トヨタ新型GRヤリス世界初公開:2024年春発売[東京オートサロン2024]

2024年1月12日トヨタ自動車のTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は東京オートサロンで進化したGRヤリスをワールドプレミアしました。モータースポーツへの参戦を通じて、極限の環境で壊しては直すを繰り返し鍛え上げてきました。プロドライバーやマスタードライバーのモリゾウ(豊田章男会長)からのフィードバックを活かしてきました。新開発8速ATの追加など、進化したGRヤリスについて徹底解説していきます。

車の概要:GRヤリスとは?

GRヤリスは、トヨタ自動車のモータースポーツ部門であるTOYOTA GAZOO Racingによって開発された高性能ハッチバッククーペ型のスポーツカーで、ホットハッチと呼ばれるモデルです。この車は、トヨタの世界ラリー選手権(WRC)への参戦経験から生まれました。トヨタは2017年にWRCへ3代目ヤリスベースの車両で参戦復活。目的は、レースでの競争力を高めると同時に、日常道路でも優れた性能を提供することでした。

2020年に発表・発売された初代GRヤリスは、その軽量で高剛性なボディ、強力なターボエンジン、先進の4WDシステムにより、即座に注目を集めました。トヨタはこのモデルを進化させ続け、さまざまな特別版やバリエーションを発表しています。これには、モータースポーツに特化したモデルや環境性能に配慮したハイブリッド版などが含まれます。

進化型GRヤリスとは?

トヨタが2024年1月12日東京オートサロン2024で進化したGRヤリスを世界初披露しました。このヤリスは2024年春頃の発売を予定しています。走りを楽しみつくすために新開発8速ATを搭載し、視認性と操作性を磨き上げた専用コックピット、チューニングで出力、トルクを向上させた1.6Lターボエンジンなどが特徴です。さらにより走りの性能を上げるためにエクステリアデザインも変更されています。

動画で新型GRヤリスを観る

TOYOTA GAZOO Racing公式YouTubeチャンネルに新型GRヤリスの映像が公開されています。GRヤリスの走行シーンや熱い開発ストーリーなど見応えのあるムービーとなっているのでご覧ください。

「GR YARIS 終わりなき挑戦と開発の軌跡」

GRヤリスのエクステリアデザイン

新型GRヤリスのエクステリアデザインは、モータースポーツでの経験と技術の融合によって形成されています。このデザインは、単に見た目の美しさを追求するだけでなく、実際のレースでのパフォーマンス向上にも直結する実用的な要素が随所に盛り込まれています。

フロントデザイン:機能性と美学の融合

新型GRヤリスのフロント部分は、レーシングカーからの影響が色濃く反映されています。特に注目すべきは、ロアグリルです。ここでは薄型で軽量化されたスチールメッシュが採用されており、強度と機能性を高めています。バンパーロアサイドに新たに採用された分割構造は、石などの飛来物による損傷時の復元や交換作業を容易にし、修復費用の低減にも寄与しています。また、サイドロアグリルの開口部は大きく変更され、冷却性能の向上が図られています​​。

サイドデザイン:冷却と空力を追求

サイドビューには、バンパーサイドに設けられたアウトレットが特徴的です。このアウトレットは、サブラジエーターやATFクーラーの熱を効果的に排出し、車の冷却性能を高めるという重要な役割を果たしています。このようなディテールは、実際のモータースポーツ現場の声を反映した結果であり、車の性能に直結する重要な要素です​​。

リアデザイン:機能性を重視した改良

リア部分にも多くの工夫が見られます。特に、リヤロアガーニッシュ下端に設けられた開口部は、床下からの空気を効果的に排出し、空気抵抗の低減と操縦安定性の向上を実現しています。また、リヤランプ類の配置も見直され、上下リヤランプを集約することで、視認性の向上とリヤスポイラーのカスタマイズ性を拡張しています。横1文字につながる一体感のあるテールランプデザインは、一目で新しいGRヤリスと分かる個性を表現しています​​。

ボディサイズ

GRヤリスのサイズは全長3995mm、全幅1805mm、全高1455mm、ホイールベース2560mmとなっています。

GRヤリスのインテリアデザイン

新型GRヤリスのインテリアは、モータースポーツにインスパイアされた機能性と洗練されたデザインが特徴です。このインテリアは、プロドライバーのフィードバックを存分に反映させ、ドライバーに究極の運転体験を提供することを目的としてデザインされています。

ドライバーファーストなコックピット

GRヤリスのコックピットは、ドライバーファーストな設計になっています。運転席周りは、全てがドライバーの操作性と快適性を考慮して配置されています。ステアリングホイールは、握りやすく操作性に優れたデザインで、ダイレクトなドライビングフィールを提供します。メーターパネルには、12.3インチのフルカラーのGR FULL TFT メーターが採用されており、スポーツ走行に必要な情報が一目でわかるようになっています。また、シフトレバーは、モータースポーツからの学びを活かして従来から反転されました。車両挙動に合わせて引き操作でシフトアップ(加速)、押し操作でシフトダウン(減速)へと変更。まさにレーシングカーのシーケンシャルトランスミッションのような操作性を実現。

