BMWは2024年8月、ハイパフォオーマンスワゴンのBMW M5ツーリングを世界初公開しました。BMW M5ツーリングは14年ぶりの復活となりました。この高性能ステーションワゴンは、2024年11月から発売される予定です。英国での価格は約2140万円から。
車の概要:BMW M5ツーリングとは?
新型BMW M5ツーリングは、BMWのハイパフォーマンスモデルM5シリーズの第7世代にあたるモデルです。M5の歴史は1984年に始まり、ツーリングモデルは1992年の第2世代と2007年の第4世代に続いて3度目の設定となります。

今回のモデルは、V8エンジンと電気モターを組み合わせたMハイブリッドシステムを採用し、システム最高出力535kW(727馬力)、最大トルク1,000Nmという圧倒的なパワーを実現しています。0-100km/h加速は3.6秒、最高速度は305km/h(Mドライバーズパッケージ装着時)に達します。一方で、電気のみでの走行も可能で、最大67kmのEV走行が可能です。これにより、パワフルな走りと環境性能の両立を図っています。
ボディは全長5,096mm、全幅1,970mm、全高1,516mmとなっており、荷室容量は最大1,630リットルを確保。高性能スポーツカーの走りと、ステーションワゴンとしての実用性を両立させています。デザイン面では、Mモデル特有の大型エアインテークや張り出したホイールアーチ、リアのルーフスポイラーなど、スポーティな要素を随所に取り入れています。このように、新型BMW M5ツーリングは、BMWのMモデルの伝統を受け継ぎながら、ハイブリッド技術を取り入れることで、新時代のハイパフォーマンスモデルとして生まれ変わりました。

BMW M5ツーリングのエクステリアデザイン
新型BMW M5ツーリングのエクステリアデザインは、Mモデル特有の攻撃的なスタイリングと、ステーションワゴンとしての優雅なプロポーションを融合させています。
新型M5ツーリングのボディサイズは全長5,096mm、全幅1,970mm、全高1,516mmとなっており、通常の5シリーズツーリングと比べて全長で36mm、全幅で70mm大きくなっています。この拡大されたボディサイズにより、よりワイドで力強いスタンスを実現しています。
フロントエンドは、新しくデザインされたBMW Mキドニーグリルが特徴的です。ほぼ完全に閉じられたデザインのグリルは、ブラックハイグロス仕上げで、センターにはM5バッジが配されています。グリル下部には2つの小さな給気口があり、効率的にラジエーターへ冷却空気を導きます。フロントバンパーには大型の中央下部エアインテークが設けられ、十分な冷却空気の取り入れを確保しています。このエアインテークは中央のパーティションによって2分割され、レーシングカーを思わせるデザイン要素となっています。

サイドビューでは、エレガントに伸びたルーフラインとモデル専用のルーフスポイラーが特徴的です。ホイールアーチは大きくフレアし、サイドスカートはボディ同色で仕上げられ、力強さを強調しています。

リアエンドは、幅広のデザインが印象的です。大きくフレアしたリアホイールアーチ、スリムなリアライト、そして外側に配置された縦型リフレクターが、車両の幅と力強さを強調しています。また、ルーフスポイラーと2分割されたディフューザーが空力性能を最適化し、4本のブラッククロームエキゾーストパイプがスポーティな印象を与えています。

ホイールは、フロント20インチ、リア21インチの前後異径(スタッガードドサイズ)を採用。このサイズ差により、コーナリング時の路面への力の伝達を最適化しています。カラーバリエーションは10色が用意され、M専用のアイル・オブ・マン・グリーンメタリックやマリーナ・ベイ・ブルーメタリックなどが選択可能です。さらに、BMW Individualの特別塗装も発売時から選択できます。
BMW M5ツーリングのインテリアデザイン
新型BMW M5ツーリングのインテリアは、スポーツカーの雰囲気と高級感、そして実用性を高次元で両立させています。
ダッシュボードには、12.3インチの情報ディスプレイと14.9インチのコントロールディスプレイを組み合わせたBMWカーブドディスプレイが搭載されています。M専用のグラフィックスで、パフォーマンス関連のデータを鮮明に表示します。

