シボレーは2025年10月9日、電気自動車「シボレー ボルト(Chevrolet Bolt)」の2027年モデルを発表しました。2023年12月に生産終了となったボルトですが、熱心なファンからの復活を望む声に応える形で、わずか2年足らずで市場復帰を果たすことになります。新型ボルトは限定生産モデルとして2026年初頭に米国での発売が予定されており、価格は2万9,990ドル(約453万円)からと、3万ドル以下で購入できる電気自動車の中で最長の航続距離を誇るモデルとなります。
車の概要:シボレー ボルトとは?
シボレー ボルトは、2017年に市場投入された手頃な価格で購入できる長距離走行可能な電気自動車として、業界に大きな変革をもたらしたモデルです。初代モデルは1回の充電で238マイル(約383キロメートル)という航続距離を実現し、テスラ モデルSと同等の性能を半分以下の価格で提供したことで注目を集めました。その後、ボルトEVとボルトEUVの2つのバリエーションが展開されましたが、2023年末に一度生産終了となりました。今回発表された2027年モデルは、旧ボルトEUVのシャシーをベースに、GMの最新電気自動車技術を組み合わせた第2世代モデルとして生まれ変わっており、実質的には2代目に当たります。新型では単に「ボルト」という名称に統一され、LFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーと新しいモーターを搭載することで、より効率的で手頃な価格の電気自動車として復活を果たしました。

シボレー ボルトのエクステリアデザイン
新型シボレー ボルトのエクステリアは、先代モデルの特徴的なデザインを踏襲しながら、細部にアップデートが施されています。フロントマスクには現代的な改良が加えられ、一目でボルトとわかる親しみやすいルックスを維持しています。

最も注目すべき変更点は、リアテールランプの配置です。従来モデルでは通常の位置にテールランプではない部分があり、実際のテールランプがバンパーの下部に配置されるという独特な構成でしたが、新型ではリアウィンドウのすぐ下、つまり本来あるべき位置に適切に配置されるよう改良されました。また、NACS(北米充電規格)充電ポートを標準装備し、テスラのスーパーチャージャーをアダプターなしで利用できるようになっています。7色のボディカラーと3種類の17インチホイールが用意され、RSトリムではグロスブラックのホイールとルーフレール、専用バッジ、そして限定カラーとインテリアトリムの組み合わせが選択可能です。
シボレー ボルトのボディサイズは、全長4,307mm、全幅1,770mm、全高1,622mmとなっています。

シボレー ボルトのインテリアデザイン
新型シボレー ボルトのインテリアは、最新のデジタル技術と使いやすさを両立させた設計となっています。ダッシュボードデザインは基本的に先代モデルを踏襲していますが、助手席側に新たに収納スペースが追加されました。メーターパネルには11.0インチのデジタルディスプレイが採用され、ようやく表示のカスタマイズが可能になりました。

センターには11.3インチのインフォテインメントスクリーンが配置され、Googleビルトインシステムを搭載しています。このシステムにはGoogleマップが統合されており、充電スポットを含むルートプランニング機能が利用できます。また、スーパークルーズ(ハンズフリー運転支援システム)を選択した場合、Googleマップ上でどの道路で使用可能かが表示されます。以前のモデルではタッチセンサー式だった画面下部のコントロールが、物理ボタンとダイヤルに変更され、エアコン操作がより直感的に行えるようになりました。残念ながら、GMの電気自動車に関する方針により、CarPlayやAndroid Autoには対応していません。オプション装備としては、ワイヤレス充電器、パノラマサンルーフ、シートヒーター・ベンチレーション、ステアリングヒーター、360度カメラなどが用意されています。インフォテインメントシステムにはアプリのダウンロードも可能で、充電中の時間つぶしにゲームやストリーミング動画サービスを楽しむこともできます。




シボレー ボルトの走行性能
新型シボレー ボルトは、GMの最新電気自動車技術を採用した65kWhのLFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーを搭載しています。LFPバッテリーは従来のリチウムイオンバッテリーに比べてエネルギー密度は劣るものの、発火リスクが低く、急速充電や100%充電を繰り返しても劣化しにくいという特徴があり、さらに製造コストも大幅に抑えられます。航続距離はシボレーの推定で最大255マイル(約410キロメートル)となっており、これは2023年モデルのボルトEUVより8マイル(約13キロメートル)長く、ボルトEVより4マイル(約6キロメートル)短い数値です。
パワートレインには効率と航続距離を重視して設計された「X76」モーターが採用され、最高出力は210馬力、最大トルクは169lb-ft(約229Nm)を発生します。先代のボルトEUVと比較すると、出力は10馬力向上しましたが、トルクは97lb-ft(約131Nm)も低下しています。この変更により、0-60mph(約96km/h)加速は旧モデルの6.7秒から7秒を超える程度になると予想されています。充電性能は大幅に向上し、最大150kWでの急速充電に対応することで、10%から80%までの充電がわずか26分で完了します。これは従来モデルの1時間以上から大幅な短縮となります。ワンペダルドライビングが標準装備されており、オフにすることも可能ですが、アクセルペダルを離すと回生ブレーキが作動し、ブレーキペダルを踏むと機械式ブレーキと回生ブレーキをブレンドして航続距離を最大化する仕組みとなっています。

