フォルクスワーゲンの新たなEV「ID.4(アイディーフォー)」は、独特のデザインと機能性を兼ね備えた魅力的なコンパクトSUVです。その特徴的なスタイルは、一般的なSUVと比較しても見劣りしない、力強さと親しみやすい雰囲気を感じることができます。
ID.4は、フォルクスワーゲンの電動車ラインナップの一角を担うモデルで、ファミリー向けの実用性と電動SUVのパフォーマンスを融合させています。EVのSUVの中では比較的リーズナブルな価格帯で販売されています。また、ファミリーでの日常生活に最適なサイズと機能を備えており、その使い勝手の良さが注目されています。
車の概要:フォルクスワーゲン ID.4とは?
2020年のデビュー以来、全世界で12万台以上が販売されたID.4は、フォルクスワーゲンの電気自動車ラインアップ「ID.ファミリー」の一員です。このモデルは、モジュラー・エレクトリックドライブ・マトリックス(MEB)アーキテクチャーを採用し、長い航続距離、広々とした室内空間、そしてダイナミックなドライビング体験を提供します。2021年には「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、その性能は世界的に高い評価を受けています。
また「日本カー・オブ・ザ・イヤー 2023-2024」においても10ベストカーに選出され、日本でも話題の車となっています。
フォルクスワーゲン ID.4のエクステリアデザイン
新型ID.4の外観は、力強さと頼もしさを体現しています。そのデザインは、フォルクスワーゲンEVの「ID.ファミリー」に共通するクリーンで流れるような力強いスタイルをSUVに適応させています。ID.4のボディは、流れるようなラインとシャープなエッジが交互に現れるデザインが特徴です。これにより、風によって形作られたような自然で滑らかな形状が生み出されています。

フォルクスワーゲンはID.4において、一般的なSUVの雰囲気を意識してデザインしました。ラジエーターグリルがないことなど、EVらしいところはありますが、一見すると通常のエンジンを持つSUVと遜色なく、魅力的にスタイリングされています。
リヤに向かってシャープなラインを描くボディ形状は、動的な印象を強調し、空気抵抗を効果的に減少させる設計が施されています。特に、大型ルーフスポイラー、立体的な造形のテールライトクラスター、ほぼフラットなアンダーボディのリヤエンドに設置したディフューザーなどが組み合わさり、SUVとしては非常に優れたCd値0.28を達成しています。

また、ライトユニットに関しては、フロント・リヤともに全車LEDを採用し、プロ版ではマトリックスLEDを採用したIQ. Lightを標準装備しています。この先進的なライトシステムは、フロントカメラが前走車や対向車の状況を検知し、常に最適な配光をコントロールします。リヤコンビネーションランプは、複数のLEDストリップを立体的に配置し、ID.4のリヤビューをさらに個性的なものにしています。
ID.4はグレイシアホワイトメタリックやストーンウォッシュドブルーメタリックを含む全4色で展開されており、個性的ながらも洗練された色合いが特徴です。
コンパクトクロスオーバーセグメントに位置付けられるID.4のボディサイズは全長4585mm、全幅1850mm、全高1640、ホイールベース2770mmとなっています。
新型フォルクスワーゲンID.4は、その革新的なデザインで、電気自動車の新しいスタンダードを築き上げています。

フォルクスワーゲン ID.4のインテリアデザイン
新型ID.4の内装は、近未来的で美しいデザインと機能的な利便性がしっかりと統合されています。まだフォルクスワーゲングループのEV向けプラットフォームの採用により余裕のあるフラットな室内空間が魅力的です。
コックピットとディスプレイ
- ドライブモードセレクターとメーターディスプレイ:従来のシフトノブに代わる新装備、ドライブモードセレクターが導入され、一体化されたメーターディスプレイがドライバーの操作性と可視性を向上させています。
- 大型センターディスプレイ:近未来的なインパネデザインの中心には、大型のセンターディスプレイが配されており、車両情報やエンターテイメントシステムへのアクセスを直感的に行えます。

