日産新型マイクラ発表|6代目は完全EV化で2025年後半欧州で販売開始 日本発売に期待 価格は未発表

日産自動車は2025年5月21日、欧州市場向けの6代目となる新型「マイクラ(Nissan Micra)」を発表しました。今回発表された新型マイクラは、同ブランド史上初となる電気自動車として生まれ変わり、2025年後半から欧州市場での販売を開始する予定です。

車の概要:新型 日産 マイクラとは?

マイクラは、日産自動車が1982年から生産・販売を続けてきたBセグメントのコンパクトカーです。日本では「マーチ」の名称で親しまれ、欧州などの海外市場では「マイクラ」として販売されています。初代K10型(1982年-1992年)から始まり、2代目K11型は日欧でカー・オブ・ザ・イヤーを同時受賞するなど高い評価を獲得しました。

5代目となる先代モデルは2017年に欧州で発売され、ルノーのフラン工場で生産されていましたが、2023年7月に販売を終了していました。今回発表された6代目マイクラは、従来のガソリンエンジンから完全に転換し、EV専用車種として新たなスタートを切ります。

新型マイクラは、40kWhと52kWhの2種類のバッテリーを設定し、最大408kmの航続距離を実現します。全長4メートル未満、幅1.8メートル未満のコンパクトなボディサイズながら、326リットルの荷室容量を確保し、都市部での使い勝手を重視した設計となっています。ロンドンの日産デザインヨーロッパで設計された大胆なデザインと、プロパイロットアシストをはじめとする先進安全技術を搭載し、5ドア仕様のみでの展開となります。

新型 日産 マイクラのエクステリアデザイン

新型マイクラのエクステリアデザインは、ロンドンにある日産デザインヨーロッパ(NDE)で設計され、従来のマイクラから大幅に刷新されました。プレミアムな仕上げとSUVのようなデザイン、シンプルで洗練された表面仕上げ、そして随所に施された緻密な表現が融合した独特の外観を実現しています。

力強いスタンスと存在感のあるプロポーション

新型マイクラの最も印象的な特徴の一つは、全グレードに標準装備される18インチホイールです。「アクティブ」ホイールカバー、「アイコニック」および「スポーツ」アルミホイールという3種類のデザインが用意され、この大きなホイールサイズとダークなホイールトリムの組み合わせにより、力強くソリッドなスタンスが実現されています。

デザインチームは第3世代マイクラ(K12型)からインスピレーションを得ており、特にフロントとリアの円形デイタイムランニングライトが特徴的です。ボンネットはより高く、長く、ボリューミーなアーチ形状となっており、従来モデルよりもクロスオーバーに近い印象を与えています。

個性的なライティング演出

アイコニックなヘッドランプは、ナンバープレートからボンネットに向かって傾斜するクリーンなサーフェスからわずかに突き出ており、特別な印象を与えます。注目すべきは、ドアロック解除時にヘッドランプが左右に脈動する「ウェルカムウィンク」機能で、この演出はドアロック時にも行われ「フェアウェル」としても機能します。

リア部分にはLEDテールランプが採用され、シンプルながらも華やかなデザインで円形状のエレメントを備えています。

豊富なカラーバリエーション

新型マイクラは14種類の外装色の組み合わせにより、個性を主張できます。ツートンカラーも設定され、ボディカラーと黒またはグレーのルーフカラーを組み合わせることで、様々なお客様の個性を表現することが可能です。

日産デザインヨーロッパの責任者であるジオバーニ・アローバ氏は、新型マイクラについて「これまで多くのお客さまに愛されてきた歴史とその意味を尊重しながらも、EVとしてマイクラの新たな章を開きました。エクステリアは大胆で遊び心のある第一印象を与え、街中では確かな存在感を示します」とコメントしています。

コンパクトながら存在感のあるボディサイズ

なお、新型マイクラのボディサイズは全長4メートル未満、全幅1.8メートル未満で、ホイールベースは2.54メートルとなっています。5ドア仕様のみの設定で、都市部での使い勝手を重視した設計となっています。

