トヨタ 新型ハイラックス 欧州ではBEV、HV、ディーゼル、ガソリン、燃料電池車のパワートレイン展開 発売時期や日本導入は?

トヨタは2025年11月10日、タイ・バンコクに加え、ベルギー・ブリュッセルにて、伝説的なピックアップトラック「ハイラックス」の第9世代モデルを世界初公開しました。今回の新型は、トヨタ初となるバッテリーEV(BEV)モデルを含む多彩なパワートレインを展開し、特に欧州市場での電動化戦略を強く打ち出した内容となっています。一方、日本市場向けにはディーゼルモデルが2026年年央に導入予定となっており、欧州仕様とは異なる展開が予定されています。​

車の概要:トヨタ ハイラックスとは?

トヨタ ハイラックス(Toyota Hilux)は、1968年に初代モデルが登場した歴史あるピックアップトラックです。初代はトヨタの「ライトスタウト」と日野自動車の「ブリスカ」の統合モデルとして誕生し、以来50年以上にわたり世界195カ国以上で累計2,800万台以上を販売する、まさにグローバルアイコンとなっています。

今回発表された新型は第9世代に当たり、約10年ぶりのフルモデルチェンジとなります。最大の特徴は、トヨタの「マルチパス哲学」に基づいた多様なパワートレイン展開です。初のバッテリーEV、48Vハイブリッド、ディーゼル、ガソリンと、トヨタの全モデル中で最多のパワートレインオプションを持つことになります。​​

特に注目すべきは、欧州市場での展開です。西ヨーロッパでは48Vハイブリッドがボリュームゾーンとなり、2025年12月からBEVモデルの展開が開始される予定です。一方、東ヨーロッパ市場向けには従来型のディーゼルおよびガソリンエンジンが提供され、地域ごとのニーズに合わせた戦略が採られています。さらに、2028年には水素燃料電池(FCEV)モデルの投入も確約されており、トヨタの電動化への本気度が伺えます。​

日本市場では、欧州とは異なりディーゼルモデルのみが2026年年央に導入される予定で、BEVモデルの国内投入については現時点では明らかにされていません。

トヨタ ハイラックスのエクステリアデザイン

新型トヨタ ハイラックスのエクステリアは、「タフ&アジャイル」をテーマに開発されました。フロントマスクは力強さと存在感を強調する新しいプロポーションを採用し、スリムな新型ヘッドライトユニットを中央のバーで連結し、そこにクラシックスタイルの「TOYOTA」ロゴを配置しています。​

このデザインは新型ランドクルーザーから着想を得ており、全体的な質感の向上も図られています。BEVモデルでは、伝統的なグリルを廃した空力重視のフロントトリートメントが採用され、専用デザインのアルミホイールが装着されます。​

実用性の向上も図られており、荷台へのアクセスを容易にする新しいリアデッキステップや、再設計されたサイドステップなどが全車に標準装備されます。​

また、新世代ハイラックスではボディスタイルがダブルキャブのみに統一され、顧客の好みに沿った選択が行われています。​

新型トヨタ ハイラックスのボディサイズは、全長5,320mm、全幅1,855mm、全高1,800mmとなっています。

トヨタ ハイラックスのインテリアデザイン

新型トヨタ ハイラックスのキャビンは、新型ランドクルーザーの影響を受けた全方位的な質感向上が図られています。センターコンソールは新しい水平デザインを採用し、視認性と操作性が大幅に改善されました。​

運転席には12.3インチのカスタマイズ可能なデジタルコンビメーターが配置され、中央にはマルチメディアタッチスクリーン(最大12.3インチ)が設置されています。これにより、完全なデジタルユーザーエクスペリエンスを実現しています。​

四輪駆動とオフロード走行のコントロール類は中央に集約され、直感的な操作が可能です。BEVモデルでは、シフトバイワイヤー方式のワンアクション式ドライブセレクターが採用されています。​

コネクティビティ面では、ワイヤレスデバイスチャージャーや、キャビン後部に新設されたUSBポートなど、現代的なニーズに応える装備が充実しています。​

さらに、新型ハイラックスのオーナーは「MyToyota」アプリを通じて、リモートおよびコネクテッドサービスにアクセスできます。個人ユーザーだけでなく、法人・フリート顧客にも便利で、フリートマネージャーは最大10台の車両データ(位置情報、燃料レベル、EV充電状況、走行履歴など)を確認できます。​

