トヨタGRカローラ改良新型:米国で公開 価格は今年後半発表 日本導入に期待

米国トヨタは2024年8月1日、ホットハッチモデルのGRカローラ(Toyota GR Corolla)の改良新型モデルを発表しました。このマイナーチェンジを実施した2025年モデルのGRカローラでは新たな8速GAZOO Racing Direct Automatic Transmission(DAT)を搭載したモデルを追加すると発表し、更なるスポーツカー走行の魅力がパワーアップされました。新型GRカローラは今年の冬から米国で販売が開始される予定です。また、価格は今年後半に発表される予定です。今回の発表では新型GRカローラは北米での発売についてのみでしたが、日本導入はどうなるのでしょうか…?

車の概要:トヨタ GRカローラとは?

GRカローラは、トヨタのGAZOO Racing(GR)ブランドが手掛ける高性能モデルの一つです。2022年に初代モデルが発表され、コンパクトカーをベースにした本格的なホットハッチとして注目を集めました。

今回の進化型とも言える、2025年モデルでは、G16E-GTS型1.6リッター3気筒ターボエンジンが、最高出力300馬力(6,500rpm)、最大トルク400Nm(295lb.-ft.)を発揮します。最大トルクが370Nmから400Nmへ向上しました。

新たに追加された8速DATは、スポーツカー愛好家の夢を叶える素早いシフトチェンジと最適なギア選択を実現します。このトランスミッションは、ドライバーのブレーキやアクセル操作を繊細に感知し、プロドライバーのようなシフトチェンジを可能にします。

GRカローラの特徴である「GR-FOUR」と呼ばれるラリー由来の4WDシステムも健在です。ドライバーはダイヤル操作で、ノーマル、グラベル、トラックの3つのAWDモードを選択でき、走行状況に応じて前後輪のトルク配分を最適化できます。

エクステリアでは、冷却性能と空力性能のバランスを改善するためにフロントバンパーがリデザインされました。内装も、フラットな表面やスイッチ類のトリム仕上げが新しくなり、スポーティーで高級感のある雰囲気が演出されています。

GRカローラは、コアグレード、プレミアムグレード、そして2025年モデルから新たに追加されるプレミアムプラスグレードの3つのグレードで展開されます。各グレードには、最新の安全技術やコネクティビティ機能が標準装備されており、日常での使いやすさと高性能の両立を図っています。

トヨタ GRカローラのエクステリアデザイン

新型GRカローラのエクステリアデザインは、高性能ホットハッチとしての機能性と迫力ある外観を両立させています。特に空力性能と冷却性能が重視され、ラリーカーを彷彿とさせるアグレッシブなデザインとなっています。

フロントデザインは、大型のマトリックスグリルを採用し、サイドエアダクトと組み合わせることで、エンジンの冷却性能と空力性能を高めています。グリルには「GR」のロゴが配置され、スポーティな印象を強調しています。

サイドビューでは、ワイドなフェンダーフレアが特徴的です。これにより、ワイドトレッドを強調するとともに、力強さと安定感を表現しています。サイドロッカーには「GR-FOUR」のロゴが刻印され、4WDシステムの存在を主張しています。

リアデザインは、大型のルーフスポイラーと特徴的なトリプルエキゾーストが目を引きます。リアバンパー下部にはディフューザーが装備され、高速走行時の安定性向上に貢献しています。また、リアフェンダーにも機能的なエアアウトレットが設けられ、空力性能の向上に寄与しています。

ホイールは18インチアルミホイールを標準装備し、グレードによってデザインが異なります。タイヤはミシュランのパイロットスポーツ4を採用し、高いグリップ力を実現しています。カラーバリエーションは、アイスキャップ(白)、ブラック、スーパーソニックレッド、ヘビーメタル(グレー)の4色が用意されています。プレミアムプラスグレードでは、マットブラックのホイールが特別に装着されます。

トヨタ GRカローラのボディサイズ

新型GRカローラのサイズは、全長: 4,410mm、全幅: 1,850mm、全高: 1,450mmです。

トヨタ GRカローラのインテリアデザイン

新型GRカローラのインテリアは、スポーティな走りを楽しむドライバーのために設計された機能的かつ洗練されたデザインとなっています。

コックピットは、ドライバー中心の設計思想に基づいて作られており、すべての操作系統が手の届きやすい位置に配置されています。ステアリングにはGRロゴが刻印され、特別な一台であることを主張しています。

メーターパネルには、12.3インチの大型フルデジタルメーターを採用。ターボ圧や4WDの駆動力配分、ラップタイムなど、走行に関する様々な情報をリアルタイムで表示できます。表示モードは、ドライバーの好みに合わせてカスタマイズが可能です。

センターコンソールには8インチのタッチスクリーンディスプレイを搭載し、オーディオやナビゲーション、車両設定などの操作が可能です。画面下部には、エアコン操作パネルやドライブモード選択スイッチなどが配置され、直感的な操作を可能にしています。

