レクサスは電動化の波に乗るための戦略車として、新型レクサス RZ(Lexus RZ)を投入しました。この電動SUVは、革新的な技術と洗練されたデザインを兼ね備え、2023年にそのヴェールを脱ぎました。レクサスの電動車ラインアップの最前線に立つこのレクサス初のEV専用の新型車について、その魅力を徹底解説します。

車の概要:レクサス RZとは?
新型レクサス RZは、2023年3月30日に発売されたミドルサイズ電動SUVクーペです。EV時代に向けたレクサスの電動化ビジョン「Lexus Electrified(レクサスエレクトリファイド)」を推し進めるレクサス初のバッテリーEV(BEV)専用モデルとして登場しました。
レクサス RZの車名の由来、意味はRadiant Z-axis/Zero(ラディアント ゼットアクシス/ゼロ)です。Radiantは輝く、Z-axis/Zeroには既存BEVから一線を画すデザイン・走りの魅力を備えた新機軸のクルマという意味合いが込められています。ちなみにエンジンモデルのレクサス RXの車名の由来はRadiant Crossover(ラディアントクロスオーバー)で同じRadiantのRを冠しています。
レクサス RZはレクサスの新しいBEVプラットフォームであるe-TNGAプラットフォームや四輪駆動システムDIRECT4を採用しEVとしての強みを活かした楽しい走りを実現しています。またデザイン面でもEV時代に向けたレクサスの革新的な取り組みとして、レクサスの象徴であるスピンドルグリルを進化させたスピンドルボディを採用するなど、先進的なデザインを取り入れました。EV時代に向けたレクサスの本気度が分かるSUVに仕上がっています。

レクサス RZのエクステリアデザイン
新型RZのエクステリアデザインの特徴
新型レクサス RZ のエクステリアデザインは、BEV(バッテリー電気自動車)特有のシームレスな加速感とトルクフルな躍動感を表現しています。レクサスデザインといえばスピンドルグリルが象徴的ですがこのグリルデザインは、内燃機関の冷却が不要なBEVへの進化を反映し、「スピンドルボディ」という新しい表現形式へと変貌を遂げました。この新たなデザインは、LEXUSの独自性とBEVらしさの両立を目指しており、伝統的なラグジュアリーな演出に依存せず、洗練された空間づくりと機能的本質を追求しています。

エクステリアのプロポーション
レクサス RZは、高出力モーターの力を路面に伝えるために大径タイヤを四隅に配置し、リヤタイヤをワイドトレッド化した前後異形タイヤを採用しています。これにより、低重心なスタンスが走りの良さを表現し、一目でLEXUSのBEVと分かるデザインを実現しています。また、低いノーズから滑らかにキャビンへと続くシルエットは、ロングホイールベースを活かした水平に貫くドア軸で伸びやかな印象を演出しています。

スピンドルボディの進化
新型 RZ はLEXUSの象徴であるスピンドルを、グラフィックなスピンドルグリルではなく立体の塊で表現し、「スピンドルボディ」として新たに進化させました。この中央のスピンドルボディの両側には、立体的なフロントフェンダーやフロントバンパーが配置され、LEXUSのBEVらしさを強く主張しています。

発光エンブレム
新型レクサス RZ は、昼間や明るい環境では通常のメッキ「L」マークとして機能し、夜間や暗い環境では「L」マークが発光する新しいシグネチャー表現を採用しています。この発光エンブレムは、クリアランスランプと同じ条件で点灯し、コミュニケーションランプとしても利用できます。寒冷地仕様では、ミリ波レーダーの機能を確保するため、発光エンブレムの内部に融雪ヒーターが採用されています。
フルLEDヘッドランプ
新型 RZ では、L字型デイタイムランニングランプとAHS(アダプティブヘッドライトシステム)機能付きの単眼Bi-Beam LEDヘッドランプユニットが、レクサスで初めて採用されています。このヘッドランプは、レクサスの持つ洗練されたデザインと先進的な技術を象徴しています。
サイドとリヤのデザイン
サイドデザインでは、フロントフェンダーのタイヤを掴んで後方に連続する造形で車両を牽引する力強さと、リヤフェンダーのタイヤを強調する立体的なデザインにより、DIRECT4による躍動感ある走りのイメージを表現しています。リヤデザインは、クリーンでシンプルな水平基調のデザインに、張り出したタイヤを強調する造形を組み合わせ、BEVのトルクフルな走りを支える力強いスタンスが際立っています。