トヨタ ハイラックスの走行性能

新型トヨタ ハイラックスの走行性能は、多様なパワートレインによって大きく異なります。

BEVモデルでは、59.2kWhのリチウムイオンバッテリーと前後eアクスルによる常時全輪駆動システムを搭載しています。フロントで205Nm、リアで268.6Nmのトルクを発生し、システム最高出力は144kW(約196PS)となっています。タイ仕様のプロトタイプでは、NEDCモードで300km以上の一充電走行距離を実現するとされており、欧州仕様ではWLTPモードで約240kmの航続距離となっています。暫定的な諸元では、積載量約715kg、牽引能力約1,600kgを実現しています。​

リチウムイオンバッテリーパックはフレーム幅を最大限に活用しながら床下に収まるよう最適配置されており、進化した制御システムにより、伝統のボディオンフレーム構造の優れた悪路走破性を維持しています。トヨタはクラス最高の充電性能を目指しており、車両のダウンタイムを最小限に抑える設計となっています。また、BEVモデルは従来のボディオンフレーム構造を維持しつつ、バッテリーを損傷や浸水から保護する特別な対策が施されており、渡河深度は従来の内燃機関モデルと同等を確保しています。​​

48Vハイブリッドモデルは、西ヨーロッパ市場のボリュームゾーンとなる予定で、2026年春から生産が開始されます。このシステムは、48Vリチウムイオンバッテリー(後席下に配置)、電動モーター/ジェネレーター、DC-DCコンバーターで構成され、2.8リッターエンジンをサポートします。特に発進時と加速時のスムーズで静かな走行性能が特徴です。積載能力は最大1トン、牽引能力は最大3,500kgと、優れた作業性能を維持しています。​

内燃機関モデル(ディーゼル・ガソリン)は東ヨーロッパ市場専用となり、力強く効率的な2.8リッターディーゼルが2.4リッターユニットに代わって採用されます。また、従来の2.7リッターガソリンエンジンも継続して提供されます。​

FCEVモデル(燃料電池)については、2028年以降に欧州およびオセアニア市場への投入が確約されています。このモデルはトヨタの水素燃料電池電気セダン「MIRAI」のコア技術を採用しており、走行中に排出されるのは純水のみとなります。プロトタイプでは3つの高圧水素タンクに7.8kgの水素を搭載し、燃料電池スタックには330セルが含まれています。最大出力182PS、最大トルク300Nmを発揮し、航続距離は約587km~600km以上と予想されています。後輪駆動方式を採用しながらも、荷台の下に電池を搭載することでキャビンスペースが確保されています。FCEVモデルの投入は、トヨタの水素燃料電池技術への強いコミットメントを示すとともに、欧州における水素エコシステムとインフラ整備の拡大に貢献することが期待されています。​​

オフロード性能では、BEVおよび48Vハイブリッドモデルに「マルチテレインセレクト」システムが搭載され、ブレーキとトルク制御を使って異なる路面状況に対応します。これは従来のL4レンジでの走行に相当する性能を提供します。48Vハイブリッドモデルは700mmの渡河能力を維持しており、モーター/ジェネレーターがエンジン上部に配置されているためです。​

また、今回初めて電動パワーステアリングが採用され(西ヨーロッパ市場向け、東ヨーロッパは油圧式を継続)、より直接的な操作感と優れた操縦性、不整地走行時のキックバックリスク低減が実現されていますす。​

トヨタ ハイラックスの安全性能・運転支援

新型トヨタ ハイラックスの安全装備は、「Toyota T-Mate」アドバンスド安全・運転支援パッケージが大幅に拡充されています。​

トヨタセーフティセンスの機能拡張により、低速時加速抑制機能、プロアクティブドライビングアシスト、緊急時停車システムなどが追加されました(グレードおよび市場により装備は異なります)。​

その他の新機能には、ブラインドスポットモニター、セーフティエグジットアシスト、ドライバーモニターカメラなどが含まれます。​

48Vハイブリッドモデルには、困難な状況での車両位置調整を支援するマルチテレインモニターや、駐車と精密な道路上での操作をサポートするパノラミックビューモニターも用意されています。​

