レクサスは2025年12月24日、ブランド初のバッテリーEV(BEV)専用モデル「レクサス RZ」をビッグマイナーチェンジし、新型RZを発売しました 。今回の大幅な改良では、BEVシステムを全面刷新し、モーターの高出力化や航続距離の伸長、充電時間の短縮を実現しています 。
さらに注目なのは、レクサスとして初採用となる「ステアバイワイヤシステム」を搭載した新グレード「RZ550e”F SPORT”」がラインアップに追加されたこと 。次世代の操舵感覚をもたらすこの先進技術により、従来とは異なる全く新しいドライビング体験を提供します 。
価格は790万円から950万円で、走りのコンセプト”The Natural”を徹底的に追求し、「Lexus Driving Signature」をさらに深化させたモデルとなっています 。

車の概要:レクサス RZとは?
レクサス RZは、2023年3月30日に発売されたレクサス初のBEV専用クロスオーバーSUVです 。初代モデルとして登場したRZは、レクサスがこれまで培ってきた電動化技術を結集し、BEVを軸とするブランドへの幕開けを告げるモデルとして位置づけられています 。
2005年のRX400h発売以降、レクサスはラグジュアリー市場における電動化の先駆者として、優れた走行性能と環境性能の両立を追求してきました 。その技術の集大成として生まれたのがRZであり、今回の改良新型モデルは初代の登場から約2年9ヶ月を経て投入された大幅な進化版といえます 。
今回の新型では、BEV専用プラットフォームの改良により素性が向上し、電動化技術を活用した四輪駆動力システム「DIRECT4」の特性も見直されています 。新たに追加された「RZ550e”F SPORT”」グレードは、最大システム出力300kW(407PS)を発生させ、よりスポーティな走りを求めるユーザーのニーズに応えるラインアップとなっています 。

そして合わせてレクサス RZ600e F SPORT Performanceも発表されました。こちらは「レクサス RZ550e F SPORT」をベースに、エアレースパイロットの室屋義秀選手とレーシングドライバーの佐々木雅弘選手との協働により、空力性能と走りの質を極限まで磨き上げた特別仕様車となっています。以下の記事で詳しく解説しています。
レクサス RZのエクステリアデザイン
新型レクサス RZのエクステリアは、BEVならではの「スピンドルボディ」というレクサス独自のデザインコンセプトを採用しています 。内燃機関のような大きなグリル開口部を必要としないBEVの特性を活かし、流麗でありながら力強さを感じさせるフロントフェイスに仕上げられています 。

新設定の「RZ550e”F SPORT”」では、空力性能に根差した専用のエクステリアアイテムを採用しています 。フロントロアバンパーモール、ブレーキダクト、リヤスポイラー、リヤバンパーロアといった機能的なパーツが装備され、優れた空力性能と操縦安定性の実現に貢献しています 。
20インチエアロホイールカバーは、骨格となるアルミホイールに空力デバイスとしてのエアロカバーを組み合わせた構造により、軽量化と空力による電費性能の向上を両立しています 。ボディカラーには、硬質なライトグレーにメタリックをほのかに含ませた新色「ニュートリノグレー」を「RZ550e”F SPORT”」専用色として設定し、ブラックとのバイトーンでタフ&スポーティな印象を演出しています 。

モノトーン全5色とバイトーン全4色が用意され、BEVならではの内なる力強さとスポーティな走りを予感させるカラーバリエーションとなっています 。レクサス RZのボディサイズは、全長4,805mm、全幅1,895mm、全高1,635mmです 。





