新型メルセデスAMG SL43/63:2+2ラグジュアリーコンバーチブル!AMG GT比較など徹底解説

メルセデス・ベンツが誇る、伝説のレーシングカー「300SL」の遺伝子を受け継ぐ新型「メルセデスAMG SL」。2021年10月28日、その革新的なフルモデルチェンジがアメリカ・ロサンゼルスで発表されました。日本では2022年10月24日に発表・発売開始されました。70年の歴史を刷新するこのモデルは、メルセデスAMGによる自社開発車として、2+2シートレイアウトのラグジュアリーロードスター(コンバーチブル)として新たな一歩を踏み出しています。

車の概要:メルセデスAMG SLとは

メルセデス・ベンツのSLとは「Super」と「Light(軽量)」のSLを意味するクルマで、1952年に公道を走行できるレーシングスポーツカーとして登場しました。ルマン24時間レースでの輝かしい歴史を持つクルマです。

新型メルセデスAMG SL (Mercedes-AMG SL)は、メルセデス・ベンツのアイコン的存在として世代を重ねてきたオープンカー SLクラスの最新作です。初代300 SLから70年を迎え、7代目となるSLは高性能車部門メルセデスAMGブランド専属のモデルとなりました。2021年10月に行われたフルモデルチェンジで6代目SLから大きく変更され、2+2レイアウトや四輪駆動と四輪操舵、ソフトトップなどの新機軸が採用されました。

メルセデスAMG公式ワールドプレミア動画

メルセデスAMGがAMG SLを発表した際のYouTube動画が以下です(英語)。

メルセデスAMG SLのエクステリアデザイン

新型メルセデスAMG SLのエクステリアデザインは、メルセデス・ベンツの伝統的な「SL」シリーズの特徴を継承しつつ、モダンなタッチを加えることで、洗練されたスポーティーさを表現しています。まずその根底には「Sensual Purity(センシュアルピュリティ:官能的純粋)」というコンセプトをデザインの基本思想として持っています。

エクステリアで目を引くのはその流麗なボディラインです。ボンネットにはパワードームが特徴的で、力強さとエレガンスを兼ね備えたデザインとなっています。フロントグリルは、メルセデスAMGの象徴である専用のパナメリカーナグリルを採用し、存在感を際立たせています。この14本の垂直ルーバーを備えたフロントグリルは立体形状となり、よりダイナミックな印象を強調します。

サイドビューでは、細やかに計算された曲線とエッジが、動きのある印象を強調。エアインテークの形状やサイドスカートのデザインも、スポーツカーとしての性能を予感させます。また、20インチのAMG5ツインスポークアルミホイールは、メルセデスAMGならではのスポーティさと上質さを兼ね備え、車のキャラクターを一層引き立てています。

リアビューでは、スタイリッシュなリトラクタブルリアスポイラーが目を引きます。このスポイラーは速度に応じて角度を変え、走行安定性を高めると共にダイナミックな走りをサポートします。デュアルエキゾーストパイプは力強さを感じさせ、スポーティーな印象を後押しします。

加えて、新型「メルセデスAMG SL」は、ソフトトップを採用しています。これにより軽量化が図られ、さらには開閉時間が約15秒と迅速で、走行中でも60km/hまでの速度で操作可能です。ソフトトップはクローズド時にも美しいプロポーションを保ち、オープン時にはさらに洗練されたスタイルを演出します。

これらのデザイン要素が組み合わさり、新型「メルセデスAMG SL」は、伝統を重んじつつも新時代のラグジュアリースポーツカーとしての地位を確立しています。​

メルセデスAMG SLのインテリアデザイン

新型メルセデスAMG SLのインテリアデザインにおいても初代300 SLロードスターの伝統を引き継いでいます。最先端のテクノロジーと伝統のラグジュアリーが融合した独創的な空間を提供します。運転の楽しさと快適性を追求した設計が随所に見られ、メルセデス・ベンツの品質とこだわりが感じられます。

コックピットとディスプレイ

コックピットは左右非対称で、ドライバーを最優先したデザインになっています。完全デジタル化されており、立体的なバイザーにはめ込まれた12.3インチ液晶のコックピットディスプレイが目を引きます。このディスプレイは、アナログとデジタルの融合を象徴する「ハイパーアナログ」デザインが採用されており、運転手に必要な情報を直感的かつ鮮明に提供します。センターコンソールには角度調整可能な11.9インチの縦長メディアディスプレイが配置され、ナビゲーションの使用に適しています。

最新のインフォテインメントシステムであるMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)が採用されています。「Hi, Mercedes(ハイ メルセデス)」をキーワードとしたボイスコントロールが特徴的。スマートフォンとのシームレスな接続が可能で、音楽や通話、アプリケーションへのアクセスが簡単にできます。。また、Wi-Fiホットスポット機能により、車内でもインターネットを快適に使用できます。

シートとレイアウト

4代目のSL(R129)以来となる、2+2シートレイアウトが復活し、新型SLは4人乗りコンバーチブルとして生まれ変わりました。フロントシートは高級素材を使用し、サポート性と快適性に優れたデザインとなっています。AMGスポーツシートのデザインは彫刻的でラグジュアリーな室内空間に。後部座席は小型で、150cmまでの身長に適していますが、どちらかといえば荷物置きとして活用するケースが多くなりそうです。