さらに、無線(OTA)アップデートにより、新機能が利用可能になった際にシームレスなアップグレードが提供される予定です。​

欧州での価格

新型トヨタ ハイラックスの欧州市場での具体的な価格は、発表時点では明らかにされていません。​

しかし、現行モデル(第8世代)の日本市場での価格は、約397万円から460万円の範囲で設定されています。新型モデルでは、最新技術の採用により価格が上昇すると予想され、エントリーグレードで約20万円、上位モデルでは約30万円程度のアップが見込まれています。

欧州市場では、BEVモデルが2025年12月から、48Vハイブリッドモデルが2026年春から展開される予定であり、各市場での詳細な価格設定は今後順次発表される見込みです。​

欧州での発売時期

新型トヨタ ハイラックスの欧州市場での発売時期は、パワートレインごとに異なります。​

BEVモデルは2025年12月から市場展開が開始され、最も早いタイミングでの導入となります。これは欧州市場での電動化需要に応える戦略的な判断と言えます。​

48Vハイブリッドモデルは、西ヨーロッパ市場のボリュームゾーンとして位置づけられており、生産開始は2026年春からとなります。​

内燃機関モデル(ディーゼルおよびガソリン)は、東ヨーロッパ市場専用として展開され、地域のニーズに合わせた供給が行われる予定です。​

また、水素燃料電池(FCEV)モデルは2028年以降に欧州およびオセアニア市場に投入される予定となっています。​

日本で発売されるか

新型トヨタ ハイラックスは、日本市場でも発売されることが正式に発表されています。

日本向けモデルは、ディーゼルエンジン搭載モデルが2026年年央に発売される予定です。これは欧州市場での展開とは異なり、日本独自の仕様となります。

注目すべき点として、欧州市場で2025年12月から展開されるBEVモデルについては、日本国内での導入は現時点では明らかにされていません。また、48Vハイブリッドモデルや将来的なFCEVモデルの日本導入についても、今後の発表が待たれる状況です。

トヨタは本日から新型ハイラックスの特設サイトを立ち上げ、順次最新情報を更新していく予定としており、日本市場向けの詳細な仕様や装備については、今後明らかになっていくものと思われます。

日本市場では従来からディーゼルモデルが中心であったため、今回もその路線を継続する形となりますが、欧州での電動化展開の成功次第では、将来的にBEVやFCEVモデルの国内導入も期待できるでしょう。

トヨタ ハイラックスをあえて辛口で評価します

新型トヨタ ハイラックスは確かに多彩なパワートレイン展開で注目を集めていますが、いくつかの課題も見えてきます。

まず、BEVモデルの航続距離が約240kmというのは、現代の電動ピックアップトラックとしては物足りない数値です。特に作業用途や長距離移動を考えると、頻繁な充電が必要となり、実用性に疑問符がつきます。積載量約715kg、牽引能力約1,600kgという数値も、従来のディーゼルモデルと比較すると見劣りする部分があります。​

また、日本市場に関しては、欧州で展開されるBEVモデルや48Vハイブリッドモデルが導入されず、ディーゼルのみという選択肢の少なさは残念な点です。せっかくグローバルで多彩なラインナップを用意しながら、日本のユーザーはその恩恵を受けられないという状況は、トヨタの日本市場軽視とも受け取れます。

価格面でも、新技術の採用により現行モデルから20万~30万円程度の値上げが予想されており、すでに400万円台という価格帯を考えると、一般ユーザーにとってはさらに手が届きにくい存在になります。

さらに、全長5,320mm、全幅1,855mmという巨大なボディサイズは、日本の狭い道路環境や駐車場事情を考えると、日常使いには明らかに不便です。ダブルキャブ専用となったことで選択肢が狭まった点も、用途によっては柔軟性に欠けると言わざるを得ません。​​

デジタル化が進んだインテリアも、オフロード志向のユーザーには過度に洗練されすぎており、タフな作業車としてのハイラックスらしさが薄れているように感じられます。​

トヨタ ハイラックスのライバル車

新型トヨタ ハイラックスの主なライバルとしては、国内外でいくつかの強力な競合車が存在します。

三菱 トライトンは、日本市場での直接的なライバルとなります。2024年に発売されたトライトンは、2.4リッター直4ディーゼルターボエンジンを搭載し、ハイラックスの自然吸気エンジンに対してターボ仕様となっており、動力性能で優位性があります。価格帯もハイラックスと競合する範囲に設定されています。

フォード レンジャーは、グローバル市場でのハイラックスの最大のライバルです。全長5,390mm、全幅2,020mm、全高1,920mmと、ハイラックスよりも一回り大きなボディサイズを持ち、存在感と室内空間の余裕で差別化を図っています。

