ダイハツ工業は2025年10月29日、ジャパンモビリティショー2025(東京ビッグサイト)において、次期「コペン」の方向性を示すコンセプトカー「K-OPEN(コペン)」を世界初公開しました。現行コペンが2026年8月末で生産終了することが発表されているなか、満を持して登場した本モデルは、最大の特徴として軽自動車では異例のFR(後輪駆動)レイアウトを採用しています。小さいからこそオープンエアの軽やかな気持ちよさを身近に感じ、FRならではの走りを手軽に楽しめる特別な一台として、軽自動車ならではのワクワク感を多くの人に届けることを目指して開発されました。

車の概要:ダイハツ K-OPENとは?
ダイハツ K-OPEN(コペン)は、現行コペンの後を継ぐ次期モデルの方向性を示すコンセプトカーです。コペンは2002年に初代モデルが登場し、軽自動車として世界初となる電動開閉式ルーフ「アクティブトップ」を備えたオープンスポーツカーとして人気を博しました。初代は2012年まで約10年間販売され、2014年には2代目が登場し現在まで販売されています。K-OPENは実質的に3代目となる次期コペンを示唆するモデルで、歴代モデルがFF(前輪駆動)だったのに対し、今回初めてFR駆動を採用した点が革新的です。コペンという車名は、軽自動車のオープンカー(K-OPEN)に由来しており、今回のコンセプトカー名はその原点に立ち返ったネーミングとなっています。「コペン」の走る楽しさを未来に繋げるために「作ってみる、乗ってみる、試してみる」の精神で製作された先行スタディ車「K-OPENランニングプロト」も同時に展示され、開発への本気度が伺えます。

ダイハツ K-OPENのエクステリアデザイン
K-OPENのエクステリアデザインは、コペンらしい親しみやすさとFR駆動の走りを感じさせる力強さを両立させたスタイリングが特徴です。従来の丸みを帯びた可愛らしさから一歩踏み込み、直線基調のシャープなデザインへと進化を遂げています。
丸型の灯火類などによって歴代コペンのDNAを継承しながらも、ヘッドライトやリアコンビランプには新世代のLEDシグネチャーを採用し、未来感と軽快さを両立させています。

ボディカラーには黄色のナンバープレートが装着されており、軽自動車規格を維持することが確認できます。ホイールベースは2,265mmと長めに設定され、安定感のあるプロポーションを実現しています。オープンエアの軽やかな気持ちよさを身近に感じられる開放的なスタイリングは、風を感じる気持ちの良い走りを予感させます。ダイハツ K-OPENのボディサイズは、全長3,395mm、全幅1,475mm、全高1,230mmです。


ダイハツ K-OPENのインテリアデザイン
K-OPENのインテリアデザインは、歴代コペンと比較して大きく刷新され、シンプルで先進的な印象となっています。物理的なスイッチがほとんどない斬新なデザインを採用し、モダンなコックピット空間を演出しています。

メーターパネルはフル液晶タイプを採用し、エンジン回転計や油温などの走行情報がデジタル表示されます。注目すべきは5速MT(マニュアルトランスミッション)の採用で、走る楽しさを追求するスポーツカーとしての本質を貫いています。メーター内のレッドゾーンは7,000〜9,000rpmに設定されており、高回転型エンジンの搭載が示唆されています。2名乗車の設定はそのままに、ドライバーを中心とした運転に集中できるレイアウトとなっており、軽快にオープンエアで風を感じながら走りを楽しめる空間づくりがなされています。

ダイハツ K-OPENの走行性能
K-OPENの最大の特徴は、軽自動車では異例となるFR(後輪駆動)レイアウトの採用です。現行コペンを含む歴代モデルはすべてFF駆動でしたが、より楽しい走行性能を実現するためFRへと大きく方向転換しました。
K-OPENランニングプロトでは、「軽量化」「低重心化」「最適な重量配分」による走る楽しさを追求し、商用車用スラントエンジン搭載による低重心化を実現しています。さらに「ハイゼット」用のリアディファレンシャルギアやドライブシャフトなど自社製品を活用してFR化することで、最適な前後重量配分を目指しています。


FRレイアウトの採用により、前後重量配分の最適化、ステアリングフィールの向上、アクセルワークによる車両姿勢制御のしやすさなど、本格的なスポーツカーの走りが楽しめるようになります。軽自動車という小さなボディサイズでありながら、手軽にFRならではの走りの楽しさを味わえる特別な一台として開発されました。

ダイハツ K-OPENの価格
ダイハツ K-OPENの価格はコンセプトカーのため未発表ですが、現行コペンの価格体系から予測することができます。現行コペン「Robe」のCVT車の価格は198万3,300円(税込)、5速MT車は203万8,300円となっています。最高級モデルの「COPEN GR SPORT 5速MT車」は255万6,400円で販売されています。現行コペンのグレード全体では約198万円から255万円の価格帯となっており、乗り出し価格は車両本体価格の1.1倍から1.2倍程度が目安です。新型K-OPENについては、FR化や最新装備の搭載により、車両本体価格で250万円から300万円程度になると予測されます。これは競合となるマツダ「ロードスター」(約290万円から)やトヨタ「GR86」を意識した価格設定と考えられます。ただし、軽自動車規格を維持する場合は、現行モデルから30万円から50万円程度の価格上昇に抑えられる可能性もあり、正式な価格は今後の発表を待つ必要があります。