シートは、ホールド性に優れたスポーツシートを採用。サイドサポートを強化し、コーナリング時の体のブレを抑えます。シート表皮には、グレードに応じて高級感のあるスエード調の素材や、GRロゴ入りの専用ファブリックを使用しています。

インテリアカラーは、ブラックを基調としたスポーティな雰囲気で統一されています。ダッシュボードやドアパネルには、カーボン調の加飾パネルを採用し、レーシーな雰囲気を演出しています。また、レッドのアクセントステッチを随所に配し、スポーティさと高級感を両立させています。

収納スペースも充実しており、センターコンソールボックスやドアポケット、グローブボックスなど、実用的な収納を確保しています。後部座席は60:40の分割可倒式となっており、大きな荷物を積む際にも対応できます。

プレミアムグレードとサーキットエディションでは、さらに高級感のある内装となっています。スエード調のシート表皮や、ヒーター付きステアリングホイール、ワイヤレス充電パッドなどが追加され、快適性が向上しています。

トヨタ GRカローラの走行性能

新型GRカローラは、モータースポーツの現場で培われた技術と経験を惜しみなく投入し、圧倒的な走行性能を実現しています。

パワフルなエンジン

GRカローラの心臓部には、1.6L 3気筒ターボダイナミックフォースエンジン(スポーツ)が搭載されています。このエンジンは最高出力304PS(224kW)/6,500r.p.m、最大トルク400Nmを発揮し、野性味あふれる走りを可能にしています。エンジンの排気効率向上のため、排気用カムシャフト軸受の強化や、高回転時に排気バルブを開いて排気圧力を低減させるバルブ付3本出しマフラーを採用しています。これにより、エンジン出力が向上し、迫力ある加速と伸びやかな回転フィールを実現しています。

高度な4WDシステム「GR-FOUR」

GRカローラには、ラリー競技で培われた4WDシステム「GR-FOUR」が搭載されています。このシステムは、電子制御多板クラッチを用いたアクティブトルクスプリット4WDシステムにより、前後輪のトルク配分を3つのモードから選択できます。
60:40モード(前輪60:後輪40):通常走行用
30:70モード(前輪30:後輪70):スポーティな走行用
TRACKモード(前輪50:後輪50):サーキット走行用
さらに、フロントとリヤのデフにはトルセン®LSD(リミテッド・スリップ・デフ)を採用し、コーナリング時の鋭い立ち上がり加速や安定したコントロール性能の確保に貢献しています。

高剛性・軽量ボディ

GRカローラのボディは、高剛性と軽量化を両立させています。カローラ スポーツと比較して349点ものスポット溶接増し打ちを実施し、構造用接着剤の塗布箇所も2.7m延長しています。これにより、運転操作に対する高い応答性と、高G旋回・高速走行での優れた操縦安定性を実現しています。
また、カーボンルーフや新開発の軽量・高剛性フロントサスペンションメンバー、薄肉化バンパーなどを採用し、徹底的な軽量化も図っています。

高性能サスペンション

フロントにはマクファーソンストラット式、リヤにはダブルウィッシュボーン式のサスペンションを採用しています。これらは高剛性かつ軽量で、日常のドライビングからサーキット走行まで幅広い場面で優れた性能を発揮します。

ブレーキシステム

ブレーキシステムは、フロントにアルミ対向4ポットキャリパー、リヤにアルミ対向2ポットキャリパーを採用し、高μパッドと組み合わせることで高い剛性と耐フェード性を確保しています。また、スリット入りの大径ベンチレーテッドディスクを前後に装着し、フロントは2ピース構造とすることで熱変形を抑え、安定した制動力を発揮します。

エアロダイナミクス

GRカローラのボディは、ダウンフォースの向上とドラッグ(空気抵抗)の低減、そして優れた安定性を確保するために徹底的な空力のつくり込みを行っています。サーキットだけでなく、ダートや雪道でも走り込みを行い、ボディ形状やダクトの造形・設定ポジションと空力の関係をデータ化しています。

専用生産ライン「GR Factory」

GRカローラは、トヨタ元町工場内の専用ライン「GR Factory」で高技能者により一台ずつ丁寧に組み立てられています。特にアライメントや車高など走りに影響を及ぼす項目に対しては、パーツをひとつずつ測定して最適な組み合わせになるように選別して組み付けを行っています。

トヨタ GRカローラの安全性能・運転支援機能

新型GRカローラには、最新の安全技術パッケージであるToyota Safety Sense 3.0(TSS 3.0)が標準装備されています。このシステムには以下の機能が含まれています:

