フォルクスワーゲンは2024年7月3日、マイナーチェンジを実施した改良新型ゴルフ(Golf)とゴルフ ヴァリアント(Golf Variant)を発表しました。1974年の誕生から50年間で3,700万台を販売したベストセラーモデルが、3年ぶりに刷新されることとなります。新型モデルは9月から予約注文を開始し、2025年1月より出荷が予定されています。

車の概要:フォルクスワーゲン ゴルフとは?
VW ゴルフは、1974年に初代モデルが登場して以来、コンパクトカーセグメントの代表格として進化を続けてきました。当初はフォルクスワーゲン・ビートルの後継モデルとして開発され、前輪駆動方式を採用することで、それまでのリアエンジン・リアドライブ車とは一線を画す革新的な設計を特徴としていました。ゴルフは8世代にわたって進化を遂げ、その間に3,000万台以上を売り上げる世界的なベストセラーモデルとなりました。特に1976年に登場したGTIモデルは、「ホットハッチ」というジャンルを確立し、スポーティな走りを手頃な価格で楽しめる車として人気を博しました。
今回発表された新型ゴルフは、8代目ゴルフのマイナーチェンジモデルとなります。フロントマスクを刷新し、日本で初めてイルミネーション付きフォルクスワーゲンエンブレムを採用するなど、外観デザインに新たな魅力を加えています。また、最新世代のインフォテイメントシステムを搭載し、より直感的な操作性を実現しています。新型ゴルフは、8世代目の特徴である「電動化」「運転支援機能の強化」「デジタル化」をさらに追求し、現代のニーズに応える進化を遂げています。ハッチバックモデルの「Golf」に加え、ステーションワゴンモデルの「Golf Variant」も同時に刷新され、幅広いユーザーのニーズに対応する製品ラインナップとなっています。

フォルクスワーゲン ゴルフのエクステリアデザイン
新型ゴルフはマイナーチェンジでエクステリアデザインが刷新され、よりモダンで洗練された外観を実現しました。
フロントマスクは大きく変更され、より精悍な印象を与えています。最も目を引く特徴は、日本で初めて採用されたイルミネーション付きフォルクスワーゲンエンブレムです。このイルミネーション機能により、夜間や薄暗い環境下でも、ゴルフの存在感が際立ちます。LEDヘッドライトも新デザインとなり、直線的なラインを持ち、内側に向かって絞られたデザインが採用されました。これにより、フロントビューがより洗練された印象になっています。上位グレードに設定されるIQ.LIGHT LEDマトリックスヘッドライトは、新しい高性能メインビームを搭載し、最大500mの照射距離を実現しています。

サイドビューでは、グレードに応じて16インチから19インチまでの多彩なアルミホイールが用意され、車体との調和が図られています。

リアエンドも刷新され、新しいデザインの3D LEDテールライトクラスターが採用されました。これにより、後続車からの視認性が向上するとともに、より現代的な印象を与えています。

特にR-Lineグレードでは、専用のエクステリアパーツが装着され、よりスポーティな外観となっています。
ボディカラーも充実しており、有償オプションカラーとしてオリックスホワイト マザーオブパールエフェクトやキングズレッド メタリックが用意されています。これらの色彩により、オーナーの個性を表現することが可能です。
フォルクスワーゲン ゴルフのボディサイズ
VW ゴルフのサイズは全長4,295mm、全幅1,790mm、全高1,475mmです。
VW ゴルフ ヴァリアントのサイズは、全長4,640mm、全幅1,790mm、全高1,485mmです。
フォルクスワーゲン ゴルフのインテリアデザイン
新型ゴルフのインテリアで最も目を引くのは、刷新されたインフォテイメントシステム「MIB4」です。センタークラスターには12.9インチの大型タッチディスプレイが搭載され、ドライバーの視線移動を最小限に抑えるよう、前方視界を遮らない位置に固定されています。さらに、ドライバーに向けて角度がついているため、視認性が大幅に向上しました。

操作性にも配慮がなされており、頻繁に使用するエアコンの温度設定や音量調整は、ディスプレイ下部に配置されたバックライト付きタッチスライダーバーで簡単に操作できるようになっています。また、メニュー構造も大型画面を活かすように改良され、画面の上下の帯には使用頻度の高い機能へのショートカットやエアコンの設定状況が常時表示されるなど、情報の一覧性が向上しています。新しいインフォテイメントシステムでは、IDA(アイダ)と呼ばれる音声アシスタント機能も搭載されました。これにより、インフォテイメントやエアコンなど、多くの車両機能を音声でコントロールすることが可能になりました。音声認識は車載コンピューター内で行われるため、クラウドアップロードが必要な方式に比べて反応速度が速いのが特徴です。

シートデザインも刷新され、特にR-Lineグレードでは専用のスポーティなシートが採用されています。上位グレードにはレザーシートパッケージがオプションで用意され、運転席にはパワーシート(前後/高さ/角度/リクライニング調整、メモリー機能付)やパワーランバーサポート、さらに運転席と助手席にはシートベンチレーション機能が装備されます。インテリアの質感も向上し、ソフトタッチ素材や高級感のある仕上げが随所に施されています。

