪還できるかが注目されています。アルファードのボディサイズは4995×1850×1935mm(ガソリン/ハイブリッド系)で、新型エルグランドの4995×1895×1975mmと比較すると、エルグランドの方が幅と高さで上回っています。

まとめ
日産 エルグランドは2025年10月29日にジャパンモビリティショー2025で4代目となる新型が先行公開され、2026年夏の発売が予定されています。1997年に初代が登場して以来、プレミアムミニバンのパイオニアとして市場を牽引してきたエルグランドは、約16年ぶりのフルモデルチェンジにより、第3世代e-POWERと進化したe-4ORCEを搭載し、まったく新しい次元のプレミアムツーリングミニバンに生まれ変わります。「リニアモーターカー」をデザインコンセプトとした威風堂々としたエクステリア、プライベートラウンジのような上質なインテリア、そして国内初の14.3インチ大画面ディスプレイなど、ジャパンフラッグシップにふさわしい仕様となっています。価格は500万円程度からと予想され、長年のライバルであるトヨタ アルファードとの真っ向勝負が期待されます。



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