新型スバル「クロストレック」は、2022年12月に発表されました。この多機能クロスオーバーSUVは、コンパクトながら本格的なSUV性能を備え、スポーティなデザインと組み合わせることで、都市部からアウトドアまで幅広いシーンで活躍する車として注目されています。
車の概要:新型スバル クロストレックとは
スバル クロストレック(SUBARU CROSSTREK)は、先代まで日本ではスバル XVとして販売されていました。同じモデルが北米ではクロストレックの名称で販売されており、今回の新型から車名がグローバルでCROSSTREKに統一され、日本でもクロストレックのモデル名で販売されるようになりました。スバルXVは2012年に初代、2017年に2代目が登場。今回3代目にフルモデルチェンジしました。
クロストレックの車名の由来は「CROSSOVER(クロスオーバー)」と「TREKKING(トレッキング)」の造語です。その名の通り、アウトドアなどもアクティブに楽しめるクロスオーバーSUVとなっています。「FUN=愉しさ」をキーワードに開発された3代目クロストレック。従来の「スバル XV」と比較して、よりワイルドでアグレッシブなデザインに進化し、走行性能や使い勝手も「より上質」になりました。ドライバーがイメージする通りに動く直感的な走行性能は、長距離運転でも疲労を感じさせません。幅広く、楽しく活用できるSUVに仕上がっています。

新型クロストレックのエクステリアデザイン
新型クロストレックのエクステリアデザインは、「FUN」の要素を前面に押し出したものです。このデザインはアクティビティを楽しむスタイルにインスパイアされ、頼もしさと身軽さの両方を表現しています。特に、大きなヘキサゴングリルと前傾した全体の姿勢がこのコンセプトを強調しています。
フロントグリルは大型で、太い外枠とクロスプレートのメッシュ形状がSUVの力強さを象徴します。スバル車のデザインアイコンである六角形のヘキサゴングリルは、内部のグリルパターンもヘキサゴンになっているのが特徴的です。フロントフードは高く、左右に盛り上げた形状でフェンダーの張り出し感を強調し、筋肉質なデザインを実現しています。
ヘッドライトはLEDハイ/ロービームを全車種で採用し、モダンで軽快なデザインとなっています。特に上級グレードでは、CシェイプのLEDポジションランプとLEDコーナーリングランプが追加され、より洗練された印象を与えます。

サイドビューでは、グラッディング(フェンダー周りの保護プレート)が大きくなり、走行中の空気の流れを整えて直進安定性を向上させています。また、上部の後ろ側に向けて切り上がった形状により、前進感と逞しさが強調されています。ルーフレールは、台座を大きくすることで踏ん張り感を演出し、積載性の良さをアピールしています。

ホイールは17インチと18インチの2種類で、18インチはリム形状に厚みを持たせ、切削面にスパイクピンや歯車をイメージしたデザインを採用しています。17インチはホール部分を斜めにデザインし、スピード感を演出しています。
リヤビューは、キャビン後部を絞り込み、リヤゲート形状を大きく傾斜させることで軽快さとスピード感を表現しています。また、フェンダーの張り出しを強調することで安定感のあるシルエットを実現しています。
LEDリヤコンビネーションランプは立体的なCシェイプを採用し、モダンでシャープな印象を与えています。リヤバンパーの下部にはディフューザー形状を採用し、スピード感と軽快感を生み出しています。

ボディカラーは9色で、新色として「オフショアブルー・メタリック」と「オアシスブルー」が追加されました。これらの色は、クロストレックのアクティブさと上質さを象徴しています。
ボディサイズは全長は4,480mm、全幅は1,800mm、全高は1,580mm、ホイールベースは2,670mmとなっています。
SUBARUらしさをキープしつつ、スタイリッシュでありながら走りの良さを予感させる外観に仕上がっています。

新型クロストレックのインテリアデザイン
新型クロストレックのインテリアは、機能性を重視しつつ、スタイリッシュなデザインを実現しています。広々とした空間を提供するため、前席・後席ともに左右席間と肩周りに余裕があり、後席には足元にもゆとりを持たせています。室内サイズは室内長1,930mm、室内幅1,505mm、室内高1,200mmとなっており、体格に関わらず最適なドライビングポジションを確保できるように設計されています。

デジタル周りでは、11.6インチの縦型大画面センターインフォメーションディスプレイはすっきりとした先進的デザイン。スマホのような操作性のマルチメディアシステムを搭載しています。

インテリアカラーはブラックで統一され、インパネはマルチマテリアルの多層構造を採用し、素材ごとに異なる風合いで上質さを演出しています。シート表皮は扱いやすいトリコットで、シルバーステッチがアクセントとしてあしらわれています。上位グレード「Limited」では、ステアリングホイールとシフトレバーが本革巻きで、ピアノブラック調のシフトパネルやシルバー塗装のインパネセンターリング加飾が施され、より洗練された雰囲気を持っています。

