2025年10月30日、一般社団法人日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会は、東京ビッグサイトで開催中の「Japan Mobility Show 2025」の会場にて、「日本カー・オブ・ザ・イヤー2025-2026」の一次選考である「10ベストカー」を発表しました。
日本カー・オブ・ザ・イヤーは、40年以上の歴史を誇る、自動車業界における権威ある賞です。今回は、2024年11月1日から2025年10月31日までに日本国内で発表・発売された乗用車の中から、自動車評論家やジャーナリスト、有識者からなる選考委員60名による厳正な投票の結果、全35台のノミネート車の中から最終選考会に進む10台が選ばれました。
今年の10ベストカーは、電気自動車、PHEV、SUV、軽自動車、スペシャルティカーなど、例年以上に多彩なラインアップとなっています。これら10台は、今後11月19日の試乗会での評価を経て、12月4日の最終選考会でイヤーカーが決定されます。

10ベストカー全車種の概要紹介

スズキ eビターラ
スズキ初のグローバルバッテリーEVとして登場したeビターラは、同社のBEV世界戦略車第一弾として位置づけられる注目モデルです。SUVスタイルを採用しながらも、電動化時代にふさわしい先進的なデザインと実用性を両立させています。
ビターラという車名は、スズキが長年グローバル市場で展開してきたコンパクトSUVの系譜を受け継ぐもので、今回のeビターラはそのエレクトリック版として新たな歴史を刻もうとしています。バッテリーEVとしての性能と、スズキらしい使い勝手の良さを融合させた設計が評価され、10ベストカーに選出されました。
スバル フォレスター
スバルを代表するミドルサイズSUVであるフォレスターが、フルモデルチェンジを果たして10ベストカーに選出されました。新型フォレスターは、スバルの伝統である水平対向エンジンを継承しながらも、ストロングハイブリッドシステムを搭載した2.5リッターエンジンを採用しています。
フォレスターは1997年の初代デビュー以来、スバルのAWD技術とアイサイトなどの先進安全技術を搭載したモデルとして、多くのファンに支持されてきました。今回の新型では、電動化技術の進化により、環境性能と走行性能の両立をさらに高めた点が注目されています。
ダイハツ ムーヴ
軽自動車市場を代表する基幹車種として、30年もの長い歴史を持つダイハツ ムーヴが、フルモデルチェンジを経て10ベストカーに選出されました。これまでに累計340万台以上を販売してきたムーヴは、日本の軽自動車文化を支えてきた重要なモデルです。
1995年の初代発売以来、ムーヴは常に時代のニーズに応える進化を遂げてきました。新型では、さらなる居住性の向上や最新の安全装備、燃費性能の改善などが図られ、軽自動車に求められる要素を高い次元でバランスさせています。30年間お客様のニーズに応え続けてきた実績が、今回の選出につながったといえるでしょう。
トヨタ クラウン(エステート)
トヨタの高級車ブランドとして70年近い歴史を誇るクラウンシリーズから、ステーションワゴンタイプの「クラウン エステート」が10ベストカーに選出されました。クラウンは2022年に大胆なモデルチェンジを行い、従来のセダンスタイルから複数のボディタイプを展開する戦略へと転換しました。
エステートは、そのクラウンシリーズの中でもステーションワゴンとしての実用性と、クラウンらしい上質感を融合させたモデルです。伝統的な日本の高級車が、現代のライフスタイルに対応した新しい形を提案している点が評価されています。
日産 リーフ
2010年の初代発売以来、量産型電気自動車のパイオニアとして世界中で高い評価を得てきた日産リーフが、再び10ベストカーに選出されました。リーフは世界で最も売れた電気自動車の一つとして、EVの普及に大きく貢献してきた歴史があります。
最新のリーフは、バッテリー技術の進化により航続距離が大幅に向上し、より実用的なEVとして進化を遂げています。また、e-Pedalなどの先進的な運転支援技術や、ProPILOTによる自動運転支援機能なども搭載され、電気自動車としての完成度をさらに高めています。
ホンダ プレリュード
かつてホンダを代表するスペシャルティクーペとして人気を博したプレリュードが、長い時を経て復活し、10ベストカーに選出されました。プレリュードは1978年に初代が登場して以来、スタイリッシュなデザインと優れた走行性能で多くのファンを魅了してきました。
新型プレリュードは、かつての名車の精神を現代に蘇らせながらも、最新の技術を投入したスペシャルティカーとして生まれ変わっています。走る楽しさを追求したホンダの姿勢が評価され、多様化する自動車市場の中で、運転の喜びを提供する存在として注目されています。
BMW 2シリーズ グラン クーペ
ドイツの名門BMWから、コンパクトな4ドアクーペである2シリーズ グラン クーペが10ベストカーに選出されました。BMWの伝統である「駆けぬける歓び」を体現しながらも、実用性を兼ね備えたモデルとして位置づけられています。
2シリーズ グラン クーペは、BMWのエントリーモデルでありながら、ブランドの核となる走行性能と上質な仕上がりを備えています。コンパクトなボディサイズながら4ドアの実用性を持ち、日本の道路環境にも適合する扱いやすさが魅力です。
ヒョンデ インスター
