ルノーは2025年11月6日、新型「トゥインゴ E-Tech electric」を正式発表しました。初代トゥインゴのDNAを受け継ぎながら完全電動化を果たした新型は、2万ユーロ(日本円で約354万円)未満という手頃な価格設定で、コンパクトな電気自動車市場で競争力のあるモデルとして注目を集めています。
ルノーブランドCEOのファブリス・カンボリーヴ氏は「2万ユーロ未満の小型電気自動車の提供という挑戦に、欧州生産や脱炭素化、顧客価値を犠牲にすることなく応えるため、私たちは日常生活、遊び心、創意工夫を設計の中心に据えた『トゥインゴスピリット』に立ち返りました」とコメントしています。新型トゥインゴは、都市部での使いやすさとヨーロッパでの競争力ある生産体制を両立させた意欲作です。

車の概要:ルノー トゥインゴとは?
ルノー トゥインゴ(Renault Twingo)は、1992年に登場し1993年から販売が開始されたフランスのシティカーです。初代トゥインゴは、大胆で革新的なワンボックスデザイン、明るくカラフルな外観、そして多彩なシートアレンジを特徴とし、「生活を自分で発明しよう」というスローガンとともにAセグメント市場に新風を吹き込みました。初代は1992年から2007年まで生産され、25カ国で410万台以上を販売する大ヒットとなりました。
2代目は2007年にデビューし2014年まで生産、3代目は2014年から2024年まで製造されました。今回発表された新型「トゥインゴ E-Tech electric」は、4代目モデルに相当します。新型は初代のDNAと遊び心を現代的に再解釈し、完全電動化を果たしたモデルとして生まれ変わりました。開発期間はわずか2年(100週間)という異例の速さで、ルノーの新しい開発プロセス「Leap 100」プログラムの第1号車となっています。

ルノー トゥインゴのエクステリアデザイン
新型トゥインゴのエクステリアは、初代トゥインゴの象徴的なデザイン要素を現代的に昇華させています。コンパクトなワンボックススタイルに遊び心あふれる表情豊かなラインを組み合わせ、都市空間に明るさと楽しさをもたらすデザインとなりました。ボンネットには初代オマージュとなるエアベント、そしてフロントグリルやヘッドランプの形状も初代のデザインを彷彿とさせます。
アーチ型のLEDデイタイムランニングライトは、まるで笑顔のような表情を生み出しています。このライトはヘッドランプが消灯していても常時点灯し、遠くからでもトゥインゴとわかる個性的な存在感を放ちます。フロントグリルは初代同様にさりげない微笑みを形作り、車名ロゴが端に配置されています。


側面から見ると、ダイナミックかつ現代的なプロポーションが際立ちます。5ドア構成でありながら流麗なボディラインを維持し、特徴的な長方形のリアウィンドウや目に見えるウィンドウシールのないエレガントなデザインがこのセグメントでは珍しい上質感を演出しています。リアデザインは、やさしく遊び心あふれるラインと新しいトゥインゴアルファベットを用いたバッジで現代的にアレンジされています。
ボディカラーは、アブソリュートレッド、アブソリュートグリーン、マンゴーイエロー、スターリーブラックの4色を用意。ホイールは16インチと18インチから選択でき、子供の遊びにちなんだ「ドミノ」「ディアボロ」「ミカド」「レベルソ」といった楽しいネーミングが付けられています。
ルノー トゥインゴのボディサイズは、全長3,789mm、全幅1,720mm、全高1,491mmです。





ルノー トゥインゴのインテリアデザイン
新型トゥインゴのインテリアは、明るく楽しい雰囲気を演出する独創的なデザインが特徴です。円筒形のカラフルなダッシュボードは宙に浮いているかのようにデザインされ、開放感を生み出しています。ダッシュボード中央には、初代トゥインゴを象徴する赤い丸型ハザードボタンが透明ケースに収められ、モダンな雰囲気を醸し出します。

インテリアには、初代トゥインゴへのオマージュが随所に散りばめられています。リアシートをスライドさせるストラップには「A vous d’inventer la vie qui va avec(生活を自分で発明しよう)」というオリジナルスローガンが、テールゲート内側には「Ouvert d’esprit(オープンマインド)」というメッセージが刻まれています。
すべてのグレードに、7インチのデジタルメーターパネルと10インチの中央マルチメディアスクリーンからなるデュアルスクリーンを標準装備。これらのスクリーンには、トゥインゴ専用の遊び心あふれるグラフィックとアニメーションが採用され、乗車時には電子音楽の先駆者ジャン=ミシェル・ジャールとのコラボレーションによるウェルカムジングルが流れます。

