2026年1月9日、TOYOTA GAZOO Racingは東京オートサロン2026において、GRヤリスの特別仕様車「MORIZO RR」のプロトタイプを発表しました。この特別なモデルは、マスタードライバーの豊田章男氏(モリゾウ)とともに、2025年に6年ぶりのニュルブルクリンク24時間耐久レースへの参戦を通じて誕生した、国内100台限定の希少モデルです。
日本市場では2026年春以降に、スマートフォン向けアプリ「GR app」を通じた抽選方式で販売が開始される予定となっており、欧州の一部地域でも同様に100台限定で発売される計画です。
ニュルブルクリンクという過酷なレース環境で鍛え上げられたこのモデルは、ドライバーとクルマが対話できる一体感の高さ、信頼性、そして「ずっと運転していたくなる」という感覚を追求した、まさにクルマ好きのための一台として開発されました。

車の概要:トヨタ GRヤリス MORIZO RRとは?
トヨタ GRヤリス MORIZO RRは、GRヤリスをベースとした特別仕様車で、2025年のニュルブルクリンク24時間耐久レース参戦で得られた知見を惜しみなく投入したハイパフォーマンスモデルです。
GRヤリス自体は、世界ラリー選手権(WRC)で勝つために開発されたコンパクトスポーツカーとして、2020年に登場しました。その歴史を遡ると、初代ヴィッツ(1999年発売、海外名ヤリス)から始まり、2代目ヴィッツ(2005年)、3代目ヴィッツ(2010年)と進化を重ね、2020年に4代目として国内外で「ヤリス」に名称が統一されました。現行のGRヤリスは、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamの技術を駆使して開発された、いわばレーシングカーの血統を受け継ぐスポーツカーです。
今回発表されたMORIZO RRは、TOYOTA GAZOO ROOKIE Racing(TGRR)として参戦したニュル24時間レースで、GR-DAT(8速AT)を搭載したGRヤリス109号車のドライバーを務めたモリゾウ自らが、「8速ATじゃなかったら、15周走れていないと思う」と語るほど、トランスミッションの信頼性と性能を実感したモデルとなっています。

トヨタ GRヤリス MORIZO RRのエクステリアデザイン
トヨタ GRヤリス MORIZO RRの外観は、レーシングスピリットを色濃く反映した専用デザインとなっています。
最も目を引くのは、ニュル24時間耐久レースで開発されたカーボン製リヤウィングです。この専用エアロパーツは強力なダウンフォースを生み出し、高速走行時の安定性を大幅に向上させています。さらにフロントスポイラーやサイドスカート、カーボン製エンジンフードも装着され、空力性能と軽量化を両立しています。
ボディカラーには、MORIZO RR専用の「グラベルカーキ」が採用されました。モリゾウ自らがこだわって選んだこの色は、特別感がありながらも日常シーンにも溶け込むよう配慮されています。ラジエーターグリルにはピアノブラックが採用され、引き締まった印象と低重心感を演出しています。ホイールはマットブロンズカラーで、ブレーキキャリパーにはモリゾウのシグネチャーカラーであるイエローが施されました。
バックドアにはMORIZO RR専用エンブレムが装着され、フロントウインドゥにはモリゾウのサインが入るという、限定車ならではの特別な演出も施されています。
トヨタ GRヤリス MORIZO RRのボディサイズは、全長3,995mm、全幅1,805mm、全高1,455mmです。





トヨタ GRヤリス MORIZO RRのインテリアデザイン
トヨタ GRヤリス MORIZO RRの室内は、モータースポーツへのこだわりとドライバーとの対話を重視した特別な空間に仕上げられています。
最も注目すべきは、スエード表皮を使用した専用ステアリングホイールです。このステアリングは、モータースポーツにおける操作性を徹底的に追求し、外径を一回り小径化することで、よりダイレクトな操作感を実現しています。パドルシフトやステアリングスイッチの形状も変更され、GRヤリスRally2から得られた知見を活かし、各種スイッチが独立した形状となりました。
シートには専用のヘッドレスト刺繍デザインが施され、イエローステッチとパーフォレーション(穴あき加工)の色変更が加えられています。ステアリングホイール、シフトノブ&ブーツ、パーキングブレーキレバー&カバーには、スエード表皮とイエローステッチの組み合わせが採用され、スポーティで統一感のある仕上がりとなっています。
メーターには、GR Full TFTメーターの専用表示として「MORIZOモード」が追加されました。そして、限定車であることを象徴する、MORIZO RRロゴを施した専用シリアルナンバープレートがインテリアに装着されています。
これらの細部に至るまでのこだわりは、マスタードライバーとプロドライバーが共につくり込んだ結果であり、ドライビングに集中できる機能美と特別感を両立した空間となっています。