収納面でも、前席用のカップホルダーは斜めに配置され、出し入れしやすいデザインとなっています。センタートレイはスマートフォンの置き場所に最適で、USB電源も備わっており、前席だけでなく後席にも配慮されています。さらに、フロアコンソールボックス、オーバーヘッドコンソール、照明付きのグローブボックスなどが前席用のポケッテリアとして用意されており、後席にはコートフックやカップホルダー付きのリアシートセンターアームレストなどがあります。

荷室容量は315Lで、荷室開口部は大型のクーラーボックスなども積み込みやすいサイズです。上位グレード「Limited」にはLEDリヤゲートランプが標準装備されており、夜間や暗い場所でも荷物の積み降ろしが容易です。

このように、新型クロストレックのインテリアは、実用性とスタイルを兼ね備え、快適なドライビング体験を提供するように設計されています。
新型クロストレックのドライビング性能
パワートレインと走行性能
新型クロストレックは、スバルが独自に磨いてきた水平対向エンジンSUBARU BOXER(スバル ボクサー)を搭載。この水平対向4気筒2.0L e-BOXERエンジンは最高出力は145PS、最大トルクは188Nmとなっており、低速時にはエンジンが1,000回転を切って走行できるほどのモーターアシストがあり、40km/h未満ではモーター走行も可能です。モーターの最高出力は13.6PS、最大トルクは65Nm。この設定により、発進加速が非常にスムーズで、リニアな加速感を提供します。

燃費性能
新型クロストレックの燃費性能は、WLTCモードで16.4km/Lと、先代モデルに比べて向上しています。これは、新型モデルの軽量エンジンや効率的な運動を支えるトランスミッション「リニアトロニック」などによるものです。
シンメトリカルAWD
AWD設定モデルでは、車両の基本パーツが左右対称・一直線に配置されたシンメトリカルAWDが採用されています。これにより低重心と優れた重量バランスを実現。各タイヤへの力の配分を状況ごとに最適に制御し、雨や雪、砂利道などでも安定して走行することができます。
クロストレックの走行性能面では、滑らかなエンジンフィールで意のままに加速する水平対向エンジンが魅力的。新型モデルでは走行フィールがより上質になり、スバルらしい走りが楽しめます。

新型クロストレックの安全性能
安全面では、新型クロストレックはトップクラスの性能を誇ります。スバル車の安全性能の中心であるアイサイトが最新世代にアップデート。広角化したステレオカメラ、超広角単眼カメラなど3つのカメラとレーダーが「ぶつからない」をサポートする運転支援システム。自動ブレーキシステムは、右左折時の対向車・歩行者・自転車に対しても作動し、出会い頭車両や隣接車線の後方車両に対する検知能力を備えています。さらに、フロントビューモニター、エマージェンシーレーンキープアシスト、ドライバーモニタリングシステムなど、先進の安全技術が搭載されています。他にも最新の安全技術を多数搭載しています。以下は、主な安全機能です。

アイサイト
- 広角ステレオカメラ: 従来型の約2倍の画角を持ち、低速時の二輪車や歩行者の検知が可能。
- プリクラッシュブレーキ: 交差点での衝突被害軽減に対応し、右折時の直進対向車、自動二輪車、歩行者、横断する自転車の検知により、ブレーキを作動させて衝突回避や衝突被害軽減をサポート。
- 前側方プリクラッシュブレーキ: 見通しの悪い交差点や路地から出る際に前側方から接近する車両を検知し、必要に応じてブレーキ制御を行います。
- 緊急時プリクラッシュステアリング: プリクラッシュブレーキでは衝突が避けられない場合に回避スペースへステアリング操作をアシスト。
その他の安全機能
- AT誤発進抑制制御 & 後退時ブレーキアシスト: シフト操作やペダルの踏み間違いによる急発進を抑制し、後退時の速度を制限する機能や衝突の可能性がある場合に警告を発し、ブレーキを作動させる機能。
- ツーリングアシスト: 高速道路でのペダル操作やステアリング操作のアシストを行い、ドライバーの運転負荷を減らすシステム。
- スバルリヤビークルディテクション: 隣車線後方や死角に入っている車両を検知し、ドアミラーのインジケーターの点灯や警報音でドライバーに接近車両の存在を知らせます。
- エマージェンシーレーンキープアシスト: 自動車専用道路での安全な車線変更をステアリング操作でアシスト。
- ドライバー異常時対応システム: ドライバーがステアリングを握らない場合、ハザードランプやホーンで周囲に異常を知らせ、減速して停止。
上位グレードの追加機能
これらの機能により、新型クロストレックは高い安全性能を誇り、ドライバーと乗員の保護において最先端の技術を提供しています。

