昨年末に大問題に発展したダイハツの安全性に関する認証不正問題ですが、最新のニュースをお届けします。
2024年1月16日、国土交通省はダイハツ工業に対して、特に悪質な品質不正が確認されたとしてダイハツ グランマックストラックタイプ、トヨタ タウンエース、マツダ ボンゴの3車種の型式指定取り消しを発表しました。これらの車種は2023年1月から11月の間に国内で約6000台が販売されていました。
問題の概要:ダイハツ不正問題とは?
ダイハツ不正問題とは2023年12月20日ダイハツ工業の発表によって発覚した、安全に関わる試験の不正行為の問題です。
発端は2023年4月、トヨタブランド含む4車種での不正が発表され、5月にはロッキーやライズでも不正が発覚。全6車種の生産・出荷を停止しました。第三者委員会による調査で、25の試験項目で174件の不正が新たに発覚しました。この不正は1989年まで遡り、64車種・3エンジンに及んでいました。
ダイハツの不正問題について以下の記事で詳しく解説しています。
国土交通省による型式指定取り消しについて
国土交通省はダイハツの不正行為に対して、立ち入り調査を行なっていました。そして今回他メーカーへのOEM供給車を含む3車種のトラックにおいて特に悪質な不正行為が行われたとして、型式指定を取り消すことを決定し、手続きを開始しました。
型式指定が取り消される3車種は以下のモデルです。タウンエースはトヨタが販売、ボンゴはマツダが販売している車ですが、ダイハツが開発しOEM供給しているモデルです。全てダイハツのインドネシア工場で生産されています。
- ダイハツ グランマックス(トラックタイプ)
- トヨタ タウンエース(トラックタイプ)
- マツダ ボンゴ(トラックタイプ)
今回の問題を受け、国土交通省はダイハツに対し、「不正行為を起こさない体制への抜本的な改革」を求め、再発防止策を1か月以内に報告するよう要求しました。これは、ダイハツだけでなく、日本の自動車産業全体にとって重要な指針となります。
さらに、「ダイハツ キャスト」と「トヨタ ピクシスジョイ」についてもリコールの可能性が指摘されています。この2車種は基準不適合の可能性があり、リコールが必要な場合は速やかに届出を行うよう国土交通省は指導しました。
型式指定とは?
型式指定は自動車メーカーが大量生産・販売する際に利用する制度です。生産販売する全ての車をチェックするのではなく、一式の申請書類を持ってそのモデルの全車を代表する形を取る制度です。これよって自動車メーカーが新型車を生産、販売するにあたり保安基準に適合していることを国土交通大臣が審査、指定し型式指定をします。日本では一般的に大量生産される自動車には型式指定が利用されています。
型式指定取り消しの影響
まず今回型式指定が取り消された3車種は日本国内で販売が出来ないこととなります(ダイハツではすでに全車種の生産・出荷を停止中)。
また型式指定が取り消されると、大量生産が不可能となり、再指定を申請する際には通常より厳しい審査が行われ、時間がかかる見込みです。
ダイハツ社長の発言
ダイハツ工業の奥平総一郎社長は、この不正問題が経営の問題であると認め、過剰な業務量と硬直的なスケジュール、現場の環境など経営が作り上げた問題であると指摘しました。
ダイハツ 奥平社長の言葉「経営の問題だと受け止めている。身の丈をこえる仕事を詰め込みすぎたことや硬直的なスケジュールを変えられなかったこと、また、そうせざるをえなかった現場の環境などを含めて経営がつくってきたものだ」
トヨタ社長の発言
トヨタ自動車の佐藤恒治社長は、顧客への深い謝罪とともに、ダイハツの経営体制の見直しを示唆しました。
トヨタ 佐藤社長の言葉「大変重く受け止めている。トヨタならびにダイハツのクルマを信頼していただいているお客さまにご迷惑をおかけしていることを改めて深くおわび申し上げます」
「われわれが小型車の開発でダイハツの遠心力を期待した事業構造になっている。一定の自立性を持って小型車の開発をリードすることがトヨタにとっての遠心力になるという前提で進めてきた結果、この状態が生まれている」
「事業領域やそれに伴う新しい体制(役員体制含む)について、そのタイミングで発表していきます」
まとめ
この事件は、品質管理と経営の側面から、日本の自動車産業にとって重要な教訓となります。今後、ダイハツは再発防止策を1ヶ月以内に報告する予定であり、その内容と今後の動きが注目されます。
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