レクサス RZのインテリアデザイン
新型レクサス RZのインテリアは、BEVならではのクリーンで開放的な空間設計が特徴です 。ロングホイールベース化により1,000mmのカップルディスタンスを確保し、後方にルーフのピークがあることでヘッドクリアランスに解放感を持たせています 。
「RZ550e”F SPORT”」専用のインテリアカラーとして「ブラック&ダークグレー」が設定され、ブルーステッチのアクセントを組み合わせることでスポーティな世界観を創出しています 。オーナメントパネルには「マイクロジオメトリックパターンフィルム」を採用し、表皮一体発泡工法を用いたフロントシート、”F SPORT”ロゴ入りのフロントスカッフプレート、ステアリングホイールの”F SPORT”エンブレム、アルミペダル&フットレストなど、随所にスポーティな演出が施されています 。
レクサス初となるステアバイワイヤ用ステアリングホイールは、中立位置から左右約200度の範囲でステアリング操作が可能な設計です 。上下部分にリングのない形状は、ドライバーの視線を自然と前方に誘い、BEVの爽快な走りに集中できるコックピットを実現するとともに、足元スペースの確保による優れた乗降性にも貢献しています 。

調光機能付パノラマルーフは機能をさらに高め、調光機能ON時にはパノラマルーフの鮮明度を向上させて開放的な室内空間をもたらし、OFF時には遮光性を高めて直射日光や紫外線の強い環境での快適性を向上させています 。また、約30%の植物由来原料比を実現したウルトラスエードにレーザー加工によるグラフィックを施した、レクサス初となるドアトリム表皮も設定されています 。
さらに、レクサス初となるダイナミック陰影イルミネーション(マルチカラー)も採用され、時間の移ろいを感じさせるような徐々に変化する繊細な陰影柄が心地よい時間を提供します 。





レクサス RZの走行性能
新型レクサス RZは、BEVシステムを全面刷新し、基本性能を徹底的に追求しています 。バッテリーセルの改良に加えて搭載セル数を増加させた新開発の大容量リチウムイオンバッテリーを採用し、モーターの新設計により高出力化を実現しました 。
インバーターの効率を高めた新型eAxleを搭載することで、駆動モーターの高出力化(フロント/リヤともに167kW)とユニットの高効率化を図っています 。最上位グレードの「RZ550e”F SPORT”」では、前後モーターの高出力化により最大システム出力300kW(407.8PS)を発生し、0-100km/h加速は4.4秒という俊敏な加速性能を実現しています 。

電動化技術を活用した四輪駆動力システム「DIRECT4」は、駆動力配分の制御を見直し、さらに優れたトラクション性能と操縦安定性を達成しました 。発進時や直進加速時は車両のピッチングを抑え、ダイレクトな加速感が得られるように前輪:後輪=60:40〜0:100程度で制御し、コーナリング時には走行状態に合わせて80:20〜0:100で最適に制御します 。

サスペンションの設定も見直され、フロントサスペンションは低周波側のアブソーバー減衰力を上げることでフラットな乗り心地を追求し、リヤサスペンションでは減衰力の可変幅を拡大して優れた操縦安定性と乗り心地を両立させています 。また、フロントエンド、フロア、リヤエンドの剛性を強化し、ステアリング操作に対するリニアな反応を実現しています 。
「RZ550e”F SPORT”」には、レクサスとして初採用となる「ステアバイワイヤシステム」と「インタラクティブマニュアルドライブ」が搭載されています 。ステアバイワイヤシステムは電気信号によってタイヤの動きを制御するため、路面からの振動を効果的に抑制しながら、運転に必要な情報のみをドライバーへ伝達します 。インタラクティブマニュアルドライブは8速の仮想有段ギヤを持ち、パドルシフトでマニュアルトランスミッションを操作するような感覚で駆動力を操作できる機能です 。
航続距離は、AWDモデルの「RZ500e”version L”」で最大579km、FWDモデルの「RZ350e”version L”」では733kmと大幅に伸長しています 。