シートは、エボリューショングレードでは白のマイクロピクセル柄を配したブラックファブリックにグレーステッチ、テクノグレードではグレーからブラックへとグラデーションするヘザードファブリックに赤のステッチを採用。フロントドアのサイドトリムは、ボディカラーと同色に塗装され、ドアハンドルはアームレストの先端、指先のすぐ下に配置されるという工夫が施されています。天井には新しいトゥインゴアルファベットの文字が配されています。





ルノー トゥインゴの走行性能
新型トゥインゴは、コンパクトで軽量な60kW(82馬力)の電気モーターを搭載しています。車両重量は約1,200kg(エボリューショングレード)と軽量で、都市部での機敏な走りを実現。0-50km/h加速はわずか3.85秒、0-100km/h加速は12.1秒と、日常使用に十分なパフォーマンスを発揮します。最高速度は130km/hに設定されています。
バッテリーには、27.5kWh(使用可能容量)のLFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーを採用。LFPバッテリーは、鉄やリン酸塩といった豊富に存在する天然資源を活用し、コバルトやニッケルといった希少金属への依存を減らす環境配慮型の技術です。セル・トゥ・パック構造により、バッテリーコストを約20%削減しつつ、エネルギー密度を最適化しています。
航続距離は、WLTPサイクルで最大263kmを実現。都市部での日常利用(平均35km/日)を想定した最適なサイズのバッテリーで、効率的な運用が可能です。エアロダイナミクスも徹底的に磨き上げられ、CdA値0.656を達成。プラットフォームは、ルノー5やルノー4 E-Techと共通のAmpR Smallプラットフォームをベースに、コスト最適化と都市部での使用を考慮してアレンジされています。
充電機能は、標準で6.6kWのAC充電器を装備し、5メートルのモード3ケーブルが付属。10%から100%までの充電時間は約4時間15分です。オプションの「アドバンスドチャージ」パックを選択すると、11kWのAC双方向充電器と50kWのDC急速充電器が追加され、AC充電時間は10%から100%まで約2時間35分、DC急速充電では10%から80%まで約30分に短縮されます。

テクノグレードには、ルノー4 E-Techで初搭載された「ワンペダル」機能が標準装備。アクセルペダルから足を離すだけで減速・停止できるため、渋滞や信号待ちが多い都市部での運転が格段にスムーズになります。エボリューショングレードでも、ギアレバーでBモードを選択することで回生ブレーキレベルを高められます。

ルノー トゥインゴの安全性能・運転支援
新型トゥインゴは、最大24種類の先進運転支援システム(ADAS)を搭載しています。主な機能として、アダプティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー付)、交通標識認識、車線維持支援、ブラインドスポット警告などを装備。
オプションの「パーキング&セーフティ」パックを選択すると、ハンズフリーパーキング機能が利用できます。後退時には、リアクロストラフィックアラートとリア自動緊急ブレーキシステムが作動し、歩行者や障害物との衝突を防ぎます。乗員安全退出警告機能は、ドア開放時に接近する車両やバイク、自転車を検知します。
安全装備として、全グレードに6つのエアバッグを標準装備。ルノーの「ヒューマンファースト プログラム」に基づき、将来のGSR2.3基準に準拠しています。インテリアカメラを使った先進ドライバーモニタリングシステムが、ドライバーの疲労や注意散漫を検知。走行データを分析する「セーフティスコア」機能と、安全運転向上のアドバイスを提供する「セーフティコーチ」機能も搭載されています。

価格
新型ルノー トゥインゴ E-Tech electricの価格は、欧州市場で2万ユーロ(日本円で約354万円)未満からとなっています。エントリーグレードの「エボリューション」から上級グレードの「テクノ」まで、魅力的な価格設定が維持される見込みです。
この価格は、補助金を適用する前の本体価格であり、各国の電気自動車購入補助金を利用すれば、さらに手頃な価格で購入できる可能性があります。ルノーは、同クラスのガソリン車と直接競合できるランニングコストの実現を目指しており、購入時だけでなく維持費も含めた総所有コストの低減に注力しています。
日本市場での価格設定については、現時点で正式な発表はありませんが、輸入車としての諸費用や為替レートを考慮すると、日本での販売価格は欧州価格よりも高くなる可能性があります。


発売時期
ルノー トゥインゴ E-Tech electricは、2026年初頭に欧州市場で発売される予定です。生産は、スロベニアのノヴォ・メスト工場で行われます。同工場は、ルノー4、ルノー5、クリオ、歴代トゥインゴなど、これまでに500万台以上の車両を生産してきた歴史ある施設です。
新型トゥインゴの生産に向けて、工場では大規模な設備投資と従業員のスキルアップが実施されました。バンパーの射出成形・塗装ライン、シートとフロントクロスメンバーの組立ラインなど、生産チェーン全体にわたるシステムの近代化が行われています。また、プラントコネクト(産業メタバース)やソーラー発電施設の導入により、デジタル化と環境配慮を両立した生産体制が整備されています。
日本で発売されるか
現時点で、新型ルノー トゥインゴ E-Tech electricの日本導入については正式な発表がありません。前モデルの3代目トゥインゴは、2023年に日本向け生産が終了し、2024年には300台限定の最終モデル「ファイナルエディション」が販売されました。
しかし、電気自動車市場の拡大と環境規制の強化が進む日本市場において、手頃な価格で購入できるコンパクトEVへの需要は高まっています。ルノー・ジャポンからの正式発表が待たれるところですが、ルノー5 E-Techやルノー4 E-Techの日本導入状況次第では、新型トゥインゴの日本市場投入の可能性も期待できます。
日本でも新型トゥインゴの日本導入に期待を寄せられており、今後の続報が注目されています。

