2024年7月26日、シボレーは米国で2025年モデルの新型コルベットZR1を発表しました。この新型コルベットZR1は、コルベットの歴史の中で最も強力で高速なモデルであり、アメリカでこれまでに生産された車の中で最もパワフルなV8エンジンを搭載した世界最高峰のスーパーカーです。

車の概要:シボレーコルベットZR1とは?
新型コルベットZR1は、アメリカの自動車メーカーが生産した中で最も強力なV8エンジンを搭載しています。新型ZR1のパワートレインは、5.5リットルツインターボチャージャー付きDOHCフラットプレーンクランクV8エンジン「LT7」です。このエンジンは、7,000rpmで最高出力1,064馬力、6,000rpmで最大トルク1,123Nm(828lb-ft)を発生させます。ZR1の性能は圧倒的で、サーキットでの最高速度は346km/h(215mph)以上と推定されています。また、400mタイムは10秒を切ると予想されています。デザイン面では、コルベットの歴史に残る象徴的なスタイルである「スプリットリアウィンドウ」が復活しました。これは、C2世代以来の復活となります。コルベットZR1の歴史は1970年代に遡ります。当初は高性能パッケージとして登場し、1990年にC4世代で初めて独立したモデルとなりました。その後、C6世代(2009-2013年)とC7世代(2019年)でも製造され、常にコルベットラインナップの頂点に立つモデルとして知られてきました。新型ZR1は、ミッドエンジンレイアウトを採用した第8世代(C8)コルベットをベースに開発されました。これは、コルベットの歴史の中で大きな転換点となったモデルです。シボレーのスコット・ベル副社長は、「ミッドエンジンアーキテクチャでコルベットに革命を起こしたチームが、ZR1を次のレベルに引き上げるという新たな挑戦に取り組みました」と述べています。この新型ZR1は、スティングレイ、Z06、E-Rayに続くC8世代の最新モデルとして、コルベットファミリーをさらに進化させ、世界最高峰のスーパーカーに挑戦する意欲作となっています。

シボレーコルベットZR1のエクステリアデザイン
新型コルベットZR1のエクステリアデザインは、圧倒的なパフォーマンスを視覚的に表現しつつ、コルベットの歴史を称える要素を巧みに取り入れています。最も注目すべき特徴は、1963年以来初めて復活した「スプリットリアウィンドウ」です。このカーボンファイバー製の「スパイン(背骨)」は、単なるデザイン要素ではなく、エンジンルームからの熱抽出を促進する機能も備えています。露出した織り目のカーボンファイバーか、ボディ同色の仕上げかを選択できます。

フロントグリルから始まり、インターク―ラー熱交換器を通過してボンネットから排出される「フロースルーフード」は、フロントダウンフォースを増加させるとともに、過給空気の冷却も行います。
サイドプロファイルには、カーボンファイバー製のエアダクトが統合されており、リアブレーキの冷却に寄与しています。また、クーペのリアハッチ上部には、ターボコンプレッサーの吸気温度を下げるための新鮮な空気取り入れ口が設けられています。ZTKパフォーマンスパッケージを選択すると、より攻撃的な高ダウンフォース仕様のリアウイング、フロントダイブプレーン、そして高いフードガーニーリップが追加されます。これらはすべて織りカーボンファイバー製です。軽量化と重心の低下を図るため、クーペとコンバーチブルの両方にカーボンファイバー製ルーフが採用されています。

また、ZR1専用のアルミホイールは4種類のフィニッシュから選択可能で、さらなる軽量化を求める場合はカーボンファイバー製ホイールもオプションで用意されています。新しい外装色として、コンペティションイエロー、ヒステリアパープル、セブリングオレンジが追加されました。セブリングオレンジは、前世代(C7)のZR1で人気を博した色を復活させたものです。
コルベットZR1のボディサイズ
新型コルベットZR1のサイズは、全長4722mm、全幅2024mm、全高1234mmです。
シボレーコルベットZR1のインテリアデザイン
新型コルベットZR1のインテリアデザインは、高性能スーパーカーにふさわしい贅沢さとスポーティさを融合させています。12インチのデジタルメーターディスプレイが装備され、ターボブーストゲージが追加されています。これにより、ドライバーは車両の性能データをリアルタイムで確認できます。
インテリア素材では、高品質のナッパレザーが使用され、ステッチにもこだわりが見られます。カーボンファイバーのアクセントが随所に配置され、スポーティな雰囲気を演出すると同時に軽量化にも貢献しています。
シートは8ウェイパワーアジャスト機能付きのGT1シートまたはコンペティションスポーツシートが標準装備されます。3LZトリムを選択すると、ナッパレザー製のGT2シートまたはコンペティションスポーツシートにアップグレードされ、ヒーター機能と通気機能も追加されます。

