高級セダンの王様と言える存在のメルセデス・ベンツ E クラス(Mercedes-Benz E-Class)。この度日本でフルモデルチェンジが発表されました。合わせてEクラスのステーションワゴンも新型モデルが日本初披露されました。メルセデス・ベンツとしては非常に重要で歴史のあるモデル。この記事ではEクラスを徹底解説していきます。

車の概要:新型メルセデス・ベンツ E クラスとは?
2024年1月12日、メルセデス・ベンツ日本は新型Eクラス(セダン/ステーションワゴン)を発表しました。同日から予約注文の受付を開始しました。新型Eクラスの発売は2024年2月の予定です。
メルセデス・ベンツ Eクラスは同ブランドの中核を成すミドルサイズセダンであり、世界で累計1600万台以上の販売実績を誇る、プレミアムセダンの象徴です。Eクラスの歴史は1946年のW136型にまで遡り、1985年に初代となるEクラスが登場しました。それ以来、時代を先取りする先進技術の指標となる存在であり続けました。
今回発表された新型Eクラスは6代目へとフルモデルチェンジ。その長い歴史と伝統に敬意を払いつつ、全モデルの電動化(ISGとプラグインハイブリッド)や最新技術の導入により、高級セダンの先駆者としての地位を改めて示しました。ナッパレザーで仕立てた豪華な内装、助手席一体型の「MBUXスーパースクリーン」の設定、デジタルキーの初採用、そしてサードパーティ製アプリケーションの利用可能性など、数々の先進的な機能を備えています。新型Eクラスは「伝統と未来の架け橋」というテーマを掲げています。

メルセデス・ベンツ E クラスのエクステリアデザイン
新型メルセデス・ベンツ Eクラスのエクステリアデザインは、最近のEクラスデザインからガラッと印象が変わりました。Eクラスの伝統を保ちつつ、先進性を強く意識したデザインと言えます。メルセデス・ベンツとしてはEV時代に向けた架け橋としての位置付けをエクステリアにも強調しています。
Eクラスのデザインコンセプト
新型Eクラスのエクステリアデザインは、メルセデス・ベンツの「Sensual Purity(官能的純粋)」というデザイン哲学を踏襲しています。この哲学は、独特な光の戯れを生み出す立体的で彫刻のような造形に焦点を当てており、クロームトリムは控えめに、しかしスタイリッシュに配置されています。
フロントデザイン
新型Eクラスのフロントエンドは、短いフロントオーバーハングと長いボンネットが特徴です。このデザインは、伝統的なメルセデス・ベンツのセダンの「キャブバックワード」スタイルを継承し、エレガントかつ力強い印象を与えます。フロントグリルは3Dデザインを採用し、中央のスリーポインテッドスターがグリルに一体化されています。シングルルーバーや周囲を縁取るクロームサラウンドは、メルセデスの高級感を際立たせる要素です。
ヘッドライトとフロントグリルをつなぐハイグロスブラック仕上げのパネルは、メルセデスの電気自動車を想起させるデザイン要素です。また、イルミネーテッドラジエーターグリルは、E 350 eにオプション設定として提供され、夜間や夕暮れ時に白く光り、車のプレゼンスを高めます。
個性的な眉の形状のデイタイムランニングライトと高機能LEDライトがインテリジェントなイメージを強調しています。

サイドデザイン
サイドビューでは、調和の取れたプロポーションとキャブバックワードデザインが特徴的です。新型Eクラスはメルセデス・ベンツのラグジュアリーモデルに採用されている格納型のドアハンドルを採用しています。キーを持った人が近づくとボディ面から自動でせり出し、通常時はボディ面に格納され、シンプルでクリーンな面を際立たせます。サイドを走る2本のキャラクターラインは、新型Eクラスのスポーティ性を強調し、精緻にデザインされた曲面形状が、光の戯れを演出します。

リアデザイン
リア部分では、ツーピース型のLEDリアコンビネーションランプが特徴的です。デイデザインとナイトデザインのいずれも、個性的な星型のスリーポインテッドスターのモチーフが採用されており、リアエンドをワイドに見せるデザインになっています。クロームトリムもリアエッジ部に配され、エレガントな印象をさらに高めています。