インストルメントパネルと前部ドアパネルトリムにまたがるBMWインタラクションバーが装備されています。クリスタルガラスのような外観で、空調設定や後部窓ヒーター、ハザードランプなどの操作パネルが統合されています。
運転席には新デザインのMレザーステアリングホイールが装備されています。3本スポークデザインで、12時位置に赤いセンターマーカーが配置され、下部がフラットな形状となっています。ステアリングホイールには、マルチファンクションボタン、2つのMボタン、シーケンシャルシフト操作用のパドルシフトが装備されており、本格的なレーシングカーの雰囲気を醸し出しています。

ドライバーと助手席には、Mマルチファンクションシートが標準装備されています。このシートは、長距離ドライブ時の快適性と、スポーティな走行時のホールド性を両立させた設計となっています。電動調整機能やメモリー機能も備えており、シートの前後位置、高さ、傾き、大腿部サポート長、バックレストの幅と角度、ランバーサポート、ヘッドレストの高さなどを細かく調整できます。

インテリアトリムには、標準でアルミニウム・ロンビクル・ダークシルバーが採用されています。オプションでMカーボンファイバー(ハイグロスシルバースレッド入り)やBMWインディビジュアル・ダークオーク・ハイグロス・ファインウッドトリムも選択可能です。
フットウェル、ドアポケット、カップホルダー、インテリアトリム要素、ドアパネルトリムに組み込まれたオーディオシステムのミッドレンジスピーカー、フロントシートの背面など、車内の様々な場所にアンビエントライティングが標準装備されています。これにより、非常に雰囲気のある室内空間を演出することができます。
BMW M5ツーリングの走行性能
新型BMW M5ツーリングは、攻撃的とも言える圧倒的な走行性能を誇ります。その中心となるのが、Mハイブリッドシステムです。
M5ツーリングに搭載されるMハイブリッドシステムは、4.4L V8 Mツインパワーターボエンジンと電気モーターを組み合わせた最新のパワートレインです。システム全体で最高出力535kW(727馬力)、最大トルク1,000Nmという圧倒的なパワーを発揮します。V8エンジン単体でも430kW(585馬力)の最高出力と750Nmの最大トルクを生み出し、5,600〜6,500rpmの広い回転域で最高出力を維持します。これにMツインパワーターボ技術や高精度燃料噴射システム、バルブトロニックなどの最新技術を組み合わせることで、高回転型エンジンの特性を最大限に引き出しています。電気モーターは最高出力145kW(197馬力)、最大トルク280Nmを発生。8速Mステップトロニックトランスミッションに統合されており、瞬時の加速レスポンスを実現します。

このパワフルなMハイブリッドシステムにより、M5ツーリングは驚異的な加速性能を発揮します。0-100km/h加速は3.6秒、0-200km/h加速も11.1秒で達成。80-120km/hの中間加速も5速ギアで3.1秒という俊敏さを見せます。最高速度は250km/hに電子制御で制限されていますが、オプションのMドライバーズパッケージを選択すると305km/hまで引き上げられます。
M5ツーリングは、電気モーターのみでの走行も可能です。最高140km/hまでEV走行が可能で、1回の充電で最大61〜67kmの航続距離を実現します。これにより、市街地走行などでゼロエミッションを実現しつつ、必要に応じて圧倒的なパワーを発揮できる柔軟性を備えています。

