レクサスは2025年10月29日のジャパンモビリティショー2025において、次世代スーパースポーツのコンセプトモデル「レクサス スポーツコンセプト」を日本で初めて公開しました。このモデルは同年8月15日に米国カリフォルニア州で開催されたモントレー・カー・ウィーク2025で世界初披露されていたもので、2010年から2012年にかけて限定500台が生産された伝説のスーパーカー「レクサス LFA」の後継モデルとして大きな注目を集めています。
今回のジャパンモビリティショー2025では、モントレー・カー・ウィークでは明らかにされなかったインテリアデザインも初公開され、レクサスが描く次世代スポーツカーの全容が明らかになりました。先進的かつ革新的なスタイルと、伝統的なスポーツカーらしさを併せ持つこのモデルは、レクサスブランドの新たな方向性を示す重要な一台となっています。

車の概要:レクサス スポーツコンセプトとは?
レクサス スポーツコンセプト(Lexus Sport Concept)は、レクサスが描く次世代のフラッグシップスポーツカーの姿を体現した2ドアのスーパースポーツコンセプトモデルです。レクサスのスポーツカーの歴史は、2005年のデトロイトショーで公開されたコンセプトカー「LF-A」に始まり、2007年には市販車「IS F」が登場しました。そして2009年の東京モーターショーで市販モデル「LFA」が発表され、2010年12月から2012年12月にかけて限定500台が生産されました。
LFAは自然吸気V10エンジンを搭載し、「天使の咆哮」と称される独特のエキゾーストサウンドで知られ、販売価格3750万円という超プレミアムモデルとして大きな話題を呼びました。その後、レクサスは2014年に2ドアクーペ「RC」と「RC F」、2017年にはフラッグシップスポーツ「LC」を発表し、スポーツカーブランドとしてのイメージを確立してきました。
今回のレクサス スポーツコンセプトは、2021年12月に発表された「Lexus Electrified Sport」の流れを汲むものとされ、LFAに続く次世代のフラッグシップスポーツカーとして位置づけられています。完全2シーター構成を採用し、LFAのピュアスポーツカーとしての哲学を受け継ぎながらも、先進的な電動化技術を取り入れた新世代モデルとして開発されました。

レクサス スポーツコンセプトのエクステリアデザイン
レクサス スポーツコンセプトのエクステリアは、ワイド&ローなスタンスが印象的な2ドアクーペボディを採用しています。ロングノーズ&ショートデッキという王道のスポーツカープロポーションを基調に、フロントからリアへと流れる美しいボディラインが特徴的です。
フロントマスクには進化したスピンドルデザインが採用され、レクサスのアイコンであるL字型のデイタイムライトを中心に多数のLEDを配したヘッドライトユニットが目を引きます。フロントフェンダーには大きなエアアウトレットが設けられ、抑揚のあるボディサイドが高いパフォーマンスを予感させます。低く構えたボンネットと複雑なフロントダクトの造形は、空力性能を重視した設計となっています。

サイドビューでは、豊かな曲面で構成されたボディパネルがグラマラスな印象を生み出し、カメラ式ドアミラーが未来的なディテールを添えています。大径ホイールの採用により、スポーツカーとしての存在感がさらに強調されています。リアエンドは空力を意識したデザインとなっており、存在感あふれるLEDテールランプやLFA風のリアインテーク、可動式リアウイングなど、スーパースポーツカーにふさわしい装備が施されています。

全体として、レーシングマシンのような出で立ちではなく、流れるようなシルエットやグラマラスな前後フェンダーの豊かな膨らみにより、GTカーを想起させるレクサスらしい上品で淡麗なスタイリングに仕上げられています。なお、レクサス スポーツコンセプトのボディサイズは、全長については未公開ですが、全幅は約2000mm、全高は約1200mmと推定されています。





レクサス スポーツコンセプトのインテリアデザイン
ジャパンモビリティショー2025で初めて公開されたインテリアは、完全2シーター構成となっており、ドライバーとパッセンジャーを仕切った独立した空間デザインが採用されています。この「ブラックバタフライコクピット」と呼ばれるスポーツタイプのデザインは、ドライビングに集中できる環境を提供します。

最も注目すべきはU字型の変形ステアリングで、従来の円形とは異なる革新的なデザインが採用されています。このステアリングは未来的な印象を与えるとともに、メーターパネルの視認性を向上させる効果があります。ただし、市販化の際には法規制への適合のため、形状が変更される可能性も指摘されています。
インストルメントパネルは、従来のレクサス車に見られる大型センタースクリーンを排除したミニマルなデザインとなっています。メーター表示には電動パワートレインを示唆する表示が確認され、従来のエンジン回転計のような表示は見当たりません。コクピット下部のシルバーラティス部分には、エアコン、リアデフロスター、ウィンドウデフロスターと思われる3つのボタンが配置され、左側には「サラウンドビュー」「ブレーキホールド」「パーキングアシスト」などのスイッチが設けられています。

