レクサスは2025年9月25日、フラッグシップセダン「LS」の一部改良モデルを発表し、全国のレクサス店を通じて同日発売しました。今回の改良では、エクステリアカラーの設定を拡大し、ホワイトノーヴァガラスフレークとディープブルーマイカを全車で選択可能としたほか、フロントおよびリヤシートヒーターを全車に標準装備するなど、より洗練されたラグジュアリーな世界観を演出しています。

車の概要:レクサス LSとは?
レクサス LSは、トヨタ自動車が展開する高級車ブランド「レクサス」のフラッグシップセダンです。1989年にアメリカ合衆国を主要マーケットとして初代モデルが発売され、静粛性と快適性への高い評価でレクサスブランドの礎を築きました。初代から3代目までは、日本国内ではトヨタブランドで「セルシオ」の名称で販売されていましたが、2006年9月に日本でレクサスブランドが本格展開されたことに伴い、「LS」として国内導入されました。
現行モデルは2017年にフルモデルチェンジした5代目に当たり、斬新なクーペシルエットやエモーショナルな走りを実現するなど、大きな変革を果たしました。LSは30年以上に渡り90以上の国と地域で累計約87万台を販売し、レクサスのフラッグシップとして常にイノベーションの精神を貫き、その時代に新たな技術や価値観を提供することで変革を起こすクルマとして位置付けられています。
2020年11月のマイナーチェンジでは、静粛性と乗り心地など走りの基本性能の徹底的な作り込みが行われ、パワートレーンやサスペンションからシートの縫い位置などの細部に至るまで改良が施されました。そして2025年9月の一部改良では、さらなるラグジュアリーな世界観を演出するカラーラインアップの拡充と装備の充実が図られています。

レクサス LSのエクステリアデザイン
2025年の一部改良では、エクステリアカラーの設定が大幅に見直され、よりラグジュアリーな世界観を演出するカラーラインアップが整えられました。特に注目すべきは、濁りのない白さを追求したホワイトノーヴァガラスフレークと、鮮やかさと艶やかな深みを両立したディープブルーマイカが全車で選択可能になったことです。これらのカラーは、F SPORT専用色として設定されていたものが拡大され、すべてのグレードで選べるようになりました。
2020年のマイナーチェンジでは、レクサスのデザイン思想である「Time in Design」を追求し、月の道という自然界の神秘的な情景をモチーフに内外装がコーディネートされました。ハイライトの美しい輝きと奥行きを感じる深い陰影を特徴とする「銀影ラスター」が新規開発され、蒸着アルミを高密度で敷き詰める最新の塗装技術「ソニック工法」を応用することで、鏡面のように粒子感をほとんど感じさせない滑らかな質感を実現しています。
エクステリアデザインの特徴としては、フロントバンパーコーナー部に縦基調のキャラクターラインを配置し、オーバーハングが短く見える意匠とすることで、LSならではの上質な走りを表現しています。新意匠の小型3眼ランプユニットとL字を際立たせたクリアランスランプの下に、ブレードスキャン アダプティブハイビームシステム(AHS)を搭載した厚みのあるヘッドランプ形状で風格を際立たせました。また、スピンドルグリルのメッシュカラーをダークメタリックに変更し、よりフォーマルなシーンにも配慮した上品さを表現しています。
レクサス LSのボディサイズは、全長5,235mm、全幅1,900mm、全高1,450mmです。