ボディサイズ
新型Eクラスのサイズは全長4949mm、全幅1880mm、全高1468mmとなっています。
メルセデス・ベンツ E クラスのインテリアデザイン
新型メルセデス・ベンツ Eクラスのインテリアは、洗練されたデザインと最先端のテクノロジーが見事に融合した空間です。室内カメラで自撮り(セルフィー)やビデオ会議に参加したり、TikTokなどのアプリも搭載され、デジタル面でのアップデートには目を見張るものがあります。
ダッシュボードとディスプレイ
インテリアの最も顕著な特徴の一つは、大きなトリムパネルがダッシュボード中央に伸びるデザインです。このトリムパネルは、外観上独立して見えるセンターディスプレイを支えるように配置されており、浮遊するような視覚効果を生み出しています。オプションの「MBUXスーパースクリーン」は、センターから助手席にかけて広がる大型ガラス面で構成され、輪郭がダイナミックにデザインされています。エアアウトレットは、細長いノズルバンドとしてガラス面の上部に沿って配置され、キャビンの中央と左右のエアアウトレットをつないでいます。

センターコンソールとストレージ
センターコンソールは、ダッシュボード下部に直線的に伸び、融合しています。前部には、カップホルダーを備えたカバー付きの小物入れがあり、後部にはパッド入りのアームレストとUSBポートを備えた小物入れが配置されています。これらの要素は、実用性と美学の完璧な融合を示しています。

ドアデザイン
ドアセンターパネルは、滑らかに流れる曲面を描きながらドアアームレストへと流れ込みます。ドアにはグラブハンドルやドア閉め用グリップが組み込まれ、パワーウインドウのスイッチも配置されています。また、スイッチパネルは宙に浮いているように見え、ドアレバーやパワーシートの操作スイッチが組み込まれています。このデザインは、機能性と美観を兼ね備えたメルセデス・ベンツのデザイン哲学を反映しています。
シートデザイン
新型Eクラスのシートは、そのレイヤーデザインにより、まるでシートが浮いているかのように見えます。座面とバックレストの表面は内側から外側へと優雅に流れ、縦方向のラインが外側の輪郭に沿って上に向かって広がっていきます。デザイナーは貝殻の有機的な美しさを連想させるこのデザインを採用しました。E 200とE 220 dでは、レザーARTICO仕様のシートには縦方向のうねを形成する精緻な仕上げが施されています。レザーエクスクルーシブパッケージでは、キルティングとパーフォレーションを施したナッパレザーシートにダイヤモンドステッチが施され、室内の高級感を一層高めています。

テクノロジーと快適性の融合
インテリアデザインは、最新のテクノロジーと快適性を融合させています。MBUXでは音声アシスタント「Hi, Mercedes」を使用可能で、音声での対話と学習機能が優れています。MBUX インテリア・アシスタント機能では室内機能をジェスチャーでコントロールすることが可能です。また、主要音楽ストリーミング配信サービス(Spotify、Amazon Music、Apple Music)がMBUXインフォテインメントシステムに統合されたオンラインミュージックサービスも利用可能です。さらにサードパーティ製アプリの利用も可能となっています。SNSのTikTokやビデオ会議のZoom、モバイルゲームのAngry Birds(アングリーバード)、WebブラウザーのVivaldi(ヴィヴァルディ)などが登場しています。