全体として、レクサスらしい上質な仕立てと未来感が融合したインテリアデザインは、次世代スポーツカーとしての新しい価値観を提示しています。ただし、量産時には顧客の利便性を考慮して、従来型のインフォテインメントディスプレイが復活する可能性も残されています。





レクサス スポーツコンセプトの走行性能
レクサス スポーツコンセプトの走行性能については、具体的なスペックは正式に公表されていませんが、いくつかの予測が立てられています。パワートレインについては、BEV(電気自動車)またはV8エンジンのハイブリッドという2つの可能性が示唆されています。インテリアのメーター表示からBEVである可能性が高いとする見方がある一方で、フロントに大きなエアインテークが開けられていることから、V8エンジンのハイブリッドという可能性も否定できないとされています。
一部の報道では、出力は400kW以上(約544馬力)となる可能性が指摘されており、0-100km/h加速は4秒未満が予想されています。また、全高が約1200mmと現行LC 500より約250mm低く設定されることで、低重心化が実現され、コーナリング時のボディロールを最小限に抑え、高速域での安定性が向上すると考えられています。
全幅約2000mmというワイドなボディは、ワイドトレッド化により高速コーナリング性能の向上に寄与します。また、前述の「Lexus Electrified Sport」では0-100km/h加速が2秒台前半、航続距離約700kmというスペックが示されていたことから、今回のスポーツコンセプトもこれに近い性能を実現する可能性があります。
シャシー構成については、前ダブルウィッシュボーンと後マルチリンク構造に電子制御ダンピング調整機能付きショックアブソーバーを組み合わせたセットアップが予想されており、日常走行では快適性を保ちながら、サーキット走行時には高い剛性を発揮する設計となっていると考えられます。

レクサス スポーツコンセプトの価格
レクサス スポーツコンセプトの価格については、現時点で正式な発表はありませんが、4000万円から5000万円のレンジが予想されます。これは、先代LFAの販売価格が3750万円であったことを基準にした推定です。
ただし、全固体電池などの先進技術を採用する場合、さらに高額になる可能性も指摘されています。仮にV8ハイブリッドシステムを搭載する場合でも、LFAの時代から10年以上が経過しており、インフレーションや技術の高度化を考慮すると、4000万円を下回る価格設定は難しいと考えられます。
なお、一部の報道では「LFR」という仮称で3200万円という価格が噂されていますが、これは確定情報ではありません。市販化される際には、生産体制が限定生産となるか通常販売となるかによっても、価格設定が大きく変動する可能性があります。レクサスが提示する次世代スポーツカーとしての付加価値や、搭載される先進技術の内容により、最終的な価格が決定されることになるでしょう。

レクサス スポーツコンセプトの発売時期
レクサス スポーツコンセプトの発売時期についても、正式な市販化のアナウンスは現時点で行われていません。しかし、展示されたモデルの完成度が極めて高く、「今すぐにでも市販できそうな仕上がり」との評価もあり、市販化の可能性は高いと見られています。
予想される市販化時期としては、2026年頃が有力視されています。この予測の根拠としては、レクサスLCの後継モデルとしてのポジショニング、全固体電池技術の実用化タイムライン、ブランド戦略上の重要性、そしてモントレー・カー・ウィークでの先行披露といった要素が挙げられます。
ただし、市販化までにはいくつかの調整が必要とされる要素があります。ステアリング形状の法規制への適合、ドアミラー形状の各国保安基準への対応、価格設定、生産体制の確立、さらにスーパーカーユーザーの使用環境を考慮した充電インフラへの配慮などが課題として挙げられています。これらの課題をクリアするための開発期間を考慮すると、2026年から2027年頃の市販化が現実的なスケジュールと考えられます。

レクサス スポーツコンセプトは日本で発売されるか
レクサス スポーツコンセプトの日本市場での発売については、現時点で明確な情報は公表されていません。ただし、ジャパンモビリティショー2025で日本初公開されたという事実は、日本市場を重視している姿勢の表れと解釈できます。
先代のLFAは、日本を含む世界市場で限定500台が販売されました。レクサスが日本で生まれた高級ブランドであることを考慮すると、次世代フラッグシップスポーツカーを日本市場で発売しない理由は見当たりません。むしろ、ブランド価値の向上という観点から、日本市場での展開は不可欠と考えられます。
また、トヨタ自動車の元町工場内には「LFA工房」が設置され、職人によるハンドメイドでLFAが生産されていた実績があります。仮にレクサス スポーツコンセプトが市販化される場合も、同様の生産体制が取られる可能性が高く、日本国内での生産・販売が行われる可能性は十分にあります。
ただし、限定生産となる場合、販売台数や価格帯から考えて、主要市場は北米や欧州、中東などの富裕層が多い地域になることも予想されます。日本市場への割り当て台数については、市販化が正式発表された際に明らかになるでしょう。

