2024年6月25日、アストンマーティンは、ドライビングの本質を追求した新しいスペシャルモデル アストンマーティン ヴァリアント(Aston Martin Valiant)を発表しました。この車は、F1ドライバーのフェルナンド・アロンソ氏との協力のもと開発され、世界でわずか38台の限定生産となります。ヴァリアントの価格は約4億円です。

車の概要:アストンマーティン ヴァリアント(バリアント)とは?
1913年に創業したアストンマーティンは、110年以上にわたり高級スポーツカーの製造で名を馳せてきました。この伝統を受け継ぎつつ、2024年に誕生した、新型ヴァリアント(バリアント)は最新の技術を採用しています。パワートレインには、745馬力を発揮する5.2リッターV12ツインターボエンジンが搭載されています。このエンジンは6速マニュアルトランスミッションと組み合わされ、究極のドライビングマシーンとなっています。ボディには軽量なカーボンファイバーが使用され、空力性能を最適化するためのユニークなデザイン要素が随所に見られます。特筆すべきは、フロントのホースシューベントやリアのツインディフューザーなど、F1マシンからインスピレーションを得た設計です。内装は高級感あふれるアルカンターラとカーボンファイバーで仕上げられ、ドライバー中心の設計となっています。ステアリングホイールには、F1ドライバー フェルナンド・アロンソ氏の署名が刻まれた特別なプレートが取り付けられています。
新型ヴァリアントは、アストンマーティンのビスポーク部門(特注サービス)「Q by Aston Martin」で開発された、サーキット走行に特化した、公道走行可能な究極のスペシャルエディションです。ヴァリアントはもともと、アストンマーティン・アラムコF1チームのドライバーであるフェルナンド・アロンソの個人的な依頼から、アストンマーティン ヴァラー(Aston Martin Valour)の軽量でより過激なレーシングカーにインスパイアされたバージョンとして考案されました。

アストンマーティン ヴァリアントはグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード 2024の舞台で、アストンマーティン・アラムコF1チームのドライバー、フェルナンド・アロンソによって一般公開される予定です。
アストンマーティン ヴァリアントのエクステリアデザイン
アストンマーティン ヴァリアントのエクステリアデザインは、レーシングカーの要素を取り入れつつ、アストンマーティンらしい優美さを併せ持つ独特なスタイルとなっています。
フロントエンドには、フルワイドのグリルが採用され、F1マシンからインスピレーションを得た大型のフロントスプリッターが装着されています。このスプリッターは、ダウンフォースを生み出すだけでなく、車両の前面デザインに力強さと迫力を与えています。

サイドビューでは、大きく刻まれたフェンダーが目を引きます。21インチのマグネシウム製ホイールには、カーボンファイバー製のエアロディスクが装着されており、1980年のル・マン24時間レースに参戦した伝説的なRHAM/1 ‘Muncher’からインスピレーションを得たデザインとなっています。このエアロディスクは、単なるデザイン要素ではなく、ホイールの回転による乱流と抵抗を低減する機能も果たしています。

リアエンドのデザインも印象的で、シャープなカムテールと大胆に跳ね上がったデッキリッドの上に、目を引く固定式ウイングが設置されています。このウイングは、フロントスプリッターで得られたダウンフォースとバランスを取るように設計されており、ヴァリアントの高性能性を視覚的に強調しています。リアディフューザーも機能性とデザイン性を兼ね備えています。CFD(計算流体力学)を用いて設計されたこのディフューザーは、抵抗と揚力を効果的に低減するだけでなく、カーボンファイバー製造によって車両後部の重量軽減にも貢献しています。さらに、リアエンドには4本出しのチタン製エキゾーストシステムが装備されており、V12エンジンの圧倒的なサウンドを演出するとともに、視覚的なインパクトも与えています。