新型クロストレックの価格
新型クロストレックの価格は266万円からでグレード別の価格は以下の通りです。
グレード別価格
- Touring(FF): 2,662,000円
- Touring(AWD): 2,882,000円
- Limited(FF): 3,069,000円
- Limited(AWD): 3,289,000円
新型クロストレックの発売時期
新型クロストレックは2022年12月1日に正式発表され、予約受注が開始されました。納期は約2〜3ヶ月程度から車種によっては1年前後の可能性もあります。
新型クロストレックの辛口評価
新型クロストレックをあえて辛口で評価すると、以上の点が挙げられます。
- パワートレイン: 2.0L e-BOXERに絞られたことが価格上昇の一因とされています。従来型の低価格な1.6Lエンジンは廃止されました。
- エンジン性能: 最高出力は145PS、最大トルクは188Nmですが、高速走行時にはパワー不足を感じる場面がある可能性があります。
- 燃費性能: WLTCモードで16.4km/Lと向上しているものの、他のハイブリッド車と比較するとやや見劣りする面があります。
- 価格設定: 従来型「XV」からのフルモデルチェンジで装備の充実や原材料費の高騰を反映しており、全体的に価格が上昇しています。

新型クロストレックのライバル車
新型クロストレックの競合モデルとしては以下の車が挙げられます。
・トヨタ RAV4:トヨタの代表的なSUVで、1994年に初代が発売されて以来、世界中で人気を博しています。日本では、2019年に5代目が発売され、2023年にマイナーチェンジを受けました。全長4,600mm、全幅1,855mm、全高1,685mmのボディサイズを持ち、クロストレックよりもひと回り大きくなっています。RAV4の最大の特徴は、豊富なラインナップです。ガソリン車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車の3種類のパワートレインを用意し、グレードも豊富に設定されています。また、4WDモデルも用意されており、悪路走破性にも優れています。価格は294万円から。
・日産 エクストレイル:日産のSUVで、1997年に初代が発売されて以来、長年人気を誇っています。日本では、2020年に5代目が発売されました。全長4,690mm、全幅1,820mm、全高1,720mmのボディサイズを持ち、クロストレックよりもひと回り大きくなっています。エクストレイルの特徴は、広々とした室内空間と、力強い走りです。3列シートを備え、7人乗りに対応しています。また、2.0Lターボエンジンを搭載し、力強い走りを実現しています。価格は351万円から。
・マツダ CX-30:マツダのSUVで、2019年に発売されました。全長4,395mm、全幅1,795mm、全高1,540mmのボディサイズを持ち、クロストレックとほぼ同サイズです。CX-30の特徴は、洗練されたデザインと、上質な乗り心地です。マツダの魂動デザインを採用し、流麗なシルエットを実現しています。また、サスペンションのチューニングにこだわり、上質な乗り心地を実現しています。価格は255万円から。
・マツダ CX-5:マツダのSUVで、2012年に発売されました。全長4,545mm、全幅1,840mm、全高1,670mmのボディサイズを持ち、クロストレックよりもひと回り大きくなっています。CX-5の特徴は、力強い走りと、優れた安全性能です。2.5Lガソリンエンジンを搭載し、力強い走りを実現しています。また、最新の安全技術「i-ACTIVSENSE」を搭載し、優れた安全性能を誇っています。価格は290万円から。
・ホンダ ヴェゼル:ホンダのSUVで、2013年に発売されました。全長4,330mm、全幅1,790mm、全高1,590mmのボディサイズを持ち、クロストレックとほぼ同サイズです。ヴェゼルの特徴は、スタイリッシュなデザインと、優れた燃費性能です。クーペのような流麗なデザインを採用し、女性にも人気の高いモデルです。また、e:HEVと呼ばれるハイブリッドシステムを搭載し、優れた燃費性能を実現しています。価格は240万円から。

まとめ
アグレッシブながら洗練された姿にフルモデルチェンジされたクロストレック。今の時代に合わせたクロスオーバーSUVとして、エコ要素もしっかり取り込んできた優れたSUVになってきました。そしてスバルらしい先進的な安全機能は当然兼ね備えています。これで200万円台後半からという価格なので、人気になること間違いなしのSUVではないでしょうか。
また自動車専門家からの評価も高く、日本カー・オブ・ザ・イヤー 2023-2024の10ベストカーを受賞しました。10ベストカーについては以下の記事で詳しく解説しています。
スバル 新型クロストレック 公式ページはこちら
コメント