パワーは8速Mステップトロニックトランスミッションを介して、MxDriveオールホイールドライブシステムに伝達されます。このシステムは、状況に応じて前後輪へのトルク配分を電子制御で最適化。ドライバーの好みに合わせて、4WD、4WDスポーツ、2WDの3つのモードを選択できます。さらに、アクティブMディファレンシャルが後輪の左右輪間のトルク配分を最適化し、コーナリング時のトラクションと安定性を高めています。これらの先進技術の組み合わせにより、M5ツーリングは圧倒的なパワーと優れた操縦性を両立。日常の実用性を損なうことなく、サーキット走行にも対応できる高性能を実現しています。
BMW M5ツーリングの安全性能・運転支援機能
新型BMW M5 ツーリングには、多数の先進的な運転支援システムが標準装備されています。これらのシステムの機能性は、統合ブレーキシステムとネットワーク化された横方向ダイナミクス管理によってさらに向上しています。標準装備の安全機能には以下が含まれます。
- フロントコリジョンワーニング(ブレーキ介入付き)
- レーンデパーチャーウォーニング(アクティブレーン復帰機能付き)
- 回避アシスタント
- アテンションアシスタント
- スピードリミットインフォ

オプションで、さらに高度な運転支援機能を追加することができます。Driving Assistant Professionalパッケージには、以下の機能が含まれます:
- ステアリング&レーンコントロールアシスタント
- アクティブクルーズコントロール
- 自動スピードリミットアシスト
- 信号認識
- アクティブナビゲーション
また、オプションのParking Assistant Professionalを使用すると、スマートフォンから車外で駐車や操縦を制御することができます。
BMW M5ツーリングの価格
英国での新型BMW M5ツーリングの価格は約2140万円(11万2500ポンド)からです。
BMW M5ツーリングの発売時期
欧州では新型BMW M5ツーリングは2024年11月に発売されます。
- 世界初公開: 2024年8月中旬(カリフォルニア州モントレー・カーウィークにて)
- 販売開始: 2024年11月
BMW M5ツーリングは日本で発売される?
現時点で、新型BMW M5ツーリングの日本での正式な発売計画は発表されていません。しかし、BMW Japanの公式サイトでBMW M5ツーリング紹介ページが存在することから、日本でも発売されると考えられます。日本でのBMW M5ツーリングの発売時期は未発表ですが、世界市場での発売に合わせて2024年末から2025年初頭にかけて発売される可能性があります。

BMW M5ツーリングの辛口評価
新型M5ツーリングをあえて辛口で評価します。
まず、重量が気になります。ハイブリッドシステムの搭載により、車両重量は2,475kgにも達しています。これは同クラスの他車種と比較しても重く、俊敏性や燃費に影響を与える可能性があります。
また、電気のみでの走行可能距離が最大67kmというのは、プラグインハイブリッドとしてはやや物足りない印象です。
最後に、価格面での課題も無視できません。高性能と高級感を追求した結果、一般ユーザーにとっては手の届きにくい価格帯となっています。維持費も含めて考えると、その価値に見合うかどうかは慎重に検討する必要があるでしょう。
BMW M5ツーリングのライバル車
BMW M5ツーリングの主なライバル車としては、以下のモデルが挙げられます。
- アウディ RS6アバント
アウディの高性能ワゴンモデルで、4.0リッターV8ツインターボエンジンを搭載し、最高出力600馬力を発揮します。quattroオールホイールドライブシステムを採用し、優れた走行安定性を誇ります。 - メルセデスAMG E63 Sワゴン
メルセデスAMGの高性能ワゴンで、4.0リッターV8ツインターボエンジンを搭載し、最高出力612馬力を発揮します。4MATICオールホイールドライブシステムを採用し、高い運動性能を実現しています。 - ポルシェ パナメーラ スポーツツーリスモ ターボS E-ハイブリッド
ポルシェのプラグインハイブリッド高性能ワゴンで、4.0リッターV8ツインターボエンジンと電気モーターを組み合わせ、システム最高出力700馬力を発揮します。
これらのライバル車と比較すると、BMW M5ツーリングは最高出力や電動走行距離で優位性を持っています。BMW M5ツーリングは、これらのライバル車に引けを取らない高性能と実用性を兼ね備えたモデルとして、高級スポーツワゴン市場で強い存在感を示すでしょう。

BMW Japan 新型BMW M5ツーリング公式ページはこちら
コメント