DSオートモビルが日本市場に投入した最新モデル、新型DS 4は、2022年4月28日、東京都港区のフランス大使館公邸でのプレス発表会「Light The Way」で披露されました。この独特な存在のハッチバックモデルは、フランス・パリならではの洗練されたデザインと先進的な技術で、プレミアムCセグメントに新たな風を吹き込んでいます。また2022年には「世界で最も美しいクルマ」に選出された、美学が細部に息づく車です。この記事では魅力にあふれるDS 4を徹底解説していきます。
車の概要:DSオートモビル DS 4とは?
DSオートモビルは、フランスの自動車メーカーで、プジョーやシトロエン、ジープ、フィアットなどを要する世界4位の自動車メーカーグループ「ステランティス(Stellantis)」の一つのブランドです。2021年に設立されてから勢いのあるグループです。DSはもともとシトロエンの高性能ラインのサブブランドとしてスタートし、2014年にシトロエンから独立して立ち上げられました。
DS 4とは、この高級ブランドのコンパクトハッチバックモデルです。DS 4の歴史は、2011年に初めて発表された初代DS 4に始まります。当時、DS 4はシトロエンのサブブランドとして市場に導入されました。その後、DSオートモビールが独立したブランドとなった際に、DS 4もブランドの主要なモデルの一つとして再定義されました。

DS 4のコンセプトは、美とテクノロジーの結晶。この車は、フランス・パリのセンスをバックグラウンドとしたスタイリッシュなデザイン、芸術的なインテリア、そして先進的なテクノロジーを特徴としています。DS 4のデザインは、ダイナミックなラインとエレガントなフォルムが特徴で、都市型ライフスタイルにマッチするように設計されています。また、DS 4は環境に配慮した選択肢として、プラグインハイブリッドモデルを提供しており、効率的かつパワフルな走行体験を提供します。
DS 4の動画
DSオートモビルの公式YouTubeチャネルにアップロードされているDS 4で日本巡る短い動画がこちらです。走行シーンなどがご覧いただけます。
DS 4のエクステリアデザイン
DS 4のエクステリアデザインは、新世代のアヴァンギャルドなスタイルを採用しており、その美しさは2022年1月フランス・パリで開催された第37回国際自動車フェスティバルで「世界で最も美しいクルマ」に選出されたほどです。この車のデザインインスピレーションの源は、2020年3月に発表されたコンセプトカー「エアロスポーツラウンジ」で、力強くダイナミックなボディと大きなホイールが特徴です。エクステリアデザインにおいては、特にバランスとプロポーションが重視されています。
DS 4の魅力を改めて浮き彫りにすると、その洗練されたエクステリアデザインがまず目に飛び込んできます。フロント部分では、新たにデザインされたライトシグネチャーが印象的。超スリムなプロジェクターヘッドランプは、DS MATRIX LED VISIONテクノロジーを採用し、方向性のある光を放ちます。さらに、左右各2列、計98個のLEDを配したデイタイム・ランニング・ライトでその表情をより際立たせています。DSウィングは、ヘッドランプとグリルを繋ぐ役割を担い、ダイヤモンドをモチーフにした大小のパーツで、立体的なグリルデザインを一層引き立てています。そして、長く伸びたフロントフードが車のダイナミックな姿勢を演出しています。

サイドビューは、流れるようなエレガンスと鋭いラインの融合が特徴です。車体にぴったりと収まるフラッシュフィッティングドアハンドルは、サイド面の造形美を強調。コンパクトなボディに最大20インチの大径ホイール(エアロインサート付き)を配し、DS AERO SPORT LOUNGEコンセプト由来の唯一無二のバランスを実現しています。これにより、DS 4は堂々とした存在感を放ちます。

リア部分に目を向けると、リアウィンドウに向かって低く長く伸びるルーフラインが目立ちます。このリアウィンドウに施されたエナメルスクリーンプリントは、デザイナーたちの深い洞察力の証。スタイリッシュかつエアロダイナミックなシルエット、リアフェンダーのシャープなエッジ、そしてグロスブラックに塗装されたCピラーにDSオートモビルのバッジが、筋肉質なボディラインを強調します。最新のレーザーエンボス加工による立体的なテールライトシグネチャーが、リアビューを引き締めています。