レクサス RZの価格
レクサス RZの価格は790万円からです 。グレードごとの価格は以下の通りとなっています 。
エントリーグレードの「RZ350e”version L”」(FWD)は790万円(消費税込み)で、航続距離733km(18インチタイヤ装着車)を誇ります 。中間グレードの「RZ500e”version L”」(AWD)は850万円(消費税込み)で、最大システム出力250kW(339.9PS)を発生し、航続距離は579km(20インチタイヤ装着車)です 。
最上位グレードとなる新設定の「RZ550e”F SPORT”」(AWD)は950万円(消費税込み)で、最大システム出力300kW(407.8PS)、航続距離582kmという高性能モデルとなっています 。このグレードにはレクサス初のステアバイワイヤシステムやインタラクティブマニュアルドライブなどの先進技術が搭載されています 。

レクサス RZの発売時期
新型レクサス RZは、2025年12月24日に全国のレクサス店を通じて発売されました 。今回の発売では、従来のグレードである「RZ500e”version L”」と「RZ350e”version L”」に加えて、新たに「RZ550e”F SPORT”」がラインアップに追加されています 。
発売と同時に、レクサス充電ステーションも拡充され、博多と軽井沢に新たに2拠点が開設される予定です 。キャナルシティ博多隣接スペースには2025年度内にレクサス充電ステーションが開設され、2026年3月には軽井沢駅北口の軽井沢T-SITEにもレクサス充電ステーションの開設が予定されています 。
レクサス RZは日本で発売されるか
新型レクサス RZは、日本国内で既に発売されています 。今回発表された新型モデルは、日本市場向けの仕様として開発されており、全国のレクサス店を通じて2025年12月24日から販売が開始されました 。
レクサスは、日本国内におけるBEV普及に向けた取り組みを強化しており、全国190店舗のレクサス販売店に50kW以上の急速充電器を設置してきましたが、さらに150kW以上の充電器の全店舗への設置を進めています 。これらの充電器は24時間365日利用可能で、レクサスのBEVオーナーは60日前から予約もできる快適な充電環境が整えられています 。
また、レクサス充電ステーションは、東京ミッドタウン日比谷、軽井沢コモングラウンズ、大名古屋ビルヂング、JRセントラルタワーズ、グラングリーン大阪、ONE FUKUOKA BLDG.に続き、博多と軽井沢にも開設される予定で、日本国内でのBEVライフをサポートする体制が整っています 。

辛口評価
レクサス RZをあえて辛口で評価します。最大の課題は、やはり価格設定です。エントリーモデルでも790万円からという価格帯は、同クラスのBEV SUVと比較すると明らかに高額で、ライバルの日産アリアが539万円から設定されていることを考えると、レクサスブランドのプレミアム性を加味しても価格差が大きすぎる印象があります 。
航続距離も、FWDモデルで733kmと大幅に伸長したとはいえ、競合他社のBEVと比較して圧倒的に優位とは言えません 。特に、最上位グレードの「RZ550e”F SPORT”」は582kmと、高出力化の代償として航続距離が短くなっており、日常使いでの実用性に不安を感じるユーザーもいるでしょう 。
ステアバイワイヤシステムは確かに先進的ですが、左右約200度の操作範囲という制限があり、従来のステアリングフィールに慣れたドライバーにとっては違和感を覚える可能性があります 。また、このシステムが最上位グレードの「RZ550e”F SPORT”」にのみ搭載されているため、950万円という高額な投資をしなければ体験できない点も残念です 。
充電インフラに関しても、レクサス専用の充電ステーションは主要都市部に限定されており、地方での利便性はまだまだ課題が残ります 。150kW以上の充電器を全店舗に設置する計画は評価できますが、一部店舗を除くという但し書きがあり、完全なカバレッジには至っていません 。

