トヨタ新型bZ Woodland発表 日本名bZ4X Touring 2026年発売のEVアウトドアSUVモデル

トヨタ自動車は2025年5月15日、カーボンニュートラル社会の実現に向けたマルチパスウェイの取り組みの一環として、新型バッテリーEV「bZ Woodland」を発表しました。同車は5月19日から21日にかけて、トヨタの北米事業体であるToyota Motor North America(TMNA)が開催した新車発表イベントにて世界初披露されました。北米での発売は2026年初を予定しており、日本市場では「bZ4X Touring」の車名で2026年春頃の導入が計画されています。

車の概要:トヨタ bZ Woodlandとは?

新型bZ Woodlandは、トヨタが2021年に立ち上げたBEV専用サブブランド「bZ(beyond Zero)」シリーズの新たなラインアップです。このシリーズの第1弾として2022年に登場したbZ4Xをベースに開発されており、同車のプラットフォームを活用してアウトドア志向を強化した派生モデルとして位置づけられます。

今回発表されたbZ Woodlandは、「走り」と「広さ」にこだわって開発されたミッドサイズSUVです。ボディサイズは全長4,830mm、全幅1,860mm、全高1,620mm、ホイールベース2,850mmで、ベースとなるbZ4Xから全長を約140mm延長し、荷室空間の拡大を図りました。これにより30立方フィート(約850リットル)を超える広い荷室空間を実現しています。

パワートレインには総電力量74.7kWhのリチウムイオンバッテリーと、前後に高出力タイプのeAxle(電動アクスル)を組み合わせたAWDシステムを標準装備します。システム総合出力は375hp(380ps)を発揮し、一充電航続距離は約260マイル(約418km)を確保しています。また、バッテリープレコンディショニング機能により、冷間時でも約30分での急速充電を目標に開発されています。

外観では、トヨタのハンマーヘッド・フロントエンドにフルワイドLEDを組み合わせ、ワイドなブラックオーバーフェンダーの採用により力強いスタイリングを実現。最低地上高は約210mmを確保し、標準装備のルーフレールやオプションのオールテレインタイヤと合わせて、アウトドアシーンでの実用性を重視した仕上がりとなっています。

トヨタ bZ Woodlandのエクステリアデザイン

bZ Woodlandのエクステリアデザインは、その車名が示すとおりアウトドアシーンでの活動を意識したタフで力強いスタイリングが特徴となっています。フロントマスクには、近年のトヨタ車に共通して採用されているハンマーヘッドデザインを取り入れ、フルワイドLEDライトとの組み合わせにより先進的で印象的な表情を演出しています。

力強さを演出するデザイン要素

外観で最も印象的なのは、ワイドなブラックオーバーフェンダーの採用です。この要素により、ベースとなるbZ4Xと比較してより力強く、SUVらしいタフなスタンスを実現しています。一部では「ランドクルーザーEV」を彷彿とさせるデザインとも評されており、本格的なオフロード性能への期待感を高める仕上がりとなっています。

実用性を重視した装備

アウトドア志向を反映した実用装備も充実しています。標準装備のルーフレールにより、自転車ラックや荷物の積載が容易になるほか、最低地上高は約210mm(8.3インチ)を確保することで、悪路での走破性能を向上させています。

足元には、bZ Woodland専用デザインの18インチアルミホイールが装着されます。このホイールには取り外し可能なカバーが付属し、モダンでありながらも頑丈な印象を与えるデザインとなっています。さらに本格的なオフロード走行を求めるユーザー向けには、オプションでオールテレインタイヤも用意されています。

リアデザインと色彩展開

リアセクションでは、センターで繋がる一文字型のテールランプを採用し、ワイド感を強調しています。リアゲート中央には、従来の「TOYOTA」レタリングバッジに代わり、比較的小さなトヨタのCIマークエンブレムが配置されることで、すっきりとした印象を与えています。

ボディカラーについては、アウトドアテイストを反映した全6色が用意される予定です。新色の「Stepping Stone」をはじめ、「Halo」「Steel」「Pavement」「Raven Black」「Trueno Blue」がラインアップされ、ユーザーの好みや用途に応じた選択が可能となっています。

トヨタ bZ Woodlandのボディサイズ

全長4,830mm、全幅1,860mm、全高1,620mm

トヨタ bZ Woodlandのインテリアデザイン

bZ Woodlandのインテリアデザインは、アウトドアシーンでの実用性と先進的なテクノロジーを融合させた仕上がりとなっています。BEV専用のe-TNGAプラットフォームを活用することで、広々とした室内空間を実現し、乗員の快適性を最大限に追求したデザインが特徴です。

