メルセデスAMG C 63 S E PERFORMANCEはメルセデス・ベンツ Cクラスをベースとした最強のハイパフォーマンスモデル。2023年10月に日本で発売されました。2023年12月にはステーションワゴンモデルも追加されました。
このモデルはただのスポーツセダンではありません。メルセデスAMG自身が「55年の歴史で初となる真のゲームチェンジャー」と称するモデルなのです。AMGの63系でありながらV8エンジンではなく初めて直4ターボエンジン+PHEVを搭載し、F1技術も活かした電動化によって驚くほどのパフォーマンスを発揮するモデルが生まれました。このモデルについて徹底解説していきます。

車の概要:メルセデスAMG C 63 S E PERFORMANCEとは?
ベース車となるメルセデス・ベンツ Cクラスは1982年に登場して以来、高級セダンや高級ステーションワゴンを代表するモデルになっています。現行は5代目となり、Sクラス譲りの技術が多数搭載された優秀なセダンです。
2022年に発表されたメルセデスAMG C 63 S E PERFORMANCEはCクラスをベースとした最上級のスポーツモデルです。メルセデスAMGの63系モデルといえばV8ツインターボエンジンが伝統となってきました。しかし今回直列4気筒ターボエンジンにプラグインハイブリッドを組み合わせた、AMGにとっては革命的なモデルです。
メルセデスAMGはモータースポーツをDNAに持ち、F1レースにも主要なチームとして参戦しています。F1で培われた電動化の技術も活かしてAMGならではの超高性能スポーツセダン&スポーツワゴンが誕生しました。

エクステリアデザイン
メルセデスAMG C 63 S E PERFORMANCEのエクステリアは、ベースのCクラスから大幅に変更され、サイズアップされ寸法も大きく異なります。AMGモデルとして圧倒的な存在感を放っています。
フロントデザイン
フロント部分は、メルセデスAMG特有のアグレッシブな表情を持ちます。80mmワイドにされたフロントフェンダー、エアアウトレットを備えたボンネット、ハイグロスクロームの縦ルーバーを備えた専用のAMGパナメリカーナグリル、そしてジェットウィングデザインのAMGフロントエプロンが特徴です。これらの要素は、メルセデスAMGのパフォーマンスモデルであることを明確に主張し、前傾したフロントエンドがシャープな印象を与えます。ボンネットには月桂冠をあしらったエンブレムが光ります。

サイドビュー
サイドビューでは、Cクラスから全長を80mm、ホイールベースを10mm拡大し、筋肉質で引き締まったプロポーションを実現しています。フロントフェンダーには「TURBO E PERFORMANCE」サイドエンブレムが配され、20インチのAMG鍛造アルミホイールやワイドなマットクロームのサイドスカートが採用されています。

リアデザイン
リア部分には、赤く縁取られた「C 63 S」エンブレム、ボディ同色のAMGスポイラーリップ、ハイグロスブラックとマットクロームのコントラストが映えるリアエプロンが採用されています。また、台形のデュアルテールパイプがデザインを一層引き締めています。

ボディサイズ
メルセデスAMG C 63 S E PERFORMANCE セダンのサイズは全長4835mm、全幅1900mm、全高1455mmとなっています。
ステーションワゴンのサイズは全長4835mm、全幅1900mm、全高1475mmです。

インテリアデザイン
メルセデスAMG C 63 S E PERFORMANCEのインテリアは、スポーティさとラグジュアリー感の融合が特徴です。
ダッシュボードとディスプレイ
ダッシュボードは上下二つの部分に分かれており、上部は翼のような形状で航空機エンジンのナセルを想起させるデザインの角型エアアウトレットが配置されています。ARTICOの表皮が施され、スポーティかつ上質な印象を演出します。下部には大きなインテリアトリムがあり、センターコンソールからダッシュボードへと途切れることなく続いています。また、ダッシュボードと縦型の11.9インチメディアディスプレイはドライバー側に6度傾斜しており、運転席にある12.3インチの大型コックピットディスプレイと共に、高度なカスタマイズが可能です。




デジタル
対話型インフォテインメントシステムMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)が搭載されており、「ハイ、メルセデス」でボイスコントロールが起動します。
拡張現実(Augmented Reality)のARナビゲーションを標準搭載。これにより直感的に進むべき道が判断できます。

ステアリングとシート
インテリアでは、太く上質なナッパレザーを使ったAMGパフォーマンスステアリングが特徴で、ステアリングを離さずにメニューやMBUXの各機能を操作できるマルチファンクション機能とAMG専用のドライブコントロールスイッチが備えられています。シートはサポート性に優れ、サーキットでのスポーツ走行時でも安定したドライビングポジションを維持できる一方で、長時間のドライビングでも快適性を兼ね備えたAMG専用ナッパレザースポーツシートが標準装備されており、ホールド性を高めた新デザインのAMGパフォーマンスシートもオプションとして用意されています。

走行性能
メルセデスAMG C 63 S E PERFORMANCEの走行性能は、F1技術も活かした電動化によって革新的に進化しました。0-100km/h加速が3.4秒という驚異的な速さを誇ります。
PHEVパワートレイン
この車のパワートレインは、2.0L直列4気筒ターボエンジンに交流同期モーターと高性能バッテリー(6.1kWh)を組み合わせています。システム最高出力680PS(500kW)、最大トルク1020Nmを発揮します。
エンジン単体で最高出力476PS(350kW)、最大トルク545Nmを発揮します。このエンジンもAMGの「One man, One engine」主義に基づき、AMGの熟練マイスターが手作業で組み上げます。実は直列4気筒エンジンとしては初めての手組みエンジンとなります。加えてリヤアクスルに搭載された交流同期モーターは、定格出力80kW、ピーク出力150kWを提供します。
メルセデスAMGペトロナスF1チームのF1レーシングマシン開発の技術を応用したAMGハイパフォーマンスバッテリーを搭載しており、過酷な状況においても高いパフォーマンスを発揮します。