※具体的な全長・全幅・全高の数値については、現時点で正式発表されていません。

新型 日産 マイクラのインテリアデザイン

新型マイクラのインテリアは、歴代モデルの共通テーマである「シンプルで控えめでありながらも優雅さを感じるデザイン」を踏襲し、EV時代にふさわしい先進性と日本らしさを巧妙に融合させています。

日本のアイデンティティを込めたさりげないデザイン

特に注目すべきは、前席の収納スペースに採用された富士山のモチーフです。これは単なる装飾ではなく、日産という日本のメーカーのアイデンティティをさりげなく表現した、デザイナーの細やかな配慮が感じられる特徴となっています。このような控えめながらも意味のあるデザイン要素は、新型マイクラが持つ日本らしさの象徴といえるでしょう。

デジタル時代にふさわしい先進的な情報表示システム

ドライバー周りの操作環境は大幅に刷新され、ステアリングの奥には10.1インチの大型ディスプレイが配置されています。このディスプレイは運転に必要な各種情報をドライバーに分かりやすく提供し、視認性と操作性の向上を図っています。

さらに、インストルメントパネル中央には同じサイズの10.1インチタッチスクリーンディスプレイが設置され、ナビゲーションやオーディオ、電話操作などの各種機能にスムーズにアクセスできる設計となっています。この2つのディスプレイの組み合わせにより、情報表示と操作系統が効率的に分離され、運転中の安全性と利便性が両立されています。

グレード別に用意された3つのプレミアム空間

シートの仕様はグレードに応じて異なる設定となっており、「モダン」「アウダシアス」「チル」の3つのグレードそれぞれで、異なるテイストのプレミアムな空間が提供されます。これにより、ユーザーの好みやライフスタイルに合わせたインテリアの選択が可能となっています。

新型マイクラのインテリアは、歴代モデルが培ってきたシンプルで上質なデザイン哲学を継承しながら、EV時代にふさわしいデジタル機能と日本らしさを巧みに融合させた、新世代のコンパクトカーにふさわしい仕上がりとなっています。

新型 日産 マイクラの走行性能

新型マイクラは、電気自動車として初めて設定されたモデルでありながら、都市部での使い勝手と優れたドライビング性能を高次元で両立させています。

2つのバッテリー仕様で幅広いニーズに対応

パワートレインには40kWhと52kWhの2種類のバッテリーを設定し、それぞれ異なる性能特性を持ちます。40kWh仕様では最高出力90kW(122ps)、最大トルク225Nm(22.9kgf-m)を発揮し、WLTCモード航続距離は308kmを実現しています。一方、52kWh仕様では最高出力110kW(150ps)、最大トルク245Nm(25.0kgf-m)を発生し、最大408kmの航続距離を確保しています。

都市部での走行を主に想定して開発されていますが、52kWhバッテリー仕様であれば航続距離の不安なしに郊外へのドライブも楽しめる設計となっています。

競合他車を上回る軽量化技術

新型マイクラの走行性能を支える重要な要素の一つが、徹底的な軽量化です。40kWh仕様の車両重量はわずか1,400kg、52kWh仕様でも1,524kgに抑えられており、ソリッドで堅牢な外観にもかかわらず、多くの競合他車よりも大幅に軽量化を実現しています。この軽量化により、高い効率性と優れたハンドリング性能を両立させています。

先進のシャシー設計で上質な乗り心地を実現

新型マイクラは、ルノー傘下のAmpRとの共用EVプラットフォームを採用し、バッテリーを極力低い位置に配置することで低重心化を図っています。サスペンション形式にはパッシブダンパーを利用するストラット型フロントサスペンションとマルチリンクリアサスペンションを組み合わせ、この低重心レイアウトとの相乗効果により、優れた走行性能とクラス最高レベルの乗り心地を提供します。