  1. プリクラッシュセーフティシステム(歩行者検知機能付き):車両、歩行者、自転車、バイクを検知し、衝突の危険がある場合に警告や自動ブレーキを作動させます。
  2. ダイナミックレーダークルーズコントロール:高速道路での使用を想定した適応型クルーズコントロールで、前方車両との車間距離を維持します。
  3. レーンディパーチャーアラート(ステアリングアシスト付き):車線逸脱を検知して警告し、必要に応じてステアリング操作をサポートします。
  4. レーントレーシングアシスト:車線や先行車両を検知し、車線中央を走行できるようにステアリングをアシストします。
  5. ロードサインアシスト:速度制限や一時停止などの道路標識を認識し、ドライバーに情報を提供します。
  6. オートマチックハイビーム:夜間走行時に自動で対向車や先行車を検知し、ハイビームとロービームを切り替えます。

トヨタ GRカローラの価格

新型GRカローラの価格は、今年後半に発表される予定です。

参考までに、日本での現行GRカローラの価格は、525万円からとなっています。グレードごとの価格は以下の通りです:

  • RZ(5人乗り):5,250,000円(税込)
  • モリゾウエディション(2人乗り):7,150,000円(税込)

なお、中古車市場ではトヨタGRカローラの価格は600万円台が多いです。

トヨタ GRカローラの発売時期

北米で新型GRカローラは2024年冬に発売予定です。日本での販売時期については未発表です。

トヨタ GRカローラは日本で発売される?

GRカローラは既に日本で発売されており、今回発表された改良新型GRカローラも日本で発売される可能性はあります。ただし、限定モデルとして登場する可能性も考えられます。新型GRカローラの発売について、発表を期待しましょう。

トヨタ GRカローラの辛口評価

新型トヨタGRカローラをあえて辛口で評価します。

まず、インテリアデザインについては、ベース車両であるカローラスポーツとの差別化が不十分とも考えられます。高性能モデルとしての特別感や高級感がもう少しあっても良いかと思われます。

また、日常使用の観点からは、乗り心地の硬さや室内の静粛性に課題があります。スポーツ走行時の性能を重視するあまり、一般道での快適性が犠牲になっている面は否めません。特に長距離ドライブや都市部での使用を考えると、乗り心地と静粛性のバランスをより洗練させる必要があるでしょう。

さらに、価格設定については、基本グレードでも525万円(現行モデル)からと、同クラスの他のホットハッチと比較してやや高額です。装備や性能を考慮しても、価格に見合った付加価値を十分に感じられるかどうかは議論の余地があります。

トヨタ GRカローラのライバル車

GRカローラの主なライバル車としては、以下のモデルが挙げられます:

  1. フォルクスワーゲン・ゴルフR
    • 特徴:2.0L直4ターボエンジン、320PS、4WDシステム
    • 比較:洗練されたデザインと高品質なインテリアが特徴。GRカローラより実用性が高い傾向にあります。
  2. ホンダ・シビック タイプR
    • 特徴:2.0L直4ターボエンジン、330PS、FWD
    • 比較:高性能FWDの代表格。ハンドリングの良さで定評があり、日本市場での人気も高いです。
  3. ヒュンダイ i30 N
    • 特徴:2.0L直4ターボエンジン、280PS、FWD
    • 比較:比較的新しいブランドながら、高性能と手頃な価格で注目を集めています。
  4. スバル WRX STI(生産終了)
    • 特徴:2.5L水平対向4気筒ターボエンジン、310PS、AWD
    • 比較:ラリー由来の4WDシステムを持つ点でGRカローラと共通点があります。現在は生産終了していますが、精神的後継車として比較されることがあります。
  5. BMW M135i xDrive
    • 特徴:2.0L直4ターボエンジン、306PS、xDrive4WDシステム
    • 比較:プレミアムブランドの高性能コンパクトカー。高級感と走行性能のバランスが特徴です。
  6. メルセデスAMG A35 4MATIC
    • 特徴:2.0L直4ターボエンジン、306PS、4WDシステム
    • 比較:AMGブランドの魅力と高性能を兼ね備えたモデル。高級感ではGRカローラを上回ります。

特にGRカローラのライバルとして、フォルクスワーゲン ゴルフRが挙げられます。両車とも、ハイパワーエンジンを搭載し、4WDの駆動方式を採用した5ドアハッチバックという共通点があります。ボディサイズを比較すると、GRカローラの方が一回り大きくなっています:

  • GRカローラ:全長4,410mm、全幅1,850mm、全高1,480mm
  • ゴルフR:全長4,295mm、全幅1,790mm、全高1,460mm

特に全幅では、GRカローラがゴルフRより60mm広く、より存在感のある外観を実現しています。エンジンスペックについては、GRカローラが1.6L直列3気筒ターボエンジン、ゴルフRが2L直列4気筒ターボエンジンと、排気量は異なりますが、最高出力はかなり近い値となっています。価格面では、現行GRカローラのRZグレードが525万円、ゴルフRが639万8000円と、約100万円以上の差があります。ただし、GRカローラの装備をゴルフRに近づけると約580万円となり、価格差は縮まります。両モデルとも高性能コンパクトカーとして優れた特性を持っていますが、GRカローラはよりスポーティーで攻撃的な走りを、ゴルフRはやや落ち着いた大人の高性能車という印象があります。

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