辛口評価
まず指摘すべきは、コンセプトカーとしての完成度は高いものの、肝心のパワートレインや性能スペックが一切公表されていない点です。BEVなのかハイブリッドなのか、出力はどれほどなのか、こうした基本的な情報すら明らかにされていない状況で、「次世代スポーツカー」と謳うのは時期尚早と言わざるを得ません。モントレー・カー・ウィークでの初披露時には、プレスリリースもなくスタッフも不在で「ただ車両が1台置かれていただけ」という状況だったことも、情報開示への消極的な姿勢を感じさせます。
次に、LFAから15年近くが経過しようとしているにもかかわらず、いまだにコンセプトカーの段階にとどまっていることに疑問を感じます。2021年には「Lexus Electrified Sport」が発表されましたが、それから4年が経過してもなお市販化の具体的なスケジュールが示されていません。これでは「本当に市販化する気があるのか」と疑念を抱かれても仕方ないでしょう。
また、インテリアのU字型ステアリングは確かに未来的ですが、法規制への適合が課題となることは明白です。市販化の際には結局、従来型の円形ステアリングに戻される可能性が高く、コンセプトカーとしてのインパクトを狙った「やりすぎ」感が否めません。センタースクリーンを排除したミニマルなデザインも、実用性の観点からは疑問が残ります。
価格についても、予想される4000万円から5000万円という価格帯は、ポルシェ911ターボSやフェラーリの一部モデルと競合するレンジです。果たして日本ブランドのスポーツカーが、これらの確立されたスーパーカーブランドと対等に戦えるのか、ブランド力の差は埋めがたいものがあります。LFAは技術的には素晴らしいクルマでしたが、販売面では赤字だったという事実も忘れてはいけません。
レクサス スポーツコンセプトのライバル車
レクサス スポーツコンセプトのライバルとなるのは、価格帯や性能から考えて、欧州の高級スポーツカーメーカーのモデルが中心となります。
まず筆頭に挙げられるのがポルシェ 911ターボSです。全高約1300mmという低重心設計と、3.8リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンによる650馬力の出力を誇り、スーパースポーツカーの定番として確固たる地位を築いています。価格は約3000万円台後半からとなっており、レクサス スポーツコンセプトの予想価格帯とも重なります。
次にフェラーリ Romaやフェラーリ 296 GTBといったグランドツアラー系のモデルもライバルとなるでしょう。特に296 GTBはV6ハイブリッドシステムを搭載し、システム出力830馬力という圧倒的なパフォーマンスを誇ります。価格は4000万円台からとなっており、レクサス スポーツコンセプトと競合する可能性が高いモデルです。
さらに、電動スポーツカーとして市販化される場合は、ポルシェ タイカン ターボSや将来登場する可能性のあるフェラーリの電動スーパーカーとも競合することになります。また、英国のアストンマーティン DB12やマクラーレンの各モデルなども、同価格帯のライバルとして意識せざるを得ないでしょう。
国内メーカーとしては、ホンダが開発を進めているとされる次世代「NSX」の後継モデルが将来的なライバルとなる可能性があります。日本を代表するスーパースポーツカー同士として、市場での競争が期待されます。

まとめ
レクサス スポーツコンセプトは、2025年10月29日のジャパンモビリティショー2025で日本初公開された次世代スーパースポーツのコンセプトモデルです。8月15日の米国モントレー・カー・ウィークでの世界初披露に続き、今回は初めてインテリアデザインも公開され、完全2シーター構成やU字型変形ステアリングなど、革新的なデザインが明らかになりました。
2010年から2012年に限定500台が生産された伝説のスーパーカー「LFA」の後継モデルとして大きな注目を集めており、ワイド&ローな2ドアクーペボディに、先進的なデザインと伝統的なスポーツカーらしさを融合させたスタイリングが特徴です。パワートレインについてはBEVまたはV8ハイブリッドの可能性が示唆されており、予想出力は400kW以上、0-100km/h加速は4秒未満とされています。
市販化については正式な発表はないものの、展示車の完成度の高さから2026年頃の市販化が有力視されており、価格は4000万円から5000万円のレンジが予想されています。ポルシェ911ターボSやフェラーリの各モデルとの競合が予想される中、レクサスがどのような形で次世代フラッグシップスポーツカーを市場に投入するのか、今後の続報が待たれます。



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