ポールスター3:航続距離640kmの電動SUV 価格は1500万円 北欧デザインのEV

ポールスター 3はスウェーデンの電気自動車ブランドであるポールスター初のSUVです。この新型モデルは、電気自動車時代にふさわしいSUVとして位置づけられており、スカンジナビアンデザインの特徴を取り入れています。ポールスター3は、同社にとって重要な意味を持つモデルです。これまで欧州と中国で生産を行ってきたポールスターですが、このモデルを機に初めてアメリカでの生産も開始する予定です。これにより、ポールスターは2大陸での生産体制を確立することになります。

車の概要:ポールスター 3とは?

ポールスター 3(Polestar 3)は5人乗りの全電動SUVで、最上位モデルでは380kW(517PS)の最高出力と910Nmの最大トルクを発揮します。高い水準の標準装備を備え、発売時の価格は89,900ユーロ(約1500万円)からとなっています。

ポールスターの歴史を簡単に振り返ると、同社は元々ボルボの高性能車部門として1996年に設立されました。2017年にボルボとその親会社である吉利汽車によって独立したブランドとなり、EVに特化したメーカーとして再出発しました。ポールスター3は、2022年10月12日に発表されたポールスターにとって3番目のモデルとなります。2019年に発売されたファストバックタイプの「ポールスター2」に続く新型モデルです。この車は、ポールスターが2026年までに5つの高性能電気自動車のラインナップを揃えるという計画の一環として開発されました。

ポールスター 3のエクステリアデザイン

新型ポールスター3のエクステリアデザインは、SUVの力強さとスカンジナビアンデザインの洗練された美しさを見事に融合させています。ボディ全体は流麗なシルエットを描き、SUVでありながら空力性能を追求したデザインが特徴的です。

フロントエンドには、ボンネットと一体化したフロントエアロウィングが採用されています。このエアロウィングは単なるデザイン要素ではなく、空気の流れをボンネットに沿わせることで高圧の発生を抑え、空力性能の向上に寄与しています。ヘッドライトには、ポールスターの特徴的なデュアルブレードデザインが採用されています。このデザインは、SUVならではのパワフルでワイドなスタンスを強調する効果があります。また、フロントエアロウィングの下には「SmartZone」と呼ばれる領域があり、各種センサーやカメラなどの先進技術が集約されています

サイドビューでは、フラッシュタイプの格納式ドアハンドルが採用されています。これにより、ボディサイドの空気抵抗を低減し、空力性能の向上に貢献しています。また、ドアミラーには広角視野を確保するワイドアングルビューが採用され、安全性の向上にも配慮されています

リアエンドには、空力性能を追求したデザインが随所に見られます。リアスポイラーにはエアロウィングが組み込まれ、ダウンフォースの増大と高速安定性の向上に寄与しています。さらに、リアエアロブレードが装備され、車体側面からの空気の流れをスムーズに制御し、空気抵抗の低減を図っています

ボディカラーは、スノー、マグネシウム、ジュピター、ミッドナイト、サンダー、スペースの6色が用意されており、それぞれがポールスター3の洗練されたデザインを際立たせる色調となっています

ホイールは20インチから22インチまでのサイズが用意され、ダイヤモンドカット、3軸加工、3Dレーザーエッチング技術などを駆使した精密な仕上げが施されています。これらのホイールデザインは、車体全体の幾何学的なフォルムと調和するよう慎重に設計されています

エクステリアデザイン全体を通して、ポールスター3は従来のSUVの概念を覆す、新しい電気自動車時代にふさわしいデザインを実現しています。

ポールスター 3のボディサイズ

ポールスターのサイズは、全長4,900mm、全幅1,968mm、全高1,627mm(欧州仕様は1,614mm)です。

ポールスター 3のインテリアデザイン

新型ポールスター3のインテリアデザインは、スカンジナビアンミニマリズムの美学と最新のテクノロジー、そして環境に配慮した素材選びが見事に融合した空間となっています。