レクサス RZのライバル車
レクサス RZの最大のライバルは、日産アリアです 。アリアは日産のフラッグシップBEVとして位置づけられており、2WDと4WDの両方をラインアップしています 。価格帯は539万円から790万200円と、レクサス RZよりもリーズナブルな設定となっています 。
アリアは、バッテリー容量が66kWhのB6というエントリーグレードを用意しており、より幅広い層にアプローチできる価格設定が魅力です 。ただし、4WDモデルの注文が終了してしまい、現在のところFFモデルの「アリア B6」のみのラインアップとなっている点は大きなマイナス面といえます 。
レクサス RZはプレミアムブランドとしての質感や静粛性、走りの味わいで優位に立っていますが、アリアはバリエーションの豊富さや価格競争力で対抗しています 。両車ともに国産BEV SUVの代表格として、日本のBEV市場をけん引する存在となっています 。
その他のライバルとしては、テスラ モデルYやメルセデス・ベンツ EQC、アウディ e-tronなどの輸入BEV SUVも挙げられますが、日本国内での充電インフラや販売網の充実度を考慮すると、国産のアリアが最も直接的な競合車といえるでしょう 。

レクサス RZの主要スペック
RZ550e”F SPORT”(AWD)
- 全長:4,805mm
- 全幅:1,895mm
- 全高:1,635mm
- ホイールベース:2,850mm
- 車両重量:2,120kg
- タイヤサイズ:20インチ
- 航続距離:582km(WLTCモード)
- 電費:144Wh/km
- 総電力量:76.96kWh
- フロントモーター最高出力:167kW(227PS)
- フロントモーター最大トルク:268N・m(27.3kgf・m)
- リヤモーター最高出力:167kW(227PS)
- リヤモーター最大トルク:268N・m(27.3kgf・m)
- システム最高出力:300kW(407.8PS)
- 0-100km/h加速:4.4秒
- 急速充電規格:CHAdeMO
- 価格:950万円(消費税込み)
RZ500e”version L”(AWD)
- 全長:4,805mm
- 全幅:1,895mm
- 全高:1,635mm
- ホイールベース:2,850mm
- 車両重量:2,070kg(20インチタイヤ装着車)
- タイヤサイズ:18/20インチ
- 航続距離:579km(WLTCモード・20インチタイヤ装着車)
- 電費:147Wh/km(20インチタイヤ装着車)
- 総電力量:76.96kWh
- システム最高出力:250kW(339.9PS)
- 0-100km/h加速:5.3秒
- 急速充電規格:CHAdeMO
- 価格:850万円(消費税込み)
RZ350e”version L”(FWD)
- 全長:4,805mm
- 全幅:1,895mm
- 全高:1,635mm
- ホイールベース:2,850mm
- 車両重量:1,950kg(18インチタイヤ装着車)
- タイヤサイズ:18/20インチ
- 航続距離:733km(WLTCモード・18インチタイヤ装着車)
- 電費:120Wh/km(18インチタイヤ装着車)
- 総電力量:74.69kWh
- システム最高出力:165kW(224.3PS)
- 0-100km/h加速:7.5秒
- 急速充電規格:CHAdeMO
- 価格:790万円(消費税込み)

まとめ
2025年12月24日に発売された新型レクサス RZは、BEVシステムを全面刷新し、航続距離の伸長と充電時間の短縮を実現した大幅な改良モデルです。最大の注目点は、レクサスとして初採用となるステアバイワイヤシステムを搭載した「RZ550e”F SPORT”」の追加で、最高出力407PSの力強い走りと次世代の操舵感覚が味わえます。価格は790万円から950万円という設定で、プレミアムブランドらしい質感と先進技術が詰め込まれています。
走行性能では、四輪駆動力システム「DIRECT4」の進化により、優れたトラクション性能と操縦安定性を獲得し、サスペンションの最適化によって乗り心地も大幅に向上しました。静粛性の向上やダイナミック陰影イルミネーションなど、インテリアの質感も高められており、BEVならではの快適な空間が実現されています。
充電インフラの拡充も進められており、全国のレクサス販売店に150kW以上の充電器を設置する計画や、主要都市部にレクサス充電ステーションを開設するなど、BEVライフをサポートする体制が整えられています。ライバルの日産アリアと比較すると価格面では不利ですが、レクサスならではの上質な走りと先進技術で差別化を図っており、プレミアムBEV市場における存在感を高めています。




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