カラーと素材
- ブラウン色のレザレット:ダッシュボード上部、ドアパネル、シートサイドには、ブラウン色のレザレットが使用されており、上質な雰囲気を醸し出しています。
- シルバーのデコラティブパネル:シルバーのデコラティブパネルがアクセントとして配置されており、内装の洗練さを一層高めています。
ユニークなデザイン要素
- アルミ調ペダルクラスター:アクセルペダルには再生マーク、ブレーキペダルには一時停止マークをモチーフとしたアルミ調ペダルクラスターが全車標準装備されています。これは電気自動車のイメージと遊び心を演出するユニークな要素です。
室内空間と収納
- 広々とした室内空間:MEBアーキテクチャーの採用により、従来のSUVカテゴリーにおいて1クラス上のモデルに相当する広い室内スペースを実現しています。
- 拡張可能なラゲージコンパートメント:クラストップレベルのラゲージコンパートメントは、リヤシートの背もたれを折りたたむことによって、543ℓから1,575ℓに拡大することが可能です。これにより、多様なライフスタイルに合わせた収納スペースを提供します。

フォルクスワーゲン ID.4のドライビング性能
新型ID.4は、フォルクスワーゲンの電気自動車専用の新アーキテクチャー「モジュラー エレクトリックドライブ マトリックス(MEB)」を採用しています。このアーキテクチャーは、ID.4におけるドライビングの基盤となっており、エモーショナルでダイナミックな走りを実現しています。
パワートレインとパフォーマンス
- バッテリーとモーター:ID.4は、52kWhおよび77kWhの2種類のバッテリー容量を設定しています。52kWhの「ID.4 Lite Launch Edition」は170PSのパワーと310Nmのトルクを発揮し、388kmの航続距離を持ちます。一方、77kWhの「ID.4 Pro Launch Edition」は204PSと310Nmのトルクで、航続距離は561kmに達します。
- 加速性能:「ID.4 Pro Launch Edition」は0から100km/hまでの加速時間が8.5秒(欧州発表値)となっており、電動SUVとして比較的スポーティな性能を発揮します。

ハンドリングと安定性
- ロングホイールベースとショートオーバーハング:MEBアーキテクチャーは、ロングホイールベースとショートオーバーハングにより、安定した走行と優れたハンドリングを提供します。
- 重心とバランス:バッテリーパックは前後アクスル間のアンダーボディに配置されており、車両の低重心と最適な前後重量バランスを実現しています。これにより、操縦安定性が高く、ダイナミックなコーナリング性能を実現します。
効率性と環境への配慮
ダイナミックなドライビング体験
新型ID.4は、快適性とパフォーマンスのバランスが取れたドライビング体験を提供します。この車は、スポーティでありながらも、日常の走行においてはスムーズで快適な走りを実現し、電気自動車の新しいスタンダードを示しています。これらの特徴により、新型フォルクスワーゲンID.4は、都市から自然環境まで、あらゆるシーンで卓越したパフォーマンスを発揮することができます。
フォルクスワーゲン ID.4の安全性能
新型ID.4は、先進的な安全技術と運転支援システムを搭載しており、ドライバーと乗員の安全を最優先に考慮した設計がなされています。
主要な安全装備(全車標準装備)
- レーンキープアシストシステム“Lane Assist”:車両が意図せずに車線を逸脱すると、システムが自動的にステアリングを介入し、車両を車線内に保持します。
- プリクラッシュブレーキシステム“Front Assist”:車両前方の状況を監視し、差し迫った衝突のリスクがある場合にドライバーに警告し、必要に応じてブレーキへの介入を行います。
- レーンチェンジアシストシステム“Side Assist”:車両の前後の交通状況を監視し、車線変更時の危険を警告します。
最先端の運転支援システム(ID.4 Pro Launch Editionに標準装備)
- 同一車線内全車速運転支援システム “Travel Assist”:前後方向と横方向の車両コントロールシステムを組み合わせたシステムで、ドライバーのステアリング、アクセル、ブレーキ操作の大部分をサポートします。
- 緊急時停車支援システム“Emergency Assist”:ドライバーが操作できなくなった場合、車両を安全に停止させる機能です。
新型フォルクスワーゲンID.4は、これらの高度な安全機能と運転支援システムにより、快適で安心感のあるドライビング体験を提供します。これらのシステムは、日常の走行から長距離ドライブまで、あらゆるシーンでドライバーを支援し、車両と乗員の安全を確保します。このような総合的な安全性能の実装により、ID.4は現代の電動SUVの新しい基準を設定しています。