インテリアの中心となる大型のパノラマルーフは、車内に開放感をもたらすだけでなく、高度な機能性も備えています。アコースティックラミネートガラスを使用することで、キャビン内の騒音レベルを低減し、紫外線を99.5%カットしています。これにより、日光によるグレアや熱を軽減し、車内の気候制御の効率性も向上させています

テクノロジー面では、14.5インチのセンターディスプレイと9インチのドライバーディスプレイが採用されています。これらのディスプレイは、反射防止コーティングが施され、直射日光下でも優れた視認性を確保しています。さらに、オプションでヘッドアップディスプレイも装備可能で、ドライバーの視線を道路から逸らすことなく、重要な運転情報を投影することができます。音響システムにも妥協はありません。オプションで装備可能なBowers & Wilkinsのオーディオシステムは、プレミアムサウンドを提供するだけでなく、アクティブノイズキャンセレーション機能も備えています。これにより、風切り音やタイヤノイズ、路面ノイズの周波数をブロックし、静かな車内空間を創出しています

また、6つの異なるインテリアテーマが用意されています。これらのテーマは、慎重に選ばれたカラーパレットと革新的な素材の組み合わせによって構成されています。例えば、動物福祉に配慮したナッパレザーは、スコットランドのBridge of Weirによって厳格な基準に基づいて生産されており、クロムフリーで完全にトレーサブルな素材となっています。また、認証済みの再生可能ビニールとリサイクルポリエステル繊維から作られたバイオ由来のMicroTechは、レザーの代替となる革新的な素材として採用されています

インテリアの細部にまでこだわりが感じられ、インストルメントパネルやドアサイドに統合されたミニマルなLED照明は、インテリアデザインを引き立てる効果があります。また、フロントスペースにはワイヤレス充電器が装備され、Qi対応デバイスの充電が可能です。ポールスター3のインテリアデザインは、単に美しいだけでなく、サステナビリティと快適性、そして最新のテクノロジーを高次元で融合させています。これは、電気自動車時代における新しいラグジュアリーの基準を示すものといえるでしょう。

ポールスター 3の走行性能

新型ポールスター3の走行性能は、電気自動車時代のSUVにふさわしい高度な技術と洗練されたシステムによって実現されています。まず、パワートレインですが、ポールスター3は、2つの高性能な液冷式電気モーターを搭載し、コンピューター制御による最適な出力配分を実現しています。標準モデルでは360kW(489 PS)の最大出力と840Nmの最大トルクを発揮し、0-100km/h加速は5.0秒です。さらに、パフォーマンスパックを選択すると、最大出力が380kW(517 PS)、最大トルクが910Nmまで向上し、0-100km/h加速は4.7秒と圧倒的な加速性能を発揮します。

走行性能を支える重要な要素として、先進的な電子制御式AWDシステムが挙げられます。このシステムは、路面状況や天候に関わらず、効果的な出力配分を実現します。さらに、フルパワーが必要ない場合にはリアモーターを切り離すことで、実走行での航続距離を延ばす工夫も施されています。トルクベクタリングシステムも注目に値します。コンピューター制御されたこのシステムは、常にホイールスピンを監視し、より多くのグリップを得られるホイールに積極的に出力を再配分します。これにより、加速性能の向上、コーナリング速度の上昇、滑りやすい路面でのトラクション向上が実現されています

サスペンションには、デュアルチャンバー式のアクティブエアサスペンションが採用されています。このシステムは1秒間に500回もの頻度で車両の動きに適応し、ハンドリングと乗り心地を向上させます。また、オフロードモードやローディングモードなど、異なる設定も用意されており、高速走行時には空力性能を最適化するために車高を自動的に下げる機能も備えています

ブレーキシステムには、高性能なブレンボ(Brembo)製ブレーキが標準装備されています。ベンチレーテッドディスクと4ピストンアルミニウム製フロントキャリパーにより、あらゆる温度環境下で素早いレスポンスと高い剛性を実現しています。ホイールセットアップにも工夫が凝らされており、リアアクスルの安定性向上とボディロールの低減を図るため、リアに幅広のリムと295mmタイヤを採用したスタッガードホイールセットアップが採用されています