レクサス LSのインテリアデザイン
レクサス LSのインテリアは、エクステリアと同様に「Time in Design」のデザイン思想のもと、時の移ろいの中で様々な表情を感じさせるデザインが採用されています。オーナメントにはプラチナ箔と西陣織を新規設定し、西陣織の銀糸やプラチナ箔の輝きにより、月明りに照らされた波の揺らぎによる「月の道」を表現しています。これらの匠の手によって作られる素材は、日本独自の美意識に由来した世界観をインテリア空間に取り入れることを目的としています。
2020年のマイナーチェンジでは、ハンドルとセンターコンソールのスイッチ類を黒で統一し、視認性を向上させるとともに端正な印象としました。また、使用頻度の高いシートヒーターとステアリングヒーターの操作画面を表示させるスイッチをセンターコンソールに追加することで、操作性が向上しています。マルチメディアシステムは、新たにタッチディスプレイを採用するとともに、SmartDeviceLinkやApple CarPlay、Android Autoに対応し、iPhoneやAndroidスマートフォンを12.3インチタッチワイドディスプレイに連携することで、画面操作や音声操作が可能になるなど利便性が大きく向上しました。
2025年の一部改良では、フロントおよびリヤシートヒーターが全車に標準装備され、快適性がさらに向上しています。シート表皮の縫い位置はより深い位置に変更されるとともに、新たに開発された低反発ウレタンパッドが採用され、振動吸収と柔らかな座り心地により、さらなる快適性を実現しています。





レクサス LSの走行性能
レクサス LSは、フラッグシップセダンのDNAである静粛性と乗り心地のたゆまぬ進化を追求し、パワートレーンやサスペンションからシートの縫い位置などの細部に至るまで徹底的な作り込みが実施されています。
パワートレーンは、LS500に3.5L V型6気筒ツインターボエンジン(V35A-FTS)を搭載し、Direct Shift-10ATと組み合わせられています。このエンジンでは、使用頻度の多い走行領域でのエンジントルクの立ち上がりを向上させ、余裕のある力強い走りを実現しました。電動駆動方式で過給圧を制御するウェイストゲートバルブのバルブ開度を緻密に制御し、アクセル操作に対して発生するエンジントルクの精度を高め、車両の加速レスポンスを向上させています。また、燃焼室形状の最適化により燃焼効率を向上することで、出力、燃費性能、静粛性が向上しました。
一方、LS500hには3.5L V型6気筒エンジン(8GR-FXS)とMulti Stage Hybrid Systemが搭載されています。このハイブリッドシステムは、優れた燃費性能とモーターによる力強い加速性能を両立させています。
サスペンションでは、減衰力可変ダンパーAVSに新たに設計された油圧制御用ソレノイドのオイル流量制御バルブの流路を拡大し、減衰力を低減することで上質な乗り心地を実現しています。また、減衰力の可変幅拡大により、優れた操舵応答性と安定性にも寄与しています。ランフラットタイヤの縦バネ剛性、スタビライザーバーのばね定数、バウンドストッパーの先端剛性を最適化し、エンジンマウント内のオリフィスを変更することで減衰特性の変更を行い、室内に伝わる振動や衝撃を低減しました。
2WD車のフロントサスペンションには高強度アルミ鍛造アームが採用され、タイヤの質量低減によりばね下質量を約3.5kg軽量化し、路面からの入力がボディに伝わりにくくすることで乗り心地を向上させています。

レクサス LSの価格
レクサス LSの価格は、1,257万円からとなっています。
LS500hのグレード別価格は以下の通りです。
- “I package” 2WD(FR):1,257万円
- “I package” AWD:1,305万円
- “F SPORT” 2WD(FR):1,379万円
- “F SPORT” AWD:1,427万円
- “version L” 2WD(FR):1,557万円
- “version L” AWD:1,605万円
- “EXECUTIVE” 2WD(FR):1,725万円
- “EXECUTIVE” AWD:1,773万円
LS500のグレード別価格は以下の通りです。
- “I package” 2WD(FR):1,111万円
- “I package” AWD:1,159万円
- “F SPORT” 2WD(FR):1,233万円
- “F SPORT” AWD:1,281万円
- “version L” 2WD(FR):1,411万円
- “version L” AWD:1,459万円
- “EXECUTIVE” 2WD(FR):1,579万円
- “EXECUTIVE” AWD:1,627万円


