マセラティ新型ハイパーカーMCXtrema:ついに1台納車 限定62台は完売

2024年8月1日、イタリアの高級スポーツカーメーカーであるマセラティは、新型ハイパーカー MCXtremaの最初の1台を納車すると発表しました。サーキット専用のレーシングカー MCXtremaは世界62台限定生産モデルであり、すでに完売しているとのことです。

さらに、マセラティは新型スーパースポーツカーを世界初披露すると発表。この新モデルは、2024年8月16日にカリフォルニア州で開催される「ザ・クワイル、ア・モータースポーツ・ギャザリング」イベントで世界初公開される予定です。マセラティは、この新型車を「最も過激なスーパースポーツカー」と位置づけ、サーキット走行に特化した限定モデルとして注目を集めています。

車の概要:マセラティ MCXtremaとは?

マセラティの新型ハイパーカー Maserati MCXtrema(マセラティ エムシーエクストレマ)」は、サーキット専用の非公道走行車両として開発されました。このモデルは、マセラティの現行スーパーカー「MC20」をベースに、さらなる高性能化を図ったものです。

MCXtremaは、マセラティのレーシングスピリットを体現する車両として位置づけられています。過去にはMC12が同様の役割を果たしており、MCXtremaはその精神を受け継ぐ新世代モデルと言えます。
エンジンは、MC20に搭載されている3.0リットルV6ツインターボ「ネットゥーノ」をベースに、さらなるチューニングが施されています。最高出力は730馬力(540kW)まで引き上げられ、最大トルクも730Nmを発揮します。車体は超軽量のカーボンファイバー製モノコックシャシーを採用し、エアロダイナミクスも徹底的に最適化されています。サスペンションやブレーキシステムもサーキット走行に特化した設計となっています。

MCXtremaは、世界限定62台の生産が予定されており、すでに完売しています。これは、マセラティがサーキット専用車として開発した初めてのモデルとなります。
マセラティの歴史において、MCXtremaは新たな章を開く車両と言えるでしょう。公道走行可能なスーパーカーMC20の発展型として位置づけられ、マセラティのレーシングDNAを最大限に引き出した究極のトラックデイカーとなっています。

マセラティ MCXtremaのエクステリアデザイン

MCXtremaのエクステリアデザインは、純粋な美しさと機能性を追求した結果生まれました。マセラティ・チェントロ・スティーレ(デザインセンター)は、公道走行車両の制約から解放され、トラック専用の「ビースト(獣)」を創造するという自由な発想で設計に取り組みました。

ボディシルエット
MCXtremaのメインボディは、基本的に3本のラインで表現されています。フロントとリアのボディが交差する部分で生まれるこのラインは、2つのコンポーネントを明確に分割しています。この分割により、ラジエーターやリアブレーキ用のエアベントなど、様々な機能が組み込まれています。

フロントデザイン
フロントは大胆なデザインを採用しつつ、マセラティ特有のアーキテクチャを維持しています。フロントの空力性能を高めるために設計され、フロントアクスルに高いダウンフォースを提供する大型スプリッターを備えています。フロントボンネットエリアには、トライデント(三叉戟)の形状を体現した空力チャンネルが特徴的です。

サイドプロファイル
サイドには、車体の空力性能を向上させるためのエアロダイナミクス機能が施されています。大型のエアスクープは、ボンネット全体を走るセンターフィンによって調整可能なウィングと接続されています。

リアデザイン
リアのテールライトは、マセラティ独自のデザインでトライデントを想起させます。リア上部には車両の冷却を促進するための専用デザインのメッシュが配置され、下部には大型の空力エクストラクターが目を引きます。

素材と構造
モノコックシャシーには超軽量のカーボンファイバーが使用されています。すべてのラインと体積を最適化し、車体をできるだけトラックに近づけるように設計されています。

マセラティ MCXtremaのインテリアデザイン

MCXtremaのインテリアデザインは、「ミニマリズム」「ドライバーの没入感」「デストラクチャー」という3つの柱に基づいて設計されています。

ミニマリズム
インテリアは不要なものをすべて排除し、軽量化を徹底的に追求しています。安全ケージがドライバーの保護と車体の高い剛性を確保しています

ドライバーの没入感
インテリアのすべての要素は、ドライバーを中心に設計されています。最終的な仕上がりは、F1マシンのようなシングルシーターのコックピットを思わせます。各計器類は完全に対称的に配置され、カーボンファイバー製の分割コマンドコンソールは、ドライバーのドアを開けると一緒に開くように設計されており、乗り降りを容易にしています

デストラクチャー
ドライバーとの接触部分はすべて分解され、必要な箇所に人間工学に基づいたパッドが配置されています。シートと膝の周りは、衝撃から常に保護されるよう設計されています

ダッシュボード
ダッシュボードは不要なプラスチック部品をすべて取り除き、目的に特化したクロスビームが露出しています。これは美しく仕上げられており、美的要素として大きな特徴となっています

ステアリングホイール
MCXtremaのステアリングホイールは、機能性とデザイン性の両面で傑作と言えるでしょう。5インチの中央ディスプレイ、ボタン、ロータリーセレクターを備え、超人間工学的なグリップを実現しています。カーボンとアルミニウムの構造により、非常に高品質で技術的な外観を持ち、車全体のデザイン言語と完璧に調和しています