マテリアルとクオリティ

内装には高級素材がふんだんに使用されており、細部にわたる職人技が光ります。レザー、メタル、高品質なプラスチックなど、異なるテクスチャーが組み合わさり、高級感と現代的なデザインを形成しています。ステッチやインレイの細かなディテールは、メルセデス・ベンツの品質へのこだわりを物語っています。

アンビエントライト

インテリアの照明も特筆すべきポイントです。アンビエントライティングシステムにより、車内のムードを選択に応じて調節できます。この照明は、夜間の運転を特別な体験に変え、快適な空間を作り出します。

総合的なインテリアデザイン

新型「メルセデスAMG SL」のインテリアデザインは、メルセデス・ベンツの高い品質基準を反映しています。革新的な技術と伝統的なラグジュアリーが見事に融合し、洗練された快適性とスタイルを実現しています。乗るたびに新鮮な驚きを提供し、ドライブを特別な体験に変えるインテリアは、新型SLの大きな魅力の一つです​。

メルセデスAMG SLのドライビング性能

新型メルセデスAMG SLはメルセデスAMGの完全自社開発モデルとなり、SL専用の高剛性プラットフォームやF1技術を採用したパワートレインによるパワフルで軽快な走りが楽しめるクルマです。そしてメルセデスらしいラグジュアリーで、コンバーチブルらしい爽快なドライビングを両立しています。

エンジン性能

新型AMG SLには2タイプのパワートレインが用意されています。

上位グレードのメルセデスAMG SL 63 4MATIC+には、4.0L V8 ツインターボエンジンが搭載され、最高出力は585PS、最大トルクは800Nmという驚異的な数値を誇ります。これにより、0-100km/hの加速はわずか3.6秒で、最高速度は315km/hに達します。

一方でメルセデスAMG SL 43のパワートレインは、2.0L 直4エンジン+BSGの電動ブーストで最高出力381PSと最大トルク480Nmを発揮。こちらのモデルでも0-100km/h加速は4.9秒という高いパフォーマンスを示します。このパワートレインには量産車としては世界初となる「エレクトリック・エキゾーストガス・ターボチャージャー」を搭載。この技術はメルセデスAMGペトロナスF1チームの技術から派生したもので、低回転域での過給効果を高め、ターボラグを軽減します。

トランスミッション

特別にチューニングされたAMGスピードシフトMCT9速トランスミッションが搭載されています。MCTとマルチクラッチテクノロジーのことです。トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを搭載しており、ダイレクト感がありレスポンスの良いシフトチェンジと高い伝達効率を実現しています。

サスペンション

SL 63 4MATIC+のAMG ACTIVE RIDE CONTROLサスペンションには、メルセデスAMG量産車初となる油圧式のアクティブスタビライザーを搭載しています。ドライバーの意のままに正確なコーナリングが楽しめます。

SL 43には‎AMG RIDE CONTROLサスペンションが搭載され、前後に5リンク式を採用するとともに、軽量化と高剛性化を追求しています。コーナリング限界を引き上げ、高速走行時の安定性を向上させました。

エアロダイナミクス

メルセデスAMGがモータースポーツで培った技術を投入した、エアロダイナミクスも新型SLの重要な特徴です。リトラクタブルリアスポイラーは車速に応じて角度を変え、ダウンフォースを最適化します。これにより、高速走行時の安定性とコーナリング性能が向上します。​​​​​​​​​​​​。

メルセデスAMG SLの安全性能

新型「メルセデスAMG SL」の安全性能は、メルセデス・ベンツが長年にわたって培ってきた技術と経験に基づいて開発されています。メルセデスAMGの「インテリジェントドライブ」ではステレオマルチパーパスカメラとレーダーセンサーにより高度化された安全機能が搭載されています。

主な安全性能

  • アクティブブレーキシステム: このシステムは、緊急ブレーキ時に最適なブレーキ圧を自動的に提供し、衝突の回避または衝撃の軽減を図ります。
  • アクティブディスタンスアシストディストロニック: 前方の車両との適切な距離を保ち、減速や停止を自動で行い、ドライバーの負担を軽減します。新たに停止している先行車の検知も可能となりました。
  • アクティブレーンキーピングアシスト:約60km/h以上での走行時に車線を検出し、フロントホイールが車線を超えた場合、断続的に警告を出します。反応しない場合は、車両を車線内に戻すアシストをします。
  • トラフィックサインアシスト:カメラが制限速度などの標識を検知し、その速度を超えた場合は警告を発します。
  • アクティブステアリングアシスト: 車線のカーブと先行車を、車線が不明瞭な道ではガードレールなどを認識し、車間を維持しながらステアリング操作をアシストしてくれます。
  • アクティブブラインドスポットアシスト: 運転席の死角にある車両を検出し、警告を発して側面衝突のリスクを低減します。さらに30km/h以上で走行時にはブレーキを制御します。

