2025年11月21日、日産の中国合弁会社である東風日産乗用車公司は、広州モーターショーにてHUAWEIの最新コックピットシステム「HarmonySpace5.0」を搭載した新型「ティアナ」を発表し、同日発売しました。新型ティアナは、中国市場で「天籟(ティエンライ)」の名で親しまれてきたモデルの最新バージョンとなります。

車の概要:日産 ティアナとは?
日産 ティアナ(Nissan Teana)は2003年に初代モデルが登場した上級セダンで、ローレルやセフィーロの後継車として世界40カ国以上で販売されてきました。日本市場では2003年の初代(J31型)、2008年の2代目(J32型)、2013年の3代目(L33型)と進化を重ねましたが、2020年7月をもって販売を終了しています。一方、中国市場では2004年から販売が開始され、2018年のフルモデルチェンジの際には一度「アルティマ」へと改称されましたが、今回「ティアナ」の名称で復活しました。この新型は中国市場における4代目にあたり、約12年ぶりのフルモデルチェンジとなります。中国での価格は13.99万元から16.79万元で、現在のレート(1元=約22.1円)で換算すると約309万円から約371万円です。
新型ティアナは「モダンリビング」と「おもてなし」というティアナが歴代築き上げてきたコンセプトを継承しながらも、デジタルVモーションデザインやHUAWEIとの協業による先進技術を取り入れ、大幅な進化を遂げています。

日産 ティアナのエクステリアデザイン
新型ティアナのエクステリアは、シンプルかつ伸びやかで洗練されたデザインを採用しています。フロントグリル中央から左右のヘッドライトまで約2メートルに渡って構成される「スターリング」LEDライトが特徴的で、夜間走行時の存在感を高めています。ヘッドライトは、このクラスで最長となる230メートルの照射距離を実現し、夜間走行の安全性を大幅に向上させています。
ボディカラーには、専用色として「サンドストーングレー」と「ファントムパープル」の2色が設定され、上質さと躍動感を両立させています。フロントドアハンドルは革新的なデザインでウエストラインと一体化し、流麗なシルエットを生み出しています。足元には、ダイヤモンドフィニッシュの19インチマルチスポークアルミホイールが装着されています。
新型ティアナのボディサイズは、全長4920mm、全幅1850mm、全高1447mmです。





日産 ティアナのインテリアデザイン
インテリアは約90%の範囲をソフトパッドで構成し、触れるすべての部分に上質さを追求しています。室内空間は前後席どこでもゆったりと快適に過ごせる広さを確保し、「クラスを超えた快適性」を実現しています。ホイールベースは2825mmで、ゆとりある室内空間を提供しています。

最大256色の設定が可能なアンビエントライトを配置し、車内の雰囲気を自由に演出できます。シートにはスパイナルサポート機能を搭載し、快適な座り心地を提供しています。さらに、シートベンチレーション、メモリー機能、マッサージ機能も搭載され、無段階調整式のフットレストも装備するなど、まるでプレミアムラウンジのような快適性を実現しています。

「HarmonySpace5.0」を全車標準搭載し、世界初の内燃機関(ICE)車として、スマートフォンのように使用できる車載システムを実現しています。クラストップレベルの15.6インチ大画面HUAWEIインテリジェントディスプレイを搭載し、大画面ディスプレイでのタッチ操作と車内全域での高精度ボイスコントロールを兼ね備え、まるで「移動するスマートホーム」のような快適性を提供します。AI音声アシスタントやOTAアップデートにも対応し、常に最新のソフトウェアを提供します。

音響システムは、HUAWEI SOUNDと共同開発した15スピーカー(最上位グレードは17スピーカー)のサウンドシステムを標準搭載しています。低音は力強く、中音は美しく、高音は澄んだサウンドを実現し、全てのドアに二重構造の静音ガラスを取り入れたことで、高速域においてもまるで劇場にいるような静粛空間を提供します。
日産 ティアナの走行性能
パワートレインには、日産が世界で初めて量産化に成功した可変圧縮比エンジン「VCターボ」を採用しています。最高出力243馬力、最大トルク371Nmの2.0リッターVCターボエンジンを搭載し、どのような走行環境でもパワフルかつ安定した走りを実現します。
VCターボエンジンは、燃費とパワーを決める最重要パラメータである圧縮比を自在に切り替えることで、通常はトレードオフの関係にある驚異的な低燃費と圧倒的なハイパワーを実現できる量産型世界初のエンジンです。高速道路走行時の燃費が10%以上向上することが期待されており、力強い加速と優れた燃費性能を両立しています。
エンジンやCVT(無段変速機)を中心に車両の軽量化を図り、加速やブレーキの性能とともに、燃費も大きく向上させています。前後の重量バランスにも配慮し、操縦安定性も高めています。