フルLEDリヤコンビネーションランプ
リアランプは、ブランドの一貫したアイデンティティである「Lシェイプ一文字シグネチャー」ランプを踏襲しています。一文字ランプをボディサイドまで回り込ませることで、ワイドで低重心なシルエットを強調しています。側面の幾何学グラデーションパターンと組み合わせることで、先進的かつワイドな表情を追求しています。
レクサス RZのインテリアデザイン
新型RZのインテリアデザインの特徴
新型レクサス RZ のインテリアは、開放的でクリーンな印象を与える設計が特徴です。カウルからドアへの連続感ある全体造形には、低く配置されたインパネが組み込まれています。また、ドライバー席と助手席へと抜ける空間を設けたコンソールとシンプルなドアトリムが、インテリアの清潔感を高めています。さらに、「ウルトラスエード®」を施したドアトリムオーナメントやシート、木目調のコンソールアッパーパネルが、上質なおもてなし空間を実現しています。

コックピットコンセプト
新型 RZ のコックピットは、「Tazuna Concept」に基づいてデザインされています。これは、人が馬を操る際に使う「手綱」から着想を得た、人間中心の思想をさらに進化させたものです。このコンセプトにより、ステアリングスイッチとカラーヘッドアップディスプレイが高度に連携され、運転中に必要な機能の制御がスムーズに行えるようになっています。

センターディスプレイとシフト操作
センターディスプレイは大型の14インチタッチディスプレイオーディオを採用し、多くの機能をディスプレイ内のソフトスイッチに集約しています。また、LEXUS初となるダイヤルシフトノブがセンターコンソールに配置され、シフトバイワイヤが採用されています。これにより、シンプルでクリーンなコックピットデザインが実現されています。
アンビエントイルミネーションとインテリアカラー
新型 RZ には、居心地の良い室内を彩るアンビエントイルミネーションが設けられています。美しい自然現象を見た際の感情や気持ちの変化を表現した14色が推奨カラーとして設定されており、世界初となる陰影イルミネーションがドアトリムオーナメントに投影されることで、室内空間に新たな華を添えています。





レクサス RZの走行性能
新型RZのドライビングコンセプト
新型 RZ は、LEXUS独自の乗り味「Lexus Driving Signature」を採用しており、あらゆる走行シーンで減速、操舵、加速がシームレスに繋がるように設計されています。バッテリーやモーターの最適配置による理想的な慣性諸元と高応答・高精度なモータートルク制御により、車両の基本性能が大幅に進化しています。また、「The Natural」という走りのコンセプトのもと、四輪駆動力システム「DIRECT4」により、ドライバーの操作に対して車両が素直に応える乗り味が実現されています。
高出力モーターと四輪駆動力システム DIRECT4
RZ は、高出力モーター「eAxle」と四輪駆動力システム「DIRECT4」により、路面や走行状態を問わず、四輪の駆動力を緻密に制御します。
RZ450eは最高出力204PS(150kW)、最大トルク266Nmのフロントモーターと109PS(80kW)、169Nmのリアモーターのデュアルモーターを採用。航続距離は494km。RZ300eはRZ450eと同じ最高出力204PS(150kW)、最大トルク266Nmのフロントモーターのシングルモーターを採用。航続距離は599km。
DIRECT4の駆動力配分制御は、車輪速センサー、加速度センサー、舵角センサーなどの情報を用いて、前輪:後輪 = 100:0~0:100の間で制御し、発進加速性、操縦安定性の向上、低電費に貢献します。コーナリング時には、車速、舵角などの情報を用いて駆動力配分を最適に制御し、優れた操縦安定性を提供します。