加速性能
0-100km/h加速はわずか3.4秒という驚異的な数値を誇り、この加速力は直線だけでなく、曲がり角でのレスポンスにも寄与します。
トラクションとハンドリング
車両のトラクションとハンドリングは、トルク可変型の全輪駆動システム「AMG 4MATIC+」により強化されています。このシステムは、走行状況やドライバーの操作に応じて前後トルク配分を連続可変し、ドライ、ウェット、スノーなどの様々な路面状況に対応します。

AMG ダイナミックセレクト
AMG ダイナミックセレクトを通じて、ドライバーは複数のドライビングモードから選択が可能です。これにより、エンジンの反応、トランスミッションのシフトポイント、サスペンションの硬さなどが変更され、状況に応じた最適な運転体験を提供します。
トランスミッション:AMG スピードシフト MCT
AMG スピードシフト MCTは、素早いシフトチェンジと高い伝達効率を特徴とするトランスミッションです。このシステムは、トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを採用し、ダイレクト感のある運転体験を実現しています。
四輪駆動システム「AMG 4MATIC+」
AMG 4MATIC+は、前後トルク配分の連続可変が可能な四輪駆動システムです。これにより、路面状況や運転状況に応じて最適なトラクションが確保され、走行安定性と安全性が向上します。
リア・アクスルステアリング
リア・アクスルステアリングは、車両の機動性と安定性を高めるために設計されています。低速時には後輪が前輪と反対方向に、高速時には同じ方向にステアリングされることで、曲がりやすさと直進安定性が向上します。

安全性能・運転支援
メルセデスAMG C 63 S E PERFORMANCEには、先進的な安全運転支援システムが搭載されています。これには「アクティブステアリングアシスト」が含まれ、従来のステレオマルチパーパスカメラだけでなく、360度カメラシステムも使用することで、より精密に車線中央を維持することが可能です。また、「アクティブエマージェンシーストップアシスト」は、ドライバーが反応しなくなった場合に警告を発し、必要に応じて車両を停止させることができます。「アクティブブレーキアシスト」は、交差点や曲がり角での右左折時に、車、自転車、歩行者との衝突の危険がある場合に警告やブレーキが作動します。他にも「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック (再発進機能付)」「渋滞時緊急ブレーキ機能」「アクティブレーンチェンジングアシスト」「 緊急回避補助システム」などの機能を搭載しています。
価格
メルセデスAMG C 63 S E PERFORMANCEの価格は1660万円からです。
・C 63 S E PERFORMANCE セダン:1660万円
・C 63 S E PERFORMANCE ステーションワゴン:1711万円

発売時期
日本でのメルセデスAMG C 63 S E PERFORMANCEの発売時期は以下の通り
セダンモデルは2023年10月25日に発売されました。
ステーションワゴンモデルは2023年12月20日に発売されました。
欧州では2023年6月に受注開始されました。
辛口評価
メルセデスAMG C 63 S E PERFORMANCEをあえて辛口で評価します。
このモデルは超高性能モデルであり、そのパフォーマンスが活かせる状況は日本ではかなり限定的でしょう。その点1660万円という価格が割に合うかは課題になってきます。

ライバル車
メルセデスAMG C 63 S E PERFORMANCEの競合モデルとして以下が挙げられます。
BMW M3 Competition
BMW M3 Competitionは、BMW M社が手がける高性能スポーツセダンです。直列6気筒ターボエンジンを搭載し、最高出力は510ps、最大トルクは650Nmを発生します。0-100km/h加速は3.5秒。M3 Competitionの特徴は、強力なパフォーマンスと上質な乗り心地の両立です。シャシーには、専用チューニングされたサスペンションやブレーキシステムを採用し、高い走行性能を実現しています。
アウディ RS4 Avant
アウディ RS4 Avantは、アウディのスポーツモデルであるRSシリーズの4ドアステーションワゴンです。直列6気筒ターボエンジンを搭載し、最高出力は450PS、最大トルクは600Nmを発生します。0-100km/h加速は4.1秒。RS4 Avantの特徴は、実用性とパフォーマンスの両立です。ステーションワゴンというボディタイプながら、高い走行性能を実現しています。
ポルシェ パナメーラ 4S E-Hybrid
ポルシェ パナメーラ 4S E-Hybridは、ポルシェが手がける高性能プラグインハイブリッドモデルです。2.9L V6ツインターボエンジンとモーターによるシステム出力は560PS、最大トルクは750Nmを発生します。0-100km/h加速は3.7秒、最高速度は298km/hに達します。パナメーラ 4S E-Hybridの特徴は、優れたパフォーマンスと燃費性能の両立です。プラグインハイブリッドシステムにより、EV走行で最大54kmの航続距離を実現しています。

まとめ
メルセデスAMG Cクラスで680馬力、1,020Nm、0-100km/h加速 3.4秒というのは驚異的な性能。エンジンは2.0L 直4にダウンサイジングしながらこの数値を叩き出したということなので、電動化のパワー恐るべし。メルセデスAMGがこのモデルをゲームチェンジャーと呼ぶのも納得。
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