メルセデスAMG SLの価格

新型メルセデスAMG SLの価格は1750万円〜2980万円です(2024年1月以降の価格)

  • Mercedes-AMG SL 43(BSG搭載モデル):1,750万円
  • Mercedes-AMG SL 63 4MATIC+:2,980万円​

メルセデスAMG SLとメルセデスAMG GTの比較

メルセデス・ベンツの2大アイコン、メルセデスAMG SLとメルセデスAMG GT。これらはどちらも高性能と洗練されたデザインで知られるメルセデスの旗艦モデルですが、その性格と魅力には顕著な違いがあります。一見似ているように見えるこれらのモデルですが、実際にはそれぞれ独自の特性と魅力を持っています。これら2つのモデルの共通点と相違点を見ていきます。

共通点

  • プラットフォームと技術: 両モデルはプラットフォームと多くの技術コンポーネントを共有しています​​。

違い

  • デザイン: AMG GTは、AMG Oneから影響を受けたアグレッシブなデザインを特徴としたクーペモデルです。一方で、AMG SLはより丸みを帯びた柔らかなラインを持つコンバーチブルモデルです​​。屋根の有無が最も大きな相違点ですが、メルセデスAMGによるとエクステリアにおいてはドア以外は全て異なるデザインになっているとのことです。
  • パワートレイン: 上位の63モデルには同じパワートレインとなっていますが、その下のグレードの設定が異なっています。日本ではAMG GTは55モデルの導入となっており、AMG SLは43モデルの導入となっています。
  • 車種の特性: AMG GTは、高性能2ドアクーペとして位置付けられています。これに対して、AMG SLはラグジュアリーなオープンモデルとしての特徴があります​​。

どちらの車を選ぶべきか

選択は個人の好みとニーズに大きく依存します。AMG GTを選ぶべき理由は、そのパワフルなパフォーマンスとアグレッシブなデザインにあります。スポーツカーとしての走行性能とスタイルを重視するドライバーには最適です。一方で、AMG SLは、ラグジュアリーなオープンエアのドライビング体験と洗練されたデザインを求めるドライバーに適しています。より上品で快適な乗り心地を求める場合は、AMG SLが適していると言えるでしょう。

最終的には、スポーツカーとしての性能を重視するか、オープンエアの快適性とラグジュアリーを重視するかによって選択が異なります。また、予算と実用性の観点も重要な決定要因となるでしょう。

■メルセデスAMG GTについては以下の記事で徹底解説しています。

メルセデスAMG SLのライバルモデル

以下は、メルセデスAMG SLのライバルモデルに関する概要と価格のまとめです。

ポルシェ 911

ポルシェ 911は、洗練されたデザインと卓越したパフォーマンスを持つスポーツカーです。リアエンジンレイアウトによる独特の運転感覚と、高いレベルの技術が特徴です。インテリアは豪華で機能的であり、スポーティなドライビング体験を提供します。価格は日本で1620万円からです。

BMW M8クーペ

BMW M8クーペは、高性能な2ドアクーペで、4.4リットルV型8気筒ガソリンツインパワーターボエンジンを搭載しています。最大出力530PSを発揮し、豪華なインテリアと優れた運転性能を提供します。日本での新車価格は2526万円から。

ジャガー Fタイプ

ジャガー Fタイプは、エレガントなデザインとスポーティな運転感覚が魅力のクーペおよびコンバーチブルです。3L V6エンジンまたは5L V8エンジンを選択でき、優れたパフォーマンスを提供します。新車価格は1043万円からです。

レクサス LCコンバーチブル

レクサス LCコンバーチブルは、スタイリッシュなデザインとラグジュアリーな乗り心地が特徴のオープントップモデルです。優れた走行性能と上質な内装が、エレガントなドライビング体験を約束します。新車価格は1550万円です。

これらの車種は、メルセデスAMG SLと同様に、ラグジュアリーかつパフォーマンスを重視する高級スポーツカー市場で競合しています。それぞれが独自の特性と魅力を持ち、消費者の好みや用途に応じて選ぶべきモデルが異なります。

メルセデスAMG SLの発売時期

新型メルセデスAMG SLは、2022年10月24日に日本で発売されました​​。

メルセデスAMG SLの辛口評価

新型メルセデスAMG SLは、その革新的なデザインと高性能で注目を集めていますが、いくつかの点で批判も受けています。例えば、後部座席のサイズが小さく、実用性に欠けるという意見や、高額な価格設定が挙げられます。また、従来のSLに比べて重量が増加している点も、パフォーマンスに対する純粋なスポーツカー愛好家からの批判の対象となっています。

まとめ

新型メルセデスAMG SLは、メルセデス・ベンツの伝統と最新技術の融合を象徴する車であり、そのデザインと性能は高く評価されています。しかし、価格と実用性の面での課題も残っており、競合車種と比較すると購入の決断には慎重な検討が必要です。

新型メルセデスAMG SLは、時代の先端を行くラグジュアリースポーツカーですが、その真価は日常のドライブでの快適性とスポーツカーとしての性能のバランスにあります。高額な投資に見合う価値があるかは、個々のニーズと期待によって異なるでしょう。

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