フォルクスワーゲン ID.4の価格
新型ID.4の価格は500万円からとなっています。グレードごとの価格は以下の通り。
・ID.4 Lite Launch Edition(125kW交流同期モーター / 52kWhバッテリー):¥4,999,000
・ID.4 Pro Launch Edition(150kW交流同期モーター / 77kWhバッテリー:¥6,365,000
フォルクスワーゲン ID.4の発売時期
新型ID.4の日本での発売日は2022年11月22日です。
全国246店舗のフォルクスワーゲン正規ディーラーのうち、158店舗のID.4取扱店舗で発売されました。
フォルクスワーゲン ID.4の辛口評価
フォルクスワーゲン ID.4をあえて辛口で評価すると、いい意味でも悪い意味でも尖が少ない車と言えます。
ID.4の電気自動車としてのパフォーマンスは堅実ですが、特筆すべきものではありません。特に、加速力では他の電動SUVと比較しても、特に優れているわけではなく、スポーティーな走りを期待するドライバーには物足りないかもしれません。インテリアもモダンで未来的なデザインではありますが、質感や素材選びなど面白みに欠けると言えます。

フォルクスワーゲン ID.4のライバル車
フォルクスワーゲン ID.4の競合モデルについて紹介します。
日産 アリア
アリアは、日産のEVフラッグシップモデルとして、航続距離や内装の質感、デザインに優れているのが特徴です。航続距離は、470kmと比較的長距離ドライブでも安心。また、内装は、シンプルで洗練されたデザインを採用し、シートやトリムには上質な素材を使用しています。さらに、フロントガラスには、大型のヘッドアップディスプレイを装備しています。価格は539万から。
トヨタ bZ4X
bZ4Xは、トヨタ初の量産型EV SUVとして、航続距離や室内空間の広さに優れているのが特徴です。航続距離は540km〜567kmと長距離ドライブには十分。また、室内空間は、モーターとバッテリーを低床化することで、フラットなフロアを実現しており、後席の足元スペースも十分に確保されています。価格は550万円から。
テスラ モデルY
モデルYは、テスラの人気EV SUVとして、走行性能や航続距離、安全性など、総合的な性能が優れているのが特徴です。走行性能は、モーターとバッテリーを低重心化することで、優れたハンドリングと加速性能を実現しています。また、航続距離は507km〜605kmとかなり長い。さらに、最新の自動運転技術「オートパイロット」を搭載しており、安全性も高くなっています。価格は564万円から。
現代(ヒョンデ) IONIQ 5
IONIQ 5(アイオニックファイブ)は、現代のEV専用プラットフォームを採用したSUVとして、デザインや充電性能に優れているのが特徴です。デザインは、独創的なデザインが特徴で、個性的なスタイルを好むユーザーにおすすめです。航続距離が498km〜618kmとかなり長い。また、800Vの高出力充電に対応しており、約18分で80%の充電が可能です。価格は479万円から。
アウディ Q4 e-tron
Q4 e-tronは、アウディのプレミアムコンパクトSUVとして、内装の質感や走行性能に優れているのが特徴です。内装は、上質な素材や仕上げを採用しており、高級感のある空間を演出しています。航続距離は594km。また、走行性能は、モーターとバッテリーを低重心化することで、優れたハンドリングと加速性能を実現しています。価格は638万円から。
メルセデス・ベンツ EQA
EQAは、メルセデス・ベンツのプレミアムコンパクトSUVとして、内装の質感や走行性能に優れているのが特徴です。内装は、上質な素材や仕上げを採用しており、高級感のある空間を演出しています。航続距離は560km。また、走行性能は、モーターとバッテリーを低重心化することで、優れたハンドリングと加速性能を実現しています。価格は782万円から。
これらライバルと比べるとフォルクスワーゲン ID.4はコストパフォーマンスの高さが光ります。内装の質感や走行性能などのバランスもよく、無難な1台です。

まとめ
フォルクスワーゲンの未来を占う重要なEVラインのIDシリーズ。その中でもコンパクトSUVという需要も大きく、重要な役割を担うこのID.4ですが、ワーゲンらしく堅実に作り上げたクルマになりました。
デザイン、EV性能、走行性能などバランスが取れて、コスパも悪くない、無難な一台だと思います。
フォルクスワーゲン ID.4 公式ページはこちら
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