その他、商用車市場ではトヨタ ハイエースバン日産 キャラバンなども、用途によっては比較検討の対象となります。これらは純粋なピックアップトラックではありませんが、荷物の運搬能力や商業利用という観点では競合関係にあります。

国内の小型トラック市場では、マツダ ボンゴトラック(128.7万円~220.6万円)やダイハツ グランマックストラック(178.7万円~212.9万円)なども存在しますが、これらは価格帯とサイズが大きく異なり、ターゲット層も異なります。

海外市場では、シボレー コロラド、日産 ナバラ、フォルクスワーゲン アマロックなども、ハイラックスと同じミドルサイズピックアップトラックのセグメントで競合しています。

トヨタ ハイラックス各モデルの主要スペック

トヨタ ハイラックス BEVモデル(欧州仕様・暫定値)

  • ボディタイプ: ダブルキャブ ピックアップトラック
  • 駆動方式: 常時全輪駆動(前後eアクスル)
  • バッテリー容量: 59.2kWh(リチウムイオン)
  • 最大トルク: フロント205Nm、リア268.6Nm
  • 航続距離: 約240km(WLTP)
  • 積載量: 約715kg(暫定値)
  • 牽引能力: 約1,600kg(暫定値)
  • 渡河深度: 従来の内燃機関モデルと同等
  • 乗車定員: 5名
  • ディスプレイ: 12.3インチデジタルコンビメーター、最大12.3インチマルチメディアタッチスクリーン

トヨタ ハイラックス 48Vハイブリッドモデル(欧州仕様)

  • ボディタイプ: ダブルキャブ ピックアップトラック
  • 駆動方式: 全輪駆動
  • エンジン: 2.8リッター+48Vハイブリッドシステム
  • バッテリー: 48Vリチウムイオン(後席下配置)
  • 積載量: 最大1,000kg
  • 牽引能力: 最大3,500kg
  • 渡河深度: 700mm
  • 生産開始: 2026年春予定
  • 乗車定員: 5名

トヨタ ハイラックス ディーゼルモデル(東欧・日本仕様)

  • ボディタイプ: ダブルキャブ ピックアップトラック
  • 駆動方式: 全輪駆動
  • エンジン: 2.8リッターディーゼル
  • トランスミッション: 6速AT または 6速MT(市場により異なる)
  • 乗車定員: 5名
  • 日本発売予定: 2026年年央

共通装備(グレード・市場により異なる)

  • 安全装備: Toyota T-Mate、トヨタセーフティセンス(低速時加速抑制、プロアクティブドライビングアシスト、緊急時停車システム)、ブラインドスポットモニター、セーフティエグジットアシスト、ドライバーモニターカメラ
  • オフロード機能: マルチテレインセレクト、マルチテレインモニター(一部グレード)、パノラミックビューモニター(一部グレード)
  • コネクティビティ: MyToyotaアプリ対応、ワイヤレスデバイスチャージャー、後部USBポート、OTAアップデート対応
  • ステアリング: 電動パワーステアリング(西ヨーロッパ市場)、油圧式(東ヨーロッパ市場)

ボディサイズ

  • 全長: 5,320mm
  • 全幅: 1,855mm
  • 全高: 1,800mm
  • ホイールベース: 3,085mm

まとめ

トヨタが2025年11月10日に発表した新型ハイラックスは、第9世代として約10年ぶりのフルモデルチェンジを果たし、初のBEVモデルを含む多彩なパワートレイン展開で新時代へと踏み出しました。「タフ&アジャイル」をテーマとした新デザインと、ランドクルーザーに影響を受けた質感向上により、伝統的なタフネスと現代的な洗練性を両立させています。特に欧州市場では、BEVモデルが2025年12月から、48Vハイブリッドモデルが2026年春から展開され、地域ごとのニーズに合わせた戦略的なアプローチが採られています。一方、日本市場ではディーゼルモデルが2026年年央に導入予定となっており、欧州仕様とは異なる展開となる点が特徴的です。Toyota T-Mateの大幅な拡充や完全デジタル化されたユーザーエクスペリエンス、さらに2028年投入予定のFCEVモデルなど、トヨタの電動化とマルチパス戦略を象徴するモデルとなっており、世界195カ国以上で累計2,800万台以上を販売してきたハイラックスの新たな伝説が始まろうとしています。

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