シート
安全性を重視し、FIA公認の6点式ベルトを備えたレーシングシートを採用しています

マセラティ MCXtremaの走行性能

MCXtremaは、サーキット専用車両として開発されただけあって、その走行性能は圧倒的です。

パワートレイン
MCXtremaの心臓部には、MC20用のネットゥーノエンジンをさらに強化した3.0リッターV6ツインターボエンジンが搭載されています。最高出力は730馬力(540kW)、最大トルクは730Nmに達し、MC20と比較して約110馬力もの出力向上を実現しています。この驚異的なパワーは、7,500rpmで発揮され、最大トルクは3,000rpmから得られます

トランスミッション
パワーを路面に伝えるのは、6速シーケンシャルレーシングギアボックスです。ステアリングホイールに装備されたパドルシフターにより、素早いギアチェンジが可能です。また、リミテッドスリップ式の機械式自己ロックディファレンシャルを採用し、コーナリング時の安定性と加速性能を高めています

サスペンション
MCXtremaのハンドリング性能を支えるのが、高度に洗練されたサスペンションシステムです。フロントとリアともにダブルウィッシュボーン式を採用し、ジオメトリーとキネマティクスはマセラティ・イノベーション・ラボのシミュレーターを使用して開発されました。4ウェイアジャスタブルのレーシングダンパー、スプリング、アンチロールバーは、あらゆるサーキット環境に合わせて完全に調整可能です

ブレーキシステム
極限のトラック走行に対応するため、キャストアイアン製ディスクを採用したレーシングブレーキシステムを装備しています。ブレーキバイアスのリモート調整機能や、最新の調整可能なレーシングABSも搭載され、ドライバーの意のままにブレーキングコントロールが可能です

エアロダイナミクス
MCXtremaの卓越した走行性能を支えるのが、徹底的に最適化されたエアロダイナミクス設計です。フロントスプリッター、調整可能なリアウィング、シャークフィン、彫刻的なリアディフューザーなど、すべてのコンポーネントが空力効率を追求しています。これにより、高速コーナリング時の安定性と、ストレートでの最高速度を両立しています。

軽量化
カーボンファイバー製の超軽量モノコックシャシーを採用し、車両重量を約1,300kgに抑えています。この軽量化により、パワーウェイトレシオは約1.8kg/馬力という驚異的な数値を実現しています

MCXtremaは、これらの先進技術の結集により、サーキットでの極限のパフォーマンスを実現しています。マセラティのレーシングDNAを最大限に引き出したこのモデルは、ドライバーに比類なき走行体験を提供します。

マセラティ MCXtremaの価格

MCXtremaの正確な価格は公式に発表されていませんが、複数の海外メディアの報道によると、最低価格は約300万ユーロ(約4億7000万円)とされています。これは現在のマセラティのラインナップの中で最も高価なモデルとなります。グレード別の価格設定はありません。MCXtremaは62台限定の特別モデルであり、各車両が顧客の要望に応じてカスタマイズされるため、最終的な価格は仕様によって異なると想定されます。

マセラティ MCXtremaの発売時期

MCXtremaの正式な発表は2023年8月18日に行われました。しかし、実際の納車開始は2024年後半を予定しています。具体的には、2024年8月17日にカリフォルニア州のウェザーテック・レースウェイ・ラグナセカで、第1号車が顧客に納車される予定です。これは、モントレーカーウィーク2024の期間中に行われるイベントの一環として実施されます。

マセラティ MCXtremaは日本で発売される?

MCXtremaの日本での正式な発売予定については、現時点で公式な発表はありません。世界限定62台のうち、日本の富裕層コレクターや企業向けに数台が割り当てられる可能性はあります。これらの車両は、日本国内のサーキットでの使用を前提に販売される可能性があります。

マセラティ MCXtremaの辛口評価

マセラティ MCXtremaをあえて辛口で評価します。

MCXtremaは確かに圧倒的なパフォーマンスと希少性を誇りますが、いくつかの点で疑問が残ります。まず、730馬力という出力は印象的ですが、同クラスのハイパーカーと比較すると特別突出しているわけではありません。

また、62台限定という生産台数は、マセラティのブランド価値を高めるには効果的かもしれませんが、台数が少なすぎるのではないでしょうか。

さらに、ベース車両であるMC20から大幅に改良されているとはいえ、完全な白紙設計のレーシングカーではありません。そのため、専用設計のトラックデイカーと比較すると、パフォーマンスの面で妥協点がある可能性は否定できません。

価格面でも、推定4億7000万円という金額は、同クラスの車両と比較しても非常に高額です。このような価格設定が、純粋な性能や走行性能だけでなく、希少性に依存している可能性もあります。

マセラティ MCXtremaのライバル車

MCXtremaの主なライバル車として、以下のモデルが挙げられます:

  1. フェラーリ FXX-K Evo
    • 1050馬力のV12エンジンを搭載
    • 同じくトラック専用モデルで、極めて限定的な生産台数
  2. マクラーレン セナ GTR
    • 814馬力の4.0L V8ツインターボエンジンを搭載
    • 軽量化と空力性能の向上に特化したトラック専用モデル
  3. アストンマーティン ヴァルカン
    • 820馬力の7.0L V12エンジンを搭載
    • 24台限定生産の究極のトラックデイカー
  4. ランボルギーニ エッセンツァ SCV12
    • 830馬力のV12エンジンを搭載
    • 40台限定生産のトラック専用ハイパーカー
  5. ブガッティ ボリード
    • 1850馬力の8.0L W16クワッドターボエンジンを搭載
    • 40台限定生産の究極のトラックデイカー

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