フォードは2024年7月10日、新型電気自動車「カプリ」を発表しました。カプリはフォードの伝説的なスポーツクーペであり、EVとして復活を遂げました。新型カプリはフォードの欧州市場向け電動化戦略の重要な一翼を担うモデルです。新型カプリは、1969年に登場した初代モデルの精神を受け継ぎつつ、現代のEV時代に合わせて完全に再解釈された車両です。フォードの欧州デザインチームによって開発されたこのモデルは、スポーティなクーペのDNAを持つクロスオーバーSUVとして設計されています。

車の概要:フォード カプリとは?
フォード カプリ(Ford Capri)の歴史は1960年代末にさかのぼります。1969年に発売された初代カプリは、手頃な価格のスポーツクーペとして欧州市場で大きな成功を収めました。「ヨーロッパのマスタング」とも呼ばれ、1986年までの約17年間にわたり3世代のモデルが生産されました。特に初期のモデルはモータースポーツでも活躍し、欧州ツーリングカー選手権などで数々の勝利を収めています。
新型カプリは、この伝統あるネームプレートを約30年ぶりに復活させるものです。フォードは、EVの時代にふさわしい形でカプリの魂を再現することを目指しました。新型モデルは、スポーティな走りと実用性を両立させた電気自動車として設計されています。最大620km以上の航続距離と0-100km/h加速5.3秒を実現し、同時に570リットル以上の荷室容量も確保しています。フォードは新型カプリについて、「過去と未来が出会う」モデルと位置付けています。クラシックなカプリの魂を受け継ぎながら、最新のEV技術を搭載することで、アイコニックなスポーツクーペが目指すべき進化の形を体現しているとしています。
フォード カプリのエクステリアデザイン
新型フォード・カプリのエクステリアデザインは、伝説的なスポーツクーペの魂を現代的に解釈しつつ、電気自動車時代にふさわしい斬新なスタイリングを実現しています。ボディは、クーペライクなシルエットを持つクロスオーバーSUVとして設計されています。ロングノーズとショートデッキという、オリジナルカプリの特徴的なプロポーションを継承しつつ、現代的な解釈を加えています。ルーフラインは滑らかに後方へ流れるように傾斜し、スポーティかつエアロダイナミクスに優れたプロファイルを生み出しています。
フロントエンドでは、オリジナルカプリを彷彿とさせる4つの丸形ライトユニット(ダイナミックマトリックスLED)を採用。これらを囲む形で配置された丸みを帯びたLEDデイタイムランニングライトが、モダンで先進的な印象を与えています。

リア周りでは、角ばったテールゲートやCピラーのデザイン、一体型スポイラー、水平に配置されたテールライトクラスターなど、随所にオリジナルカプリへのオマージュが感じられます。これらの要素が、クラシックなスポーツカーの魂と最新のEVテクノロジーの融合を視覚的に表現しています。
カラーラインナップには、鮮やかな「ビビッドイエロー」や「ブルーマイマインド」といった目を引く色彩が用意され、カプリの個性的なキャラクターを強調しています。新型カプリのエクステリアデザインは、過去の栄光を称えつつも未来を見据えた革新的なアプローチを取っており、フォードの欧州デザインチームの意欲的な挑戦が感じられる仕上がりとなっています。

フォード カプリのボディサイズ
新型カプリのサイズは、全長4,634mm、全幅1,872mm、全高1,626mmです。
フォード カプリのインテリアデザイン
新型フォード・カプリのインテリアデザインは、クラシックなスポーツクーペの魂を現代的に解釈しつつ、最新のEVテクノロジーを融合させた斬新な空間を実現しています。インテリアの中心となるのは、ダッシュボード中央に配置された14.6インチの大型タッチスクリーンです。このディスプレイは「SYNC Move」と呼ばれる革新的な機能を備えており、上下にスライドして最適な視認性を確保できます。これにより、運転者の体格や好みに合わせて画面位置を調整することが可能となり、快適な操作環境を提供しています。

運転席周りには、スポーティな雰囲気を醸し出す要素が随所に配置されています。ステアリングホイールは3本スポークのデザインを採用し、フラットボトム形状によりスポーティな印象を強調しています。メーターパネルには5インチのデジタル液晶ディスプレイを採用し、必要な情報を鮮明に表示します。