トヨタ GRヤリス MORIZO RRの走行性能
トヨタ GRヤリス MORIZO RRの走行性能は、ニュルブルクリンクという過酷な環境で徹底的に鍛え上げられました。
エンジン性能
パワーユニットには、GRヤリス専用に開発された直列3気筒1.6Lインタークーラーターボエンジン「G16E-GTS型」が搭載されています。このエンジンは、最高出力224kW(304ps)/6500rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/3250-4600rpmという驚異的なパワーを発生します。
3気筒エンジンの採用には明確な理由があります。4気筒エンジンと比較して、クランクシャフトが2回転する間の爆発回数が少なく、隣接する気筒との排気・吸気干渉がないため、ターボの効率が非常に高いのです。その結果、中低速域のトルクが4気筒エンジンより優れ、様々なシーンでリニアに応える高レスポンスを実現しています。
WRC(世界ラリー選手権)のレギュレーションに適合するよう総排気量は1.618Lに設計され、全日本ラリー選手権参戦で求められた戦闘力向上のために、壊れるまで負荷を加え続けてエンジンの限界を確認するという徹底的な開発が行われました。
シャシー性能
足回りは専用のショックアブソーバーチューニングが施されており、専用リヤウィングによる強力なダウンフォースの恩恵を受けて、路面の起伏が激しい環境でもタイヤがしっかりと路面に追従できる減衰力特性に最適化されています。その結果、スポーツ走行性能を維持しながら、日常でもストレスなく乗ることができるパフォーマンスを実現しました。電動パワーステアリング(EPS)の制御も専用チューニングが加えられ、MORIZO RRならではのクルマとの対話を楽しめる仕上がりとなっています。
駆動システム
4WDシステムには、モリゾウとともに開発した専用の四駆制御モード「MORIZO」が新たに追加されました。ベース車に備わる「GRAVEL」モードと置き換わるこのモードは、ニュルを安心して走り切るための最適なイニシャルトルクと駆動力配分となる前50:後50の設定となっています。
搭載されるトランスミッションは、GR-DAT(8速AT)です。モリゾウが「8速ATじゃなかったら、15周走れていないと思う」と語ったように、このトランスミッションは過酷なレース環境での信頼性と性能の高さが実証されています。8速ATの採用により、Dレンジのままで素早い走行が可能となり、スムーズかつダイレクトなシフトフィールを実現するために、空冷ATFクーラーも標準装備されています。
これらの走行性能により、MORIZO RRは思わず笑みがあふれ、非日常の高揚感を味わえるハイパフォーマンスモデルとして完成しました。

トヨタ GRヤリス MORIZO RRの価格
トヨタ GRヤリス MORIZO RRの価格については、現時点では公式な発表がされていません。
参考までに、ベースモデルとなるGRヤリスの価格は448万円からとなっています。MORIZO RRは専用のカーボン製リヤウィング、カーボン製エンジンフード、専用足回りチューニング、専用四駆制御モード、スエード表皮ステアリング、専用シート、専用外板色など、多数の特別装備が追加されているため、ベースモデルよりも高価格帯に設定されると予想されます。
参考としてレクサス LBX MORIZO RRの価格は650万円であり、これはLBXベースモデルの420万円から230万円の上乗せとなっています。
もし追加金額がLBX MORIZO RRと同じだと想定すると、GRヤリス MORIZO RRの価格は678万円と考えられます。GRヤリス MORIZO RRの価格は700万円程度と見ておくのが良いでしょう。
抽選申し込みは2026年春以降にスマートフォン向けアプリ「GR app」を通じて開始される予定で、その際に正式な価格が発表される見込みです。

トヨタ GRヤリス MORIZO RRの発売時期
トヨタ GRヤリス MORIZO RRの発売時期は、2026年春以降となっています。
具体的には、スマートフォン向けアプリ「GR app」を通じた抽選申し込みが2026年春以降に開始され、その後、当選者への納車が行われる予定です。日本市場では100台限定での販売となるため、抽選による購入となる点に注意が必要です。
2026年1月9日の東京オートサロン2026では、開発中のプロトタイプが公開されており、現在も最終的な調整が進められている段階と考えられます。
トヨタ GRヤリス MORIZO RRは日本で発売されるか
トヨタ GRヤリス MORIZO RRは、日本市場で正式に発売されます。
日本向けには100台限定で販売される予定で、2026年春以降にスマートフォン向けアプリ「GR app」を通じた抽選申し込みが開始されます。この抽選方式による販売は、限定台数に対する需要の高さを考慮したものと考えられます。
なお、日本以外では欧州の一部地域においても100台限定で発売される予定となっており、世界的にも希少なモデルとなります。