先進的なディスプレイ構成

インテリアの中心となるのは、標準装備の14インチToyota Audio Multimediaタッチスクリーンです。このディスプレイは、エンターテインメントからナビゲーション、車両設定まで幅広い機能を統合しており、現代的で直感的な操作を可能にしています。さらに、フロントウィンドシールドの基部近くに配置されたマルチインフォメーションディスプレイが、速度や推定航続距離、充電状況などの重要な情報を表示します。

快適性を重視したシート設計

シートには、高品質なSofTex®(合成皮革)を採用しており、アウトドアテイストを反映したStone BrownとBlackの2色が用意されています。運転席と助手席にはシートヒーターが標準装備され、運転席には電動調整機能も備わります。前後席ともに豊富なレッグルームを確保しており、特に後席では足元スペースにも配慮した設計となっています。

プレミアムパッケージの充実装備

オプションのプレミアムパッケージを選択すると、さらに上質な室内環境を楽しむことができます。9スピーカー構成のJBL®プレミアムオーディオシステムをはじめ、固定式パノラマルーフ、ベンチレーテッド機能付きフロントシート、メモリー機能付きドライバーシート・サイドミラー、そしてフロントラディアントヒーターが追加されます。これらの装備により、アウトドアでの活動後も快適な車内環境を維持できます。

充実したコネクティビティ機能

現代のライフスタイルに対応するため、デュアルワイヤレスQi充電器をフロント部に配置し、車内各所に4つのUSBタイプC充電ポートを設置しています。これにより、複数のデバイスを同時に充電することが可能です。また、標準装備のアンビエントライティングが室内の雰囲気を演出し、長時間のドライブでもリラックスした環境を提供します。

オーディオシステムの充実

音響面では、標準で6スピーカーオーディオシステムを装備し、HDラジオやSirius XM®の3ヶ月トライアル、USB再生機能を提供します。ワイヤレスApple CarPlay®およびAndroid Auto™にも対応しており、スマートフォンとのシームレスな連携も可能です。

実用的なカーゴスペース

リアカーゴエリアは30立方フィート(約850リットル)を超える広さを確保しており、アウトドア用品や日常の荷物の積載に十分な容量を提供します。リアシートは分割可倒式となっており、大型荷物の積載時にはフレキシブルな対応が可能です。また、120ボルトの家庭用電源アウトレットも備えており、キャンプなどのアウトドアシーンでの利便性を高めています。

トヨタ bZ Woodlandの走行性能

bZ Woodlandの走行性能は、BEV特有の瞬発力とオフロード性能を両立させた設計が特徴となっています。パワートレインには前後に高出力タイプのeAxle(電動アクスル)を組み合わせたAWDシステムを標準装備し、システム総合出力375hp(380ps)を発揮します。この出力は同クラスのガソリンエンジン搭載SUVを凌駕する数値であり、BEVならではの力強い加速性能を実現しています。

電動パワートレインの特性

電動パワートレインの最大の特徴は、低速域から最大トルクを発生できることです。bZ Woodlandでは、この特性を活かしてアウトドアシーンでの優れた走行安定性を確保しています。また、バッテリーパックが床下に平置きされることで低重心を実現し、安定したハンドリング性能を提供します。さらに、バッテリークロスフレーミング構造の採用により車体剛性も向上させており、より正確で安定した操縦性を実現しています。

高度なAWDシステム

bZ WoodlandのAWDシステムは、進化した制御システムの採用により前後駆動力配分の自由度が大幅に拡大されています。標準装備されるX-MODEシステムは、ドライバーがスイッチ操作で道路状況に応じてモードを選択することで、ブレーキ制御とホイールへの動力伝達を最適化し、制御性とトラクションを向上させます。

特に注目すべきは、グリップコントロール機能です。この機能は低速時にアクティブ化すると、モーターの駆動力が調整され、優れたオフロード性能を発揮します。荒れた路面でのスリップを防止し、岩場や泥濘地などの厳しい条件下でも安定した走行を可能にしています。

航続性能と効率性

電力供給には総電力量74.7kWhのリチウムイオンバッテリーを採用し、eAxleの高効率化と合わせて約260マイル(約418km)の航続距離を確保しています。これは北米EPAモードでの開発目標値であり、実用的な長距離移動にも対応可能な性能となっています。

