新型EVアウディA6 e-tron:セダン、ワゴン、S6も発表 価格は1,220万円

アウディは2024年7月31日、新型EVモデル Audi A6 e-tron (アウディ A6 イートロン)を発表しました。この新たな電気自動車は、スポーツバック(セダン)とアバント(ワゴン)の2つのボディタイプで展開され、2024年9月から受注を開始する予定です。A6 e-tronは、アッパーミッドサイズセグメントを再定義する電気自動車として位置付けられており、アウディにとって非常に重要なモデルとなっています。

車の概要:アウディ A6 e-tronとは?

Audi A6 e-tronの歴史は2021年の上海モーターショーまで遡ります。そこでコンセプトカーとして初お披露目され、革新的な電気自動車ファミリーの先駆けとなりました。今回発表された量産モデルは、PPE(Premium Platform Electric)プラットフォームを採用した2番目のモデルとなります。A6 e-tronは、このプラットフォームの特徴である高性能、長距離航続能力、効率性、そして急速充電能力を継承しつつ、フラットフロアコンセプトを初めて採用したモデルとなっています。

外観デザインは力強く、スポーティで完璧なプロポーションを持ち、アウディの新しいデザイン哲学が内装にも反映されています。特筆すべきは、スポーツバックモデルでCd値0.21、アバントモデルでCd値0.24という極めて低い空気抵抗係数を実現し、アウディ史上最高の空力性能を誇っています。

パワートレインは、リアホイールドライブの270kWモデルと、クワトロ四輪駆動の370kW(ローンチコントロール時405kW)のSモデルが用意されています。100kWhのバッテリーを搭載し、スポーツバックモデルで最大756km、アバントモデルで最大720kmの航続距離を実現しています。さらに、800V技術と最大270kWのDC充電能力により、わずか10分の充電で最大310kmの航続距離を追加できるなど、急速充電性能も特筆に値します。

アウディ A6 e-tronのエクステリアデザイン

新型Audi A6 e-tronのエクステリアデザインは、ダイナミズム、先進性、そしてエレガンスを兼ね備えたモデルです。

フロントデザインは、スリムなデイタイムランニングライトと幅広いグリルにより、道路上で低く幅広に見えるシルエットを生み出しています。クローズドタイプの反転したシングルフレームを囲む黒いマスクは、e-tronモデル特有のデザイン言語を反映しています。このマスクには、メインヘッドライトや先進運転支援システム(ADAS)のセンサー、エアインテークなどの機能的な要素が統合されており、ほとんど目立たないようになっています。

A6 e-tronのダイナミックなルーフラインは、低い車高の力強い基盤の上に乗っています。quattroブリスターと呼ばれる造形的で筋肉質な形状は、quattroドライブを強調し、Audiデザインの核心的な要素となっています。車の心臓部であるバッテリーは、サイドシル部分の黒いインサートによって強調されています。このインサートにより、車体側面が平坦でスリムかつダイナミックに見えるようになっています。

リアデザインは、スポーティなエレガンスと力強さを兼ね備えています。クリーンなアーキテクチャと連続的で立体的なライトストリップにより、新型A6 e-tronに明快さと堂々とした佇まいを与えています。スポーツバックモデルのリアには印象的なスポイラーリップが装着され、目を引くリアディフューザーがさらにスポーティで動的な外観を強調しています。

ワゴンタイプのアバントモデルは非常にフラットなルーフラインが特徴で、Dピラーが前方に大きく傾斜しています。Aピラーからルーフスポイラーまでのアルミニウムルック仕上げのトリムピースは、A6 Avant e-tronの新しい特徴的な要素となっており、高い認識性を生み出しています。

エアロダイナミクスの面でも、A6 e-tronは優れた性能を発揮しています。スポーツバックモデルでは空気抵抗係数(Cd値)0.21を達成し、Audiの歴史上最高の空力性能を誇ります。アバントモデルも0.24という非常に優れたCd値を実現し、セグメント内でもトップクラスの性能を示しています。