ルーティン機能
新型メルセデス・ベンツ Eクラスに搭載されているMBUXシステムの一部である「ルーティン機能」は、運転者の日常的な操作を自動化し、個別の運転習慣に合わせたカスタマイズを可能にする革新的な学習機能です。標準ルーティンのテンプレートから選ぶことも可能です。また、自分に合ったルーティンを作成することも可能です。室内温度に応じたシートヒーターのスイッチオンオフやアンビエントライトの色など、条件に応じた設定などが可能となります。
デジタルキー
iPhoneに対応したデジタルキーが設定されており、iPhoneで車の始動やロック操作が行えます。キーの共有をすれば家族や友人のiPhoneでも車の操作を行うことができます。
メルセデス・ベンツ E クラスの走行性能
新型メルセデス・ベンツ Eクラスは全モデルが電動化されました。プラグインハイブリッド車もラインナップされています。クラスを牽引する最先端の技術がふんだんに搭載され、インテリジェントなモデルとなっています。
ハイブリッドモデルのパワートレイン
- E 200モデル: このモデルには、新型の2.0L直列4気筒ターボエンジン「M254」が搭載されています。このエンジンは、単体で最高出力204PS(150kW)と最大トルク320Nmを発揮します。
- E 220 dモデル: こちらには、2.0Lクリーンディーゼル直列4気筒ターボエンジン「OM654M」が採用されています。このエンジンは、最高出力197PS(145kW)と最大トルク440Nmを生み出します。
これらのモデルでは、エンジンとトランスミッションの間に配置された電気モーターのISGによって、短時間に最大で23PS(17kW)、205Nmのブーストが可能となっています。このシステムにより、従来型のE200に比べてエンジンとモーターのパワーが強化され、E 220 dでは高トルク、省燃費のクリーンディーゼルエンジンと電気による精緻なサポートが組み合わさることで、スムーズな加速感と燃費の低減が実現されています。
プラグインハイブリッドモデルのパワートレイン
プラグインHVモデルの「E 350 e スポーツ Edition Star」は、電気モーターの最高出力129PS(95kW)最大トルクは440Nm、EV走行換算距離112kmを実現しており、日常生活の多くの場面で電気のみでの走行が可能です。システム出力は最大312PS(230kW)を誇り、回生ブレーキ機能によるエネルギー回収率の最大化も実現しています。急速充電器(CHAdeMO)に対応。

トランスミッションとサスペンション
新型Eクラスは全モデルで電子制御9速ATの「9G-TRONICオートマチックトランスミッション」を採用しています。1速から9速までの広い変速比幅により、エンジン回転数が大幅に低減され、優れたエネルギー効率と快適性を提供します。また、連続可変ダンピングシステム ADS+とエアサスペンションを組み合わせたAIRMATICサスペンションも搭載(オプション)されており、優れた乗り心地と安定した走行性能を実現しています。
リア・アクスルステアリング
新型Eクラスは後輪操舵システム「リア・アクスルステアリング」を採用しています。約60km/h以下では、リアホイールをフロントホイールとは逆方向に最大4.5度傾けルコとで回転半径が小さくなり小回りが効きます。約60km/hを超えると、リアホイールをフロントホイールと同じ方向に最大2.5度操舵するし、走行安定性を高めます。この機能により小回りと走行安定性やハンドリングを両立しています。
エアロダイナミクス
新型Eクラスは、Cd値0.23という優れたエアロダイナミクスを達成しています。これは、風洞実験やコンピューターシミュレーションを通じて、空気抵抗を最小限に抑えるための設計が行われた結果です。フロントセクションに革新的なシール、特殊なスポイラーの設置、シームレスドアハンドルなど、複数の空力対策が施されています。

メルセデス・ベンツ E クラスの安全性能・運転支援機能
新型メルセデス・ベンツ Eクラスの進化した「レーダーセーフティパッケージ」には、複数の先進的な安全運転支援システムが含まれます。主要な機能は以下の通りです:
- アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック: ステレオマルチパーパスカメラとレーダーセンサーを使用して、高速道路や一般道での運転時に先行車を認識し、車間距離を自動調節します。必要に応じて自動減速や停止を行い、渋滞時には自動再発進も可能です。
- アクティブステアリングアシスト: 車線のカーブや先行車を認識し、ステアリング操作をアシストします。車線が不明瞭な道ではガードレールなどを認識して車間を維持します。
- 渋滞時緊急ブレーキ機能: 前走車やその左右の車線を監視し、渋滞の最後尾で衝突の危険を検知した場合、即座にブレーキが作動し、衝突回避または被害軽減を図ります。
- アクティブレーンチェンジングアシスト: 高速道路でアクティブステアリングアシストが起動中の際に、ウインカー操作後、車両周囲を監視し、安全が確認された場合に車線変更を支援します。
- アクティブエマージェンシーストップアシスト: ドライバーが反応しない場合、警告の後に緩やかに減速して停止し、パーキングブレーキをかけて二次災害を防止します。
- アクティブブレーキアシスト(歩行者/飛び出し/右折時対向車検知機能付): 衝突のおそれがある場合に警告し、必要に応じて緊急ブレーキを起動します。
- 緊急回避補助システム: 車道横断中の歩行者などとの衝突の危険を検知し、回避操作をアシストします。回避後の車線復帰もサポートします。
- トラフィックサインアシスト: カメラが制限速度などの標識を読み取り、制限速度を超えた際にドライバーに警告します。
- アクティブレーンキーピングアシスト: 車線を検出し、車線を越えた際にステアリングを微振動させてドライバーに警告し、必要に応じて車両を車線内に戻します。
- アクティブブラインドスポットアシスト(降車時警告機能付): 斜め後ろの死角エリアに車両や自転車がいることを警告し、側面衝突の危険がある際に危険回避をサポートします。停車時に後方から障害物が迫っている場合に警告します。