DS 4は、一つのフォルムでありながら、複数のキャラクターを持っています。ベースモデルのDS 4では、エレガンスが支配的な特徴。特別なバンパーデザイン、繊細なクローム仕上げ、それに対照的なブラックのルーフ、そしてアスレチックな姿勢が、このモデルの特徴を際立たせています。
サイズに関しては、全長が4415mm、全幅が1830mm、全高が1495mm、ホイールベースが2680mmとなっています。これらの数値は、DS 4が都市型ライフスタイルにマッチする洗練されたコンパクトさを持ちながらも、十分な内部空間を提供することを示しています。




DS 4のインテリアデザイン
DS 4のインテリアデザインは、「純粋さと流れる曲線」をコンセプトに、洗練された室内空間を提供しています。デジタルと人間工学を融合させたこのインテリアは、各要素が機能美を追求し、シームレスに一体化しています。このことが、室内に静かで穏やかな雰囲気をもたらしています。
DS独自の移動美学を反映した新しいコントロールレイアウトは、使いやすさを追求。インターフェイスは3つのゾーンに分けられ、直感的な操作性を実現しています。例えば、ラグジュアリーウォッチの文字盤からインスピレーションを受けたクル・ド・パリのギョシェ装飾が、以下のような特徴を際立たせています。
- ダッシュボード上のサーベルがエアコンとDS AIR(目に見えないエアベント)の操作を集約。
- ウィンドウスイッチはドアに組み込まれたサイドベントと一直線上に配置。
- DS IRIS SYSTEMと連動する5インチタッチスクリーンDS SMART TOUCHと、コンパクトなオートマチックトランスミッションのコントローラーDS E-TOGGLEがセンターコンソールに配置されています。

DS AIRシステムは、目に見えないエアベントを備えた画期的なもの。コンパクトなセンターベントは高い位置にあり、内部のコーン形状のディフューザーを通じてエアを効率的に拡散。伝統的なベントシステムと同等の性能を備えつつ、スタイリッシュなダッシュボードデザインを実現しています。
インテリアは、快適性を重視したコンタクトゾーンとインタラクティブゾーンを融合。ツートーンウィンドウスイッチが視認性を向上させ、様々な素材(レザー、アルカンターラ®、フォージドカーボン、ウッド)とトリム技術を使って洗練された先進技術との融合を図っています。

シートクーラーとマッサージ機能を備えたシートは、貝殻からインスパイアされたデザインで、立体的かつシームレスなワンピース形状を採用。高密度フォームの新しい張り地が、快適性を一層高めています。
ペブルグレーのグレインレザーを使用したツートーンのインテリアは、クル・ド・パリのギョシェ文様と共に、上質な触感と美しさを提供。一方で、ブラウンアッシュのウッドとクリオロブラウンのナッパレザーを使ったトリムがインタラクティブゾーンを豊かに彩っています。

アンビエントライトは、室内に落ち着きをもたらし、14スピーカーのFOCAL ELECTRAサウンドシステムとアコースティックガラスが、優れた音響環境を提供。さらに、PM2.5微粒子センサーや空気清浄システムを備え、車内の空気をクリーンに保ちます。
最後に、DS 4のデジタルインテリアは、安全性を考慮したコネクティビティにも注目。DS EXTENDED HEAD-UP DISPLAYは、道路上に重要な運転情報を投影し、ドライバーが視線を逸らすことなく情報を得られるように設計されています。また、10インチタッチスクリーンのDS IRIS SYSTEMインフォテインメントシステムは、直感的な操作性と個別設定のロードを自動的に行い、音声やジェスチャーで操作可能なDS SMART TOUCHが、このシステムの中核を成す部分です。
DS エクステンデッドヘッドアップディスプレイは戦闘機のコックピット用に開発されたAR(拡張現実)テクノロジーを応用しています。フロントウィンドウの4m先にナビゲーションや、電話の着信、ラジオ局リスト等が投影されます。