日産 ティアナの安全性能・運転支援
新型ティアナには、レベル2に相当する運転支援システムが搭載されており、クラストップレベルの充実したアクティブセーフティを備えています。クラス最長となる230メートルの距離を照射可能なヘッドライトにより、夜間走行の安全性を大幅に向上させています。
日産 ティアナの価格
中国での新型ティアナの価格は13.99万元から16.79万元です。現在のレート(1元=約22.1円)で換算すると、約309万円から約371万円となります。全グレードにHUAWEIの最新コックピットシステム「HarmonySpace5.0」が標準搭載されています。

日産 ティアナの発売時期
新型ティアナは2025年11月21日、広州モーターショーにて発表され、同日中国市場で発売されました。
日産 ティアナは日本で発売されるか
新型ティアナは中国市場専用モデルとして発売されており、現時点で日本での発売予定は発表されていません。日本市場では、ティアナは2020年7月をもって販売が終了しており、日産のホームページからも削除されています。日産の経営再建計画「Re:Nissan」のもと、成長著しい中国市場のニーズに深く応えるべく開発されたモデルであることから、今回の新型は中国市場に特化した車両と考えられます。

日産 ティアナの辛口評価
日産 ティアナをあえて辛口で評価します。今回の新型ティアナは、HUAWEIとの協業による先進的なインフォテインメントシステムを全面に押し出していますが、これは中国市場のデジタル化ニーズに合わせた戦略であり、日本やグローバル市場では必ずしも受け入れられるとは限りません。実際、日本では2020年にティアナの販売が終了しており、復活の兆しは見えていません。
価格面では、約309万円からという価格設定は、2.0リッターターボエンジンを搭載した上級セダンとしては魅力的に見えますが、中国市場の激しい競争環境を考慮すると、価格破壊に近いレベルでの設定であり、採算性に疑問が残ります。日産の経営再建の最中に、このような攻めた価格設定が持続可能かは不透明です。
また、VCターボエンジンは技術的には素晴らしいものの、機構が複雑で故障リスクが高く、長期的な信頼性については未知数です。中国市場では新技術への関心が高いものの、アフターサービスやメンテナンスコストの面で不安が残ります。
デザイン面では、フロントグリルに約2メートルにも及ぶLEDライトを配置するなど、派手さを求める中国市場に合わせた仕様となっていますが、世界的に見れば奇抜すぎる印象を与えかねません。「モダンリビング」というティアナのコンセプトからは、やや逸脱している感もあります。
さらに、このモデルは中国市場専用として開発されており、グローバル展開の可能性が低いことから、日産のブランド戦略における位置づけが不明瞭です。中国市場での一時的な話題作りに終わる可能性も否定できません。

日産 ティアナのライバル車
新型ティアナの主なライバル車は、中国市場で人気の高いミドルサイズセダンです。トヨタ カムリは、ハイブリッドシステムを搭載した上級セダンとして長年の実績があり、燃費性能と信頼性で高い評価を得ています。日本仕様のカムリは2.5リッターエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載しています。
ホンダ アコードも、ティアナに近いボディサイズでハイブリッドを搭載したセダンとして、室内の広さと走行性能のバランスに優れています。現行アコードは日本向けにはハイブリッド専用車となっています。
マツダ アテンザ セダン(マツダ6)は、流麗なフォルムと6速マニュアルトランスミッション、パワフルで燃費も良いディーゼルエンジンなど、ライバルたちには設定のないメカニズムが特徴です。

日産 ティアナの主要スペック
新型ティアナの主要スペックは以下の通りです。
- ボディサイズ: 全長4920mm × 全幅1850mm × 全高1447mm
- ホイールベース: 2825mm
- エンジン: 2.0リッター直列4気筒VCターボエンジン
- 最高出力: 243馬力
- 最大トルク: 371Nm
- インフォテインメント: HarmonySpace5.0(15.6インチディスプレイ)
- オーディオシステム: HUAWEI SOUND 15スピーカー(最上位グレードは17スピーカー)
- ホイール: 19インチまたは17インチ
- 運転支援: レベル2相当の運転支援システム
- 価格帯: 13.99万元~16.79万元(約309万円~約371万円)

まとめ
2025年11月21日に広州モーターショーで発表された新型ティアナは、日産が中国市場向けに投入した戦略的モデルです。約7年ぶりに復活したティアナの名は、「モダンリビング」と「おもてなし」という伝統的なコンセプトを受け継ぎつつ、HUAWEIとの協業による最新のデジタル技術を融合させています。2.0リッターVCターボエンジンによる力強い走行性能、約2メートルに及ぶLEDライト、15.6インチの大画面ディスプレイ、17スピーカーのサウンドシステムなど、随所に先進技術が盛り込まれ、約309万円からという魅力的な価格設定も注目ポイントです。ただし、日本市場での販売予定は現時点で発表されておらず、中国市場専用モデルとして展開される見込みです。かつて日本でも人気を博したティアナですが、今回の復活は中国市場での日産の巻き返しを象徴する一台となっています。



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