回生ブレーキシステムも充実しており、ステアリングホイールに装着されたパドルシフトにより、ドライバーの好みに応じて回生ブレーキ力を調整できます。これにより、エネルギー回収効率を最大化しながら、より自然なドライビングフィールを実現しています。

オフロード性能

最低地上高は約210mm(8.3インチ)を確保しており、一般的な悪路走行に十分な性能を提供します。また、3,500ポンド(約1,588kg)の牽引能力を備えており、ボートやトレーラーなどの牽引作業にも対応できます。オプションで用意されるオールテレインタイヤと組み合わせることで、より本格的なオフロード走行にも挑戦可能な仕様となっています。

充電性能

走行性能を支える重要な要素として、充電性能の向上も図られています。バッテリープレコンディショニング機能により、急速充電前にバッテリー温度を最適化することで、マイナス10℃の冷間時でも約30分での急速充電(10-80%)を目標に開発されています。これにより、寒冷地でのアウトドア活動でも実用的な充電性能を確保しています。

トヨタ bZ Woodlandの価格

bZ Woodlandの具体的な価格については、まだ北米でも正式発表されておらず、詳細は2026年初の発売時期に近づいてから明らかになる見込みです。

現在のところ、価格に関する手がかりとして参考になるのは、ベースとなるbZ4Xの価格設定です。日本で販売中のbZ4Xは、最低価格550万円(税込)から設定されており、グレード別の価格構成は以下のようになっています。

Gグレード

  • FWD(前輪駆動):550万円(税込)
  • 4WD(四輪駆動):600万円(税込)

Zグレード

  • FWD(前輪駆動):600万円(税込)
  • 4WD(四輪駆動):650万円(税込)

bZ Woodlandは、bZ4Xをベースにアウトドア性能を強化し、全長を約140mm延長するなどの改良が施されているため、ベース車両よりもやや高価格での設定が予想されます。北米では単一グレードでの展開が計画されており、プレミアムパッケージも用意される予定です。

日本向けモデル「bZ4X Touring」についても、具体的な価格設定は発表されていませんが、現行bZ4Xの価格帯を基準に、追加装備や機能向上分を加味した価格設定になると予想されます。

トヨタ bZ Woodlandの発売時期

bZ Woodlandの発売スケジュールは、地域によって異なる計画となっています。

北米での発売
北米では2026年初の発売が予定されており、これが世界での初回市場投入となります。トヨタの北米事業体であるToyota Motor North America(TMNA)が、2025年5月19日から21日にかけて開催した新車発表イベントで世界初披露を行い、そこから約8ヶ月後の市場投入を目指しています。

日本での発売
日本市場では、北米より若干遅れて2026年春頃の発売が計画されています。日本向けモデルは「bZ4X Touring」の車名で導入される予定です。

なお、現行のbZ4Xについては、2025年後半に一部改良モデルが投入される予定となっており、その後にbZ4X Touringが続く形でのラインアップ展開となります。

トヨタ bZ Woodlandは日本で発売される?

bZ Woodlandは日本での発売が正式に決定しています。ただし、北米仕様の「bZ Woodland」という車名ではなく、日本市場では「bZ4X Touring」として販売される予定です。

トヨタは2025年5月15日の発表において、北米向けbZ Woodlandの発表と同時に日本向けモデルの投入計画も明らかにしており、カーボンニュートラル社会の実現に向けたマルチパスウェイの取り組みの一環として、BEVラインアップの拡充を日本市場でも進める方針を示しています。

日本向けモデルの発売に向けて、トヨタは既に特設サイトを立ち上げており、今後順次情報を更新していく予定としています。これにより、日本のユーザーも正式発売前から最新情報を確認できる環境が整備されています。

日本仕様の詳細については今後の発表を待つ必要がありますが、基本的なパワートレインやデザインコンセプトは北米仕様をベースとしながら、日本の道路事情や法規制に合わせた調整が施される見込みです。

トヨタ bZ Woodlandの辛口評価

トヨタ bZ Woodlandをあえて辛口で評価します。

航続距離の物足りなさ

bZ Woodlandの最大の弱点は、EPA推定航続距離260マイル(約418km)という数値です。同クラスの競合車と比較すると、この数値は明らかに見劣りします。現在市場で販売されているヒュンダイ・アイオニック5やキア・EV6などは300マイル超の航続距離を実現しており、長距離ドライブが前提となるアウトドア用途を謳うモデルとしては心許ない性能と言わざるを得ません。