ドライバーは、パフォーマンスモードとレンジモードを選択することで、最大出力か効率のどちらかを最適化することができます。レンジモードでは、より頻繁にリアモーターを切り離すことで、航続距離を伸ばすことが可能です。これらの先進技術の組み合わせにより、ポールスター3は大型SUVでありながら、スポーツカーのような走行性能を実現しています。重量が2,670kgにもかかわらず、ポールスター1クーペと同じ低重心を実現しており、ドライバーを満足させる走りを提供しています。ただし、パフォーマンスパック装着車では、乗り心地がやや硬めになる傾向があるため、快適性を重視する場合は標準モデルがおすすめです

ポールスター 3の安全性能・運転支援機能

新型ポールスター3には、最新の先進運転支援システム(ADAS)が搭載されています。これらのシステムは、Zenseact、Luminar、Smart Eyeなどの業界をリードする安全技術パートナーとの協力により開発されました。車両には5つのレーダーモジュール、5つの外部カメラ、12個の外部超音波センサーが標準装備されており、多数の高度な安全機能をサポートしています。

また、Smart Eye社の先進的な視線追跡技術を採用した2台のドライバーモニタリングカメラが搭載されています。これらのカメラは、ドライバーの目を監視し、注意散漫や眠気、運転から意識が離れている状態を検知した場合に警告メッセージや音を発したり、緊急停止機能を作動させたりすることができます。さらに、車内レーダーセンサーも搭載されており、車内の微細な動きを検知することで、子供やペットが車内に取り残されるのを防ぐ機能も備えています。これらの安全機能は、NVIDIAの高性能自動車用プラットフォームによって制御されており、車両の複数のセンサーやカメラからのデータを処理しています。

ポールスター 3の価格

ポールスター3の価格は約1,500万円(89,900ユーロ)からとなっています。これは発売時に設定されるロングレンジデュアルモーター仕様の価格です。パフォーマンスパックの価格は約100万円(6,600ユーロ)です。

ポールスター 3の発売時期

ポールスター3は2024年6月27日に納車が開始されました。

ポールスター 3は日本で発売される?

日本での発売に関しては、現時点で正式な発表はありません。ポールスターは日本市場への参入を検討していますが、具体的な時期や販売計画は明らかにされていません。ただし、ポールスターのグローバル展開の一環として、将来的に日本市場への参入の可能性は十分にあると考えられます。なお、ポールスターは既に韓国市場に進出しており、アジア太平洋地域での展開を徐々に拡大しています。このことから、日本市場への参入も近い将来に実現する可能性があります。

ポールスター 3の辛口評価

ポールスター3をあえて辛口で評価します。

  • 価格設定の高さ
    ポールスター3の価格は、同クラスの競合車と比較してかなり高めに設定されています。特にテスラModel Yと比べると、約2倍近く高価です
  • 限定的な実用性
    5人乗りのSUVにもかかわらず、荷室容量が484リットルと比較的小さいことが指摘されています。同クラスの競合車と比べると、実用性の面で劣る可能性があります。
  • タッチスクリーンの操作性
    物理的なボタンが少なく、ほとんどの機能をタッチスクリーンで操作する必要があります。これは運転中の操作性や安全性の面で懸念があります。

ポールスター 3のライバル車

ポールスター3の主要なライバル車として、以下のモデルが挙げられます。

  1. テスラ Model Y:
    最も直接的な競合車と言えます。Model Yは価格面で大きなアドバンテージがあり、同等の性能と航続距離を実現しています
  2. BMW iX:
    高級電動SUV市場での強力な競合車です。iXはより洗練されたインテリアと高い快適性を提供しています
  3. ポルシェ マカンEV:
    ポールスターが目指すスポーティな走りの基準となる車です。マカンEVはより高性能で、ブランド力も強力です
  4. メルセデス・ベンツ EQE SUV:
    高級感と最新テクノロジーの面で競合します。EQE SUVはより広い室内空間を提供しています
  5. アウディ Q8 e-tron:
    高品質なインテリアと洗練されたデザインで競合します
  6. フォード マスタング Mach-E:
    より手頃な価格帯で、スポーティな電動SUVを求める顧客層をターゲットにしています

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