トヨタ新型RAV4(6代目)発表!サイモン ハンフリーズCBOが語ったデザインや進化のポイント

トヨタ自動車は2025年5月21日(水)午前10時より、トヨタ新型RAV4(ラブフォー)のワールドプレミアを実施しました。発表会では、同社取締役・執行役員でChief Branding Officer(CBO)・デザイン領域統括部長を務めるサイモン・ハンフリーズ氏が登壇し、6代目となる新型RAV4について詳細なプレゼンテーションを行いました。

新型RAV4 ワールドプレミア動画(トヨタ自動車公式YouTubeチャンネル)

RAV4の歴史と革命的な存在意義

クロスオーバーSUVのパイオニア誕生

ハンフリーズCBOは発表会の冒頭で、RAV4の歴史を振り返りながら、その革命的な意義について語りました。1989年の東京モーターショーで後にRAV4となるコンセプトカーが公開された際、「この1台がまさかクルマの未来を大きく変えるとは、当時は誰も思っていなかったでしょう」と述べています。

1994年に初代RAV4が誕生して以来、このモデルはクロスオーバーSUVというジャンルを切り開いた先駆者的存在となりました。ハンフリーズCBOは「小さなモノコックSUVが、歴史を大きく変えた」と表現し、RAV4が多くの人に新たな選択肢を創り出したと強調しました。

世界的な成功と課題

RAV4は初代発表から30年間で、180の国と地域で販売され、累計販売台数は1,500万台に達しています。走行距離の合計は地球6,000万周に相当するという驚異的な数字を記録しています。

しかし、ハンフリーズCBOは成功の陰にある課題についても言及しました。「RAV4の人気が高まるにつれ、私たちはジレンマに直面した」として、SUVセグメントが主流になるにつれて、RAV4が中途半端な存在になってしまう恐れがあったと説明しています。

トヨタ新型RAV4の車両概要については以下の記事で詳しく紹介しています。

新型RAV4のデザインコンセプト

「大胆で力強く、ワクワクする楽しさ」の表現

6代目となる新型RAV4について、ハンフリーズCBOは「大胆で力強く、かつ、ワクワクしちゃう楽しさを表現した」と述べています。新型RAV4の外観デザインには、「SUVハンマーヘッド」と名付けられたコの字型のLEDヘッドライト、バンパー一体型グリル、大胆な形状で強調されたリアフェンダーが採用されています。

これらのデザイン要素により、一目で「トヨタのSUV」とわかるデザインアイデンティティを確立しており、ランドクルーザーシリーズとのファミリーアイデンティティも感じられる仕上がりとなっています。

機能性とデザインの両立

新型RAV4では、ラゲッジスペースの拡大と豊富な収納により、多用途性が向上しています。ハンフリーズCBOは「ゴルフバッグなら7個、サーフボードなら15枚も積める」と説明し、その積載能力の高さをアピールしました。

さらに、電動車モデルでは1,588kg(3,500ポンド)の牽引能力を有しており、より多くの荷物を運搬できる設計となっています。デザイナーにとって課題だった荷室拡大による平板な見た目の問題は、リアの張り出しを強調することで解決し、ダイナミックなスタイルと使い勝手の向上を両立させています。

多様なグレード展開

アドベンチャーグレードの特徴

新型RAV4では、用途に応じた明確なグレード分けが行われています。アドベンチャーグレードには、より大きなタイヤ、オーバーフェンダー、マルチテレインモニターなどが装備され、本格的なアウトドア活動に対応できる仕様となっています。

GR SPORTの新設

注目すべきは、新たに追加された「GR SPORT」グレードです。ハンフリーズCBOは「GRの使命は、サーキットで鍛えた技術を市販車に搭載すること」と説明し、このグレードの開発には7万時間を費やし、下山のテストコースで徹底的に性能を鍛え上げたと述べています。

GR SPORTは標準モデルと比較して、よりワイドで低い外観を持ち、パフォーマンスダンパー、軽量ホイール、高い剛性を備えています。新しいPHEVシステムと組み合わせることで、320馬力を発揮できるまでに進化しています。

電動化技術の進歩

PHEVシステムの大幅向上

新型RAV4では、電動化技術が大きく進歩しています。ハンフリーズCBOは「RAV4は1996年以降、電動車のパイオニア」であることを強調し、新型では「世界で最も効率的なPHEVシステム」を実現したと発表しました。

新開発の大容量バッテリーにより、EV航続距離は50%向上し、電気だけで最大150km走行可能となっています。さらに、DC急速充電機能も追加され、自宅での充電と移動中の充電の両方に対応し、多くのユーザーにとって日常の移動の大半がゼロエミッションになることが期待されます。

フル充電と燃料満タンの状態では、総航続距離は1,350km以上を実現しており、長距離移動においても高い利便性を提供します。

SDV(Software-Defined Vehicle)への挑戦

Areneプラットフォームの初搭載

新型RAV4では、トヨタが自動車業界の次のパラダイムシフトとして位置づけるSDV化が図られています。ハンフリーズCBOは「トヨタのSDVへの挑戦はRAV4から始まっていく」と宣言しました。

新型RAV4には、Woven by Toyotaで開発されたソフトウェアプラットフォーム「Arene(アリーン)」がトヨタ初搭載されています。このシステムにより、クルマが顧客と一緒に成長していく新たな可能性が開かれます。

安全性とエンターテインメントの両立

ハンフリーズCBOは、豊田章男会長が「SDVの目的は何か」と問われた際の回答を紹介しました。「いちばんの目的は、悲しい交通事故をゼロにすること」という明確な答えがあったとし、安全性向上がSDVの最優先課題であることを強調しています。

次世代のToyota Safety Senseは、学習し進化し続けることによって、ビッグデータも活用し、より一層安全なドライブをサポートします。そして、安全性が高まることで、エンターテインメント領域でも新たな体験の可能性が生まれると説明しています。

直感的なAI音声エージェントを備えた新マルチメディアシステムは、デジタルカスタマイズのキャンバスとなり、安全とエンターテインメントは両輪の関係にあるとハンフリーズCBOは述べています。

基本性能の向上

新型RAV4では、外観だけでなく基本性能も大幅に改良されています。ステアリング、コーナリング、ブレーキ性能、トルクやパワーの伝達、ボディ剛性に至るまで、より正確な運動性能を実現するためにすべてが見直されました。

特に悪路走破性の向上に力を入れており、必要な時に必要な場所にトルクを配分する一方で、サスペンションがよりスムーズになり、オンロードでの静粛性も向上しています。

まとめ

サイモン・ハンフリーズCBOの発表は、新型RAV4が単なるモデルチェンジではなく、トヨタの将来戦略を体現する重要なモデルであることを明確に示しました。クロスオーバーSUVのパイオニアとしての誇りを保ちながら、電動化技術の進歩、SDVへの本格参入、そして多様なライフスタイルに対応する柔軟性を備えた新型RAV4は、「人生という冒険をもっと楽しんでください」というメッセージとともに、自動車業界の新たな時代を切り開く存在として位置づけられています。

新型RAV4は2025年度内に日本や北米などの主要市場に投入される予定で、トヨタの次世代モビリティ戦略の第一歩として大きな注目を集めています。

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