レクサス LSの発売時期
レクサス LSの2025年一部改良モデルは、2025年9月25日に発売されました。レクサスは同日にプレスリリースを発表し、全国のレクサス店を通じて同日より販売を開始しています。

レクサス LSをあえて辛口で評価します
レクサス LSをあえて辛口で評価します。まず、今回の一部改良は実質的にカラーバリエーションの拡大とシートヒーターの標準装備、ブレーキキャリパーの意匠変更という非常に限定的な内容にとどまっています。エンジンやシャシー、安全装備などの本質的な部分には一切手が加えられておらず、単なるマイナーチェンジというよりは年次改良レベルの改良と言わざるを得ません。
価格面では、LS500hの最上位グレード”EXECUTIVE”のAWDが1,773万円と、かなり高額な設定となっています。ライバルであるメルセデス・ベンツSクラスやBMW 7シリーズと比較すると、先進技術や運転支援機能の充実度において見劣りする部分があり、この価格帯でのコストパフォーマンスには疑問符が付きます。
また、現行5代目LSは2017年のフルモデルチェンジからすでに8年が経過しており、デザイン的にも技術的にも新鮮味が失われつつあります。特に4ドアクーペ的なスタイリングは、フラッグシップセダンに求められる後席の快適性や実用性を犠牲にしており、コンセプトの分かりにくさが指摘されています。全高1,450mmという低さは見た目の格好良さを優先した結果であり、乗降性や頭上空間の余裕という点では、伝統的なセダンスタイルを保つライバル車に劣ります。
さらに、ボディサイズが全長5,235mm、全幅1,900mmと非常に大きく、日本の狭い道路環境や駐車場では取り回しに苦労する場面が多々あります。フラッグシップセダンとしての威厳を示すためのサイズではありますが、日常使いの利便性を考えると、この大きさはデメリットにもなり得ます。

レクサス LSのライバル車
レクサス LSのライバル車としては、世界の高級車市場で競合する欧州プレミアムブランドのフラッグシップセダンが挙げられます。
まず筆頭に挙げられるのがメルセデス・ベンツ Sクラスです。Sクラスは高級車の王道として君臨し、最新技術と圧倒的な高級感、そして後席の快適性において世界的な評価を得ています。LSと同じく3.0Lクラスのターボエンジンやハイブリッドをラインアップし、価格帯も近いことから、直接的なライバル関係にあります。
次にBMW 7シリーズも強力なライバルです。BMWの最上級セダンとして、スポーティな走行性能と高級感を両立させ、特にドライバーズカーとしての性格が強い点が特徴です。LSと比較すると、よりダイナミックな走りを志向する層に訴求しています。
また、アメリカ市場ではキャデラック CT6も競合車として挙げられます。CT6はアメリカンラグジュアリーの代表格として、独自の価値観と先端技術を提供しています。
国内市場においては、トヨタ クラウンやトヨタ アルファードも、価格帯や顧客層の一部が重なることから比較対象となることがあります。特にアルファードは高級ミニバンとして、後席の快適性を重視する層に人気があり、LSとは異なるアプローチでラグジュアリー市場に訴求しています。

まとめ
レクサス LSの2025年一部改良モデルは、9月25日に発売され、エクステリアカラーの設定拡大とフロント・リヤシートヒーターの全車標準装備を中心とした改良が施されました。1989年の初代モデル以来、レクサスのフラッグシップセダンとして静粛性と乗り心地を追求し続けてきたLSは、現行モデルで5代目を迎えています。価格は1,257万円から1,773万円まで、LS500とLS500hの2つのパワートレーンに4つのグレードが設定されています。ボディサイズは全長5,235mm、全幅1,900mm、全高1,450mmと、堂々たる存在感を誇ります。ライバルとしてはメルセデス・ベンツSクラスやBMW 7シリーズが挙げられ、世界の高級車市場で熾烈な競争を繰り広げています。今回の一部改良は小規模なものの、レクサスブランドの頂点に立つフラッグシップセダンとして、常に進化を続ける姿勢を示しています。



コメント