ダイハツ K-OPENの発売時期
ダイハツ K-OPENの市販化時期は現時点では未定ですが、複数の情報源から2027年頃の発売が予想されています。現行コペンは2026年8月末をもって生産終了することが2025年9月のプレスリリースで明かされており、その際に「再びコペンを世の中に送り出せるよう、様々なスタディを続けております」との記載があったことから、後継モデルの投入が示唆されていました。コペンの生産終了時期と次期モデルの開発期間を考慮すると、2026年後半から2027年にかけての正式発表、2027年3月頃の発売が有力とされています。トヨタ自動車の佐藤恒治社長がジャパンモビリティショー2025のプレゼンテーションで、豊田章男会長がダイハツのマスタードライバーになることに言及し、「新しいコペンがどんなクルマになっていくのか、私も楽しみにしています」と述べたことからも、開発が本格化していることが伺えます。正式な発売日については、今後のダイハツからの公式発表が待たれます。

ダイハツ K-OPENは日本で発売されるか
ダイハツ K-OPENは日本で発売されると想定されます。その最大の根拠は、K-OPENが軽自動車規格を維持していることです。展示車両には黄色のナンバープレートが装着されており、全長3,395mm、全幅1,475mm、全高1,230mmというボディサイズは軽自動車の規格内に収まっています。軽自動車は日本独自の規格であり、海外展開を主目的とするなら軽規格にこだわる必要はありません。それにもかかわらず軽規格を維持したということは、日本市場をメインターゲットとしていることの明確な証です。また、現行コペンが2026年8月末で生産終了すると発表された際、ダイハツは「再びコペンを世の中に送り出せるよう、様々なスタディを続けております」と明言しており、日本のコペンファンに向けたメッセージと受け取れます。軽自動車ならではのワクワク感を多くの人に届けることを目指して開発されたK-OPENは、日本の道路事情に最適なサイズと税制面でのメリットを持つ、日本市場向けのオープンスポーツカーとして誕生する予定です。

ダイハツ K-OPENをあえて辛口で評価します
ダイハツ K-OPENをあえて辛口で評価します。まず最大の懸念は、FR化によるコスト増が避けられない点です。現行コペンが約198万円からという手頃な価格で提供されているのに対し、新型は250万円以上になると予想されており、軽自動車としては高額になりすぎる可能性があります。この価格帯では普通車のスポーツカーも選択肢に入ってくるため、軽自動車にこだわる必然性が薄れてしまいます。また、FR化に伴い車両重量が増加する可能性があり、軽自動車の魅力である軽快さが損なわれる懸念もあります。現行コペンの特徴である「DRESS-FORMATION」による外装着せ替えシステムが廃止される見込みで、個性を楽しむ要素が減少する点も残念です。デザインについても、従来の丸みを帯びた親しみやすさから直線基調のシャープなスタイルへ変更されており、一部では「コペンらしさが失われた」という否定的な意見も見られます。さらに、発売時期が2027年と先になることで、その間に電動化の波がさらに進み、内燃機関のスポーツカーとしての商品価値が目減りする可能性も否定できません。
ダイハツ K-OPENのライバル車
ダイハツ K-OPENの最大のライバルは、言うまでもなくマツダ「ロードスター」です。ロードスターは1989年に初代が登場し、コンパクトオープンスポーツカーの元祖として世界中で愛されている名車で、現行モデルは約290万円からという価格設定となっています。普通車サイズながら軽量かつFRレイアウトを採用し、「人馬一体」の走りを追求している点で、K-OPENが目指す方向性と近いライバルと言えます。かつてはホンダ「S660」が軽オープンカーの直接的なライバルでしたが、S660は2022年に生産終了しており、現在は競合不在の状況です。S660は2015年デビューでMR(ミッドシップ)レイアウトを採用し、コペンとは異なる個性を持っていました。その他、トヨタ「GR86」も価格帯が近いライバルとなる可能性があります。GR86は水平対向エンジンとFRレイアウトを組み合わせた本格的なスポーツカーで、約300万円からの価格設定です。K-OPENが市販化されれば、軽自動車で唯一のFRオープンスポーツという独自のポジションを確立し、ロードスターやGR86よりも手頃な価格でFRの走りを楽しめるエントリーモデルとしての地位を狙うことになるでしょう。
まとめ
ダイハツ K-OPENは、2025年10月29日にジャパンモビリティショー2025で世界初公開された、次期コペンの方向性を示すコンセプトカーです。最大の特徴は軽自動車では異例のFRレイアウトを採用した点で、歴代コペンがFF駆動だったことを考えると革新的な変化と言えます。全長3,395mm、全幅1,475mm、全高1,230mmという軽自動車規格を維持しながら、最適な重量配分と低重心化により本格的なスポーツカーの走りを追求しています。エクステリアはシャープで力強いデザインに進化し、インテリアは先進的なデジタルメーターと5速MTの組み合わせで走る楽しさを演出しています。価格は現行モデルの約198万円から255万円に対し、新型は250万円前後と予想され、発売時期は2027年頃が有力視されています。軽自動車規格を維持することから日本市場での発売は確実で、マツダ ロードスターやトヨタ GR86よりも手頃な価格でFRの走りを楽しめるモデルとして注目されます。豊田章男会長がマスタードライバーとして開発に関わることも発表され、走りの質に期待が高まる一台となっています。

 
  
  
  
  
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