トヨタは2025年10月24日、アメリカ・ラスベガスで開催されるSEMA Show 2025において、新型「カムリGT-Sコンセプト」を世界初公開しました。
このコンセプトモデルは、2025年カムリXSE AWDハイブリッドをベースに、パフォーマンス志向のスタイリングと機能的アップグレードを融合させた意欲的なデザインスタディとなっています。
SEMAショーで注目を集める派手なカスタムカーとは一線を画し、ディーラーから直接購入できそうなリアリティを追求した点が特徴です。

車の概要:トヨタ カムリGT-Sコンセプトとは?
カムリは1980年に「セリカ カムリ」として誕生し、1982年に独立した車名「カムリ」として本格的なグローバル展開を開始したトヨタを代表するミドルサイズセダンです。
現在、海外市場では第9世代となる最新モデルが販売されており、アメリカでは15年連続で乗用車販売台数No.1を記録するなど、100カ国以上で累計1,800万台以上が販売されてきました。
日本国内では2023年12月に生産が終了し、44年の歴史に幕を閉じましたが、海外市場では引き続き進化を続けています。
今回発表されたカムリGT-Sコンセプトは、2025年モデルのカムリXSE AWDハイブリッドをベースとしたスポーツセダンの可能性を探るデザインスタディです。
トヨタのCALTYデザインリサーチ(アナーバー)が主導し、研究開発チームと密接に協力しながら、現実的でありながら刺激的なパフォーマンスパッケージの実現を目指しました。
トヨタ カムリGT-Sコンセプトのエクステリアデザイン
カムリGT-Sコンセプトのエクステリアは、アグレッシブでありながら実用性を損なわない洗練されたデザインが特徴です。
フロント、サイド、リアには新たに彫刻されたエアロダイナミックコンポーネントが装着され、カムリのアスレチックなプロフィールをさらに強調しています。

リアファシアとバンパーはパフォーマンスエキゾーストとシームレスに統合されるよう設計され、スポーツセダンとしての存在感を高めています。

車高は調整式コイルオーバーサスペンションにより38mm(1.5インチ)低められ、より攻撃的なスタンスと優れたハンドリング性能を実現しています。
足元には20インチのパフォーマンスホイールに245/35R20タイヤが装着され、機械的グリップを向上させています。