アウディ A6 e-tronのボディサイズ

新型A6 e-tronのサイズは、全長: 4,928mm、全幅: 2,137mm、全高: 1,487mm (スポーツバック)、1,527mm (アバント)です。

アウディ A6 e-tronのインテリアデザイン

新型Audi A6 e-tronのインテリアデザインは、ユーザーを中心に据えた革新的なアプローチを採用しています。

まず特徴的なのが、「デジタルステージ」と呼ばれる大型ディスプレイ群です。11.9インチのAudi バーチャルコックピットと14.5インチのMMIタッチディスプレイを組み合わせた曲面デザインのMMIパノラマディスプレイが、運転席前方に配置されています。さらにオプションで10.9インチの助手席用MMIディスプレイも用意され、アクティブプライバシーモード機能により、運転手の視界を妨げることなく助手席の乗員が映画やストリーミングコンテンツを楽しむことができます。

インテリアの要素として、「ソフトラップ」と呼ばれる水平方向に伸びるデザイン要素があります。これは左右のドアからダッシュボード全体を横断し、反対側のドアまで連続的に伸びています。この連続的なアーキテクチャにより、室内が落ち着いた雰囲気となり、広々とした3次元的な空間を演出しています。

人に近い部分には柔らかく触り心地の良い素材が使用され、操作系の部分には黒く光沢のある技術的な印象の表面処理が施されています。これにより、快適性と先進性のバランスが取れた空間が実現されています。ダッシュボードや上部ドアパネルには柔らかい素材が使用され、サテン仕上げのアルミニウムや精密加工されたプラスチック成形品がテクノロジカルな印象を加えています。

エアベントは非常に薄型で、ダッシュボードの前方に目立たないように配置されています。これにより、インテリアの水平基調のデザインがさらに強調されています。バーチャルエクステリアミラーのディスプレイは、人間工学に基づいてドア内側のAピラー付近の視認しやすい位置に配置されています。これにより、従来のミラーと同様の使い勝手を実現しつつ、先進的なデザインを取り入れることに成功しています。

カスタマイズ性も高く、明るい色の生地や濃い色、様々な木材、上質なナッパレザー、ブラッシュドアルミニウム、オープンポアカーボン、100%リサイクルポリエステル製のElastic Melange生地、リサイクル素材のDinamicaマイクロファイバーなど、多彩な素材の組み合わせが可能となっています。これにより、個々の顧客の好みに合わせた完全にカスタマイズされたインテリアを作り出すことができます。

アウディ A6 e-tronの走行性能

新型Audi A6 e-tronは、電気自動車ならではの優れた走行性能を実現しています。パワートレインのラインナップや性能、サスペンション設定など、様々な面で高いレベルを達成しています。

パワートレインと加速性能

A6 e-tronには、複数のパワートレインオプションが用意されています。

  • A6 e-tron performance: 後輪駆動の1モーターモデルで、システム最高出力は270kW(367PS)を発揮します。0-100km/h加速は5.4秒です
  • S6 e-tron: クワトロ四輪駆動の2モーターモデルで、通常時のシステム最高出力は370kW(496PS)、ローンチコントロール使用時は405kW(543PS)まで出力が上がります。0-100km/h加速はわずか3.9秒で達成する圧倒的な加速性能を誇ります

最高速度はA6 e-tronが210km/h、S6 e-tronが240km/hとなっています

サスペンションとハンドリング

A6 e-tronのサスペンションは、アウディの伝統的なDNAを受け継ぎつつ、電気自動車向けに最適化されています。

  • アダプティブエアサスペンション: オプションで装備可能なこのシステムにより、快適な乗り心地とスポーティなハンドリングの両立を実現しています
  • Audi drive select: 効率モードを含む複数の走行モードを選択可能。効率モードでは、車高を最大20mm下げることで空力性能を向上させ、エネルギー消費を抑制します
  • S6 e-tronのクワトロシステム: リアバイアスの可変トルク配分により、ダイナミックな走行特性を実現しています

回生ブレーキシステム

最大220kWの回生ブレーキ性能を持つ先進的なシステムを採用。日常的なブレーキ操作の約95%をこのシステムでカバーし、エネルギー効率の向上に大きく寄与しています

ドライバーアシスタンスシステム

アダプティブドライビングアシスタントプラスをはじめとする最新のドライバーアシスタンス機能により、あらゆる速度域で快適で安全な走行をサポートします。新型Audi A6 e-tronは、電気自動車ならではの瞬発力と静粛性、そしてアウディ伝統の走行安定性と快適性を高次元で融合させた、次世代のプレミアムEVとしての走行性能を実現しています。