DS 4のドライビング性能
DS 4のドライビングパフォーマンスは、ステランティスグループ最先端のプラットフォームと多様なパワートレインの組み合わせによって、フランスの高級車らしい走行体験を提供しています。1.2リットルのガソリンエンジン、1.5リットルのクリーンディーゼルエンジン、そして1.6リットルのプラグインハイブリッド(PHEV)の3つの選択肢が用意されています。
EMP2 V3(Efficient Modular Platform2の進化版)というプラットフォームを採用し、操縦安定性を高めるために剛性を強化し、同時にCO2排出量の削減に貢献する軽量化も実現しています。構造用接着剤の使用量を増やし(DS 7 CROSSBACK比1.5倍)、新たな部品を50%採用することで、乗り心地も向上させています。サスペンションはフロントがストラット式、リアがトーションビーム式を採用。

パワートレインは、ユーザーのライフスタイルや環境意識に合わせた選択が可能で、ガソリン、ディーゼル、PHEVの各種が用意されています。全モデル8速オートマチックトランスミッションを採用しており、ディーゼルとPHEVはエコカー減税の対象で、PHEVには補助金も適用されます。
- PureTech 1.2リットル 3気筒DOHCガソリンエンジンは、130psの最高出力と230Nmの最大トルクを発揮。WLTCモードでの燃費は17.7km/l。
- BlueHDi 1.5リットル 4気筒DOHCディーゼルエンジンは、130psの最高出力と300Nmの最大トルクを発揮。WLTCモードでの燃費は21.2km/l。
- E-TENSE(プラグインハイブリッド)は、1.6リットル 4気筒DOHCエンジン(180ps/300Nm)とフロント電動モーター(110ps/320Nm)により、システム全体で225ps/360Nmを発揮。12.4kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、WLTCモードで56kmのEV走行距離を実現。充電時間は普通充電器で約4時間、ウォールボックスタイプで約2時間。

さらに、ドライブモードは4つ。「エレクトリックモード」ではEV走行を、「ハイブリッドモード」ではエンジンとモーターを使った燃費効率の最適化を、「コンフォートモード」ではDSアクティブスキャンサスペンションを用いて快適性を高め、「スポーツモード」では高出力でダイナミックな走りを楽しむことができます。
DSアクティブスキャンサスペンションは、フロントガラスに取り付けられたカメラで前方の路面をスキャンし、ショックアブソーバーの減衰力をリアルタイムで電子制御するシステム。これにより、どんな路面でも快適な乗り心地と静粛性、走行安定性を保ち続けます。

DS 4の安全性能
DS 4の安全性能について解説すると、最新のADAS(先進運転支援システム)のアップデートが目を引きます。このシステムは、超音波ソナー、フロントミリ波レーダー、コーナーミリ波レーダー(初採用)、フロントガラスマルチパーパスカメラ、180度カメラ(初採用)、赤外線カメラ(DSナイトビジョン用)など、多彩なセンサーとカメラを駆使して構成されています。DS 4では、これらのセンサーシステムを活用し、安全性能を大幅に向上させています。
- 360°ビジョンでは、車両の周囲を一望できる全方位カメラシステムが、前後左右の安全確保に寄与。タッチスクリーンを通じて、フロント・リア・サイドの映像に加え、前方左右、後方左右など合計6つの映像を選択して確認できます。
- ブラインドスポットモニター(ロングレンジ)は、従来の約10mの検知範囲を約75mに拡大し、高速道路上でのハイスピード車両の接近も検知可能。
- リヤクロストラフィックアラートは、リバースギア使用時に周囲から接近する車両やバイク、自転車、歩行者を0-10km/hの範囲で検知します。
- ポストコリジョンセーフティブレーキは、衝突時に自動でブレーキをかけ、二次的な事故のリスクを低減します。
さらに、DS 9に初採用された「ファーサイドエアバッグ」を搭載。これは側面衝突時に前席乗員の頭部から脇腹までを保護する機能を有しています。また、「アクティブボンネット」機能も備わっており、歩行者との衝突検知時にボンネットの後端を持ち上げ、エンジン上部とのスペースを拡大して歩行者への衝撃を軽減します。これらの先進技術により、DS 4は運転者と歩行者の双方に高い安全性を提供しています。