ステアリングホイールは、フラットトップ&フラットボトムデザインを採用し、独自のZR1バッジが中央に配置されています。標準モデルでは革巻きステアリングホイールにカーボンファイバーのアクセントが施され、3LZトリムではスエード調マイクロファイバー巻きのステアリングホイールが選択可能です。
インフォテインメントシステムは、8インチのタッチスクリーンディスプレイを採用し、Bluetooth接続、4G LTEモバイルホットスポット、ワイヤレスApple CarPlayおよびAndroid Autoに対応しています。標準モデルでは10スピーカーのBoseプレミアムサウンドシステムが装備され、3LZトリムでは14スピーカーのBoseパフォーマンスシリーズサウンドシステムにアップグレードされます。

インテリアカラーオプションも充実しており、新たにハバネロカラーが追加されました。また、3LZトリム専用の新しい幾何学模様のステッチパターンがドアパネルに施されるなど、細部にまでこだわりが感じられます。さらに、ZR1の特別感を演出するため、インテリアプレート、サイドシルプレート、ステアリングホイールにZR1専用のバッジが配置されています。このように、新型コルベットZR1のインテリアは、最高級の素材と最新のテクノロジーを駆使し、ドライバーの操作性と快適性を最優先に設計されています。
シボレーコルベットZR1の走行性能
新型コルベットZR1の走行性能は、まさにスーパーカーの名にふさわしい圧倒的なものとなっています。新型ZR1のパワートレインは、5.5リッターのツインターボチャージャー付きDOHCフラットプレーンクランクV8エンジン「LT7」です。このエンジンは、驚異的な1,064馬力の最高出力と、1,123Nm(828lb-ft)の最大トルクを発生させます。これは、アメリカの自動車メーカーが生産した中で最も強力なV8エンジンとなります。性能面では、以下のような圧倒的な数値が公表されています:
この驚異的なパワーを制御するため、8速デュアルクラッチトランスミッションが強化されています。インプットシャフトのアップグレード、ギア強度の向上、オイル管理システムの改良などが施されています。シャシーには、標準でマグネティックライドダンパーが装備されています。標準モデルには、20インチフロント、21インチリアのホイールにミシュランパイロットスポーツ4Sタイヤが装着されます。さらに、オプションのZTKパフォーマンスパッケージを選択すると、より攻撃的な高ダウンフォース仕様となります。このパッケージには、以下が含まれます:

ZTKパッケージを装備したZR1は、最高速度時に544kg(1,200ポンド)以上のダウンフォースを生み出します。これにより、サーキットでの驚異的なコーナリング性能が期待できます。ブレーキシステムも大幅に強化されており、フロントには400mm(15.7インチ)、リアには390mm(15.4インチ)の大径カーボンセラミックローターが採用されています。これはコルベット史上最大のブレーキローターとなります。ZR1の性能の凄まじさを示す一例として、129-321-129 km/h(80-200-80 mph)加速ブレーキテストでは、わずか24.5秒で完了します。これは先代(C7)ZR1より22%速く、2世代前(C6)のZR1と比べると53%も速い記録です。このように、新型コルベットZR1は、その圧倒的なパワーと洗練されたシャシー技術により、世界最高峰のスーパーカーに真っ向から挑戦する性能を有しています。

シボレーコルベットZR1の価格
新型コルベットZR1の米国での価格は、約180,000ドル(約2,700万円)からスタートすると予想されています。グレードごとの価格の予想は以下の通りです:
- 1LZクーペ:180,000ドル(約2,700万円)
- 2LZクーペ:190,000ドル(約2,850万円)
- 3LZクーペ:205,000ドル(約3,075万円)
なお、コンバーチブルモデルはクーペよりも若干高くなると予想されます。

シボレーコルベットZR1の発売時期
シボレーは2025年からケンタッキー州のボーリンググリーン工場で新型ZR1の製造を開始する予定です。具体的な発売日については、生産開始時期に近づいてから発表される予定です。
シボレーコルベットZR1は日本で発売される?
現時点で、新型コルベットZR1の日本での正式な発売情報は発表されていません。しかし、先代モデルのZR1が日本で販売されていたことや、現行モデルのスティングレーやZ06が日本市場に導入されていることから、新型ZR1も将来的に日本で販売される可能性は高いと考えられます。
シボレーコルベットZR1の辛口評価
新型コルベットZR1をあえて辛口で評価します。
まず、1,064馬力という驚異的な出力は、一般道での実用性の面ではネガティブです。これほどのパワーを適切にコントロールするには、高度な運転スキルが要求されるでしょう。また、日常的な使用においては、このパワーを活かせる機会はほとんどないと言えます。
さらに、高度な空力パッケージや大型ブレーキなどの採用により、車両重量の増加が懸念されます。これは、コーナリング性能や全体的な俊敏性に影響を与える可能性があります。

シボレーコルベットZR1のライバル車
2025年シボレーコルベットZR1の主なライバル車として、以下のモデルが挙げられます:
- フェラーリF8トリブート:
- エンジン:3.9L V8ツインターボ
- 最高出力:720馬力
- 0-100km/h加速:2.9秒
- ポルシェ911 GT2 RS:
- エンジン:3.8L フラット6ツインターボ
- 最高出力:700馬力
- 0-100km/h加速:2.8秒
- マクラーレン750S:
- エンジン:4.0L V8ツインターボ
- 最高出力:750馬力
- 0-100km/h加速:2.8秒
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