また、アンビエントライトにより、室内の雰囲気を好みに合わせてカスタマイズすることができます。ゴルフ ヴァリアントモデルでは、広々とした室内空間が特徴で、後席の乗員にも十分な頭上空間と足元スペースが確保されています。さらに、ラゲッジスペースは通常時で611リットル、後席を倒すと1,642リットルまで拡大でき、実用性も高くなっています。オプションで選択できる電動パノラマスライディングルーフは、室内に開放感をもたらすとともに、UVカット機能付きの電動サンシェードも装備され、快適性と機能性を両立しています。新型ゴルフのインテリアは、最新のデジタル技術と伝統的な品質感を融合させ、コンパクトカーセグメントにおける新たな基準を打ち立てています。運転者と同乗者の双方に配慮したデザインと機能性により、より快適で楽しい移動空間を提供しています。
フォルクスワーゲン ゴルフの走行性能
新型ゴルフのパワートレインは、2種類の出力を持つ1.5L eTSI 48Vマイルドハイブリッドシステムを採用しています。エントリーグレードには最高出力85kW/116PS、最大トルク220Nm、上位グレードには最高出力110kW/150PS、最大トルク250Nmのエンジンが搭載されており、いずれも7速DSGトランスミッションと組み合わされています。これらのエンジンは、最新世代のEA211 evo2エンジンに刷新され、従来モデルと比較して燃費性能と走行性能が向上しています。

また、クリーンディーゼルエンジンの2.0L TDIエンジン(最高出力110kW/150PS、最大トルク360Nm)も用意されています。このエンジンは、デュアルAdBlue噴射機構とツインドージングシステムを備えており、排出ガスのクリーン化と高い走行性能を両立しています。
スポーツグレードのゴルフ GTIには2.0 L TSI エンジン(最高出力 195kW/265PS、最大トルク360Nm) が搭載されています。

新型ゴルフは、ドライビングダイナミクスを向上させる技術も採用されています。例えば、アダプティブシャシーコントロール”DCC”は、路面状況や運転状況に応じて、各ホイールのダンピング力を200分の1秒単位で制御します。これにより、快適性と走行性能の両立を実現しています。
R-Lineグレードには、よりスポーティな走行を楽しめる専用のサスペンションセッティングが施されています。また、オプションで選択可能な電子制御式ディファレンシャルロックは、コーナリング時のトラクション性能を向上させ、よりダイナミックな走りを可能にします。新型ゴルフの走行性能は、ドイツのアウトバーンで鍛え上げられた高速安定性と、市街地での俊敏性を高次元で両立しています。これにより、日常の通勤から週末のロングドライブまで、あらゆるシーンで運転する楽しさを提供します。
フォルクスワーゲン ゴルフの安全性能・運転支援機能
新型ゴルフには、最新の運転支援システムが標準装備されています。同一車線内全車速運転支援システム”Travel Assist”やアダプティブクルーズコントロール”ACC”(全車速追従機能付)が全グレードに搭載されており、長距離ドライブでの疲労軽減や安全性向上に貢献しています。さらに、レーンキープアシストシステム”Lane Assist”やレーンチェンジアシストシステム”Side Assist Plus”などの先進的な運転支援機能も標準装備されています。これらのシステムにより、車線逸脱の防止や安全な車線変更をサポートし、ドライバーの負担を軽減しています。オプションで選択可能なテクノロジーパッケージには、LED マトリックスヘッドライト”IQ. LIGHT”やダイナミックライトアシスト、アラウンドビューカメラ”Area View”などが含まれており、夜間走行時の視認性向上や駐車時の安全性確保に役立ちます。

フォルクスワーゲン ゴルフの価格
日本での新型ゴルフの価格は未発表です。現行ゴルフの価格は341万円からです。
しかし、ドイツでの新型ゴルフの価格は約470万円(2万7180ユーロ)であり、日本での新型ゴルフの価格は高くなる可能性があります。
フォルクスワーゲン ゴルフの発売時期
フォルクスワーゲンジャパンの発表によると、新型ゴルフおよびゴルフ ヴァリアントの予約注文は2024年9月から全国のフォルクスワーゲン正規ディーラーにて開始される予定です。実際の出荷開始は2025年1月を予定しています。
フォルクスワーゲン ゴルフの辛口評価
新型ゴルフをあえて辛口で評価します。
- インフォテイメントシステム:
新しいMIB4システムは機能面では向上していますが、操作性に関しては賛否両論があります。特にタッチスクリーンのみの操作方式は、賛否があります。 - 内装の質感:
先代モデルと比較すると、一部の内装材の質感が低下したという指摘があります。特にダッシュボードやドアパネルの素材に関して、コストダウンの影響が見られるという評価もあります。 - 価格設定:
装備の充実や先進技術の採用により、価格が上昇しています。これにより、コストパフォーマンスの面で国産ライバル車に対して優位性が薄れているという指摘もあります。

フォルクスワーゲン ゴルフのライバル車
新型ゴルフの主要なライバル車として、以下のモデルが挙げられます:
- トヨタ カローラスポーツ:
日本市場で人気の高いコンパクトハッチバック。ハイブリッドシステムの洗練度や燃費性能で優位性があり、価格面でも競争力があります。ただし、走行性能や内装の質感ではゴルフに一日の長があるという評価が多いです。 - マツダ3:
デザイン性と走行性能に定評があり、上質な内装でゴルフに迫る存在です。特にガソリンエンジンモデルの走りの良さは高く評価されています。ただし、後席の居住性や荷室の使い勝手ではゴルフに劣るとされています。 - ホンダ シビック:
スポーティな走りと実用性のバランスが取れたモデルとして評価が高いです。特に新型モデルは内装品質も向上し、ゴルフの強力なライバルとなっています。ただし、日本では限定的なラインナップとなっている点が惜しまれます。 - アウディ A3スポーツバック:
VWグループ内の兄弟車種ですが、よりプレミアムな位置づけで、上質な内装と洗練された走りが特徴です。ただし、価格帯が高くなるため、完全な競合というよりは、ゴルフの上位モデルとしての選択肢となっています。 - BMW 1シリーズ:
プレミアムブランドのコンパクトハッチバックとして、高い走行性能と品質を誇ります。ただし、価格帯が高く、実用性ではゴルフに劣る面もあります。
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