DS 4の価格と日本での発売日
DS 4の価格は515万円から650万円です。
- RIVOLI PURETECH(1.2ℓPureTechガソリンターボエンジン):5,149,000円
- RIVOLI BLUEHDI(1.5ℓBlueHDiディーゼルターボエンジン):5,355,000円
- RIVOLI E-TENSE(プラグインハイブリッド):6,496,000円
新型DS 4の日本での発売日は2022年4月28日です。
最上位グレード DS 4 OPERA
2024年1月12日にDS 4に最上位グレードOPERAが登場。
以下の記事で詳しく紹介しています。

DS 4の辛口評価
- 価格が高い
DS 4の価格は、500万円台からとなります。ライバル車であるプジョー308やフォルクスワーゲン ゴルフ、アウディ A3、BMW 1シリーズと比べて、やや高価な印象があります。

DS 4のライバル車
DS 4のライバル車としては、以下の車種が挙げられます。いずれもDS 4と同様に、Cセグメントのハッチバックであり、高級感や上質な乗り心地を備えています。
プジョー 308
プジョーのCセグメントハッチバックである308は、エレガントなデザインと上質な乗り心地を備えた車です。308は、1.2L直列4気筒ターボエンジンを搭載し、最高出力130PS、最大トルク230Nmを発揮します。また、0-100km/h加速は8.7秒、最高速度は218km/hに達します。価格は340万円から。
フォルクスワーゲン ゴルフ
フォルクスワーゲンのCセグメントハッチバックであるゴルフは、実用性と走行性能を両立した車です。ゴルフは、1.5L直列4気筒ターボエンジンを搭載し、最高出力150PS、最大トルク250Nmを発揮します。また、0-100km/h加速は8.5秒、最高速度は225km/hに達します。334万円から。
アウディ A3 スポーツバック
アウディのCセグメントハッチバックであるA3は、高級感とスポーティーさを兼ね備えた車です。A3は、1.5L直列4気筒ターボエンジンを搭載し、最高出力150PS、最大トルク250Nmを発揮します。また、0-100km/h加速は8.2秒、最高速度は225km/hに達します。価格は336万円から。
BMW 1シリーズ
BMWのCセグメントハッチバックである1シリーズは、スポーティーな走りと上質な乗り心地を両立した車です。1シリーズは、1.5L直列3気筒ターボエンジンを搭載し、最高出力140PS、最大トルク220Nmを発揮します。また、0-100km/h加速は8.2秒、最高速度は225km/hに達します。価格は398万円から。
メルセデス-ベンツ Aクラス
メルセデス-ベンツのCセグメントハッチバックであるAクラスは高級感と先進技術を備えた車です。Aクラスは、1.5L直列4気筒ターボエンジンを搭載し、最高出力163PS、最大トルク250Nmを発揮します。また、0-100km/h加速は8.0秒、最高速度は230km/hに達します。価格は499万円から。
これらのライバルモデルの中で単純にコストパフォーマンスや機能性を考えると、DS 4の優位性はそこまで高くないかもしれません。ただ、DS 4は独自のポジションを築き上げています。フランス・パリならではのエレガントなデザインをはじめとするブランド価値は唯一無二と言って良いでしょう。

まとめ
DS 4はまさにアバンギャルドなデザインが魅力の車です。変態的とも言える独特なデザインや、パリのものづくりのこだわりが詰まった、それでいて洗練されたデザインに仕上がっています。日本ではまだDSオートモビル自体の知名度が高くなく、街中で見かけることもほとんどありません。そんな中でこのフレンチラグジュアリーを体現するハッチバックは非常に目立つ存在になるでしょう。
DSオートモビル DS 4 公式ページはこちら
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