フィアットは2024年7月3日、最新のテクノロジーを搭載した新型パンダの受注を欧州で開始したと発表しました。44年の歴史を持つこの人気モデルは、新たな安全装備と先進技術を採用し、パンダファンの心をさらに掴もうとしています。エントリーバージョンのパンダ(Fiat Panda)と、上級グレードのパンディーナ(Fiat Pandina)がラインナップされています。
車の概要:フィアット パンダ / パンディーナとは?
フィアット・パンダは1980年に初代モデルが登場して以来、イタリアをはじめとする欧州で愛され続けてきた小型ハッチバックです。これまでに欧州で800万台以上が販売され、イタリアのポミリアーノ・ダルコ工場では2011年以降、約200万台が生産されてきました。パンダは、その実用性と手頃な価格で幅広い層に支持されてきました。初代モデルはジウジアーロがデザインし、シンプルで機能的なスタイルが特徴でした。2代目は2003年に登場し、2004年には欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。そして2011年に登場した3代目は、より洗練されたデザインと先進装備を採用しました。今回発表された新型パンダは、これまでで最も先進的なモデルとなります。新たに採用された運転支援システム(ADAS)や7インチのデジタルクラスター、新デザインのステアリングホイールなど、安全性と利便性を大幅に向上させています。エンジンには1.0リッターハイブリッド(70馬力)を搭載し、エントリーグレードの「パンダ」とトップグレードの「パンディーナ」の2グレードが用意されています。パンディーナという車名はパンダちゃんという意味で、イタリア人がパンダにつけた可愛らしい愛称に由来しています。

フィアット パンダ / パンディーナのエクステリアデザイン
新型フィアット・パンダのエクステリアデザインは、伝統的なパンダの特徴を継承しつつ、現代的な要素を取り入れた魅力的なスタイリングとなっています。コンパクトなボディに丸みを帯びたフォルムは、初代から受け継がれるパンダの親しみやすさを表現しています。フロントグリルは横基調のデザインを採用し、ヘッドライトとの一体感を演出しています。サイドビューでは、ウインドウラインが緩やかに上昇し、リアに向かって広がるデザインが特徴的です。これにより、コンパクトながらも広々とした室内空間を想起させます。

特にトップグレードの「パンディーナ」では、遊び心のあるデザイン要素が随所に散りばめられています。ホイールカップには可愛らしいパンダの顔がデザインされ、サイドモールディングにはコントラストカラーが施され、「Pandina」ロゴが配されています。さらに、サードライトには「Pandina」のセリグラフィーが施されるなど、細部にまでこだわりが感じられます。カラーバリエーションも豊富で、FIATの「もうグレーはいらない」戦略に基づき、イエロー、ホワイト、ブラック、レッド、ブルーの新色が用意されています。「パンディーナ」グレードではさらにグリーンも選択可能です。また、ホワイトとブラックのボディカラーを選択した場合、サイドミラーキャップがイエローとなり、サイドモールディングの「Pandina」ロゴのイエローとマッチングするデザインとなっています。このように、新型パンダのエクステリアデザインは、都市部での使用を想定したコンパクトさと実用性を保ちつつ、遊び心と個性を加えることで、幅広い年齢層に訴求する魅力的なスタイリングとなっています。




フィアット パンダのボディサイズ
現行モデルのフィアット パンダのボディサイズは、全長3,685mm、全幅1,670mm、全高1,550mmです。
フィアット パンダ / パンディーナのインテリアデザイン
新型フィアット パンダのインテリアデザインの中心となるのは、新たに採用された7インチのフルデジタルクラスターです。3種類のグラフィックモードを備え、ドライバーの好みや走行状況に応じて表示を切り替えることができます。また、新デザインのステアリングホイールも採用され、操作性と見た目の両面で刷新が図られています。デザインの特徴として、丸みを帯びた「スクワークル(四角い円)」モチーフが随所に取り入れられています。これはダッシュボードやエアコン吹き出し口、ストレージボックスなど、車内の様々な場所に見られ、親しみやすさと遊び心を演出しています。

上位グレードの新型パンディーナでは、洗練されたインテリアが用意されています。ダッシュボードには白い塗装が施され、明るく開放的な雰囲気を醸し出しています。シートには「Pandina」のモノグラムとロゴが刻印され、黄色のダブルステッチが施されるなど、細部にまでこだわりが感じられます。また、環境への配慮も忘れていません。シート生地には、海洋プラスチックごみを原料とした持続可能な素材「Seaqual」が使用されています。これは、環境保護への取り組みを具体化した一例といえるでしょう。テクノロジー面では、「パンディーナ」グレードに7インチのタッチスクリーンラジオが標準装備されます。Apple CarPlayとAndroid Autoにも対応しており、スマートフォンとの連携も容易です。このように、