辛口評価
ルノー トゥインゴをあえて辛口で評価します。まず気になるのは、航続距離の263kmという数値です。都市部での日常使用には十分ですが、長距離ドライブや高速道路での移動を考えると、やや不安が残ります。オプションの急速充電パックを追加すれば改善されるものの、追加コストが発生する点は考慮すべきでしょう。
次に、最高速度が130km/hに制限されている点も、高速道路での追い越しや合流時に余裕がないと感じる場面があるかもしれません。また、60kWという出力は都市部では問題ありませんが、坂道や満員乗車時にはパワー不足を感じる可能性があります。
ボディカラーが4色のみという選択肢の少なさも、個性を重視するユーザーにとっては物足りないでしょう。これはコスト削減と生産効率化のための戦略ですが、初代トゥインゴが10色以上のカラーバリエーションを用意していたことを考えると、やや寂しい印象を受けます。
さらに、日本での発売が未定という点は、日本のファンにとって最大の不満材料です。前モデルが2023年に生産終了してから空白期間が生まれており、トゥインゴブランドの日本での存在感が薄れてしまうリスクもあります。

ライバル車
新型ルノー トゥインゴ E-Tech electricの主要なライバルは、フォルクスワーゲン「ID.1」(開発中、2027年発売予定)です。ID.1も約2万ユーロという同価格帯を目指しており、航続距離は約250kmとトゥインゴとほぼ同等です。ただし、トゥインゴは2026年初頭の発売予定で、約1年早い市場投入により先行者メリットを享受できる見込みです。
フランス国内では、シトロエン「ë-C3」も競合車種として挙げられます。ë-C3は実用的なデザインと手頃な価格で、同じくコンパクトEV市場を狙っています。また、プジョー「e-208」やオペル「コルサ・エレクトリック」なども、価格帯はやや上ですが、コンパクトEVセグメントでの選択肢となります。
日本市場を見据えると、日産「サクラ」や三菱「eKクロス EV」といった軽規格の電気自動車が、価格帯と用途の面でライバルとなる可能性があります。ただし、トゥインゴは5ドア・4人乗りで室内空間が広く、高速道路での走行も想定されているため、より汎用性の高い選択肢となるでしょう。



主要スペック
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 全長 | 3,789mm |
| 全幅 | 1,720mm |
| 全高 | 1,491mm |
| ホイールベース | 2,493mm |
| 車両重量 | 1,200kg〜 |
| 乗車定員 | 4名 |
| モーター最高出力 | 60kW(82馬力) |
| モーター最大トルク | 175Nm |
| バッテリータイプ | LFP(リン酸鉄リチウム) |
| バッテリー容量 | 27.5kWh(使用可能) |
| 航続距離(WLTP) | 最大263km |
| 充電方式(標準) | AC 6.6kW |
| 充電方式(オプション) | AC 11kW/DC 50kW |
| 最高速度 | 130km/h |
| 0-50km/h加速 | 3.85秒 |
| 0-100km/h加速 | 12.1秒 |
| 荷室容量 | 305L(VDA方式)/360L |
| 荷室容量(後席格納時) | 1,000L超 |
| タイヤサイズ | 195/60 R16/205/45 R18 |

まとめ
新型ルノー トゥインゴ E-Tech electricは、1992年に登場した初代の遊び心と革新性を現代に蘇らせた4代目モデルです。2025年11月6日の発表では、約354万円という手頃な価格設定、263kmの実用的な航続距離、60kWのコンパクトな電動パワートレイン、そして初代を彷彿とさせる明るく楽しいデザインが披露されました。わずか2年という開発期間で完成させた本モデルは、ルノーの新しい開発手法を体現する意欲作でもあります。
テクノグレードには、Aセグメント初のGoogleビルトインOpenRリンクシステムやワンペダル機能、ハンズフリーパーキングなど、上級セグメント譲りの先進技術が惜しみなく投入されています。スロベニアのノヴォ・メスト工場で2026年初頭から生産が開始され、欧州市場での販売がスタートする予定です。日本導入については現時点で未定ですが、手頃な価格で購入できるコンパクトEVとして、今後の動向が注目されます。



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