ベース車両の課題を引き継ぐリスク

bZ Woodlandは、実質的にはbZ4Xの改良・派生モデルです。Consumer Reportsは先代bZ4Xについて「失望的」と評価しており、「航続距離が短く、性能が弱く、内装デザインが奇妙で、充電速度が遅く、ルート計画機能がなく、グローブボックスもない」と厳しく批判しています。これらの根本的な問題が完全に解決されているかは疑問符が付きます。

価格設定への懸念

具体的な価格が未発表という点も気がかりです。ベースとなるbZ4Xが日本で550万円から650万円という価格設定を考えると、追加装備や機能向上を図ったbZ Woodlandは相当高価格になることが予想されます。アメリカ市場でも海外生産による輸入車となるため、価格競争力に課題を抱える可能性があります。

中途半端なポジショニング

375hpという出力は確かに魅力的ですが、これでもライバル車に対して決定的なアドバンテージを持つとは言えません。また、アウトドア志向を謳いながらも、本格的なオフロード性能については未知数です。最低地上高210mmは一般的な悪路には対応できますが、真のオフローダーには物足りない数値と言えるでしょう。

新型車の宿命

「初年度モデルは買うな」という格言通り、発売初期には予期せぬ問題が発生する可能性があります。特にトヨタのBEV開発経験はまだ浅く、完成度の面で不安が残ります。

トヨタ bZ Woodlandのライバル車

bZ Woodlandが競合する電動SUV市場は、現在最も激戦区の一つとなっています。主要なライバル車は以下の通りです。

韓国勢の強力な対抗馬

最も手強いライバルとなるのは、ヒュンダイ・アイオニック5キア・EV6です。両車ともbZ Woodlandを上回る航続距離を実現しており、特にアイオニック5は最大350km超の航続距離を誇ります。また、800V電気システムによる超高速充電にも対応しており、充電インフラの面でも優位性を持っています。デザイン面でも先進的で、市場での評価も高い状況です。

アメリカ勢の巻き返し

フォード・マスタング マッハEは、マスタングブランドの知名度と走行性能で市場を牽引しています。また、シボレー・ブレイザーEVは価格競争力と実用性のバランスで勝負を挑んでおり、ホンダ・プロローグは信頼性重視のユーザーにアピールしています。

日産の技術力

日産・アリアは、日本メーカーとしてEV開発で先行しており、e-4ORCEによる優れた四輪制御技術を武器としています。航続距離や充電性能でもbZ Woodlandと同等以上の性能を発揮します。

姉妹車との競合

興味深いのは、同じプラットフォームを共有するスバル・トレイルシーカーとの関係です。基本性能は同等でありながら、ブランドイメージやマーケティング戦略の違いによってユーザー層の奪い合いが予想されます。スバルの方がアウトドア・オフロードブランドとしての認知度が高いため、bZ Woodlandにとっては手強いライバルとなりそうです。

市場での立ち位置

これらのライバル車と比較すると、bZ Woodlandは後発組として厳しい戦いを強いられることになります。特に航続距離や充電性能で劣る部分を、トヨタブランドの信頼性やアフターサービスの充実でどこまでカバーできるかが勝負の分かれ目となりそうです。価格設定次第では、コストパフォーマンス重視のユーザーからも厳しい評価を受ける可能性があります。

トヨタ bZ Woodlandのまとめ

トヨタは2025年5月15日、新型バッテリーEV「bZ Woodland」を発表し、北米で2026年初、日本では「bZ4X Touring」として2026年春頃に発売します。

bZ4Xをベースにした同車は、全長4,830mm(約140mm延長)で約850リットルの広い荷室を確保。74.7kWhバッテリーと375hp出力のAWDシステムを搭載し、航続距離は約418kmです。ハンマーヘッド・フロントエンドとワイドなブラックオーバーフェンダーによるタフなスタイリングが特徴で、14インチタッチスクリーンやSofTex®シートを標準装備します。

ただし、航続距離418kmは競合車(ヒュンダイ・アイオニック5、キア・EV6など)と比較して見劣りし、価格も現行bZ4X(550万円~650万円)を上回ると予想されます。アウトドア志向のEVとして差別化を図るものの、厳しい競争が予想される戦略的モデルです。

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