シボレー ボルトの価格
シボレー ボルトの価格は、ローンチモデルとなる「LT」グレードが配送手数料込みで2万9,990ドル(約453万円)からとなっています。2026年後半には、さらに手頃な価格のLTグレードが追加され、こちらは2万8,995ドル(約438万円)からとなる予定です。また、スポーティな外観パッケージを持つ「RS」トリムも後に追加される見込みです。これらの価格設定により、新型ボルトは米国市場で最も手頃な価格の電気自動車の座を奪還することになります。なお、日本円の価格は2025年10月時点のレートで換算しています。
シボレー ボルトの発売時期
新型シボレー ボルトは、2026年第1四半期、つまり2026年初頭に米国での出荷が開始される予定です。ただし、シボレーは今回のボルトを「限定生産モデル」と位置づけており、具体的な生産期間や台数については明らかにしていません。まず価格が2万9,990ドル(約453万円)のローンチモデルが発売され、その後2026年後半に2万8,995ドル(約438万円)のより手頃なモデルと、RSトリムが追加される計画となっています。

シボレー ボルトは日本で発売されるか
新型シボレー ボルトの日本での発売に関する公式な発表は現時点では行われていません。初代ボルトEVは、日本には並行輸入でごく少数が上陸したのみで、正規販売はされていませんでした。新型ボルトも主に米国市場向けのモデルとして開発されており、シボレーは「限定生産モデル」と位置づけています。シボレーブランドは現在日本市場での新車販売を正式には行っていないため、新型ボルトについても正規輸入される可能性は低いと考えられます。仮に日本で入手する場合は、従来通り並行輸入業者を通じた購入が唯一の選択肢となりそうです。
シボレー ボルトをあえて辛口で評価します
新型シボレー ボルトをあえて辛口で評価します。最も懸念されるのは、このモデルが「限定生産」という位置づけである点です。シボレーは具体的な生産期間や台数を明らかにしておらず、長期的な製品戦略における位置づけが不透明です。これは、せっかく復活したボルトが再び突然生産終了となるリスクを示唆しています。また、新型ボルトは実質的に旧ボルトEUVのシャシーを流用した「つぎはぎ」モデルであり、完全に新設計された電気自動車ではありません。外寸や室内空間は2023年モデルのボルトEUVとほぼ同一で、革新性に欠ける印象は否めません。走行性能面では、新しいモーターが効率重視の設計となったため、最大トルクが97lb-ft(約131Nm)も低下しており、加速性能は明らかに後退しています。0-60mph加速が7秒以上になる見込みで、電気自動車ならではの力強い加速感が損なわれています。さらに、GMの方針により、CarPlayやAndroid Autoに対応していない点も大きな欠点です。多くのユーザーが慣れ親しんだスマートフォン連携機能が使えないことは、日常の利便性を大きく損ないます。急速充電の最大出力が150kWという点も、現代の電気自動車としては控えめな数値であり、競合他社が200kW以上の出力に対応する中、やや見劣りします。
シボレー ボルトのライバル車
新型シボレー ボルトの主なライバルとしては、まず日産 リーフが挙げられます。ボルトLTの価格2万9,990ドル(約453万円)は、新型リーフとほぼ同価格帯となっており、手頃な価格の電気自動車を求める層で競合します。テスラに関しては、同社が開発中とされるエントリーモデルが将来的な競合となる可能性があります。シボレー自身のラインナップでは、エクイノックスEVが兄貴分として位置づけられ、現在米国で最も売れている電気自動車の一つとなっています。エクイノックスEVとボルトは、シボレーの手頃な価格帯の電気自動車セグメントを支える両輪として、2026年のシボレー電気自動車販売の大部分を占めることが期待されています。また、同価格帯では、今後発売される他メーカーの小型電気SUVやハッチバックとも競合関係になると考えられます。ボルトの強みは、3万ドル以下で最長の航続距離を提供する点であり、この価格と性能のバランスが市場でどう評価されるかが注目されます。

まとめ
新型シボレー ボルトは、2025年10月9日に発表され、手頃な価格の電気自動車として2026年初頭に米国市場で復活を果たします。2023年に一度生産終了となったモデルですが、熱心なファンからの要望に応える形で限定生産モデルとして蘇りました。価格は2万9,990ドル(約453万円)からで、3万ドル以下の電気自動車の中で最長となる約410キロメートルの航続距離を実現しています。旧ボルトEUVのシャシーをベースとしながらも、65kWhのLFPバッテリーと新型モーターを搭載し、10%から80%までの充電時間はわずか26分に短縮されました。また、NACS充電ポートを標準装備し、テスラのスーパーチャージャーをアダプターなしで利用できる点も大きな魅力です。インテリアには11.0インチのメーターディスプレイと11.3インチのインフォテインメントスクリーンが装備され、Googleビルトインシステムによる充電プランニングなどの便利な機能が利用可能です。限定生産という位置づけや、CarPlay非対応といった課題はあるものの、手頃な価格で実用的な航続距離を持つ電気自動車として、市場に新たな選択肢を提供する一台となるでしょう。日本での正規販売の可能性は低いものの、並行輸入での入手が期待されます。



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