BEV専用プラットフォーム e-TNGA
新型 RZ は、LEXUS初のBEV専用プラットフォーム (e-TNGA) を採用しています。バッテリーを車両フロア下に搭載することにより、低重心・低慣性モーメントを実現し、操縦安定性と乗り心地を高い次元で両立しています。ラジエーターサポート部の補強とV字状のブレースの追加によるボディ強化、タワーバーやフェンダーブレースの設置により、ステアリングの応答性やリヤの追従性を向上させています。
サスペンション
サスペンションは、フロントにマクファーソンストラット式、リヤにトレーリングアーム式ダブルウィッシュボーンを採用しています。路面入力の周波数に応じて伸び側ストロークの減衰力を変化させる周波数感応アブソーバーFRDⅡをLEXUSで初めて採用しており、高い操縦安定性と乗り心地を提供します。

走行サウンド/静粛性
BEVにおいても、クルマと人が対話を通じて運転を楽しめるような音作りが追求されています。車両の走行状態に応じた走行サウンドにより、快適なドライブ空間を演出し、モーター音が乗員へ心地良く響くようにチューニングされています。静粛性も追求され、床下バッテリーに遮音壁としての機能を持たせ、フード開口全周シールの設定による風切音の変動感低減や、前後席のアコースティックガラス採用により、高速走行時も車内での会話を邪魔しない静粛性を実現しています。
空力性能
- 空力性能の追求: BEVで可能となった意匠造形と空気抵抗(Cd)の低減を追求し、航続距離確保に貢献できる空力性能を開発しています。
- フロントグリル開口部: 冷却風取り込みに必要な最小限の大きさとし、モーターコンパートメント内に入る風量を最小化しています。
- フロントバンパー: 圧力の高まりを抑制し風を整流する効果があります。
- フラッシュベルトモール: ガラス面からドア意匠面までの段差を1段化したフラッシュベルトモールで風を整流します。
- フード開口全周シール: フードの隙間から吹き出す空気を抑制するために、フードの開口全周にフードシールを採用しています。
- リヤや床下における空力性能の追求: 中央でカットされたルーフスポイラーが車両後流での収束性を高め、空気抵抗を低減させています。

レクサス RZの安全性能・運転支援機能
新型レクサス RZの安全性能については、新型 RZ には、進化した Lexus Safety System+ とLexus Teammateが搭載されています。
- Lexus Teammate Advanced Drive (渋滞時支援): 一部の高速道路・自動車専用道路での運転中、渋滞が発生すると、システムが認知・判断・操作を支援します。この機能は、車線維持・加減速・停車・発進を支援し、渋滞が解消された際にはドライバーにハンドル操作を促す通知を行います。
- Lexus Teammate Advanced Park (リモート機能付): この機能は、並列バック駐車、縦列駐車・出庫、区画線のない駐車などをサポートします。カメラと超音波センサーを組み合わせ、適切な認知、判断、操作を支援し、全操作を車両が支援します。このシステムは、車外からのリモート操作も可能で、不慣れな場所や狭い場所での駐車をサポートします。
- プリクラッシュセーフティ: このシステムは、車両、歩行者、自転車運転者、自動二輪車をミリ波レーダーと単眼カメラで検出し、衝突の可能性が高い場合に警告を発し、必要に応じて自動ブレーキを作動させます。また、交差点での衝突回避支援も行います。
- プロアクティブドライビングアシスト: 歩行者が飛び出してくるかもしれないようなリスクを先読みし、ステアリングやブレーキなどの運転操作をサポートします。
- ロードサインアシスト: この機能は道路標識を認識し、メーターに表示します。ドライバーが道路標識や信号に従っていない場合は、表示の反転や点滅、ブザーなどで注意を喚起します。
- レーダークルーズコントロール (全車速追従機能付): このシステムは、先行車をミリ波レーダーと単眼カメラで認識し、設定した車間距離を保ちながら追従走行を支援します。また、停止・発進を繰り返すシーンでの運転負荷を軽減します。
- レーンディパーチャーアラート: 車線逸脱の可能性をドライバーに通知し、車線からの逸脱を避けるためのステアリング操作を支援します。
- その他機能:レーントレーシングアシスト、レーンチェンジアシスト、発信遅れ告知機能、ドライバー異常時対応システム、アダプティブハイビームシステム