全体として、ヴァリアントのエクステリアデザインは、アストンマーティンの伝統的な美しさと最新の空力技術を融合させた、まさに芸術的な作品と言えるでしょう。レーストラック由来の機能性と、ラグジュアリーカーとしての優雅さが見事に調和した、唯一無二のデザインとなっています。
アストンマーティン ヴァリアントのインテリアデザイン
アストンマーティン ヴァリアントのインテリアデザインは、レーシングカーの機能性とラグジュアリーカーの洗練さを見事に融合させています。コックピットは2人乗りで、ドライバー中心の設計となっています。広範囲にわたってサテン仕上げのカーボンファイバーが露出しており、軽量化への徹底したこだわりが感じられます。同時に、シートのパッディングや軽量な上質素材による内装により、快適性と高級感も両立しています。

ステアリングホイールは、ヴァリアント専用に新たに開発されました。完全な円形で、リム径を細くし、スポークにはスイッチ類を排除することで、直感的な操作感と無駄のないデザインを実現しています。
マニュアルトランスミッションの機械的な魅力を強調するため、トランスミッショントンネルには切り欠きが設けられ、6速トランスアクスルへと伸びるギアリンケージが露出しています。シフトノブは新たに球形のものが採用され、Hパターンのシフトゲートと相まって、精確なシフトフィールを提供します。サーキット走行を念頭に置いた設計のため、ドライバーの快適性と安全性にも細心の注意が払われています。標準装備のハーフケージは、4点式レースハーネスの取り付けポイントとしても機能します。

シートには、レカロ製のポディウムシートが採用されており、激しいコーナリング時にも優れた横方向および肩部のサポートを提供します。さらに、パッシブ胸部換気機能を備えた革新的なパッドにより、ハードな走行時でも快適性を維持します。

インテリアトリムには、アルカンターラまたはセミアニリンレザーが選択可能です。シートのキルティングには凹凸のあるアルカンターラが使用され、ステアリングホイールにもアルカンターラが採用されており、最大限のコントロール性を実現しています。
ドアパネルは、軽量化を追求した彫刻的なデザインとなっており、メッシュのインサートパネルや軽量ファブリック製のドアオープナーが特徴的です。
全体として、ヴァリアントのインテリアは、レーシングカーの機能性とアストンマーティンならではの卓越した素材使いや細部へのこだわりが融合した、唯一無二の空間となっています。それは単なる車内空間ではなく、ドライバーとマシンが一体となるための舞台として設計されているのです。
アストンマーティン ヴァリアントの走行性能
アストンマーティン ヴァリアントの走行性能は、サーキットでの高性能と公道での実用性を両立させることを目指して綿密に設計されています。ヴァリアントの心臓部には、5.2リッターV12ツインターボエンジンが搭載されています。このエンジンは、ヴァラーから30馬力アップグレードされ、最高出力745PS、最大トルク753Nmを発揮します。この圧倒的なパワーは、6速マニュアルトランスミッションを介して後輪に伝達されます。マニュアルトランスミッションの採用により、ドライバーはエンジンのパワーを直接的に操ることができ、より緻密な車両コントロールが可能となっています。

シャシーには、最新のテクノロジーが惜しみなく投入されています。特筆すべきは、マルチマティック社のアダプティブ・スプール・バルブ(ASV)ダンパーの採用です。このダンパーは、わずか6ミリ秒以内に32段階のダンパー特性を切り替えることができ、路面状況やドライビングスタイルに応じて最適な減衰力を提供します。これにより、サーキットでの高い運動性能と公道での快適性を両立させています。
ブレーキシステムには、フロント410mm×38mm、リア360mm×32mmのカーボンセラミックブレーキが標準装備されており、高速走行時の制動力と耐フェード性を確保しています。軽量化にも徹底的にこだわり、3Dプリント製のリアサブフレームを採用することで3kgの軽量化を実現し、マグネシウム製トルクチューブにより8.6kgの軽量化を達成しています。さらに、21インチのマグネシウム製ホイールにより、バネ下重量を14kg削減しています。これらの軽量化により、ステアリングレスポンスとホイールコントロールが向上し、より俊敏な走行特性を実現しています。
ドライビングモードは、Sport、Sport+、Trackの3モードが用意されており、それぞれのモードでエンジン、トランスミッション、サスペンションの特性が最適化されます。特にTrackモードでは、サーキット走行に特化したセッティングが施され、車両の限界性能を引き出すことができます。