同セグメント最速クラスの急速充電性能

充電性能においても新型マイクラは高い実用性を誇ります。100kW出力の急速充電器を使用した場合(40kWh仕様は最大80kW)、バッテリー残量15%から80%までの急速充電をわずか30分で完了できる、同セグメント内で最速の急速充電性能を実現しています。

充電効率を最大化するため、標準でヒートポンプが装備されており、バッテリーの加熱および冷却機能も備えています。さらに、100%電気自動車化の利点として、V2L(Vehicle-to-Load)技術を搭載し、バッテリーの電力を外部デバイスに供給することも可能です。

電動車ならではのスムーズなドライビングフィールを提供するために従来以上に綿密な開発が行われた新型マイクラは、効率性と応答性を高いレベルで融合させた、新世代のコンパクトEVにふさわしい走行性能を実現しています。

新型 日産 マイクラの安全性能・運転支援機能

新型マイクラは、日産が全車両開発において最優先に据える安全性を重視した設計となっています。

プロパイロットアシスト搭載

先進運転支援システムとして、高速道路での快適性と安心感を提供する「プロパイロットアシスト」を搭載しています。このシステムにより、高速道路走行時のドライバーの負担を軽減し、より安心で快適な運転を実現します。

多彩な先進安全技術

プロパイロットアシスト以外にも、多くの最新の先進運転支援技術が導入されており、総合的な安全性能の向上が図られています。これらの技術により、新型マイクラは高い安心感を提供する設計となっています。

新型 日産 マイクラの価格

新型マイクラの価格については、現時点では正式に発表されていません。日産は2025年後半の欧州市場での販売開始に向けて準備を進めていますが、詳細な価格設定やグレード別の価格体系については、今後の発表を待つ必要があります。

40kWhと52kWhの2種類のバッテリー仕様が設定されることは明らかになっていますが、それぞれの価格差や具体的な価格帯については未公表となっています。

新型 日産 マイクラの発売時期

新型マイクラは2025年後半に欧州市場での販売を開始する予定です。より具体的な発売月については現時点では発表されていませんが、年内の販売開始が予定されています。

生産についてはフランスのドゥエにあるルノーのアンプシティ工場で行われる予定で、ルノーとの協業により実現される新型マイクラのEV化プロジェクトの一環として位置づけられています。

新型 日産 マイクラは日本で発売される?

新型マイクラの日本市場への導入については、現時点では正式な発表がありません。マイクラは日本では「マーチ」の名称で長年親しまれてきた車種でしたが、現行型は日本市場から撤退しており、新型マイクラの日本導入についても未定の状況です。

SNS上では「日本市場にめちゃくちゃピッタリだと思う」「小型安価なEVこそ日本にも必要」といった日本導入を期待する声が多数上がっています。しかし、日産は現時点で日本市場への導入計画を明らかにしておらず、欧州専用モデルとしての展開となる可能性もあります。

日本の軽自動車市場やコンパクトカー市場において、新型マイクラのようなコンパクトEVへの需要は高いと考えられますが、具体的な日本導入の可能性については今後の日産の戦略発表を注視する必要があります。

新型 日産 マイクラの辛口評価

新型 日産 マイクラをあえて辛口で評価します。新型マイクラは確かに魅力的なEVとして登場しますが、いくつかの課題や疑問点も浮上しています。

価格設定の不透明さと競争力への懸念

最も大きな問題は、発表から半年近く経過しているにも関わらず、価格が一切公表されていない点です。40kWhと52kWhの2つのバッテリー仕様を設定していることは明らかですが、肝心の価格帯が不明では、消費者にとって購入検討の材料が不足しています。特に激戦区であるBセグメントEV市場において、価格競争力は販売成功の鍵を握る要素であり、この遅れは戦略的に不安を感じさせます。

限定的な市場展開による機会損失

新型マイクラは欧州専用モデルとして発表されており、日本市場への導入予定が示されていません。日本では「マーチ」として長年親しまれてきた車種であるにも関わらず、EV化の恩恵を日本の消費者が受けられないのは残念な判断です。日本の軽自動車やコンパクトカー市場において、手頃な価格のコンパクトEVへの需要は確実に存在するにも関わらず、この機会を逸しているのは戦略的に疑問視せざるを得ません。