フロントシートには、ワンピース構造のスポーツシートを採用。サイドサポートを強化し、コーナリング時の体のホールド性を高めています。さらに、運転席にはマッサージ機能と12ウェイパワーアジャスト、メモリー機能を標準装備しており、長距離ドライブでも快適な姿勢を維持できます。

インテリアの質感にもこだわりが感じられます。ソフトタッチ素材を随所に使用し、高級感のある仕上がりとなっています。アンビエントライティングも装備され、室内の雰囲気を演出することが可能です。収納スペースも充実しており、センターコンソール下には17リットルの大容量収納「MegaConsole」を設置。さらに、タッチスクリーンをスライドさせると現れる隠し収納「My Private Locker」など、ユニークな収納アイデアも取り入れられています。オーディオシステムには、プレミアムグレードでB&Oサウンドシステムを採用。10スピーカー構成で、サブウーファーとサウンドバーを備え、高音質な音楽再生を楽しむことができます。

フォード カプリの走行性能
新型フォード・カプリには2種類のパワートレインが用意されています。リアホイールドライブ(RWD)のロングレンジモデルは、最高出力286PS(210kW)、最大トルク545Nmを発揮します。一方、四輪駆動(AWD)のロングレンジモデルは、さらにパワフルな340PS(250kW)の最高出力と、リア545Nm、フロント134Nmの最大トルクを誇ります。加速性能は、RWDモデルが0-100km/h加速を6.4秒で、AWDモデルはさらに速い5.3秒で達成します。これらの数値は、カプリがスポーツカーとしての血統を色濃く受け継いでいることを示しています。

EV航続距離(WLTPサイクル)に関しては、RWDモデルが最大627km、AWDモデルが最大592kmを実現しています。長距離ドライブにも十分対応できる性能といえるでしょう。充電性能も優れており、AWDモデルの場合、185kWのDC急速充電器を使用すると、バッテリー残量10%から80%まで約26分で充電が可能です。
走行モードは複数用意されており、ドライバーの好みや走行状況に応じて選択できます。これにより、スポーティな走りから快適な巡航まで、幅広い走行シーンに対応可能です。さらに、カプリには最新の運転支援システムが搭載されています。インテリジェント・アダプティブ・クルーズコントロールやレーンキーピングアシストなどの機能により、長距離ドライブでの疲労軽減や安全性向上に貢献します。新型カプリは、電気自動車ならではの静粛性と滑らかな加速、そしてスポーツカーとしての俊敏な走りを両立させています。クラシックなカプリの魂を受け継ぎつつ、現代のEV技術を融合させることで、新時代のスポーツクロスオーバーとしての走行性能を実現しているといえるでしょう。

フォード カプリの価格
新型カプリの価格は、まだ発表されていません。同セグメントの電動SUVの価格相場を考慮すると、プレミアムな位置づけになる可能性が高いと想定されます。
フォード カプリの発売時期
具体的な発売日は未定ですが、2024年末に発売予定となっています。

フォード カプリは日本で発売される?
フォードは、日本市場から撤退しており、新型カプリの日本導入については現時点ではありません。ただし、フォードの電動化戦略やグローバル展開の方針によっては、将来的に日本市場への再参入の可能性も考えられます。
フォード カプリの辛口評価
新型フォード・カプリをあえて辛口で評価します。
まず、デザインについては、オリジナルカプリへのオマージュを感じさせる要素を取り入れていますが、クロスオーバーSUVという車格のため、かつてのスポーツクーペの魂を完全に再現できているとは言い難い面があります。クーペライクなルーフラインは魅力的ですが、それによってリアシートの頭上空間は狭くなっていると想定されます。
性能面では、最大340PSの出力と5.3秒の0-100km/h加速は印象的ですが、同クラスの電気自動車としては特別突出しているわけではありません。
インテリアについては、14.6インチの大型タッチスクリーンや「SYNC Move」機能など革新的な要素を取り入れていますが、全体的なデザインや素材の質感が、プレミアムブランドの競合車と比べてどこまで匹敵するかは不透明です。

フォード カプリのライバル車
新型フォード・カプリの主要なライバル車としては、以下のモデルが挙げられます。
- プジョー e-3008:
- フォルクスワーゲン ID.5:
- ボルボ C40:
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