ドライビングポジション

ドライビングポジションは25mm下げられ、ステアリング位置も調整しドライビング姿勢が改善されました。またセンタークラスターの上端が50mm下げられ前方視界も拡大されました。操作パネル・ディスプレイはスーパー耐久シリーズ参戦車および全日本ラリー参戦車をモチーフとしてドライバー側へ15度傾けて設置されています。

GRヤリスの走行性能

新型GRヤリスは、トヨタGAZOO Racing(TGR)のモータースポーツ経験を基に、走行性能を総合的に向上させています。これは、極限の環境でのレースやラリーで得られた貴重なフィードバックを車両開発に反映させることで、より良い車を作るというTGRの哲学に基づいています。

1. 新開発8速AT「GR-DAT」

新型GRヤリスには、新開発の8速オートマチックトランスミッション「GR-DAT」が追加設定されました。このトランスミッションは、幅広いドライバーにスポーツ走行を楽しんでもらうことを目的としており、ブレーキ操作やアクセル操作を細かく感知し、ドライバーの意思に合わせて変速を先読みすることで、MTと同等のギア選択を実現しています。AT内部のクラッチには高耐熱摩擦材を使用し、世界トップレベルの変速スピードを実現しています。また、6MTから8ATへの多段化とクロスレシオ化により、パワーバンドを活かした走りが可能です。

2. 1.6Lターボエンジン性能の向上

モータースポーツに欠かせない力強さを出すためにエンジンは、チューニングによって出力やトルクがアップされています。1.6L直列3気筒ターボエンジンの最高出力は、200kw(272PS)から224kw(304PS)へ向上し、最大トルクも370Nm(37.7kgf/m)から400Nm(40.8kgf/m)へと増加しています。これにより、より強力でレスポンシブな走りが可能になっています。

3. シャシーとボディの強化

新型GRヤリスでは、シャシーとボディも強化されています。ボディとショックアブソーバーを締結するボルトの本数を1本から3本に増やすことで、走行中のアライメント変化を抑制し、ステアリング操作に対する車両挙動の応答性を高めました。また、スポット溶接打点数を約13%増加し、構造用接着剤の塗布部位を約24%拡大することで、ボディ剛性が向上し、操縦安定性と乗り心地が改善されています。

4. 冷却性能の向上

GR-DATの追加と高出力化に伴い、冷却性能の向上が必要となりました。これに対応するため、ATFクーラーが標準搭載され、サブラジエーター、クールエアインテーク、インタークーラースプレーが新たにクーリングパッケージとしてメーカーオプション設定されています。

5. ドライブモードセレクトとサーキットモード

新型GRヤリスには、スポーツ走行と日常生活での使い勝手を両立するために、ドライブモードセレクトが新設定されました。この機能により、電動パワーステアリング、エアコン、パワートレーンの設定が、ドライバーの好みやモータースポーツの特性に合わせて調整可能となります。モードはSPORT、NORMAL、ECOモードから選択可能です。さらにGPSによってサーキットと位置判定されると非日常な走行性能が体験できるサーキットモードが使用可能になります。アンチラグ制御、スピードリミッター上限速度の引き上げなどポテンシャルを最大限引き出す設定になります。

GRヤリスの価格

新型GRヤリスの価格は現段階では未発表です。

GRヤリスの発売時期

新型GRヤリスは2024年春頃発売予定となっています。

GRヤリスのライバル車

GRヤリスの競合モデルとして以下が挙げられます。

ホンダ シビック タイプR

ホンダのスポーツモデルのフラッグシップとして、GRヤリスの直接のライバルと位置づけられます。シビック タイプRは、最高出力330馬力、最大トルク420Nmを発揮する2.0Lターボエンジンを搭載。

メガーヌ R.S.(メガーヌ ルノー・スポール)

ルノーのスポーツモデルの代表格として、GRヤリスのようなのバランスの取れた走りが特徴です。メガーヌ R.S.は、最高出力300馬力、最大トルク420Nmを発揮する1.8Lターボエンジンを搭載。

VW ゴルフ GTI

フォルクスワーゲンのスポーツモデルの代表格として、GRヤリスのエントリーモデル的な存在です。ゴルフ GTIは、最高出力245馬力、最大トルク370Nmを発揮する2.0Lターボエンジンを搭載。

GRヤリスまとめ

GRヤリスはトヨタの走りへのこだわりが随所に見られる、走って楽しいワクワクするようなモデルです。今回の改良モデルも新開発8ATを搭載していたり、走りにこだわり抜いた内外装デザインへ変更されたりと、興味深いアップデートとなりました。2024年春の販売開始が楽しみなホットハッチ。

トヨタ自動車新型GRヤリス公式ページはこちら

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