実用性における一部の妥協

全グレードに18インチホイールを標準装備することで見た目のインパクトは高まりましたが、乗り心地や燃費効率、タイヤ交換コストの面では不利になる可能性があります。また、5ドア仕様のみの設定は実用性を重視した判断ですが、若年層向けの3ドアスポーティ仕様がないことで、デザイン面での差別化の機会を逸している感もあります。

技術的な詳細不足

V2L機能や急速充電性能など魅力的な機能が謳われていますが、実際の使用条件や制約についての詳細な情報が不足しています。また、「クラス最高の乗り心地」といった表現は使われているものの、具体的な競合他車との比較データや第三者による評価結果が示されていない点も気になります。

新型 日産 マイクラのライバル車

新型マイクラが参入するBセグメントEV市場は、すでに多くの魅力的な競合車種がひしめく激戦区となっています。

直接的な技術共有車: ルノー5 E-Tech エレクトリック

最も密接な関係にあるのが、同じプラットフォームを共有するルノー5 E-Tech エレクトリックです。基本的な走行性能や充電性能は共通していると予想されますが、デザインや装備面での差別化が購買決定の鍵となります。ルノー5はレトロモダンなデザインで話題を集めており、マイクラがいかに独自性を打ち出せるかが重要です。

プレミアムコンパクトEVの代表: MINI Cooper E

MINI Cooper Eは、プレミアムブランドとしての地位を活かし、高い品質感と独特なデザインアイデンティティで市場をリードしています。新型マイクラの丸型ヘッドライトデザインはMINIと類似している部分もあり、差別化が課題となりそうです。価格帯によってはMINIの強力なライバルとなる可能性があります。

フランス勢の実力派: プジョー e-208

プジョー e-208は、スタイリッシュなデザインと実用的な性能バランスで欧州市場において高い評価を獲得しています。航続距離やインテリアの質感、ブランドイメージなど、総合的な魅力でマイクラとの競争が予想されます。

ドイツの技術力: フォルクスワーゲン ID.3

ID.3は専用EVプラットフォームを採用し、高い技術力と品質で市場での地位を確立しています。サイズ的にはマイクラよりも一回り大きなCセグメントに近いですが、価格帯によっては競合する可能性があります。

日本市場における潜在的ライバル(導入時)

もし新型マイクラが将来的に日本市場に導入された場合、軽自動車が最大のライバルとなる可能性があります。特に電動化が進む軽自動車市場において、日産サクラや三菱eKクロスEVといった手頃な価格のEVとの競争は避けられません。価格設定次第では、コンパクトカーセグメントでノートe-POWERとの社内競合も発生する可能性があります。

新型 日産 マイクラのまとめ

日産自動車は2025年5月21日、6代目となる新型「マイクラ」を欧州市場向けに発表しました。1982年から40年以上にわたって愛され続けてきたコンパクトカーが、今回初めて電気自動車として生まれ変わり、2025年後半の欧州での販売開始が予定されています。

新型マイクラは40kWhと52kWhの2種類のバッテリーを設定し、最大408kmの航続距離を実現。全長4メートル未満、全幅1.8メートル未満のコンパクトボディながら、18インチホイールを全グレードに標準装備し、力強い存在感を演出しています。ロンドンの日産デザインヨーロッパで設計された大胆なエクステリアと、富士山モチーフを取り入れた日本らしさを表現したインテリアが特徴です。

技術面では、プロパイロットアシストやV2L機能を搭載し、30分での急速充電(15%→80%)を可能とする高い実用性を備えています。一方で、価格や日本市場への導入時期は未発表となっており、今後の動向が注目されます。

欧州のBセグメントEV市場では、ルノー5 E-Tech エレクトリック、MINI Cooper E、プジョー e-208といった強力なライバルとの競争が予想され、価格設定が販売成功の鍵を握ることになりそうです。

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