レクサス RZ450e特別仕様車”F SPORT Performance”
2024年1月12日レクサスは、レクサスRZ450eをベースに走りの性能を強化した100台限定モデルを発表しました。このモデルはエアレースパイロットの室屋選手やレーシングドライバーの佐々木選手らと共に開発。エクステリアやインテリアには専用のカラーコンビネーションを採用。この特別仕様車の詳細は以下の記事で詳しく紹介しています。
レクサス RZの価格
新型レクサスRZの価格は820万円からです。RZ300eとRZ450eの価格差が60万円なので、RZ450eの方がコスパは良いでしょう。
<レクサスRZのグレード別価格>
RZ300e”version L”:820万円
RZ450e”version L”:880万円
RZ450e特別仕様車”F SPORT Performance”:1180万円

レクサス RZの発売時期
レクサスRZは2023年3月30日に発売されました。
発売を記念し、最初に発売される500台は特別仕様車”First Edition”として販売されました。
レクサス RZの辛口評価
新型レクサス RZ の評価を辛口で行うと、いくつかのポイントが挙げられます。
まず、RZはレクサスの電動化戦略の中核をなすモデルとして、多くの期待を集めていますが、欧州をはじめとする高級車メーカーの電動SUVと比較すると、その差別化には若干の疑問が残ります。
また、RZの高い価格設定は、やや挑戦的なターゲットに映ります。レクサス初のEV専用モデルとしての革新性はありますが、EVとしての性能面では突出したものではないので、価格面が課題になる可能性があります。
内装に関しては、レクサスらしい高級感や快適性はありますが、デザイン性や機能性において競合となるラグジュアリーブランドの電動車と比較して突出した特徴を持っているわけではなく、質感においては劣っていると見ることもできます。少し保守的な印象も受けます。

レクサス RZのライバル車
レクサスRZの競合モデルは以下の通りです。
BMW iX3は、BMWの電気自動車SUVとして、レクサスRZの有力なライバルです。特にBMWならではの軽快な走りが特徴です。
メルセデス・ベンツ EQBは、メルセデス・ベンツの電気自動車SUVとして、レクサスRZのリーズナブルな選択肢になりえます。
アウディ Q4 e-tronは、アウディの電気自動車SUVとして、レクサスRZの強力なライバルです。アウディの電気自動車 e-tronの中で最も売れているモデルであり、バランスの取れた世界的に人気の電動SUVです。
トヨタ bZ4Xは、トヨタ初の量産型電気自動車SUVであり、レクサスRZの姉妹車でもあるbZ4Xはコストパフォーマンスの良いライバルとなりえます。
まとめ
レクサスはトヨタの豊田社長(当時)がEV戦略を発表したことが記憶に新しいのではないでしょうか。その中でも特にレクサスブランドでのEV構成を明確に宣言していました。レクサスは2030年までに全カテゴリーにおいてBEVフルラインナップ導入、2035年にはグローバルでBEV100%を目指すとしています。新型レクサス RZ はレクサスが進むべき電動化の未来の方向性を示す先駆者としての役割を担っています。EVとしての走りの楽しさや、EVならではのレクサスデザインの進化を示し、第一歩目としては非常にうまくいったスタートではないでしょうか。今後のレクサスEVは楽しみだと感じさせてくれるモデル。

<PR>たった1分、簡単に新車見積もりをするなら以下のMOTAが便利です。
レクサスRZを含むレクサス車の見積もりも簡単に!
レクサスRZ 公式ページはこちら
コメント