メルセデス・ベンツ E クラスの価格
新型Eクラスの価格は894万円(消費税込)からです。
<新型Eクラスセダンの価格>
- E 200 アバンギャルド: 8,940,000円
- E 220 d アバンギャルド: 9,210,000円
- E 350 e スポーツ Edition Star:9,880,000円
<新型Eクラスステーションワゴンの価格>
- E 200 ステーションワゴン アバンギャルド: 9,280,000円
- E 220 d ステーションワゴン アバンギャルド: 9,550,000円
メルセデス・ベンツ E クラスの発売時期
新型Eクラス(セダン/ステーションワゴン)は、2024年1月12日より予約注文の受付を開始し、2024年2月の発売を予定しています。

メルセデス・ベンツ E クラスの辛口評価
新型メルセデス・ベンツ Eクラスをあえて辛口で評価します。
まず価格の高さが気になるところです。ベース価格が894万円からと約900万円スタートとなっています。EクラスPHEVモデルは約1,000万円となっています。昨今の自動車全体の価格高騰の中で、Eクラスの価格上昇も避けられない状況ではあるものの高価な車となっています。
またEクラスにはデジタル機能や安全機能など最新の技術が盛り込まれていますが、人によるもののどこまで使い切れるかという観点はあります。過剰機能となっている可能性があります。
また今回のフルモデルチェンジでエクステリアデザインは大きく印象が変わりました。従来のエレガントでステータスを感じるデザインから、EV時代に向けた、少しEVに寄せたデザインになっています。このデザイン変更では好き嫌いが別れるでしょう。
メルセデス・ベンツ E クラスのライバル車
メルセデス・ベンツ Eクラスは、プレミアムセダンセグメントに位置付けられており、通常、以下のようなモデルが競合とされます:
- BMW 5シリーズ: BMWのプレミアムセダンは、運転の楽しさと高級感を兼ね備え、Eクラスの最大のライバルです。特に、運転性能と内装の品質において高い評価を受けています。
- アウディ A6: アウディのこのモデルもまた、高級セダン市場においてEクラスの重要なライバルです。先進的なインフォテインメントシステムとエレガントなデザインが特徴です。
- レクサス ES: レクサスの高級ミッドサイズセダンのESもEクラスと競合関係にあります。ESはレクサス独自のデザインと高い信頼性が強みです。
- ジャガー XF: ジャガーのこのモデルは、英国車特有の洗練されたスタイリングと上質な乗り心地で、Eクラスのライバルになっています。
まとめ
新型Eクラスは架け橋(bridge)をテーマとしたモデル。メルセデス・ベンツは将来的にはEVブランドのEQと統合を予定しています。今回のEクラスのフルモデルチェンジはEQに歩み寄りつつ、エンジンモデルとしての差別化を踏まえた刷新となりました。高級セダンを代表するモデルとしてデザインや走行性能は着実に進化させました。特にデジタル面での進化は大きく飛躍しました。セダンの王者としての風格を見せつつ、進化の姿勢を見せたEクラスは市場でどう評価されるか期待が高まります。

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