韓国の自動車メーカー、ヒョンデから、コンパクトな電気自動車であるインスターが10ベストカーに選出されました。ヒョンデは近年、電動化技術に積極的に投資し、グローバル市場で存在感を高めています。
インスターは、日常使いに適したコンパクトなサイズと、電気自動車としての実用的な航続距離を両立させたモデルです。手頃な価格帯でありながら、充実した装備と先進的なデザインを備えており、EVの普及を後押しする存在として期待されています。
プジョー 3008
フランスの自動車メーカー、プジョーのフラッグシップSUVである3008が、10ベストカーに選出されました。プジョー 3008は8年ぶりにフルモデルチェンジを果たし、最新のハイブリッドパワートレインを搭載しています。
新型3008は、Stellantisの新開発プラットフォーム「STLA-Medium(ステラ ミディアム)」を初採用し、高い燃費性能と先進的なデザイン、そして快適性を実現しています。プジョーらしい個性的なデザインと、欧州車ならではの洗練された走りが評価されました。
フォルクスワーゲン ID.Buzz
ドイツの名門フォルクスワーゲンから、EVミニバンという独特のポジションを持つID.Buzzが10ベストカーに選出されました。ID.Buzzは、かつて「ワーゲンバス」の愛称で親しまれた初代タイプ2のデザインを現代的に解釈し、電動化時代に蘇らせたモデルです。
レトロフューチャーなデザインと、ミニバンとしての実用性、そして電気自動車としての先進性を融合させたユニークな存在として注目を集めています。ファミリー層にも訴求する広い室内空間と、環境性能を両立させた点が高く評価されました。
10ベストカー選考の特徴と背景
今回の10ベストカー選出にあたり、日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会の鈴木慎一実行委員長は、「本年度のノミネート車は35モデルでした。電気自動車あり、PHEVあり、SUVあり、軽自動車あり、スペシャルティカーありで、例年以上に多彩なモデルが揃いました」とコメントしています。
さらに鈴木実行委員長は、「日本の自動車、自動車事情に精通した60名の選考委員が高い見識と厳しい眼をもって投票したモデルのTOP10を『10ベストカー』として表彰します。2025年の日本のクルマを代表する10ベストカーにどのモデルが選出されるか、ご注目ください」と述べ、今回の選考の重要性を強調しました。
また、今回の日本カー・オブ・ザ・イヤーでは、選考方法に大きな変更が加えられました。新しい選考方法は「101(いちまるいち)方式」と呼ばれ、第一次選考で選ばれた10ベストカーすべてを各選考委員が評価し採点するシステムです。
配点は固定されており、上位から25点、18点、15点、12点、10点、8点、6点、4点、2点、1点を配点します。総計点が101点となることから、この選考方法を101方式と呼んでいます。なお、101方式は「10ベストカーからイヤーカーである1台を選ぶ」という思いも込めて名付けられました。
選考委員は101方式による評価のほか、総評も必ず行います。また、10ベストカーそれぞれにコメント評価を行うことで、多くの人が10ベストカーの個性を知ることができることを目指しています。
2025-2026 日本カー・オブ・ザ・イヤー 今後のスケジュール
選出された10台は、2025年11月19日(水)に千葉県袖ケ浦市の袖ケ浦フォレストレースウェイで開催される「10ベストカー取材会」で、選考委員による試乗や詳細な評価が行われます。この取材会は報道関係者向けのイベントで、一般の方の入場はできませんが、ここでの評価が最終選考の重要な判断材料となります。
そして、2025年12月4日(木)には、神奈川県横浜市都筑区のボッシュ株式会社本社にて「最終選考会・表彰式」が開催されます。最終選考会では、選考委員による最終投票が行われ、10ベストカーの中から栄えある「2025-2026 日本カー・オブ・ザ・イヤー」が決定します。
最終選考会・表彰式の模様は、当日15時30分(予定)から日本カー・オブ・ザ・イヤー公式YouTubeチャンネルにてライブ配信される予定です。一般の方は会場に入場できませんが、ライブ配信を通じて、歴史的瞬間を視聴することができます。

多様性が際立つ今年の10ベストカー
今回選出された10ベストカーを見渡すと、自動車業界の大きな転換期を象徴するような多様性が際立っています。スズキ eビターラ、日産リーフ、ヒョンデ インスター、フォルクスワーゲン ID.Buzzといった純粋な電気自動車から、スバル フォレスターやプジョー 3008のようなハイブリッド車、そしてダイハツ ムーヴのような軽自動車、さらにはホンダ プレリュードのようなスペシャルティカーまで、実に幅広いジャンルのクルマが並びました。
このラインアップは、電動化が進む一方で、依然として多様なニーズに応える車づくりが求められている現代の自動車市場を反映しています。環境性能だけでなく、実用性、運転の楽しさ、デザイン性など、さまざまな価値観を持つユーザーに向けた提案が評価された結果といえるでしょう。
12月4日の最終選考会では、これら10台の中から、2025年の日本を代表する1台が選ばれます。果たしてどのクルマが栄冠を手にするのか、自動車業界関係者のみならず、多くのクルマファンが注目しています。













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