アストンマーティンの車両性能ディレクター、サイモン・ニュートン氏は、「ヴァリアントでは、サーキットでの性能を大幅に向上させながら、公道での楽しさも維持できるようバランスを取りました。V12エンジンのパワー向上、マルチマティックASVダンパーによるシャシーセットアップの最適化、ボディの空力性能の向上、軽量材料の採用など、あらゆる面で性能を引き上げています」と述べています。ヴァリアントは、純粋なドライビングの喜びを追求したマシンであり、その走行性能は、サーキットでのタイムアタックから公道でのスポーティなドライビングまで、幅広いシーンで卓越したパフォーマンスを発揮することが期待されます。
アストンマーティン ヴァリアントの価格
海外での情報によると、アストンマーティン ヴァリアントの価格は約4億円(200万ポンド)とされています。
アストンマーティン ヴァリアントの発売時期
アストンマーティン ヴァリアントの最初の納入は2024年第4四半期に開始予定となっています。また、アストンマーティン ヴァリアントは生産台数は全世界で38台限定です。

アストンマーティン ヴァリアントは日本で発売される?
アストンマーティン ヴァリアントの日本での発売については、現時点で具体的な情報は公表されていません。しかし、アストンマーティンの他の限定モデルが日本でも販売されてきた実績を考慮すると、ヴァリアントも日本市場で販売される可能性は十分にあると考えられます。ただし、生産台数が非常に限られていることから、日本に割り当てられる台数は極めて少ない可能性が高いでしょう。また、日本での販売が決定した場合でも、その価格は為替レートや輸入諸経費などにより、さらに高額になることが予想されます。アストンマーティンの日本法人からの正式な発表を待つ必要がありますが、このような超限定モデルに興味のある日本の顧客は、早めにディーラーや輸入元に問い合わせることをお勧めします。
アストンマーティン ヴァリアントの辛口評価
アストンマーティン ヴァリアントをあえて辛口で評価します。
- 実用性の欠如:ヴァリアントはサーキット走行に特化した設計のため、日常的な使用には適していません。公道での快適性や利便性は二の次となるでしょう。
- 高すぎる価格:約4億円となる価格設定は、その性能や希少性を考慮しても、極めて高額です。
- 技術的な古さ:最新のハイブリッド技術や電動化の波に逆行する、旧来の大排気量V12エンジンの採用は、環境への配慮という点で時代遅れとの指摘もあります。
- 限られた購入機会:わずか38台の生産台数は、非常に入手困難な状況を生み出すでしょう。
- オーバースペック:サーキット走行に特化した性能は、一般的な使用環境では過剰であり、その能力を十分に発揮する機会は極めて限られるでしょう。

アストンマーティン ヴァリアントのライバル車
アストンマーティン ヴァリアントのライバルモデルとして直接的な競合を特定するのは難しいですが、同様のコンセプトや価格帯の車種として以下が挙げられます:
- フェラーリ SF90 ストラダーレ:
- 価格帯が近く、最新のハイブリッド技術を搭載したハイパーカー。
- 電動化による環境性能と圧倒的な加速性能を両立。
- マクラーレン セナ:
- サーキット走行に特化した設計と限定生産モデル。
- 軽量化と空力性能の追求という点でヴァリアントと共通点がある。
- ポルシェ 911 GT2 RS:
- 伝統的なスポーツカーブランドによる究極のトラックモデル。
- マニュアルトランスミッション搭載モデルもあり、ドライビングの純粋さを追求。
- ブガッティ シロン:
- 同様に限定生産で超高額なハイパーカー。
- 伝統的な大排気量エンジンを採用している点で共通。
- パガーニ ウアイラ:
- 職人技とハイテクを融合させた限定生産モデル。
- V12エンジンを搭載し、デザインの独自性でも際立つ。
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