辛口評価
トヨタ GRヤリス MORIZO RRをあえて辛口で評価します。
まず、100台限定という希少性は魅力的である一方、多くのファンが手に入れられないという問題があります。抽選に外れた場合、どれだけ熱意があっても購入できないというのは、純粋にこのクルマを求めるユーザーにとって大きな壁となるでしょう。
また、価格が未発表という点も懸念材料です。ベースモデルから大幅に価格が上乗せされた場合、コストパフォーマンスの面で疑問符がつく可能性があります。カーボンパーツや専用チューニングは魅力的ですが、それが価格に見合う価値を提供できるかは実際に乗ってみないと判断できません。
走行性能面では、「日常でもストレスなく乗ることができる」とされていますが、カーボン製リヤウィングやハードな足回りが本当に日常使いに適しているかは疑問が残ります。特に日本の狭い道や駐車場での取り回し、段差での擦りなど、実用性の面でどこまで配慮されているかは実車での検証が必要でしょう。
さらに、GR-DAT(8速AT)のみの設定となっている点も、マニュアルトランスミッションを愛するドライバーにとっては物足りなさを感じる要素かもしれません。

トヨタ GRヤリス MORIZO RRのライバル車
トヨタ GRヤリス MORIZO RRのライバルとなるのは、主に欧州のAWDホットハッチモデルです。
具体的には、メルセデスAMG A45(421馬力、798万円~919万円)、アウディRS3(400馬力、850万円)、BMW M135i(306馬力、633万円)などが挙げられます。これらのモデルはGRヤリスと同様にコンパクトボディに高出力エンジンとAWDシステムを搭載したハイパフォーマンスモデルです。
ただし、価格帯で見ると、ベースとなるGRヤリスが396万円~533万円程度であることから、これらの欧州勢とは明確な差があります。GRヤリスは排気量や最高出力では劣るものの、価格面では大きなアドバンテージを持っています。
国産車では、マツダ MAZDA3ファストバック(218.1万円~397.3万円)やホンダ フィット(111.8万円~292.9万円)などが同じコンパクトハッチバックのカテゴリーに属しますが、性能面では明らかに異なるセグメントとなります。
MORIZO RRは限定モデルであり、ニュルブルクリンクで鍛えられた特別な仕様を持つため、単純な価格や性能比較ではなく、その特別性と希少性も含めて評価すべきモデルと言えるでしょう。
トヨタ GRヤリス MORIZO RRの主要スペック
トヨタ GRヤリス MORIZO RRの主要スペックは以下の通りです。
エンジン
- 型式:直列3気筒1.6Lインタークーラーターボ(G16E-GTS型)
- 総排気量:1,618cc
- 最高出力:224kW(304ps)/6,500rpm
- 最大トルク:400Nm(40.8kgm)/3,250-4,600rpm
- トランスミッション:GR-DAT(8速AT)
駆動系
- 駆動方式:GR-FOUR(4WD)
- 専用制御モード:MORIZOモード(前50:後50駆動力配分)
ボディ
主な専用装備
- カーボン製リヤウィング、カーボン製エンジンフード
- 専用ショックアブソーバー・EPSチューニング
- フロントスポイラー、サイドスカート
- 専用ボディカラー「グラベルカーキ」
- マットブロンズホイール、イエローブレーキキャリパー
- スエード表皮専用小径ステアリング
- 専用シート(イエローステッチ)、シリアルナンバープレート
まとめ
トヨタ GRヤリス MORIZO RRは、2026年1月9日に東京オートサロン2026で発表された、国内100台限定の特別仕様車です。マスタードライバーの豊田章男氏とともに、2025年のニュルブルクリンク24時間耐久レース参戦を通じて鍛え上げられたこのモデルは、レースで得られた知見を惜しみなく投入したハイパフォーマンスモデルとなっています。専用チューニングが施された足回り、モリゾウと共同開発した「MORIZO」モード、カーボン製リヤウィングやエンジンフード、専用外板色「グラベルカーキ」など、細部に至るまでこだわり抜かれた仕様が特徴です。2026年春以降にスマートフォンアプリ「GR app」を通じた抽選販売が予定されており、クルマ好きにとって見逃せない一台と言えるでしょう。ドライバーとクルマが対話できる一体感と、ずっと運転していたくなる感覚を追求したMORIZO RRは、モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりの結晶として、GRヤリスの歴史に新たな1ページを刻むことになります。



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