外装色は「インフェルノフレア」と名付けられたカスタムカラーで仕上げられ、モータースポーツにインスパイアされた鮮やかなアイデンティティを表現しています。
トヨタ カムリGT-Sコンセプトのボディサイズは、ベース車両である2025年カムリXSE AWDに準じ、全長4,915mm、全幅1,839mm、全高1,445mmとなっています。
トヨタ カムリGT-Sコンセプトの走行性能
パワートレインについては、カムリGT-Sコンセプトは2.5リッター直列4気筒ハイブリッドシステムをそのまま搭載しており、最高出力232馬力は変更されていません。
SEMAショーで披露される過激なカスタムカーとは異なり、このコンセプトカーは量産モデルエンジンのまま、シャシーとスタイリングの改良に焦点を当てています。
ハンドリング面では、各コーナーに装着された調整式コイルオーバーが車高を38mm下げることで、重心を低くし、よりシャープなコーナリング性能を実現しています。
ブレーキシステムは大幅に強化され、フロントには365mmローターを挟む8ピストンキャリパー、リアには356mmローターと6ピストンキャリパーの組み合わせが採用されています。
このハイパフォーマンスブレーキアップグレードにより、スポーツ走行にも対応できる制動力を確保しています。
トヨタ カムリGT-Sコンセプトの価格
カムリGT-Sコンセプトはあくまでデザインスタディであり、市販価格は発表されていません。
ベース車両となる2025年カムリXSE AWDハイブリッドのアメリカでの価格は37,260ドル(約577万円)からとなっています。
仮に市販化される場合、エアロパーツ、サスペンション、ブレーキシステムなどのアップグレードを考慮すると、ベースモデルより数万ドル高い価格設定になると予想されます。
トヨタはこのコンセプトカーを通じて消費者からのフィードバックを収集し、将来的なパフォーマンスパッケージの可能性を探る意向を示しています。
なお、日本市場における現行カムリの販売は2023年12月に終了しており、国内価格の参考情報はありません。
トヨタ カムリGT-Sコンセプトの発売時期
カムリGT-Sコンセプトは2025年11月4日から7日までラスベガスコンベンションセンターで開催されるSEMA Show 2025のトヨタブースで展示されます。
このモデルは「Powered by Possibility」というテーマのもと、トヨタが展示する20台以上のコンセプトカーの一つとして披露される予定です。
ただし、現時点では量産化や発売時期に関する具体的な発表はなく、あくまでデザインスタディとしての位置づけです。
トヨタのマーケティング担当グループバイスプレジデント、マイク・トリップ氏は「SEMAは新しいアイデアをテストし、エンスージアストの声を聞き、カムリをどのように進化させるか探る機会」と述べており、市場の反応次第では将来的な展開もあり得るでしょう。
トヨタ カムリGT-Sコンセプトは日本で発売されるか
日本におけるカムリGT-Sコンセプトの発売可能性は極めて低いと考えられます。
トヨタは2023年12月下旬にカムリの国内生産を終了し、日本市場からカムリが姿を消しています。
43年にわたって日本で販売されてきたカムリですが、SUVやミニバンの人気に押され販売が低迷し、セダン市場全体の縮小という背景もあって国内販売終了の決断に至りました。
現在、海外では第9世代の新型カムリが北米やタイ、中国などで販売されていますが、日本での再導入についての具体的な計画は発表されていません。
したがって、カムリGT-Sコンセプトが日本市場に投入される可能性は現時点では非常に低いと言わざるを得ません。
トヨタ カムリGT-Sコンセプトをあえて辛口で評価します
カムリGT-Sコンセプトをあえて辛口で評価すると、最大の物足りなさはパワートレインが完全にノーマルのままという点です。
232馬力という出力は日常使用には十分ですが、「GT-S」という名称や攻撃的な外観から期待されるパフォーマンスレベルには若干届いていません。
ライバルとなるホンダ・アコードや欧州のスポーツセダンと比較すると、動力性能面での優位性は感じられず、見た目だけのスポーツカーという印象を与えかねません。
また、インテリアが完全に量産車と同じというのも、コンセプトカーとしては冒険が足りないと感じます。
スポーツシートや専用のステアリングホイール、メーターなど、室内空間にもGT-Sならではの特別感を演出する要素があれば、よりパッケージとしての完成度が高まったでしょう。
さらに、日本市場ではすでにカムリの販売が終了しているため、このコンセプトが日本のファンに届かないというのも残念なポイントです。
トヨタ カムリGT-Sコンセプトのライバル車
カムリGT-Sコンセプトのライバルとしてまず挙げられるのは、ホンダ・アコードです。
アコードはカムリと同様にミドルサイズセダンのカテゴリーに属し、国内外で激しい販売競争を繰り広げてきた宿命のライバルです。
現行アコードはハイブリッド専用車として2.0リッターエンジンとモーターを組み合わせ、モーター走行領域が広い電気自動車に近い走行フィールが特徴です。
日産・アルティマ(日本名:ティアナ)も、北米市場ではカムリと販売台数を競う重要なライバルです。
輸入車では、フォルクスワーゲン・パサートGTEがプラグインハイブリッドとして競合します。
1.4リッターターボエンジンとモーターの組み合わせで、ドイツ流の走りの爽快感を提供しています。
また、スポーツセダンという視点では、レクサスISやBMW 3シリーズなども比較対象となるでしょう。
まとめ
トヨタ カムリGT-Sコンセプトは、2025年10月24日に発表された現実的なスポーツセダンを探るデザインスタディです。2025年カムリXSE AWDハイブリッドをベースに、38mm低められた車高、強化されたブレーキシステム、20インチパフォーマンスホイール、そして「インフェルノフレア」と呼ばれる専用カラーを纏っています。パワートレインは232馬力の2.5リッターハイブリッドシステムをそのまま搭載し、インテリアも量産車と同じ仕様を維持することで、ショールームから直接購入できそうなリアリティを追求しました。11月のSEMA Show 2025で展示され、消費者からのフィードバックを収集する予定ですが、市販化や日本導入については現時点で未定です。日本ではカムリの販売がすでに終了しているため、国内ファンにとっては残念ながら手の届かないモデルとなりそうです。



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