フィアット パンダ / パンディーナの走行性能
フィアット パンダには、1.0リッターハイブリッドエンジンが搭載されています。このエンジンは70馬力を発揮し、コンパクトなボディに見合った軽快な走りを実現しています。ハイブリッドシステムの採用により、低速域での電気モーターのアシストが効いて、発進時や市街地走行での滑らかな加速が特徴です。トランスミッションには5速ATが採用されています。これにより、市街地での頻繁な発進・停止や、高速道路での巡航など、様々な走行シーンに適応する変速特性を実現しています。特に、低速域での変速がスムーズで、街中での扱いやすさに貢献しています。燃費性能については、FFモデルで18.4km/リットルを達成しており、経済性も十分に考慮されています。この優れた燃費性能は、ハイブリッドシステムと軽量コンパクトなボディの相乗効果によるものです。パンダの走りの特徴として、小回りの利く取り回しの良さが挙げられます。

フィアット パンダ / パンディーナの安全性能・運転支援機能
新型フィアット パンダには、先進運転支援システム(ADAS)が標準装備され、都市部での走行から郊外まで、様々な状況下でドライバーをサポートします。主な機能には以下のものが含まれています:
- 自動緊急ブレーキ:市街地での追突事故リスクを軽減
- レーンキーピングアシスト:車線逸脱を防止
- ドライバー疲労検知:運転者の疲労を検知して警告
- 交通標識認識:道路標識を認識し、7インチのデジタルクラスターに表示
実用面では、リアパーキングセンサーが標準装備され、混雑した都市部での駐車をサポートします。また、クルーズコントロール(エントリーグレードではシティパックオプション、パンディーナでは標準装備)は30km/h以上の速度で作動し、長距離ドライブでの快適性を向上させます。
フィアット パンディーナでは、オートマチックハイビームが標準装備され、夜間走行時の視認性と安全性を高めています。これらの機能の多くは、ルームミラーに設置されたカメラによって制御されています。さらに、6つのエアバッグが標準装備されています。

フィアット パンダ / パンディーナの価格
欧州での新型フィアット・パンダの価格は、約270万円(15,900ユーロ)からとなっています。新型フィアット パンディーナの価格は約320万円(18,900ユーロ)です。
日本での現行パンダ(PANDA EASY)の価格は289万円です。
フィアット パンダ / パンディーナの発売時期
欧州市場では、2024年7月3日から新型パンダの受注が開始されました。

フィアット パンダ / パンディーナは日本で発売される?
現時点で、新型フィアット パンダ、パンディーナの日本での発売に関する公式発表はありません。日本では現行モデルのパンダは販売されているため、新型パンダ、新型パンディーナについても日本で発売されると想定されます。
フィアット パンダ / パンディーナの辛口評価
フィアット パンダをあえて辛口で評価します。まず、安全性能の面で懸念があります。現行モデルのEuro NCAPの安全性評価で星0点という極めて低い評価を受けており、特に子供の乗員保護性能が著しく低いとされています。これは大きな弱点と言えるでしょう。また、装備面でも競合車と比べて見劣りする部分があります。基本的な装備は揃っていますが、最新の運転支援システムや快適装備が不足しているモデルもあります。エンジンラインナップも限定的で、1.0リッターハイブリッドエンジンのみとなっています。パワーを求めるドライバーには物足りなさを感じさせる可能性があります。

フィアット パンダ / パンディーナのライバル車
新型パンダの主なライバル車としては、以下のモデルが挙げられます:
- フォルクスワーゲン・アップ!:
高品質な内装と洗練されたデザインが特徴で、都市部での使用に適しています。パンダよりも安全性能が高く、Euro NCAPで5つ星を獲得しています。 - ヒュンダイ・i10:
価格競争力が高く、長期保証が魅力です。最新モデルは装備も充実しており、パンダよりも現代的な印象を与えます。 - トヨタ・アイゴX:
SUVテイストを取り入れた小型車で、高い走行性能と信頼性が特徴です。パンダよりも新しいプラットフォームを採用しています。 - スズキ・イグニス:
クロスオーバー的なデザインと軽快な走りが特徴で、パンダ4×4のライバルとなっています。
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