アウディ A6 e-tronの安全性能・運転支援機能

新型Audi A6 e-tronは、日常の運転をサポートし、道路安全性を大幅に向上させる幅広い運転支援システムを搭載しています。市場投入時には以下の機能が標準装備される予定です:

  • パークアシストプラス
  • リバーシングカメラ
  • 交通標識ベースの速度制限機能
  • カメラベースの交通標識認識
  • アダプティブクルーズコントロール
  • 距離表示付きパークアシストプラス
  • 車線逸脱警告
  • 注意散漫・疲労検知警告

さらに、新機能として「アダプティブドライビングアシスタントプラス」が導入されます。このシステムは加速、制動、速度維持、車間距離保持、車線維持をサポートし、特に長距離ドライブでの快適性を向上させます。このシステムは様々なセンサーに加え、地域によっては高解像度の地図データやクラウド上に集約された他車両からのスウォームデータを活用して、走行挙動を改善します。これらの情報を融合することで、全速度域および渋滞時における快適な運転体験を実現するルートを計算します。

アウディ A6 e-tronの価格

欧州での新型Audi A6 e-tronの価格は約1,220万円(75,600ユーロ)です。

<グレード別Audi A6 e-tron価格表>

  • A6 Sportback e-tron performance: 約1,220万円(75,600ユーロ)
  • A6 Avant e-tron performance: 約1,240万円(77,250ユーロ)
  • S6 Sportback e-tron: 約1,600万円(99,500ユーロ)
  • S6 Avant e-tron: 約1,630万円(101,150ユーロ)

アウディ A6 e-tronの発売時期

新型Audi A6 e-tronの発売時期について、欧州では2024年9月から受注を開始する予定です

アウディ A6 e-tronは日本で発売される?

新型Audi A6 e-tronの日本での発売については、現時点で公式な発表はありませんが、日本での発売の可能性は高いと考えられます。アウディジャパンは電気自動車の販売を積極的に展開しており、既にe-tronシリーズの複数モデルを日本市場に投入しています。A6 e-tronもこの流れに沿って、日本市場に導入される可能性が高いでしょう。

アウディ A6 e-tronの辛口評価

新型Audi A6 e-tronをあえて辛口で評価します。

まず、デザインについては、アウディの伝統的なスタイルを踏襲しつつ電気自動車らしさを取り入れていますが、革新性に欠ける印象があります。ライバル車と比較すると、おとなしいと言えるでしょう。

インテリアに関しては、高級感と先進性を両立させていますが、操作系の複雑さが気になります。タッチスクリーンに多くの機能を集約することで、運転中の操作が煩雑になる可能性があります。

性能面では、確かに優れた加速性能と航続距離を実現していますが、スポーツセダンとしての走行性能や操縦性については、まだBMWやメルセデス・ベンツのライバルモデルに一歩譲る印象があります。

さらに、価格設定が比較的高めである為、販売台数があまり伸びないリスクはありそうです。

アウディ A6 e-tronのライバル車

Audi A6 e-tronの主要なライバル車として、以下のモデルが挙げられます:

  1. BMW i5:
    BMWの電動ミッドサイズセダンで、スポーティな走行性能と先進的なテクノロジーを特徴としています。i5は、A6 e-tronと同様にラグジュアリーセグメントを狙っており、特にドライビングダイナミクスの面で強力な競合となります。
  2. メルセデス・ベンツ EQE:
    EQEは、メルセデスの電気自動車ラインナップの中核を担うモデルです。洗練されたデザインと快適性、そして高度な自動運転技術を売りにしています。ラグジュアリー感と先進性の両立という点で、A6 e-tronと真っ向から競合します。
  3. テスラ モデルS:
    電気自動車市場のパイオニアとして、テスラ モデルSは依然として強力なライバルです。長い航続距離と革新的な技術、そして強力なブランド力を持っています。A6 e-tronにとって、性能面での比較対象となるでしょう。
  4. ポルシェ タイカン:
    同じVWグループ内のブランドですが、タイカンはより高性能志向の電気自動車として、A6 e-tronの上位モデルと競合する可能性があります。特にスポーティな走行性能を求める顧客層で競合するでしょう。
  5. ジャガー I-PACE:
    クロスオーバーSUVですが、電気自動車市場では直接的な競合となります。デザイン性と走行性能の両立という点で、A6 e-tronと顧客層が重なる可能性があります。

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